- 出典
- 目的
- 主な登場人物
- 第1章 ULTIMATUM(最後の警告)
- ジェイコブの手紙
- チャーリーの警告
- エドワードの警告
- ベラは悲劇が好き?!
- 第2章 EVASION(回避)
- チャーリーからの回避
- カレン家の家族との回避
- レネからの回避
- エドワードからの回避
- ジェイコブからの回避
- 第3章 MOTIVES(動機)
- レネの恋愛の動機
- ジェイコブの動機
- エドワードの動機
- 第4章 NATURE(種族)
- 冷人族はキラユーテ族から攻撃を受けることを恐れている?!
- 人間は未解決事件を恐れている?!
- キラユーテ族は仲間がいなくなることを恐れている?!
- 第5章 IMPRINT(厳格な掟)
- サムが狼人間になった理由
- 変身の秘密
- ジェイコブの心に刻まれていること
- 第6章 SWITZERLAND(どっちつかず)
- アンジェラから見たエドワードとジェイコブ
- チャーリーはどっちつかずな立場の人物
- アリスはどっちつかずな立場の人物
- 第7章 UNHAPPY ENDING(成仏しなかった想い)
- ロザリーが描いていた幸せな人生とは?!
- ベラがvampireになる前に成し遂げたいことは?!
- 第8章 TEMPER(短気)
- ジェイコブの友人クイルの運命の人
- エドワードにとっての運命の人
- ジェイコブにとっての運命の人
- 第9章 TARGET(真の目的)
- 訪問者の目的
- カレン家の目的
- ジェイコブの目的
- 第10章 SCENT(その人であること)
- エドワードの変化
- ”déjà-vu”の理由
- 狼人間であること
- 第11章 LEGENDS(精霊の戦士たち)
- 精霊の戦士
- 血を飲む者
- 嵐が丘
- 第12章 TIME(時間)
- 遠まわしな質問
- 好きな物事への考え方
- シアトルの殺人事件
- アリス予知能力が弱まっている理由
- ジャスパーの腕の傷跡
- 第13章 NEWBORN(新たな世界)
- 吸血鬼からみた世界
- ベニート(北部を治めた人)
- ジャスパー・ウィットロック少佐
- 相手を不快に感じさせない返しを出来るかどうか
- ジャスパーがアリスと出会うまで
- 新生者を指揮している者
- 第14章 DECLARATION(ジェイコブの告白)
- カレン家の人たちがベラの変身を拒んだ理由
- 別れた夫婦が持つ境界線
- こだわり
- ジェイコブの告白
- 第15章 WAGER(賭け)
- ジェイコブの賭け(ジェイコブはベラがジェイコブに付くと思っている?!)
- チャーリーの賭け(チャーリはジェイコブの押しの強さに確信を思っている?!)
- エドワードの賭け(エドワードはベラがエドワードに付くと思っている?!)
- ジャスパーの賭け(ジャスパーは新生吸血鬼はどんな人も同じと思っている?!)
- ベラの賭け(ベラは高校生活に思い残しは無いと思っている?!)
- 第16章 EPOCH(卒業式)
- ジェシカの涙
- チャーリーはどちらの味方?!
- 大人になる日
- 吸血鬼は他者のために自己犠牲な行動をとることがが出来る人を描いている?!
- 第17章 ALLIANCE(団結)
- ジャスパーが受け入れた団結
- アリスが受け入れた団結
- ジェイコブが提案した団結
- ベラが受け入れられない団結
- 第18章 INSTRUCTION(目的の確認)
- ジャスパーは軍人の視点を持つのか?!
- 過去の経験を元にした戦闘モデル
- ジェイコブの目的
- 第19章 SELFISH(自己中心)
- カレン家の自己主張
- キラユーテ族の自己主張
- 第3の妻の自己主張
- 第20章 COMPROMISE(歩みより)
- ポイントがわからない
- エドワードは”聞いた言葉”にこだわっている?!
- プロポーズ
- 抽象的な表現から具体的な表現へ
- 第21章 TRAILS(痕跡)
- 指輪の意味
- あいまいな表現が相手の心に与える印象
- 結婚式がパートナーやその家族に与える影響
- 対照的に描かれる2人
- ジェイコブのセリフの特徴
- 気持ちの大きさの描き方
- 第22章 FIRE AND ICE(実論と理論)
- 凍えるベラにどう対応するか
- エドワードが考えるベラとの未来について
- 自分が持っていない物を持つ人
- ヒロインの描かれ方
- 第23章 MONSTER(残酷な人)
- 残酷なエドワード
- 残酷なジェイコブ
- 気をまぎらわせるための行動
- ベストテン
- 出会わない方が良い?!
- 姿を消すことは詫びにならない
- エドワードの了承がある?!
- 第24章 SNAP DECISION(不意打ち)
- キスへの罪悪感
- エドワードがベラへ仕返しをしない理由
- エドワードからライリーへの不意打ち
- エドワードからヴィクトリアへの不意打ち
- セスが逃げない理由
- 髪の毛の描写
- 第25章 MIRROR(正体)
- 吸血鬼の正体
- エドワードの罪悪感の正体
- セスの撤退
- エドワードが隠したかったこと
- 新生少女ブリー
- ジェーン
- 第26章 ETHICS(倫理)
- エドワードの道徳
- ジェイコブの道徳
- ベラの道徳
- ジェイコブの甘え
- チャーリーの道徳
- アリスの道徳
- 第26章 NEEDS(なくてはならないもの)
- 罪悪感
- ジェイコブを失うとエドワードが必要になる?!
- 初めて2人で行った場所
- 花嫁のドレス
- 理性
- EPILOGUE – CHOICE (選択)
- 物語の真意
出典
eclipse(エクリプス)
Stephenie Meyer(ステファニーメイヤーさく)
参考資料
小原亜美さんによる翻訳版の『トワイライトⅢ』
「Oxford Learner’s Dictionaries」
目的
物語の真意に迫る
趣味の読書記録です。作者が物語を通して伝えたいことは何か私なりの考えを書いています。
主な登場人物
イザベラ・スワン:物語の主人公(物語の語り手)
“vampire”になりたいと願う高校生。愛するエドワードと永遠に同じ時間を過ごしたいと願っている。
エドワード・カレン:”vampire”
人間であるベラに惹かれた”vampire”。変身したときの痛みをベラに体験させたくない。
第2作『ニュームーン』では、ベラに”vampire”になる前に結婚して欲しいと伝えていた。
エメット・カレン:”vampire”
彼は人間であるベラに好意的である
ジャスパー・ヘイル:”vampire”
第1作『トワイライト』では、対話している相手の気持ちを苛立たせたり落ち着かせる能力を持つと語られていた
ロザリー・ヘイル:”vampire”
ベラが”vampire”になることに唯一反対する人物。理由は彼女は”vampire”になることを望んでいなかったからだと思われる。
アリス・カレン:”vampire”
ベラに好意的。第2作『ニュームーン』では生前の彼女は、入院の日にちと死亡年月日が同じ日にちであったと書かれていた。カレン家の人の中でも最もつらい過去を持つと思われる。
第1章 ULTIMATUM(最後の警告)
チャーリーは、ベラへ”エドワード以外のクラスメイトとも一緒に過ごす時間を使ってはどうかと提案しました。
そして、エドワードはベラにジェイコブに会いに行くことを止めるように伝えます。
この2人の警告は最後の警告となるということでしょうか。ベラはもう学校のクラスメイトと過ごすことはなくなるのか。ベラがジェイコブに会いに行くことで冷人族とキラユーテ族の争いが始まるのか冒頭のタイトルは最後の警告と書かれています。
“ultimatum”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a final warning to a person or country that if they do not do what you ask, you will use force or take action against them
⇒人や国へ最後の警告。仮に依頼したことやらないなら力で抑えるか、何か行動を起こすということ
ジェイコブの手紙
”まるでベラがエドワードから別れを告げられたときのようだ”と思いました。ベラは必死にエドワードを忘れようとしていましたが、ジェイコブもベラを忘れようとしているようです。
ベラがジェイコブに会いたいと思っていることと同様にジェイコブもベラに会いたいと伝えています。会いに行くことが出来ればそれで解決が出来る問題ですが、それはできない、そのためさみしいと思っていても”だからって、なにがどうなるわけじゃない。”と彼は表現しています。
この”そう、おれも会えなくてさみしいんだ。すごく。
だからって、なにがどうなるわけじゃない。ごめん。”は
英文では
“Yeah, I miss you, too. A lot.
Doesn’t change anything.”と書かれています。
とてもさみしいが、何も変わらないを”なにがどうなるわけじゃない”と翻訳されているのは訳が上手いなと思いました。それと同時にジェイコブの力で何も変えることが出来ないのであれば”I cannot change anything.”となるはずですが、”doesn’t change anything.”と書かれているということは、彼の気持ちの問題というより部族の掟を意味していると思われます。
第1作『トワイライト』の時から、ベラはエドワードと一緒に過ごしていましたし、第2作『ニュームーン』でも第11章の映画館の場面で”ベラはエドワードのことが好き”ということは分かっていたと思います。だから、ジェイコブの気持ちの問題でベラに会うことが出来ないというより部族の掟がより一層厳しくなったことを意味すると思われます。
チャーリーの警告
学校のクラスメイトと過ごす時間をつくること
チャーリーはベラがエドワードに一途になることなく、他の友達とも交流を深めていたら別れた後にひどく落ち込まなかったのではないだろうかと思っているようです。第2作第4章で、彼もひどく落ち込んだ過去があると語っていましたが、彼自身もレネに夢中で他の人間関係が無かったということなのでしょうか。
ベラの友達はアンジェラとマイクのようです。マイクはエドワードがフォークスにもどってくると関係が浅くなったと書かれています。仮にジェイコブが気持ちの問題でベラと会わないのであれば、マイクと同様に自分では対抗出来なさそうなエドワードに引け目を感じている可能性もあると思いました。
ジェイコブと一緒に過ごす時間を作ること
”ジェイコブはほんとうに、とてもいい友だちでいてくれただろう”
チャーリーは過去に仲良かった人のことをまるで忘れたかのように振舞う態度に納得が出来ない人物です。
そのため、第2作『ニュームーン』でベラがエドワードと別れて、彼女が彼のことを必死に忘れようと過ごしていた様子(抜け殻な様子)に怒りを現す場面が描かれていました。
さらに第1作『トワイライト』第19章、ベラがジェームズから逃げるために家出の言い訳として”エドワードのことを振った、だからフォークスにいられない”と伝えるベラに”あいつが好きだったんじゃないのか?”と問いかけていました。
チャーリーはジェイコブについて、”あの子だって無視されるより、ただの友だちでいるほうがいいだろ”と彼の考えを話しています。彼の妻レネは、”いいから行かせて”と一方的に家を飛び出したことを考えると、レネはチャーリーと別れた時、しばらく連絡を取ることを無視していた可能性が高いと思われます。そしてチャーリーは、昔愛し合ったのだからという理由で今でもレネのことを愛している可能性は高いと思いました。
エドワードの警告
”きみがノーガードで人狼に近づくのは論外”
エドワードはベラが一人でジェイコブに会うことを禁止しています。これは、彼が同行すれば会ってよいというわけでは無く、彼がジェイコブたちの領域に足を踏み入れると”協定”を破ることになると話しています。
彼は約70年前にキラユーテ族と争いそうになった過去があるようです。ジェイコブの曾祖父に当たるエフライムへカーライルが自分たちは人間を狩ることは無いと説得し共存するための協定を結んだと語られています。
彼がエフライムの死後、狼へ変化する”遺伝的な特質”は消失していたと話していることから、彼は狼人間を恐れているように感じられました。その理由としては、第2作第13章でジェイコブたちの群れがvampireであるローランを殺したと書かれていたことから狼人間はvampireと同程度の力を持つことが予想されます。
ベラは悲劇が好き?!
主人公ベラの好きな作品は、エミリー・ブロンテによる小説『嵐が丘』です。エドワードはこの作品は、登場人物が互いの人生を破滅させる憎しみの物語であるため彼女がこの作品を好きな理由がわからないと話しています。
彼女はその理由を”愛がつぐないになるところが好き”と話しています。恐らく彼女は例え結論が悲劇として描かれている作品であっても登場人粒が両想いである様子が描かれていたらその作品に好印象を感じるのだろうと思いました。
“vampire”に恋をする彼女自身の恋愛に重ねている可能性もありますし、お互いの欠点に目を向けて離婚をした両親をして育ったから、例え欠点がある相手であっても別れないことを理想像として描いているように感じました。
第2章 EVASION(回避)
“evasion”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
the act of avoiding somebody or of avoiding something that you are supposed to do
⇒誰かを避ける行為、またはあなたがすることになっていることを避ける行為
エドワードはとことんベラをジェイコブから遠ざけようとします。
チャーリーからの回避
ベラは学校でアンジェラとその彼氏ベン、それからエドワードとアリスの5人で昼休みを過ごしています。ベラはアンジェラが卒業プロムの挨拶状を手書きするのを手伝おうかと申し出ました。ベラがアンジェラと過ごすということはジェイコブと距離を置くことができるため、エドワードは満足そうだと書かれています。
私は第1作『トワイライト』を読んでいたとき、アンジェラがベラと仲良くしたいと思うことを予想していませんでした。第8章でベラがジェシカとアンジェラと一緒にポートアンジェルスへ行ったとき、自由行動の後ベラがエドワードと一緒に現れたのを見てジェシカは興味津々でしたが、アンジェラからは肯定的な感情を感じられませんでした。そのため、その後はアンジェラとベラは疎遠になるだろうと思っていました。
第2作『ニュームーン』第6章で一般的に信じがたい巨大クマの話をベラがフォーローしたことがきっかけなのかアンジェラはベラと親交を深めたいと思っているように感じられました。しかしベラは、アンジェラは口数が少なく一気に距離を縮めようとしないところを良いと思っていて、積極的に彼女と距離を縮めたいと思っていない様子です。
本章のアンジェラの用事を手伝うという申し出もチャーリーの言いつけを表面上果たそうとしているだけであることを考えると寂しく感じる関係でした。
カレン家の家族との回避
”アリスの視線がエドワードの目をじっととらえて、だれにも気づかれないうちにアンジェラにもどった”
ベラはアリスの表情で彼女が未来に起こる状況を見たのだと気づきます。アリスはエドワードには”何かを見たこと”を伝えようとしていますが、ベラには伝えようとしていませんでした。
さらに2人の間で聞き取れないほどの速さでの会話でもあったのか、その後エドワードはベラと2人になることを避けるように行動しました。
ベラがアリスが見たものをエドワードに尋ねると
”「ジャスパーが妙な場所にいるのが見えたんだ。南西部のほうに。昔の…家族の近くじゃないかと、アリスは思っている。でも、ジャスパーはとくに意識してもどろうと思っていないんだ」”、”「それでアリスは不安になっている」”と答えました。
”ジャスパーが無意識に昔の家族がいる場所へ向かっている”ことは何を意味するのか。第1作『トワイライト』で生前彼は精神的に参ってしまったと書かれていましたが、彼にとってネガティブな記憶がある場所へ無意識に足を踏み入れてしまうとつらい過去の記憶がよみがえってしまうことを意味するのか。カレン家の家族について少しずつ分かっていくことを期待します。
レネからの回避
”だれにも親権なんてありません。あたしは大人なんだから”
ベラは自分の母レネを子どもっぽいと考えているようです。レネの特徴は第1作『トワイライト』第1章で”おしとよしで気まぐれ”と書かれており、本章でも常識はずれな計画を立てては失敗してきたと書かれています。それに対してベラは自身が””慎重で、用心深く、責任感がある”ため自身の方がずっと大人であると考えているようです。
”経済的な自立をしているかどうか”という面ではレネの方が経済活動を行っているため、一般的に大人とみなされると思います。しかしベラは母の”とびぬけた行動力があるという性質”を子どもっぽいと考えているようです。大人であるという条件は”経済活動の有無”、”人の性質”だけでなくいくつかの要素があると思われます。
エドワードからの回避
チャーリーはベラがエドワードとフロリダへ行くことに反対しました。彼はベラからエドワードを遠ざけようとしていると思われます。これはエドワードだけでなくジェイコブも男子であるから一緒に外泊することを許さないと主張しているようです。
ベラの両親について、彼らは高校を卒業してすぐにろくに知らない相手と結婚をして1年後にベラを産んだと書かれていました。チャーリーは娘であるベラが彼自身と同じ恋愛、結婚をすることを恐れているように感じられました。
彼は自分が高校を卒業してすぐに交際期間が短いレネと結婚して、すぐに離婚をしたことを後悔していると思われます。一方、レネは”ベラを自身に与えられた最高のプレゼント”であると考え離婚したことに後悔していないと誓っていたと書かれていました。2人の生活の違いは”独り身となったか”、”子どもが一緒にいたか”だと考えられます。
ベラがチャーリーの言いつけに逆らって”出ていく”と話したとき、チャーリーは顔を真っ赤にして何か発言するにも言葉になっていなかったと書かれていました。恐らく彼はベラが出ていくと寂しいという気持ちがあるため怒りの感情に任せて”出ていけ”とは言えなかったのだろうと思いました。
またレネは”分別のある人は大学に進んで仕事をしてから、真剣な恋愛をするもの”と教えていたと書かれていました。離婚をしたことで一人にならなかったとはいえ、”大学”と書かれていることから”高給な仕事に就きたかった”という意味なのか、”分別のある人”と書かれていることから”感情的でなく経験や根拠を元に良い判断を下すことが出来る人”という意味なのか、両親共に自身が経験した”離婚という経験”を失敗とみなしているように感じられました。
“mature people(分別のある人)”
Oxford Learner’s Dictionariesによると
of a child or young person) behaving in a sensible way, like an adult
⇒子どもや若者が大人のように分別のある振る舞いをすること
“sensible”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
of people and their behaviour) able to make good judgements based on reason and experience rather than emotion; practical
⇒人々やその振る舞いが感情ではなく、経験や根拠をもとに良い判断を下すことが出来ること
ジェイコブからの回避
ベラはジェイコブに会いに行くことを諦めました。これは彼女がジェイコブではなくエドワードを選んだというより、冷人族対キラユーテ族の争いを避けたいと思ったからだと思われます。
エドワードは問題無くジェイコブの考えが読めると語っています。しかしアリスはキラユーテ族の未来を予知することが出来ないようです。カーライルはアリスが予知出来ない理由は”ジェイコブたちの生活が狼への変化に大きく支配されているから”という仮説を立てています。”人の行動”は予知できても”動物の行動”は予知できないという意味なのか。”狼の行動”のみ予知できないということなのか疑問が残りました。
第3章 MOTIVES(動機)
“motives”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a reason for doing something
⇒何かをすることのきっかけ
それぞれの人物が行動を起こしたきっかけが書かれているようです。
レネの恋愛の動機
ベラは母親レネについて、いまだにフィルを見る時の目つきはハートマークが飛んでいるしベラがいなくても寂しそうじゃないと書いています。つまりレネが誰かを好きになる動機は”一緒にいて寂しさを感じないこと”だと思われます。
それに対して、レネはベラとエドワードの恋愛について、ベラはエドワードが少しでも動くと磁石のように向きを変えて、エドワードも何か秘密でもあるのかと感じてしまうほどベラのこととなると真剣で慎重であると話していました。これは自身の恋愛と比べた時にベラとエドワードは同じ空間にいたとしてもお互いが寂しさを感じているようだと伝えたかったということだと思いました。
ジェイコブの動機
ジェイコブは、”ヴィクトリアが近くにいることを知らせるため”にベラの家へ何度も電話をしました。ジェイコブは”ウソをつかれるより、こわい思いをする方がまし”と思っているようです。
トラブルについて、彼は”ちょっとしたトラブルが人生を楽しくする”と肯定的に捉えています。第2作『ニュームーン』でベラが彼にバイクに乗りたいとお願いしたとき、彼はそれをちょっとしたトラブルとして楽しんでいたのだろうかと疑問が生じました。第2作第8章でバイクの乗り方を教えていたとき、エドワードの声(幻聴)が、”命を捨てるつもりか。これはそういうことなのか。”と語りかけていたことが気になっていたからです。ジェイコブは必要以上に危険を伴う乗り方を教えていたということなのでしょうか。
ベラとジェイコブに共通する特徴は、幼少期に十分に親を頼ることが出来なかったことだと思われます。第2作第17章でチャーリーが”ベラが母親の精神的な支えになっていたように、あの子は父親の身のまわりの面倒を見てやっている”と語っていました。
ベラの場合は、”エドワードの声(幻聴)を聞くこと”がバイクに乗る動機だったため、本章ではバイクに乗るという彼女にとって危険な行動は終わりを告げています。ところが、ジェイコブの場合、ベラが彼の居留地ラプッシュへ行くことが出来ないことが分かると歩行者用道路の真上でバイクに乗るという犯罪行為を犯していました。彼はただ前作同様にベラと一緒に過ごしたかっただけであることを考えると切なさを感じる場面となりました。
エドワードの動機
エドワードは前章でアリスが見たものは”ジャスパーが彼の昔の家族に近づこうとしているところを見た”と嘘をつきました。本当はヴィクトリアが近づいてきているところを見ていたようです。
彼は嘘をついた理由は”ベラにこわい思いをさせたくないから”と話しています。私は前章でアリスとエドワードがベラに何かを隠している様子を見て彼らとベラの間には壁があるように感じていました。ところがアリスとエドワードはベラを必要以上に怖がらせたくないから嘘をついていたようです。
また、ヴィクトリアと戦うことについて、エドワードは”こっちが邪魔しなければキラユーテ族のほうもヴィクトリアをしとめていたかもしれない”と書いているように必ず彼自身で倒したいとは思っていない様子です。一方ジェイコブは”なんだよ、ベラがこっちの味方につくのがこわかったのか”と話している様子から、彼はヴィクトリアから恨まれるような行動をとっていないから彼の近くにいるとベラは安全であると考えているようです。さらに彼と一緒にいると安全であると考えている様子から自分たちの群れであればヴィクトリアを倒すことが出来ると確信があるように感じられました。
第4章 NATURE(種族)
“nature”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a type or kind of something
⇒何かの種類の型
それぞれの種族が自分たちの種族を存続させたいという思いを描かれています。
冷人族はキラユーテ族から攻撃を受けることを恐れている?!
第2作『ニュームーン』第24章でカレン家の人たちは、ロザリー以外全員一致でベラをvampireに変身させることに賛成していました。しかし本章では全員一致で少なくともベラが高校を卒業するまでは変身させることは出来ないと話しています。
カーライルは”チャーリーのため”とベラに言い聞かせていますが、本当に彼女の父の為なのでしょうか。カレン家の子どもたちが全員、高校生であることを考えると成人まで生きることが出来なかったことへの悔みを表すのだろうかという疑問が生じました。
エドワードはベラに”彼と結婚するなら今すぐでも彼女を変身させて良い”と言い聞かせています。この”結婚”というものは、変身後にベラがジェイコブ(キラユーテ族)の元へ行かないことを約束するためなのでしょうか。恋愛という観点で見ても愛する人が他の異性と関わりを持って欲しくないという感情は一般的な感情だと思いますが、それ以外にも自分の族の人間が他の族の味方になることを恐れている可能性もあると思いました。
人間は未解決事件を恐れている?!
マイクの母は”シアトルへは行かせません。あそこで何が起きているにせよ、警察がそれにカタをつけるまでは。”と言いました。第1章でチャーリーが”シアトルは全米一の殺人都市であり未解決の殺人事件が5件ある”とベラへ伝える場面もあったことからマイクの母もチャーリーも警察の捜査でも未だ解決されていない事件を恐れていると思われます。
エドワードはバラバラにして燃やさない限り死なない。ジェイコブは例え怪我をしてもすぐに治る。しかしマイクやベラのように一般的な人間は怪我した後の傷はすぐに修復しませんし、命を無くすと生き返ることは出来ません。そのため、未解決の殺人事件を恐れる感情は当然の感情だと思います。一般的な人間であれば、危険な場所へ立ち入らないことで生き延びようとするのだと思いました。
キラユーテ族は仲間がいなくなることを恐れている?!
”思ったんだよ。ベラは自分とおなじくらいカレンたちを憎む理由をもつ、この世界でただひとりの人だって。”
ジェイコブは彼が彼女に対してどう思っていたのかを伝えました。サムが率いるキラユーテ族は”同じ物を憎む人”が集まっているように感じました。
そして彼は人を愛する正当な理由について第一に”自分の種のなかで相手を探すこと”だと考えています。私は普段の生活で”部族”という観点で人を区別することが無いのですが、世界には”同じ部族の人の中から交際相手を選ぶ”という人たちも存在するだろうと思いました。
第5章 IMPRINT(厳格な掟)
“imprint”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to have a great effect on something so that it cannot be forgotten, changed, etc.
⇒忘れたり、変えたりできないように、何かに大きな影響を与えること
サムやキラユーテ族の少年が狼人間に変身するようになった理由は冷人族との過去の争いを忘れないようにするために起きた変化のようです。
サムが狼人間になった理由
サムが狼人間になった理由は、カレン家の人たちがフォークスへ来たことがきっかけだと書かれています。第1作『トワイライト』第6章でサムは19歳と書かれていました。本作では1年時間が経過しているため彼は20歳だと思われます。
第1作『トワイライト』第1章でカレン家の人たちは2年前にアラスカから来たと書かれていました。本作では1年時間が経過しているため3年前から彼らはフォークスに住み続けています。サムはカレン家の人たちがフォークスへ来たとき17歳だったと思われます。
サムは高校1年生16歳のとき、チャーリーの親友の1人ハリーの娘リアと付き合っていたと書かれています。しかし、彼は狼人間に変身し彼自身がキラユーテ族であることを認識した後、マカ族であるエミリーを愛するようになったと書かれていました。
キラユーテ族の少年は遺伝子の問題で狼人間に変身します。そのため彼らの先祖の生前にやり残しが彼らの身体に刻まれている可能性は高いと思います。しかしサムがリアでは無くエミリーを愛するようになった理由は、もしかしたらマカ族も冷人族に強い恨みを持つ種族だからでは無いだろうかという疑問だ生じました。なぜなら前章でジョイコブが人を好きになる正当な理由を”同じ種のなかで探すこと”とキラユーテ族の掟と思われるような恋愛観を話していたからです。
変身の秘密
”やめられるくらいまで自分で”制御”できるようになったら…つまり、一定のあいだ変身するのをやめたら、また歳をとるんだ。かんたんなことじゃないけど”とジェイコブはベラに話しました。
変身することを自分で止めるということは、他者と衝突したときに自身が持つ強い力を使わずに話し合いなどで解決するということを意味すると私は思いました。
キラユーテ族の少年は特別強い力を持つため、その力で他者を傷つけることがないように制御出来るようになるまでは身体的に大人になることは無いようです。
ジェイコブの心に刻まれていること
ベラはジェイコブがエドワードと対面するといまにもが争いが始まりそうなことに不満を抱いています。彼女はエドワードであれば、ジェイコブを傷つけてしまうとベラが傷つくことを理解しているから彼がジェイコブを傷つけることは無いと確信しているようです。
そのエドワードのことをジェイコブが批判すると”失礼な態度をとるなら、もう絶対に来ないから!”とベラがジェイコブを脅している様子が描かれていました。サムは彼の近くにいたリアやエミリーを傷つけてしまったと書かれていましたが、ジェイコブはベラを傷つけることが無いように作中のどこかで狼人間への変身を彼の意志で止める日が来ることを予想します。
第6章 SWITZERLAND(どっちつかず)
スイスは中立国です。ベラは”だれが狼人間でだれが吸血鬼でも関係ない。”と彼女自身は冷人族の味方でもキラユーテ族の味方でも無いと主張したいようです。
アンジェラから見たエドワードとジェイコブ
”エドワードだってただの人間だもの、ベラ。他の男の子と変わらないリアクションをするのよ”
⇒アンジェラはエドワードのことを普通のクラスメイトだと思っています。彼女はベラがジェイコブに好意を示しているときのエドワードの様子を見て”エドワードは焼きもちをやいている”と感じとったようです。
そして彼女はジェイコブがベラを見ているときの目からジェイコブがエドワードに対して嫉妬心を抱いていると確信しています。彼女にはベンという彼氏がいますが、男子の気持ちが分かるということなのでしょうか。ただそうはいってもベンの趣味とアンジェラの趣味は異なるため、ベンが好きな話題に合わられないと思っているように感じました。しかし、仮にそうであれば、ベンとは何の話をしているのだろうかと疑問に思いました。
チャーリーはどっちつかずな立場の人物
チャーリーはベラから彼女がジェイコブに会ってきた話を聞くと”そりゃ、よかった”とだけ反応しました。ベラは彼がたいして驚いた反応を示さなかった理由をジェイコブの父であるビリーから何かを聞いていたのだろうと推測していました。
しかしベラとジェイコブが再会したことをチャーリーがあまり喜ばなかった理由は、エズミが何かを話したことがきっかけだと私は思いました。エズミはベラを2日間カレン家に招くことをチャーリーへどのように伝えたのでしょう。
チャーリーは第1章でもベラがジェイコブに対して恋愛感情を抱いていないことを知った上で”あの子だって無視されるより、ただの友だちでいるほうがいいだろ”と白黒つけない立場の人物として描かれていました。冷人族やキラユーテ族と比較すると中立的な立場と捉えることも出来ると思いました。
アリスはどっちつかずな立場の人物
アリスはエドワードから彼が不在の間ベラが1人で外出しないように見ておくようにという言いつけを引き受けながら、ベラがジェイコブと電話をしたいということを伝えると電話を手渡す場面が描かれていました。
彼女は冷人族の1人であるのですから、キラユーテ族のジェイコブへ絶対的に敵意を示すべきです。しかし彼女は掟に忠実に従いたくないのか、もしくはエドワードの言いつけを素直に聞き受けたくないのかベラが電話を使ってジェイコブと交流する機会を与えました。
彼女は第1作『トワイライト』第20章でもエドワードから”吸血鬼への変身について” ベラに話すなという言いつけを引き受けながら、ベラに変身の秘密を話していました。アリスは第2作『ニュームーン』第19章でイタリアへ向かったエドワードを追いかけたり、本作第2章でヴィクトリアがフォークスへ近づいていることを予知したときエドワードにいち早く知らせる様子が描かれていたため、彼のことを信頼していることは確かだと思うのですが、行動を抑制するという言いつけには反抗心があるようです。
“vampire”は死者として描かれていると私は捉えているのですが、人間離れしている人物でさえ中立な立場をとることは難しくどっちつかずになることを描かれているように感じました。
第7章 UNHAPPY ENDING(成仏しなかった想い)
”あたしたちはみんなそうね。ハッピーエンドだったら、いまごろ暮石の下で眠っているはずだもの”。ロザリーは自分たちの生きた人生はハッピーエンドでは無かったと話しています。”vampire”として描かれている人物が生前に成し遂げることが出来なかった想いを抱いていることは確かなようです。
ロザリーが描いていた幸せな人生とは?!
”あたしたちは永遠にふたりきり。どこかのポーチに座って、白髪まじりのエメットに寄り添い、孫に囲まれることは決してないの”
⇒ロザリーは、彼女の親友ヴェラと同じように結婚して子どもや孫と一緒に愛する人とお互いに歳をとりたかったのだと思われます。
もしくは必ずしも結婚をしなかったとしても普通の人間と同様に歳をとって生涯を終えたかったという意味があるように感じました。彼女はベラに”十年後、十五年後に自分がなにを求めるかを知るには、ベラは若すぎる”と伝えています。”vampire”であるロザリーは変身した日から約70年歳生きていますが、彼女自身が欲しいと思うものは日々変わっていったと伝えたいように感じました。
また、”あたしの経歴はカーライルに負けないくらいほとんどキズがない。”と話していたことから”他人を傷つける行動をとりたくなかった”と言いたいように感じました。彼女は現在、エメットやカレン家の人たちと一緒に幸せに暮らしているます。だから、”ハッピーエンドでは無かった”という心残りがある理由は”結婚が台無しになった”ことの他に”vampire”に変身して無敵になった後に”仕返しをしに行ったこと”を悔んでいるように感じました。
ベラがvampireになる前に成し遂げたいことは?!
”自由になって最高の気分だった”
⇒例え彼女が愛するエドワードの要求であっても束縛されたくない。これがベラの意志だと思いました。仮にそうであれば彼女がvampireへ変身することはキラユーテ族のジェイコブと関わることを拘束するきっかけになり得るため変身すべきではないだろうと思いました。
本章でロザリーは”十年後、十五年後に自分がなにを求めるかを知るには、ベラは若すぎる”と助言をしていました。彼女はvampireへ変身する前に”vampireになるのか”もしくは”彼女の親友ヴェラのように普通に結婚して子どもを産む”のであれば後者を選ぶと言いたいようです。
しかし、暴行事件前に彼女が欲しかったものは”目に見える豊かさ”、”大きな家”、”だれかが掃除してくれる美しい調度品”、”だれかが料理をしてくれるモダンなキッチン”、”彼女の家庭”、”仕事から帰ってきてキスをしてくれる夫”と書かれていました。だから仮に変身前に選択の余地があったとしても”vampire”になることで彼女が求めていたものが全て手に入るのであれば結局のところ”vampire”になる道を選んだだろうと思いました。
第8章 TEMPER(短気)
“temper”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
if somebody has a temper, they become angry very easily
⇒気性がある人は怒りやすくなる
白黒つけたいジェイコブの恋心を指すと思います。
ジェイコブの友人クイルの運命の人
キラユーテ族でありジェイコブの友人であるクイルは、運命の人と出会ったと書かれています。その相手はサムの恋人エミリーの姪であり、2歳児です。
クイルにとっての運命の人とは”その人に合わせたいと思う気持ち”のようです。作品内では”ほかのことはどうでもよくなる。彼女のためならなんでもやるし、なんにだってなる…相手が求めるものになる。それが保護者でも、恋人でも、友人でも、兄弟でも”と書かれています。
その人に合わせたいと思う気持ち”は相手との親交を深めるために必要な感情だとは思いますが、限度があるのだと思いました。それ以外はどうでも良くなると思うほど、気持ちが高まるのは、その限度を超えている可能性があります。
エドワードにとっての運命の人
エドワードにとって運命の人とは”嫌われたく無い人”だと思いました。”それになにより…このことでぼくたちのあいだにヒビが入るのがいやなんだ。”とベラへ伝えていたからです。
そして本章での彼の発言に驚いたことが2つあります。1つ目は、彼の考えを改める発言をしていたことです。“これまでのぼくの問題はどちらかというとーほかでもない、ぼくの人狼族に対する偏見にあった。今後はもっと理性的になって、ベラの判断を信用する。きみが安全だというなら、そう信じるよ”と発言をしていました。
第6章ではベラがエドワードへ”ジェイコブは危険な人物では無い”と伝えたとき”この件については話し合うつもりはないよ”と彼女の話に耳を傾けることが無かったことを考慮すると彼が彼女との関係にヒビが入ることを恐れている気持ちが強いことが分かります。
2つ目は、彼女の気持ちに寄り添う発言をしていたことです。ベラがジェイコブから”vampireへ変身するくらいであれば死んだ方がましだと言われたこと”を伝えるとジェイコブに対する怒りを表すのでは無く”つらかっただろ”と話していました。
”責任ある行動をとるのは、いつもぼくの役目なのかな”と話しているようにエドワードとベラが口喧嘩をする場面で”彼が1歩譲って先に謝る場面”は今まで何度か描かれていたと思うのですが、彼が彼女の”気持ちに共感する場面”は本章が初めてだと思いました。
ジェイコブにとっての運命の人
ジェイコブにとって運命の人もエドワードと同様に”嫌われたく無い人”だと思いました。彼はベラから彼女が求めている人はエドワードだけ。ほかにどうすればいいっていうの?”と言われた後”どんなことでも。ほかのなんだって。死んでくれたほうがましだよ。おれはまだそのほうがいい”と言いました。彼の場合は、交流を持つことが出来ないのであれば、最初から出会わない方が良いと言っているようにも感じられました。本章のタイトルである”temper(短気)”は白黒つけたい彼の恋心を指すと思います。
ただ、人は必ずしも本心を口に出すわけでは無いということを考えると、ジェイコブはベラに本当に死んで欲しいと思っているわけではなく、ベラが近いうちにvampireへなろうとしているという思ってもいなかった発言にショックを受けて気持ちを上手く表現できなかっただけの可能性もあると思いました。
第9章 TARGET(真の目的)
“temper”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a result that you try to achieve
⇒あなたが成し遂げようとすることの結果
ベラの家に訪問者が現われました。その訪問者の正体は不明ですが、ベラの衣類を持ち出したようです。そのため、ここでは”ベラの匂いを盗むこと”が目的であると私は思います。
訪問者の目的
ベラの家に”vampire”の誰かが訪問したようです。私はその正体はヴィクトリアだと推測します。彼女は自分のパートナーであるジェームズをエドワードによって殺されました。そのため、ベラへ仕返しをしたいという”ベラへの強い関心”があります。
恐らくヴィクトリアはベラが愛するエドワードとジェイコブを狙っている可能性があると思いました。エドワードがベラの家を訪問した人物について、覚えがない匂いであるためヴィクトリアではないと考えています。
しかしこの訪問者はベラの枕やトレーナーなどの寝具、赤いブラウスを持ち出していることが書かれていました。そのため本章での訪問の目的は”ベラの匂いを盗むため”であり、その先にある目的は”エドワードへの接近”であるように感じました。
カレン家の目的
”そしてあたしは察したーみんなの美しい顔を順ぐりに見ながらーなにをいったところで、みんなの気持ちは変わらないと。”
⇒カレン家の人々は全員一致でベラを”Vampire”へ変身させるつもりはないと書かれています。彼らのこの決断の目的は”キラユーテ族と争うつもりはない”だと私は思います。
前章でジェイコブがキラユーテ族と冷人族の協定を再確認する場面が描かれていました。その内容は”カレン家の人々はもう2度と誰も殺さない。仲間を増やさない。仮にこの約束を破ったら再び争いを開始する”という内容でした。
アリスがキラユーテ族の行動を予知できないことから、キラユーテ族は彼らにとって強敵となると思われます。
ジェイコブの目的
ジェイコブは”訪問者のにおいを確認する。もどってきたら、おれたちで追跡できるように”と彼がベラの家へ来る理由を話していました。彼の目的は”正体不明の訪問者を追跡するための材料を集めること”です。
そしてそれと同時に彼らキラユーテ族の居留地がベラにとって安全な場所であると伝えています。彼の居留地で過ごすということはカレン家の人々が入ってくることが出来ないということを指します。
この発言には特に裏の意図はなく”純粋にベラと一緒に過ごしたい”と主張する場面のように感じました。
第10章 SCENT(その人であること)
“scent”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
the smell that a person or an animal leaves behind and that other animals such as dogs can follow
⇒人や動物が残す匂いで犬などの動物が追いかけることが出来る匂い
エドワードはベラから彼女の部屋に置いてあった寝具や衣類がなくなったことを聞くと、”訪問者の目的はベラを見つけたことを照明するため”だろうと推測しています。本作品では冷人族はキラユーテ族の匂いを嫌い、キラユーテ族は冷人族の匂いを嫌っています。本章での”scent”は、”その人であること”を意味すると思います。
エドワードの変化
”彼の本音でなく他者の立場で話をするようになった”と私は感じました。なぜなら第1作『トワイライト』で彼は”ぼくは危険だ”と何度も発言し、第2作『ニュームーン』ではベラへ”きみはぼくにふさわしくない”と言い放ったりとベラが答えに困るような発言が見られていました。
しかし、本章では一般的な人たちと同様に大学へ進学するとチャーリーとレネが喜ぶと”彼女の両親の気持ち”を考えて進学を進めたり、”ベラがジェイコブとその仲間と会いたいと思っている気持ち”を信じて外出することを受け入れていました。
彼はただ自分の気持ちを押し殺したわけでは無くキラユーテ族の居留置への境界線までは彼が送っていきたいということと携帯電話ですぐ連絡がつくようにしてほしいと彼自身の気持ちも伝えていました。
彼は第1作『トワイライト』で”ぼくにもまだ人間らしい部分が残っているんだ”と発言する場面がありましたが、それは人間が持つ理性を意味するのだろうとここまでの話から推測します。
”déjà-vu”の理由
”déjà-vu”とは
Weblio辞書によると
名〕 (フランス déjà-vu)((デジャブ)) 一度も経験したことがないのに、すでにどこかで経験したことがあるように感じること。既視感。
エドワードがベラをジェイコブのところへ送っていくとき彼女は既視感を感じたと語られています。”子どものころ、夏のあいだにママがあたしをチャーリーあずけたときよ、まさにそっくり。まるで小学生になった気分”
レネはなぜベラをチャーリーへ預けたのでしょうか。第1作『トワイライト』第1章で”十三歳まであたしは毎年、夏の1ヶ月をその町ですごさなければならなかった。でも、十四歳になってようやく自分の意見を主張した。だからこの三年は、かわりにチャーリー…ううん、ちがったパパとカリフォルニアで落ちあって一緒に二週間の休暇をすごしてきた。”
レネがベラをチャーリーに預けた理由は
①レネがチャーリーと親交を深めようとしている
②レネは他に何か用事があるからベラをチャーリーに預けようとしている
①②のどちらかであると私は推測します。
①エドワードがジェイコブと親交を深めようとしている
②エドワードは他に何か用事があるからベラをジェイコブに預けようとしている
そのため、エドワードも①②どちらかの理由でベラをチャーリーへ預けようとしていると思います。
一度も経験したことがないのに、すでにどこかで経験したことがあるようにベラが感じたということは、レネとエドワードがベラを他者へ預ける理由も同様であると思われます。
狼人間であること
“どういう感じ?狼人間の親友がいるのって”
⇒ジェイコブは彼自身が狼人間であることを受け入れられていない、そう感じる言葉でした。
”どういう感じ?吸血鬼のカレシがいるのって”とエドワードが吸血鬼であることを怖いと思うことは無いかを尋ねる場面が描かれていましたが、これは質問は”ジェイコブが一般的な人間で無いことにベラが恐怖を感じるかどうか”を尋ねるための前置きだったように感じました。
そして”一般的な人間ではありません”ということを気にする様子は、全く同じ内容を繰り返し描かれているわけではないのに第1作『トワイライト』のエドワードを見ているようで、私は既視感を感じました。
”ベラの髪、部屋にもましてくっせーんだけど”
⇒ジェイコブはエドワードの匂いをひどく拒絶していますが、この反応は”一般的な人間”では無い彼自身をひどく拒絶する言葉のようにも感じられました。
第11章 LEGENDS(精霊の戦士たち)
“legends”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a very famous person, especially in a particular field, who is admired by other people
⇒特に特定の分野においてとても有名な人であり、人々に憧れられている
キラユーテ族にまつわる伝説が語られています。
精霊の戦士
カヘレハ
最初の精霊の戦士ではないが、部族の間で物語られている最初の戦士
部族史上はじめての偉大な精霊の族長
動物たちは精霊の戦士たちの姿を見ることができ、その意思を理解できた。動物たちは戦士の命令に従った。
タハアキ
最後の精霊の族長
知恵と平和を重んじる精神で知られていた
最強の戦士の1人であるウトラパの野望に気づき部族から追放したが、精霊の姿になっているときにウトラパに肉体を乗っ取られた。
ウパトラ
タハアキが率いる最強の戦士の1人
タハアキが精霊に姿を変えているときに、彼のの身体を乗っ取った
自分がタハアキの身体を乗っ取ったことを知られないようにキラユーテ族の族長となり戦士たちに精霊の姿になることを禁止した。
冷人族もキラユーテ族も精霊を宿すという共通点を持つ?!
タハアキは精霊の姿になっているときにウパトラに肉体を乗っ取られました。このとき、タハアキは”自分は破滅する運命にあり、祖先が待つ最後の地へ渡ることは決してなく、この拷問のような”無”の世界に永遠に閉じ込められているのだと感じていた。”と話しています。
これは冷人族であるカーライルとエドワードの発言と重なる部分があると思いました。
彼は自分が族長であることに気づいたユトという年かさの戦士をウパトラに殺されて、やり返すために狼の肉体に精霊の魂を入れました。このとき彼が感じていた憎しみは狼の肉体におさまりきれず、人間の姿となったと書かれていました。
つまりジェイコブたちキラユーテ族もエドワードたち冷人族も”精霊の魂が狼の肉体に入ったか、彫刻に入ったかの違いで共通するものがあると私は推測します。
血を飲む者
キラユーテ族とマカ族の争い
タハアキは狼の肉体に自身の精霊の魂を入れたとき人間の姿へ変身したと書かれていました。彼は普通の人間の3倍生き3人の女性を愛したと書かれていました。その3人目の女性と出会ったとき彼はその女性と同じ時間を生きられるように狼に変身することを止めて再び老いることを選んだと書かれています。
彼が老人になったころマカ族といざこざが起こったと書かれています。マカ族の若い女性が何人か行方知れずになり、マカ族はそれを近くにいる狼たちのせいにしました。そこでタハアキは最年長の人狼の息子であるタハウイに真犯人を探すように命じました。
タハウイは群れの5匹の狼を率いて山あいを捜索しました。その途中、森に漂う甘い匂い、かすかな人間の匂い、人間の血の匂いを嗅ぎ取りました。そこで群れの半分は戻ってタハアキに状況を報告するように伝え自身は帰還することがありませんでした。
先に戻っていた仲間たちはタハウイらを探しましたが、彼らは帰らぬ人となっていました。タハアキはマカ族の族長にことの全てを話しました。マカ族の族長がタハアキの深い悲しみに打たれたことで二つの部族の対立はおさまったと書かれています。
タハアキの第3の妻
自分の旦那であるタハアキと息子を守るために自ら死を選択した人です。彼女は自分の長男であるヤハウタを”冷たい女”によって殺されました。
ヤハウタはマカ族の女性が行方不明になった時に追跡に出かけた人物です。彼は追跡の途中で遺骨を見つけました。この遺骨が人の姿をした”冷たい女”の体の正体です。その女性の体は”石のように固い”、”氷のように冷たい”、”美しい容姿”、”太陽にあたると白い肌にキラキラと反射していた”と書かれています。
ヤハウタは狼の姿で、牙を使い冷たい女をばらばらに引き裂きました。しかしその花崗石のような体は自ら再構築を始めたため、狼族はその遺骨を燃やして、灰を小分けにして数か所に捨てに行ったとのことでした。
”冷たい女”の容姿の特徴は、”石のように固い”、”氷のように冷たい”、”美しい容姿”、”太陽にあたると白い肌にキラキラと反射していた”、そして消滅させるためには”バラバラにして燃やすしかない”
⇒このことはエドワードが語っていた彼自身の特徴と重なります。冷人族の体は”遺骨”、中にいるのは”生前に悔いを残した魂”だと私は思いました。
嵐が丘
ヒースクリフの言葉が抜粋されています。
”彼女がやつを求めるかぎり、おれは彼女のそばからあいつを消し去ることもしない。だが、彼女の想いが消えた瞬間、あいつの心臓を八つ裂きにして、その血を飲みほしてやる!”
エドワードは、上記の言葉が書かれているページを読んでいたことが推測されます。ベラがジェイコブを求める限り、ジェイコブを消し去ることはない。しかし、ベラの想いがジェイコブから離れたらジェイコブの心臓を八つ裂きにして、その血を飲み干してやる!。そう思っているということでしょうか。
仮にそうであれば、ベラの想いはジェイコブから離れているというのに?!という疑問が生じました。
第12章 TIME(時間)
遠まわしな質問
ベラからエドワードへ
ベラがエドワードへ尋ねたかったことは”自分が吸血鬼になって、やわらかさ、ぬくもり、同じ香りが無くなってしまっても自分を好きでいてくれるかどうか”でした。
それを遠回しに”あたしが吸血鬼になるの、いやなのね”と問いかけました。彼女は彼が自分の弱さや香りに魅力を感じていると考えているようです。
エドワードからベラへ
エドワードがベラへ尋ねたかったことは”自分より不滅の命が欲しいのかどうか”でした。
それを遠まわしに”ベラはぼくの妻になりたくないんだね”と問いました。彼は彼女が不滅tの命に魅力を感じていると考えているようです。
言わないと心情は伝わらないと私は思いますが、エドワードがベラの表情を見て”覚悟ができていないんだね”と指摘したとき、エドワードはベラの表情を読みとることが出来たんだ。そう思いました。
ただ、彼は最初からベラを”vampire”へ変身させたくないと主張していたため、単に彼の望みを口に出しただけという可能性もあります。
好きな物事への考え方
エドワード(1つのことに一途)
”いいかい、ベラ。ぼくはずっとそういうタイプだったんだ。”
⇒これは1つの物事に一途になるという意味だと思います。エドワードは彼が生きていた時代に”恋愛”はしていなかったと語っています。彼の関心は”戦争の栄光”のことにだけ向いていたと話しています。
そのため、生前ベラに出会っていたらその関心は”ベラ”へ向いていただろうと話しています。だから結婚の約束をとりつけていただろうと彼は推測しています。
”結婚”ということは自分だけが一方的に一途というだけでなく、相手の同意が必要だと思います。仮にそうであれば、彼が話す”そういうタイプ”とは自分が一途であることと同様に相手にも一途で会って欲しいという願いがあるように感じられました。
ベラ(1つの物事への答えは1つでは無い)
”あたしのなかでは、結婚と永遠は絶対にべつってわけじゃないけど、イコールってわけでもないの。”
⇒これは1つの物事への答えは1つでは無いという意味だと思います。本章では結婚を例に描かれていますが、現代の人が恋人と必ずしも結婚という選択肢を選ばない人がいることを表現しているように感じました。
ただベラの場合は、エドワードと結婚する。そして吸血鬼になるということは”死”を意味するのだと思います。”「ダン、ダーダー、ダーン…」と小声でハミングしてみる。結婚行進曲のつもりだったのになんとなく葬送曲のように聞こえた。”と彼女が内心を表現していることからそう感じました。
彼女がエドワードとの結婚を拒む理由は、”死”への覚悟が十分に出来てないことが最も大きいと私は思いました。
シアトルの殺人事件
3ヶ月で失踪、殺人を39件起こすアメリカ史上最も凶悪な連続殺人事件
被害者の年齢、職業、人種は幅広く、損傷の激しい焼き死体で発見され、骨が砕け折れるほどの激しい暴力の痕跡がある。
指紋、タイヤの跡、第3者の毛髪など遺体以外の証拠はゼロ。
被害者は皆、夜間に姿を消しているが身元が確認出来る人ばかりで、犯人は人目を気にしている様子はない
⇒エドワードが新生の吸血鬼による殺人事件であると予想する事件です。転生後の吸血鬼は血への欲求を抑えられないとこれまででの話で書かれていましたが、ヴィクトリアやヴォルトゥーリが関わっているかどうかはこれまでの物語ではわかりませんでした。
アリス予知能力が弱まっている理由
私はこのシアトルの事件はキラユーテ族が関わっているのだと予想します。なぜならアリスはキラユーテ族であるジェイコブがとる行動を予測できなかったからです。
エドワードはヴォルトゥーリの一族であるアロやジェーンは時が経つにつれて彼らが持つ特殊な能力が強まっていることかからアリスが持つ特殊能力が弱まるはずはないと思っているようです。彼は彼自身が何も行動しないと決めている間はアリスは未来を予知出来ないのだろう。だから、まず何か行動を起こすべきであると考えています。
私は、キラユーテ族が関わっているからアリスが未来を予知できないと予想しますが、本章のみではアリスの予知能力が弱まっている理由はわかりませんでした。
ジャスパーの腕の傷跡
”ぼくにはきみのに似た傷がたくさんあるんだよ、ベラ”とジャスパーは彼の腕の傷をベラに見せました。その傷は半月の狐が羽毛のように交差錯しているような傷であると書かれています。
恐らくジャスパーは、ベラがジェームズに噛まれたことと同様に彼が人間であった時代に吸血鬼に噛まれたのだと思われます。さらにベラの傷跡は1箇所、噛まれた回数も1回であるのに対して彼の傷は傷あとが複数重なっていることから複数回噛まれたことが予想されます。次章はカレン家の中で影が薄いとベラも感じているジャスパーの過去について語られることが予想されます。
第13章 NEWBORN(新たな世界)
吸血鬼からみた世界
ジャスパーはベラに南北アメリカの地図を見せました。そして人口が多ければ多い場所ほど彼らにとって”エサ”をあさることが出来る魅力的な場所であると語りました。彼はベラがいずれ吸血鬼になるのであれば、自分たちにとって世界がどのように見えるのかを説明したいと思ってます。
アメリカを南と北に分けたとき、南側はヴォルトゥーリが治めているようです。南側は陽が当たるためそこにいる吸血鬼は昼間行動が出来ないと書かれています。ベラにとってヴォルトゥーリは多くの人間を簡単に殺害するという悪い印象を持つ集団です。しかしジャスパーは多くの吸血鬼を治める権威を持つからかそのヴォルトゥーリに敬意を表しています。
北部はフォークスと同様に陽が当たらないため、そこにいる吸血鬼はカレン家の人たちと同様に昼間も動くことが出来て人間とも交流することが出来ると書かれています。カレン家の人たちが北部で暮らす理由は、ヴォルトゥーリの統治下で暮らしたくないということと人間と交流したいという想いがあるように感じました。
ベニート(北部を治めた人)
若い吸血鬼であり新生した吸血鬼の部隊を創設した人
彼の戦術は、人間を狩って殺す代わりに仲間にして自分の兵隊にしたと書かれています。転生直後の吸血鬼は強靭ですが、彼らの行動は先が読みやすく同士討ちもしがちであると書かれていました。
南メキシコで暮らす吸血鬼と争いが起こりその争いが激化したところをヴォルトゥーリによって一掃されたと書かれています。ジャスパーが”ぼくらがいまこうして暮らせるのは、ヴォルトゥーリのおかげなんだよ”と話しているようにヴォルトゥーリのおかげで北部に平穏が取り戻されたのだと思われます。
ジャスパー・ウィットロック少佐
ジャスパーが人間だった頃の名前は、ジャスパー・ウィットロックです。1861年17歳の時に20歳であると嘘をつき南北戦争に参戦するために入隊したと書かれています。前章でベラが感じていたようにジャスパーはカレン家でも影が薄いため、彼が自ら軍隊へ入隊するような人間だったことは予想外でした。そしてエドワードよりひと昔前の時代を生きた人間のようです。
彼は”街から女性と子どもを避難させる”よう指揮していたと話しています。戦時中の人として描かれているからか”女性はおそれるものではなく、守ってやるもの”だと教えられてきたと語っています。そう教えられてきたことが理由なのか女性吸血鬼マリアと対面したとき逃げるという選択肢を選ぶことが出来ず転生したと書かれていました。
彼は忠誠心が強い人物のようです。軍へ所属していたということもあってかアリスと出会ったとき低姿勢に挨拶をした様子が描かれていました。軍への忠誠を第一とする様子は1つの物事へ一途であり前章で描かれていたエドワードと共通する特徴があるように感じました。
相手を不快に感じさせない返しを出来るかどうか
アリスがジャスパーへ”ずいぶん待たせてくれたわね”と問いかけたとき、ジャスパーは”申し訳ありません、お嬢さん”と返したと書かれています。私はこの場面を読んだとき、この2人は初対面なはずなのに、なぜアリスは”待ち合わせをしていたかのように問いだしたのか”、そしてジャスパーは”なぜ丁寧に謝っているのか”分かりませんでした。
”きみは手を差し出した。ぼくはなにも考えずに、その手をとった。”とその時のジャスパーの心情が書かれています。そのためアリスとは初対面だったことは確かだと思われます。女性を立てるように教えられてきたから咄嗟に謝ったのだろうと思いました。
オーディオブックでは作品の作者が英文を読み上げています。”申し訳ありません、お嬢さん”は”I’m sorry, ma’am.”と書かれています。そしてその口調は真剣に謝罪するというより”どこかで会ったことあったかな”と思っているような、ちょっと上調子な口調でした。だから文字のみを読んでいるときは本気で謝っているように感じたのですが、呆然とした表情だったのだろうと思ったので作者が読む音声も合わせて読むと面白いと思いました。
一方アリスの口調は怒っているような声ではなく安心した口調でした。そして本文中にも”あたしはただほっとした。もう永遠にあらわれないんじゃないかって思っていたから。”と書かれています。そのためアリスは”ずいぶん待たせてくれたわね”と言っていますが、ほっとしたと書かれているので”精神的に参ったジャスパーに救いたかった”ということだと推測します。
ではなぜ、アリスはジャスパーとは初対面だったはずなのに、なぜ”ずいぶん待たせてくれたわね”という問い方をしたのかは分かりませんでした。
ジャスパーがアリスと出会うまで
ジャスパーを吸血鬼に転生させた吸血鬼はマリアです。彼女にはネッティとルーシーという名前の仲間がいました。3人とも戦いに負けたばかりで復讐と自分たちの敷地を広げることを望んでいたと書かれています。
彼はカーライルとエドワードが一緒に過ごしている時間と同じくらい長い時間をマリアと一緒に過ごしてきたと語られています。彼は戦闘能力に長けており彼女から気に入られていたが狩りを繰り返すことで犠牲となった人たちの恐怖と不安を感じとっていました。しかし、彼女は狩りを繰り返すことに一瞬たりとも憂鬱など感じたことがなかったため、戦いへ憂鬱さを感じる彼に対して不信感を抱くようになっていたと書かれていました。
マニアから不信感を抱かれているとき、ジャスパーは戦仲間だったピーターと再会しました。その再会で狩りはするが、吸血鬼同士で争わない吸血鬼がいると聞き、マリアの元を離れピーターと彼のパートナーであるシャーロットと共に数年過ごしました。その期間、仲間討ちはしなかったけれど、人を狩ること自体は続けていたため、強い嫌悪感を抱きその2人からも離れたと語られています。
ジャスパーはアリスとカレン家の人たちと出会う前、たくさんの傷を負っています。近い価値観を持つ人たちと出会えたのだから彼がカレン家のから離れることは無いだろうと思いました。
新生者を指揮している者
新生者を指揮しているのは”ヴィクトリア”だと私は推測します。なぜなら彼女はベラへ復讐する動機があるからです。前作『ニュームーン』第10章でローランはベラへ下記のように伝えていました。
”「ヴィクトリアはエドワードよりおまえを殺すほうが理にかなっていると思っているんだ。パートナーにはパートナーをー正当な報復ってわけだ。それで”偵察してきてくれと頼まれたのさ。”
ヴィクトリアのパートナーであるジェームズを倒したのはエドワードです。彼女が復讐すべき相手はエドワードです。しかし彼女はパートナーを失ったのですから恨みを持つ相手のパートナーを倒すことが復讐となると考えているようです。
また仮に復讐理由が1つでなかった場合、ヴィクトリアはベラに対して攻撃に値する理由を持っていると思われます。第1作『トワイライト』でヴィクトリアのパートナーであるジェームズはベラの香りに魅力を感じていました。そのため、ヴィクトリアはパートナーの気を引くベラを受け入れたくないと感じた可能性があります。つまりエドワードがジェームズを倒そうと倒さまいとジェームズがベラへ関心を示している限り同じ事態が起きたことが考えられると思いました。
しかし現段階では全て推測であり、誰がシアトルを荒らしているのかは不明解です。そして実際のところヴィクトリアがどのような心情で過ごしているのか記述は未だありません。
第14章 DECLARATION(ジェイコブの告白)
“declaration”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
an official written statement giving information
⇒情報を提供する公式の書面による声明
ジェイコブが彼の気持ちをベラへ伝える場面が描かれています。
カレン家の人たちがベラの変身を拒んだ理由
第9章でカレン家の人々は全員一致でベラを”Vampire”へ変身させるつもりはないと書かれていました。私はその理由は”カレン家の人々がキラユーテ族と争うつもりはない”からだと推測していました。しかし、本章ではその理由についてアリスが”転生したばかりのベラは本能を制御できずに戦闘で使いものにならないから”と語っています。
新生した吸血鬼の一団との戦いに備えてカーライルは昔の友人に連絡をとっており、ジャスパーはピーターとシャーロット、マリアと連絡を取るために動いていると書かれていました。
そこで私が疑問に思ったことがあります。ピーターとシャーロットは吸血鬼同士で戦うことを拒んでマニアの元を離れていました。そのため、例え新生したばかりの吸血鬼と戦うために援軍が必要と申し出ても協力を得にくいだろうと思いました。そして、マリアについて彼女は吸血鬼同士で争うことに抵抗はないと思われます。しかし、仮に彼女にジャスパーへの恋愛感情があった場合、現在ジャスパーにはアリスがいることを知ると別の問題が生じる可能性があると思いました。
別れた夫婦が持つ境界線
ベラがジェイコブに会いに行くという要望を受けたエドワードは、彼が彼女を車で部族の境界線まで送っていくと言い譲らなかったそうです。その様子を彼女は”別れた両親のあいだを行き来している子どもみたい”と例えています。
彼女の両親は彼女が幼い時に離婚しています。彼女はフォークスへ転校してくる前に母親と暮らしていましたが、父チャーリーに会いに行くときは、レネがチャーリーの家まで送るのでは無く、チャーリーがレネの家まで迎えいに行くのでもなくそれぞれの家の境界線で待ち合わせする方法でベラを行き来させていたことがが推測されます。
仮にその推測が合っているとならば、別れた夫婦の心にはジェイコブとエドワードのように敵対する部族が持つのと同じくらい相手を受け入れない気持ちが存在するように感じました。
こだわり
ベラが持つ”変身へのこだわり”
”どうしてそこにこだわるのか、自分でもつかみきれない”
結論を先に書くとベラにとってエドワードは”毒”のような有害性を持っていたとしても受け入れたいと思える人物のようです。
英語では”こだわり”を
“It was hard to define, even to myself, why it mattered.”と書かれています。
⇒私はなぜそれを考えるべき題材にしているのか自分自身でさえ明らかにすることは困難だ。
“matter”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a subject or situation that you must consider or deal with
⇒あなたが考えたり取り扱わなければならない題材や状況
”matter:考えるべき題材を”こだわり”と翻訳されています。私はこの翻訳の仕方に納得しました。
では、何にこだわっているのか?
” why it mattered.”の”it”は
”I wanted Edward to be the one who had done it.”(私はエドワードがそれをする人であって欲しい)ということにこだわっている。
それとは何をして欲しいのか?
“Edward to be the one who had done it.”の”it”は
”bit me and the vemon started burning through my veins”(私を噛んでその毒が私の血管を焼きつくすこと)と書かれていました。
つまり”毒”のような危険性があったとしても彼女を吸血鬼に変えて欲しいと思っているのだと捉えました。この作品はフィクションであるためエドワードは毒を持つ吸血鬼として描かれています。”毒”は比喩表現だと捉えます。そのため、ベラにとってエドワードは”毒”のような有害性を持っていたとしても受け入れたいと思える人物であると表現したいのだろうと捉えました。
ベラが思う”エドワードの結婚へのこだわり”
”でも、あたしはわかっている。”エドワードはあくまで結婚という条件にこだわるつもりだ。”
1回前の投稿で書いた通りベラはエドワードに吸血鬼に変身させて欲しいと思っています。そして、彼女は”吸血鬼への変身”をお願いするためには、彼は”結婚”を条件とするはずだと
思っています。
英語ではどのように書かれているのか。
But I knew he was going to stick to his marriage scheme like glue.
⇒でも、私は彼はまるで物をつなぎ合わせる糊のように結婚という形を取りたいと主張し、変えようとしないだろうということを知っています。
“stick to”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to continue doing something despite difficulties
⇒困難であるにも関わらず何かをし続けようとすること
“despite”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
used to show that something happened or is true although something else might have happened to prevent it
⇒それを防ぐために何か他のことが起こったかもしれないけれど、何かが起こったことや真実であることを示すために使われます。
⇒つまり何かの報告時に使われるけれど、他の方法があったかもしれないときに使われると思われます。
ベラは”恋愛=結婚”と思っていないため、他の方法があるのにも関われず、エドワードは結婚という形式を主張し、その主張を変えようとしないと書きたいから”stick to”という単語を使っているのだろうと思いました。
ベラはエドワードが”結婚を主張する理由”は”彼女の吸血鬼への変身を先送りにしたいから”だろうと考えています。
しかし、私はエドワードが結婚を主張する理由は、”ジェイコブとあまり関わりを持ってほしくないということ”や”他の吸血鬼に命を狙われるからでなく”エドワードとずっと一緒にいたいから吸血鬼にして欲しい”と言って欲しいとのではないだろうかと思いました。
ただ、ベラは何度も永遠に同じ時を過ごしたいと主張する場面が描かれていたことを考えるとエドワードは”口頭でのやりとりだけでなく目に見える形での約束にこだわっている”ように私は感じました。
ジェイコブの告白
”きみを愛してる。あいつじゃなく、おれを選んでほしい。”ジェイコブはベラへ彼の気持ちを伝えました。
この告白の言葉はベラが愛しているエドワードでなくジェイコブを選んで欲しいという伝え方になっているため、恐らくベラは賛同しないだろうと思いました。
しかし、エドワードもジェイコブと同様にベラの友だちであるジェイコブを否定する発言は多々見られましたし、アリスにベラを監視させることでベラがジェイコブに会いに行くことを禁止していた場面も描かれていました。
エドワードは結婚という条件以外でどのように愛の言葉を伝えていたのか第12章を振り返ると2通りの伝え方が描かれていました。
1つ目は、”きみのために人間になる方法があるなら、ぼくはどんな犠牲もいとわない”と彼が人間になることでベラと同じ立場になりたいという伝え方をしていました。仮にこの伝え方が良い場合、ジェイコブは”狼に変身するのを止める”と伝える必要があると思いました。ただ、これはベラがジェイコブへ告白をしてかつ彼女だけが歳をとることを気にしていた場合のみ効果がある伝え方であると思われます。
2つ目は、”きみはもっといい人生が送れるんだよ。”と彼に合わせて吸血鬼になる以外の生きる道があるという伝え方をしていました。しかしこれも1つ目と同様にベラがジェイコブと同様に狼人間になりたいと要望した場合のみ狼人間にならないという選択肢があるという伝え方が出来ると思いました。
上記2つの例に共通していることはエドワードはジェイコブのように”ぼくを選んで欲しい”という伝え方をしていないことでした。ジェイコブは彼の気持ちを直球で伝えたけれど、エドワードは直球で伝えていないだけという可能性もあると思います。そのため、エドワードはベラが吸血鬼になることに消極的な発言をしてはいるものの本当は吸血鬼になって欲しいと思っているし、彼を選んで欲しいと思っている可能性もあると思いました。
第15章 WAGER(賭け)
“wager”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
an arrangement to risk money on the result of a particular event
⇒特定のイベントの結果においてお金を負担することを両者の合意で取り決めること。
エドワードとジェイコブはベラがどちらに付くのかを賭けているようです
ジェイコブの賭け(ジェイコブはベラがジェイコブに付くと思っている?!)
ジェイコブはベラはジェイコブに付く可能性があると思っていると私は推測します。なぜなら彼の告白の後、”おれのこと、どっかへ消えて二度と顔見せんなって思ってる?”というジェイコブの問いにベラが”ううん、それはいや”と答えたからだと思います。
ところが、ジェイコブがベラにキスをしたときのベラの反応は、エドワードが彼女にキスをしたときとは相反する反応を示していました。
ジェイコブがベラにキスをしたときの彼女の反応は
”反射的にあたしは両手をだらりと落とし、電源を切ったように動かなくなった。目をあけ、抵抗することなく、なにも感じない。ひたすら、ジェイコブがやめるのを待つ。”
エドワードがベラにキスをしたときの彼女の反応は(第1作第13章より)
”肌の下で血がたぎり、唇が燃えあがる。激しく息を吸いこんだ。エドワードの髪に指をからませ、しっかり引き寄せる。くらくらするようなエドワードの吐息を吸いこみ、唇が開いていく。”
キスを受け入れられる人が恋人ということなのか。
第1作のキスシーンを英文では、”My lips parted as I breathed in his heady scent.”(確かに存在している彼の香りを吸いこもうとした)と書かれていました。その場面では香りが存在するのだから、エドワードは確かに実在すると表現したかったのだろうと私は思っていました。様々な形容詞を使って一つ一つの場面の描写する文章を書いており、この作品の作者の文章力は高いと思います。
“heady”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
having a strong effect on your senses; making you feel excited and confident
⇒あなたの感覚に強い影響を与える;ワクワクして自信を持てるように
なぜ、私は第1作目を読んだとき”heady”を”確かに存在する”と翻訳したのか。どの単語に自分が引っかかったのかも疑問に思いました。”あなたの感覚に強い影響を与える”であれば、”気力が湧くような香り”と今だったら翻訳するだろうと思います。翻訳者である小原亜美さんは”くらくらするようなエドワードの吐息と表現されています。同じ英文を読んで翻訳者の方がどのように表現されたのかも見ながら読むことが出来るのはとても面白いと思います。
本章のキスシーンを表現する英文には引っ掛かるような英単語は見られませんでした。
上記に挙げたキスシーンは、どちらの場面も極端で乱暴に感じられました。仮にこの場面を人が演じる映画で観る場合、見て良い場面なのかどうか戸惑いそうだと思いました。
チャーリーの賭け(チャーリはジェイコブの押しの強さに確信を思っている?!)
ジェイコブがベラから殴られた理由をチャーリーに話した時、チャーリーはベラにキスをしたジェイコブを褒めたと書かれていました。
Charlie congratulated him.
“congratulate”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to tell somebody that you are pleased about their success or achievements
⇒あなたが誰かに対して彼らの成功を喜んでいると伝えるときに使う
ジェイコブはベラへキスをした結果、ベラから殴られたのにチャーリーは彼のキスを恋愛の成功と思っているということでしょうか。もしくはベラと両思いなエドワードに対抗したいという気持ちがあるだけなのでしょうか。ここでのチャーリーの気持ちは推測できませんでした。
エドワードの賭け(エドワードはベラがエドワードに付くと思っている?!)
ジェイコブがエドワードへ”ベラがジェイコブのキスをほしがったら?”と尋ねたとき、エドワードは”それがベラの望みなら、ぼくに異論はない”と答えました。この発言を見てエドワードはベラが彼に付くと確信があるのだろうと私は思いました。
そのため、エドワードはジェイコブに再びベラを傷つけることがあったら彼がジェイコブに怪我を負わせるとおおげさな発言をしていますが、この発言は本当にそうするのでは無く彼の気持ちの大きさを表現しているのだろうと思いました。
ただ、彼は医者では無く骨折したベラの腕を治療することはできないくて悔しいため、”ベラはぼくのものだ”と最終的には落ち着きを失った発言になったのだろうと思いました。
ジャスパーの賭け(ジャスパーは新生吸血鬼はどんな人も同じと思っている?!)
第1作第13章でジャスパーとエメットの人間への関心について書かれていました。ジャスパーは”人間は全員ほとんど同じにおいがする。それに対してエメットは特別な相手に惹かれたことが2度あると書かれていました。エドワードはその理由をジャスパーは人を狩ることを止めて日数が浅いからだろうと推測していました。
そのため、ジャスパーは新生吸血鬼はどんな人でも(つまりベラも)凶暴で血に飢えて我慢できずに人を殺してしまうだろうと考えているのだと思いました。
一方ロザリーはジャスパーとは異なる理由でベラが人を殺すだろうと推測しているようです。私はロザリーがベラが凶暴になると推測する理由は”ベラがしつこい性格だから”だと思います。ベラがエメットとジャスパーは何を賭けているのかエドワードにしつこく尋ねる場面が描かれていたからです
私は第1作を読んだとき吸血鬼として描かれている人たちは生前にやり残した想いを描いているのだろうと推測していました。しかしロザリーの推測が当たっている場合、どんな人でも吸血鬼に変身するが、その後凶暴になるかどうかはその人自身の性格によるという見方が出来ると思われました。
ベラの賭け(ベラは高校生活に思い残しは無いと思っている?!)
”あたしが人間でいるあいだになにひとつ逃さないように、エドワードはすごくこだわっている。
英語では
“Edward was so obsessed with me not missing anything while I was human.”と書かれています。
“obsess”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to completely fill your mind so that you cannot think of anything else, in a way that is not normal
⇒普通では無いほどに他のことを考えることが出来ないほどあなたの心を満たすもの
私が翻訳するなら、「エドワードは私が人間でいる間に何一つ逃さないように普通では無いほどに熱心になっている」と訳します。
仮に私の推測が正しいのであれば、吸血鬼は生前の想い残しを強く抱き続けると思われます。そのため、ベラが吸血鬼に変身する前に何一つ想い残しをしないようにエドワードは熱心になっていると思いました。
第16章 EPOCH(卒業式)
“epoch”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
(formal or literary)a period of time in history, especially one during which important events or changes happen
⇒(形式的もしくは文学において)歴史のある期間、特に重要なイベントや変更が発生する期間
ベラが高校を卒業します。卒業式の風景が描かれています。
ジェシカの涙
”ジェシカは目のまわりを真っ赤にして、ガウンのそでで顔をぬぐってシミを広げている。”
卒業証書を受け取ったあとのジェシカの様子が描かれています。私はジェシカは一般的な人を代表とする人物として描かれていると推測しています。つまり、ほとんどの人にとっては卒業式は涙を流す日です。
彼女と主人公のベラは第2作第4章でポートアンジェルスで一緒に映画を観たときから疎遠になっていました。なぜなら、ベラが見知らぬ男性に対して不審な行動をとったり、自ら誘ったにも関わらず映画に関心を向けなかったため、ジェシカが機嫌を悪くしたためでした。
疎遠になるような出来事があったのにも関わらず、卒業式の日ジェシカはベラに対して”ベラがはじめて来た日、覚えてる?あたしたち、ほら、あっという間に友だちになったよね。”と出会った日のことを楽し気に話していました。そのため、ほとんどの人にとって例え関係がこじれるような出来事があったとしても長期に渡って引きずるような問題ではないと伝えたいのだと思いました。
チャーリーはどちらの味方?!
”そうだな。正しいことがいつもはっきりしてるとはかぎらん。ときにはだれかにとって正しいことが、べつのだれかにとってはよくないことだったりな。だから…まあ、うまく答えが見つかるよう祈っているよ”
チャーリーがジェイコブとの関係についてベラへ伝えた言葉です。警察官でありルールに厳格な人物として描かれている彼が”正しいことがいつもはっきりしてるとはかぎらん”と発したことは驚きました。
チャーリーは第15章ではベラにキスをしたジェイコブを褒める発言をしていた(ジェイコブの味方だった)にも関わらず、本章では”無断でキスをされそうになったら、おまえは自分の気持ちをきっちりつきつけてやれるようじゃなきゃいかん”と話していました(ベラの味方をしていた)。
そのため、私はベラと同様に”チャーリーはどちらの味方なのだろうか”と感じました。
大人になる日
”高校を卒業するんだ。この先は現実の世界が待っている。大学に、自立した生活。もう父さんのちっちゃな娘じゃないんだからな…”
第2作第1章でベラは18歳になっており、彼女は自分が大人であると主張する場面が何度か描かれていました。しかしその時点では彼女が主観的に彼女自身を大人であると主張していましたが、高校を卒業することにより親も子どもが大人になることを認める日となっているようです。
”現実の世界が待っている”とチャーリーはベラへ言い聞かせていますが、作品中ではこの後”人間界からの離脱”が予想されます。
吸血鬼は他者のために自己犠牲な行動をとることがが出来る人を描いている?!
”あたしたちのひとりが狙われたら、残りの全員がそいつの前に立ちはだかるんだから”
ベラが新生した吸血鬼の狙いはベラであって、カレン家の人びとが狙われているわけでは無いとアリスに伝えたときにアリスが発した言葉です。
この言葉からカレン家の人々は他者のために自己犠牲な行動をとることがが出来る人として描かれているように感じました。そしてその特徴はカレン家の人びとだけでなく、吸血鬼として描かれている人物全体を指すと思われます。新生したばかりの吸血鬼たちも何者かの指示がありその指示に従って動いているという点では”他者のために自己犠牲な行動をとっている”と捉えることが出来るからです。
ただ上記2つの団体には、カレン家の人びとは”意志の有無”に違いがあると思われます。誰かの指示のもとに動いているのではなく彼ら自身の意志で動いており、新生した吸血鬼には”誰かの指示のもとに動いており、彼ら自身の意志では無いと思ったからです。
第17章 ALLIANCE(団結)
“alliance”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
an agreement between countries, political parties, etc. to work together in order to achieve something that they all want
⇒国や政党などが、彼ら全員が望む何かを達成するために協力するという合意
カレン家の人たちとジェイコブたちが団結する取り決めをするようです。
ジャスパーが受け入れた団結
ベラはジャスパーが焦燥感を隠しきれていない様子を見て、”ジャスパーはここまでリスクが高い賭けはいやなんだ。”と描写しています。
第14章でジャスパーは昔仲間だったピーターとシャーロット、マリアと連絡を取ろうとしていたと書かれていました。しかし本章では彼らと未だ連絡が取れていなくて焦っていると書かれています。
第13章で彼は自身が人間だった時代について、自ら軍へ入隊を申し出ておりテキサス最少年の少佐であったと語っていたため、私は彼が戦闘能力が高いと思っていました。しかし、ベラへこの話をしていたとき彼の身体は傷だらけでした。つまり入隊したいという気持ちは強くても、兵隊としてはあまり強くないのではないだろうかという疑問が生じました。
本章で彼は新生した吸血鬼と戦うのであれば、人数が多ければ多い方が良いと考えているようです。そのため、ジェイコブと団結して一緒に戦うことに肯定的な反応を示していました。彼にとっての戦闘の手段はより多くの仲間を集めることのみのようです。彼は”手段が目的”になっているように感じました。
”手段が目的”となっている描写を見て、読者である私は私自身と近い特徴があるように感じました。(文学作品を読むことが目的)この作品はステファニーメイヤーさんが描いたファンタジー作品ではあるのですが、仮にそうであれば、ジャスパーが今後、様々な状況でどのような選択をするのかどうか興味深いです。
アリスが受け入れた団結
”もちろん、なにもかもさっぱり見えなくなっちゃったけど”
ジェイコブが加わるとアリスは未来を予知する能力を失います。そうであるにも関わらず彼が仲間に加わることを受け入れた理由は、元々予知していた未来があまり良いものではなかったため、それを変えたいからだろうと推測します。
彼女はジェイコブに対して敵意を向けたジャスパーに対して”大丈夫よ、ジャスパー。たしかにこの子のいうことにも一理ある”と言いました。彼女は第2作でイタリアへ向かう前にジェイコブと関わりを持ったことで彼がベラに対して敵意を向けるような人物ではない(つまりベラを新生吸血鬼から守るという目的が一致している)ということを知っているからだろうと思いました。
また、ジャスパーは元々ジェイコブへ強い敵意を向けていたにも関わらず、アリスの言葉をすぐ受け入れた様子を見ているとジャスパーは意志の主張が弱いように見えてしまいこの先の戦いで弱い可能性があると思いました。
ジェイコブが提案した団結
新生した吸血鬼がフォークスへ向かってきているにも関わらず、互角に戦うには人数が足りないとカレン家の人たちは不満を抱いていました。そのような状況のときベラの高校卒業を祝うためにやってきたジェイコブがこれから訪れる未だ見ぬ吸血鬼の話を聞くと下記のやり取りが起こりました。
ジェイコブ:”で、あんたたちの手に負えない数なのか?”
ジャスパー:”こちらが勝っている点もある。(人数も)互角の戦いになるはずだ”
⇒私はこの発言は彼が捉えている現象を述べたと思います。
そしてさらにジャスパーは人数にのみ着目していると思います。
ジェイコブ:”(戦闘力は)互角にはならないんだろ”(俺も加わって戦う)
⇒私はこの発言は、ジャスパーが発言した現象には問題があると捉え改善策を提案したのだと思いました。
そしてさらにジェイコブは人数というより戦闘力に目を向けていると思います。
アリス:”それ、いいじゃない!”
括弧内は私の推測で補っています。このやり取りを見てジェイコブは波風を立てない表現でアリスへ戦闘に加わることを提案したのだろうと推測しました。
”互角の戦いになるはずだ”という言葉を受けて、
ジェイコブはジャスパーの発言の後に否定で返しているのですが
肯定だと”そうか、互角なのか。では俺は加わる必要はない。”となり
否定だと”いいや、互角では無い。そうであれば、俺も加わる必要があるだろう。”と捉えることが出来ると思ったからです。
仮に私がアリスの立場だと
ジェイコブから”互角にはならないんだろ”と言われても、”そうね、互角にはならないと思うわ。(私が捉える現象のみ述べる)”と彼が戦闘に加わることを提案していると気づかず現象のみを述べると思いました。
オーディオブックで上記の会話を聴くと
ジャスパーは、抑揚が無く淡々と発言しており、ジェイコブが提案をしている発言は、抑揚をつけて強調するように話されていました。
この後、アリスが”べつべつだったら、あたしたちみんな殺されかねない”と話しているので、恐らく戦闘力においてはジェイコブが優れていると思われます。そしてジェイコブもそう思っているから、カレン家側の人から”あなたが必要”と言ってもらえるようにあえて”戦闘に加わる”という部分を発言していないのだろうと思いました。
上記のやり取りは英語では
Jacob:”There are too many for you?” (お前たちには戦えないほど敵の人数は多いのか?)
Jasper:We have a few advantages, dog. It will be an even fight.” (僕たちには2,3人戦士がいるんだ。犬どもめ。それで対等に戦えるだろう)
Jacob:”No, It won’t be even.”( いや、戦闘力が対等ではないんだろ)
Alice:”Excellent!”
元々、人数の話をしていたため、最初の発言ではジェイコブも純粋に新生吸血鬼の人数を尋ねたのだと思います。
そして、恐らくジャスパーは人数にのみ着目しているため、2,3人戦士がいる(エドワード、エメット、カーライル)と答えていると思われます。
”a few”と表記されているため、2,3人と捉えました。
そしてan even fight”と冠詞がついている(数えられる名詞につく)ため”対等に戦う人”と捉えました。
“even”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
adjective(形容詞)
equal or the same for each person, team, place,
⇒対等、もしくは同じ人、チーム、場所
一方、ジェイコブは発言した”even”は、副詞であり戦闘力が十分ではないことを強調するために使われていると思いました。
adverb(副詞)
used when you are comparing things, to make the comparison stronger
⇒物事を比較するときに、比較をより強力にするために使用される
ジェイコブは”彼の戦闘力”と”エドワードの戦闘力”を比較してし、彼がより強いと言いたいのだろうと思いました。
ベラが受け入れられない団結
ジェイコブが連携して新生吸血鬼一族と戦うことが決まったときベラは
”あなたたちは、はずれてなさい!”と言いました。
そして、その理由を”この子たち、殺されちゃうから!”と伝えています。この伝え方だとジェイコブへ”あなたは弱い”と伝えていることになると思います。
一方、アリスはジェイコブの方が戦闘力が高いと思っているのか
”べつべつだったら、あたしたちみんな殺されかねない。一緒なら、、、”とベラを説得していました。この伝え方だと”ジャスパーへジェイコブの方が強い”と伝えることになる可能性があると思いました。
ジャスパーはジェイコブの方が強いというメッセージに怒りを感じたのか、単なる軍隊へ入隊する決まりごとと思っているのか
”If you’re going to fight with us, you’ll need some instruction.”
(もし僕たちと戦う予定であれば、おまえたちは指示を受ける必要があるだろう”
⇒ジャスパーは彼の方が上であると伝えたいのだろうと私は捉えました。
そしてこのときの彼の話し方をオーディオブックで聴くと、彼の感情が含まれているはずなのに抑揚が無く淡々と話しているように聴こえました。
“instruction”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
something that somebody tells you to do
⇒誰かがあなたに何かをするように伝えること
SYNONYM order(類義語)命令
ジェイコブは純粋にカレン家の人たちと連携しようと思って
“We’ll have to coordinate,”(連携するんだぞ)と協力したいという意志を伝えていたのにジャスパーから上から目線な発言を受けて”disgruntled face(腹立たしい表情)を示したようです。
ジェイコブは、婉曲的な表現が上手いと私は思いました。
アリス:”べつべつだったら、あたしたちみんな殺されかねない。一緒なら、、、”
ジェイコブ:”、、、楽勝だ” ←ここには翻訳者(小原亜美さん)の主観が含まれると思います。
英文でジェイコブの発言は”It’ll be no problem.”(連携して戦うことに問題はないだろう)とだけ答えています。後ろに”彼の勝てるという意志”が隠れているとは思われます。それを言葉にして発言をしていないため、角が立たないような言い回しが上手いのだろうと思いました。
“coordinate”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to organize the different parts of an activity and the people involved in it so that it works well
⇒性質が異なる人とそれに関与する人々をひとまとめにして、それがうまく機能するように動かすこと
“disgruntled”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
annoyed or disappointed because something has happened to upset you
⇒腹立たしいもしくは失望している、なぜならあなたを困惑させる何かが起きたから
第18章 INSTRUCTION(目的の確認)
“instruction”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
detailed information on how to do or use something
⇒何かを行う方法または使用する方法に関する詳細情報
SYNONYM direction(類義語)方向性
ジェイコブが戦闘に加わる目的を確認する場面が描かれています。
ジャスパーは軍人の視点を持つのか?!
”ジャスパーは軍人の視点でものごとを見るんだ
すべての選択肢を視野に入れる。徹底してる。残酷なわけじゃない”
⇒”ジャスパーが考える”新生吸血鬼をいかに効率的に倒すかの戦略”を聞いた時にエドワードがジャスパーをフォローした台詞です。
ジャスパーは、最も目につきやすい場所にベラがいると新生吸血鬼一同は気が狂った状態に陥りやすいから倒しやすいだろうと提案していました。しかし、キラユーテ族も含めて共に団結しようとしている最大の理由は”人間であるベラとその家族を守りぬく”です。新生吸血鬼一同と戦うことは確かなのですが、ジャスパーは目のつけどころが外れていると私は思いました。
彼は第13章で自ら千回は噛まれたと彼の腕の傷跡をベラに見せていました。私はその傷は敵の攻撃をかわすことが出来なかったために付いた傷だと思います。なぜなら、本章でアリスはジャスパーが彼女を捕まえようとしたときにかわすことが出来ていたからです。また彼は戦いを繰り返すことで”気持ちがすさむばかりだった”と話していました。
そうであれば、エドワードがフォローした”軍人”という単語に私は納得できませんでしたが、”軍人の視点”という表現方法はジャスパーを傷つけないように、そしてジェイコブがジャスパーへ敵意を向けないようにするための気遣いを含む表現であるとは思いました。エドワードはジャスパーのつ目のつけどころが外れていたため、本音は”全然わかってない”と言いたかったのではないだろうかと”あきれはてた口調”という描写を見て感じました。
私はジャスパーとジェイコブは”心の傷の残りやすさ”を対比して描かれていると思いました。ジェイコブは傷を受けても傷跡がすぐに回復していましたが、それと対照的にジャスパーは、千回は受けた傷跡が約1世紀残っていると書かれていたからです。前章での彼らのやり取りを見ると”物事の捉え方”も対照的なのだろうと思われます。
過去の経験を元にした戦闘モデル
ジャスパーが1世紀前に新生吸血鬼と戦って学んだ戦術は①身体に腕をまわされないこと②真っ向から攻めないことだったようです。彼はエメット、アリス、エドワードを相手にキラユーテ族の人たちへ戦い方のモデルを示します。
ジャスパーVSエメット
”ジャスパーは背後からエメットをとらえていた。その歯はエメットののどぶえかた数センチのところにあった。”
⇒”真っ向から攻める”というジャスパーの指示のもとの訓練では、ジャスパーの勝ちのようです。
エメットの特徴は①力を武器にする②直球勝負で攻撃するです。ジャスパーはエメットに似た吸血鬼との戦いを千回は繰り返したため、先回りして仕留めました。ただエメットは力が
強くジャスパーと同様に吸血鬼であるため、噛まれた後に反撃を出来るのであればエメットが勝る可能性もあると思われました。
ジャスパーVSアリス
アリスの圧勝でした。
”Finally, Alice laughed.”(ようやく、アリスが声をあげて笑った)
“laugh”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to make the sounds and movements of your face that show you think something is funny or silly
⇒声をあげたり顔に動きがある笑い方。あなたが面白いとかばかげていると感じていることを表します。
彼女はジャスパーの動きを面白いと思ったのか、声をあげて笑い、“Gotcha”と言いジャスパーにキスをしました。
“gotcha”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
the written form of the way some people pronounce ‘I’ve got you’, which is not considered to be correct
⇒一部の人々が「捕まえた」と言うときに書かれるが、形式的な書き方であるとは見なされていない。
⇒エメットには”真向からという指示”があったのですが、アリスはspiral(飛んだり屈んだり)twist(身体を捻じ曲げたり)curling(くねくね動く)などの動きでジャスパーから完全に逃げきったと書かれていました。そのため、gotchaをいう表現はルール違反という意味合いも含まれそうだと思いました。
アリスがキスをした後、ジャスパーは
Jasper chuckled, shaking his head.(ジャスパーはくすっと笑って頭を振った)
“chuckle”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to laugh quietly
⇒静かに声をあげて笑う
ジャスパーの降参というのは、アリスのキスを受け入れたということなのか疑問を持ちますが、この2人のやり取りでは成り立っているのだろうと思いました。
しかし、アリスとジャスパーのダンスを見ていたキラユーテ族は
“The wolves muttered again. This time the sound was wary.”(狼たちがまたざわつく。今回は不安げに聞こえた)
“wary”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
careful when dealing with somebody/something because you think that there may be a danger or problem
⇒危険や問題があると思い注意深く観察する
⇒ジャスパーはあまり強く無いのでは?/もしくは戦闘モデルを示すのではないのか?(違う目的のものを見せているのか?)など何かしら疑惑を抱いたようでした。
ジャスパーVSエドワード
エドワードの圧勝だと思います。
ジャスパーが定めたルールの元の試合では、ややエドワードが優勢に描かれていました。
しかし、ジャスパーが考える”新生吸血鬼をいかに効率的に倒すかの戦略”を聞いたときのエドワードの反応から2人の力関係が明らかなように感じられました。
”エドワードにすごまれ、ジャスパーは前言(”新生吸血鬼をいかに効率的に倒すかの戦略”)を撤回する。”
“Edward’s glare had Jasper backtracking.”
“glare”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a long, angry look
⇒長く続く険しい表情
“backtracking”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
to change an earlier statement, opinion or promise because of pressure from somebody/something
⇒誰か/何かからの圧力のために以前の声明、意見または約束を変更する
エドワードの険しい表情を見て、ジャスパーは”新生吸血鬼をいかに効率的に倒すかの戦略”を撤回したと書かれていました。
”もちろん、ベラには危険すぎる。ただの妄言だと思ってくれ”
”Of course it’s too dangerous for her. It was just an errant thought,”
⇒オーディオブックでは、上記の発言がひどく動揺していました。ジャスパーは許容されない危険な戦略を実行しようと思っていた/もしくはエドワードの険しい表情に酷く怯えたのどちらかだと思います。
彼は前章でアリスとベラがジェイコブから行く手をふさがれ”どうなってるのか教えろよ”と問い詰められたとき、一瞬でアリスの元へ来て険しい表情で構えていたと書かれていました。
仮に新生吸血鬼の狙いがアリスであり、エドワードがアリスを最も目立つ場所に立たせようと提案した場合は、彼もエドワードと同様の表情を浮かべるのか疑問が生じました。ただ、エドワードの場合、キラユーテ族との争いを避ける/もしくはジャスパーが傷つかないように、”視点の違い”のみを冷静に話している描写を見て彼の心の余裕を感じました。
ジェイコブの目的
ジェイコブはベラに対する恋愛感情は無いだと思います。
エドワード:”まあ、何人かは敵にまわして戦えるだろ”
ジェイコブ:”ああ、そのためにおれたちはここにいるんだ”
表向きの理由は”新生吸血鬼と戦うための戦士の人数が足りない”ですが、裏の理由(本当の理由)は”ジェイコブがベラに恋愛感情を持っていないことを前提に協力する”だと思いました。
第15章でジェイコブはベラに強引なキスをしたことでエドワードから次は許さないと具体的な復讐宣言をされていました。この2人は部族という観点で見た時に敵同士であるため、私は彼らが協力することを予想してませんでした。
ジェイコブは婉曲的な表現が上手な人物として描かれていると私は思うのですが、強引なキスをした後に”ホントにごめん。この前のことも。あんなふうにキスするなんてマズかったよ。まちがってた。おれはたぶん…うん、自分をだましていたんだ。ベラがキスを欲しがってるって”と謝っていました。
ベラのせいにしているように見えますが、彼は最初に謝っています。作中でベラとジェイコブは親しい関係であることは間違ってはいないため、私はジェイコブが全てを自分のせいにはしない考え方をするのが上手いと思いました。
しかし、”恋愛”という観点で見るとベラがエドワードのことを好きであることを知っているにも関わらず、彼女を振り向かせるために乱暴なキスをするという行動は良いとは言えないと思いました。だからベラの父チャーリーも彼女へ自分でしっかり断るように言ったのだろうと思いました。
婉曲表現の欠点は受けとる相手によっては相手を責めることになるだと思います。仮に私がベラだったらジェイコブのような言い方をされると”もしかしたら私の今までの言動があなたにそうさせたのかもしれない。ごめんなさい”と返す可能性があると思いました。ここはチャーリの助言、作中のベラの返し通りで良いのだろうと思われます。
また仮に私がジェイコブであればベラと親しい関係であるのだからその状態に保ちたくてキスという行動はとらないだろうと思いました。
本章では、ジャスパーが”新生吸血鬼を相手に戦う方法”を教える場面が描かれていました。彼は最短で敵の弱点をつく方法として”ベラを最も目立つ場所に立たせると良い”とエドワードに提案するのですが、当然ながらエドワードは怒りを表す表情を示しました。
オーディオブックの音声では、エドワードから怒りを示された後、ジャスパーの声はかなり動揺していました。この反応は怒り狂った相手を前にしているのだから、当たり前の反応だと私は思います。
しかし、第13章で彼がアリスと出会った場面では、アリスの表情は微笑んでおり彼女の声の抑揚も落ち着いているのにジャスパーは動揺した口調で謝っていました。そのため、私はジャスパーは”ずいぶん待たせてくれたわね”というアリスの言葉にだけ反応したのだろうかと疑問を持っていたのですが、人の感情はそこまで単純では無いのだろうと思いました。
オーディオブックを合わせて聴くと、人物が発した言葉の部分に着目しやすくなります。
第19章 SELFISH(自己中心)
“selfish”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
caring only about yourself rather than about other people
⇒他の人よりむしろあなた自身のことだけを気にかけること
カレン家の自己主張
ベラの自己主張
ベラはジャスパーが提案した”ベラを広場に立たせる”という戦略を信じているようでした。
新生吸血鬼と戦うことについて彼女の主張は”エドワードと一緒にいること”でした。エドワードが戦闘に参加するなら彼女もその場にいるし、彼女が残るなら彼にも残っていて欲しいという主張でした。
章のタイトルである”自己中心”の通り、彼女の主張を通すと他のみんなが戦うときに戦士であるはずのエドワードが戦闘から外れることになりますが、その主張が今後にどう影響するか本章のみでは分かりませんでした。
エドワードの自己主張
”ベラに怪我をさせるようなことはしない”だと思います。
彼はベラが戦闘場所に同行したいと話すと頑なに拒みましたが、ベラの提案”彼女を同行させる”か”戦闘から外れて2人で残る”かを受けて”2人で残ること”を選びました。そして、そのことを”歩みより”と話していました。
”ぼくの助けなしで、皆を戦わせろってことか”と書かれていましたが、この発言は歩み寄ったことがわかるように敢えて発言したように感じました。”すんなり進みすぎている気がする”とベラが感じていた直感が正しい場合、彼は元々ベラと2人でいる時間を作りたかったのではないだろうかと思いました。
アリスの自己主張
カレン家のメンバーはみんな揃ってキャンプへ行くが、彼女はショッピングをしようと思っている。それでベラにもショッピングに一緒に来て欲しいと思っている。アリスはベラの父チャーリーへそう伝えました。
実際には戦闘へ参加せず。カレン家で留守番をするのはエドワードとベラなのですが、アリスはエドワードとベラの幸せを思って、その発言をしました。そうすることで彼女に利益は無いと思います。
アリスは、ベラがエドワードへ2人で居残りたいと話した後すぐに、その体制で動くことが出来るように調整済と話していました。彼女が自主的にそう行動したいと思って動いたのであれば、エドワード、ベラ、アリスの3人はそれぞれが自己主張を貫いた結果、全員が納得できる道筋へなっているようでした。
キラユーテ族の自己主張
キラユーテ族の群れを率いているのはサムです。そのためサムが命令を出したら、群れは決してそれをないがしろにできないとエドワードは話していました。
大半のメンバーは意識をすべて共有することで楽になるようにしているにも関わらず、サムが以前引き合っていたリア・クリアウォーターは”群れの一員エンブリーと母親のちがう兄弟が群れの中にいることを絶えずもちだすそうです。
父親の有力候補として群れのみんなはサムの父親を疑っているとのことでした。リアはサムが自分と別れてエミリーへ惹かれたため、彼の父も同様に複数人の女性を愛したと考えていると思われます。
リアは内内に留めていたい想いを群れに共有されてつらいのだろうと推測します。ただ、サムと彼の父親については例え親子であっても全く同じ性質を持つとは思えませんでした。
第3の妻の自己主張
エドワードは第11章のキラユーテ族の伝説で語られていた”第3の妻”の話を持ち出そうとしました。その女性は特別な才能もパワーも持たない人間でしたが、冷人族がキラユーテ族を襲ったとき自ら命を絶つことで旦那と息子、そして部族を救ったと語られていました。
もしかしたらその女性は、”自分より弱い立場の子どもだから”というより”自分自身のように感じて”という理由でそう行動した可能性があると次章のベラの台詞から推測します。
第20章 COMPROMISE(歩みより)
“compromise”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
an agreement made between two people or groups in which each side gives up some of the things they want so that both sides are happy at the end
⇒二人またはグループの間で結ばれた合意で、双方が最後に幸せになるように、それぞれが望むもののいくつかを放棄する
ポイントがわからない
ベラ:”こわいの。そこまで殺戮に夢中になるなら、それはもうあたしじゃない・・・あたしは・・・いまみたいにエドワードを求めなくなるんじゃないかって。”
エドワード:”そういう時期は永遠には続かないんだからさ”
ベラ:”もう・・・わかってないんだから”
英語では”He was missing the point.”(彼は着眼点を見失っている)と書かれています。翻訳をするときに最もふさわしい訳を翻訳家である小原亜美さんは”もう・・・わかってないんだから”考えたようです。
読者である私も”着眼点”が分かりません。エドワードは彼との結婚(ベラの人生を奪う⇒ベラの死)の話について、その前に欲しいものはないかベラへ尋ねています。そしてその例えとして、ダートマス大学への進学(無形財産)やスピードがでる車を手に入れること(有形財産)を挙げています。”外国の物語であること”、”死を前にした選択であること”からこの会話が最後の審判のように見えました。
ベラの答えは”有形財産”でも”無形財産”でもなく”エドワードを選んだ自分”であると本文中の言葉から推測します。
エドワードは”聞いた言葉”にこだわっている?!
エドワードは第2作の最終章からずっと結婚をして欲しいとベラへ伝えています。本章では教会で”ベラが彼のものであることを正式に誓いたい”と話しています。
主人公のベラはずっとエドワードのことを好きであると言っていることを考えると、彼は”正式に誓って欲しい”のだと私は捉えました。第14章で結婚についてのこだわりが書かれている場面で私はエドワードが目に見える形での約束をしたいのだと推測していましたが、はっきりと”言って欲しい”ように感じられました。私は彼の特殊能力を”耳が良い”と推測していますが、”聞いた言葉を信じる”人のように感じました。
プロポーズ
”イザベラ・スワン、約束するよ、永遠にきみを愛すると。来る日も来る日もー永遠に。ぼくと結婚してくれるね”とエドワードはベラへプロポーズをしました。
告白やプロポーズのときは本名で相手の名前を呼ぶようです。第1作第13章の告白の場面でも”死ととなり合わせの運命という”スリル満点”の話題から、とつぜんの愛の告白”と書かれていたため本章でも似た状況が繰り返されているように感じました。
また、本章ではベラが”エドワードと結婚して吸血鬼へ変身した後”のことを話題にしていました。エドワードは、吸血鬼へ変わったベラが仮に血の欲求に苛まれたとしてもいずれその欲求は収まると話していました。
物語の語り手はベラでありエドワード側の内心は書かれてないから考えたことがありませんでしたが、彼は彼女と結婚した後に何かやりたいことがあるのかどうか疑問に思った場面でした。
抽象的な表現から具体的な表現へ
ベラがエドワードとの会話がかみ合っていないと感じていた場面について
ベラ:””そのあと”には、あたしの頭の中は町の住民をみな殺しにすることしかなくなるって。こわいの。そこまで殺戮に夢中になるなら、それはもうあたしじゃない・・・あたしは・・・いまみたいにエドワードを求めなくなるんじゃないかって。”
⇒ここでの町の住民にはチャーリーや学校のクラスメイトが含まれるだろうと思いました。
エドワード:”そういう時期は永遠には続かないんだからさ”
ベラ:”もう・・・わかってないんだから”
ベラ:”エドワードがほしいの・・・”
エドワード:”ぼくはベラのものだよ”
ベラ:”まだ話が読めていない”
その後、子どもを望んでいるのかと思われる行動がありました。
ベラ:”でもね、そこが問題なの。壊れやすくなくなったら、”おなじ”にならない。いまとおなじあたしじゃなくなるのよ!自分でもどうなってしまうかわからないのに!”
ベラ:”いくところまでいっちゃって、チャーリーを殺したくなったら?スキあらば、ジェイコブやアンジェラの血まで飲もうとしたら?ほんとうにあたしはあたしだなんて、どうしていえるの?”
第15章で、家族や友人を殺してしまわないように南極へ行きペンギンを狩ると彼女は計画していました。第12章では”高校を卒業してすぐ結婚するような・・・ボーイフレンドに妊娠させられちゃう田舎娘じゃない”と話していました。
しかし、第19章で彼女は”あたしに自分自身を与えてくれた”と話していますが、ベラが彼女自身を好きになった結果、家族や友人のために自分自身を子どもという形で残したいと思ったということなのだろうかと思いました。
最近、日常生活で”わかっていない”と言われることが多く、主人公ベラの”もう・・・わかっていないんだから”の台詞について考えた章にでした。
第21章 TRAILS(痕跡)
“compromise”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a track, sign or smell that is left behind and that can be followed, especially in hunting
⇒特に狩猟で取り残され、追跡できるトラック、サイン、または匂い
指輪の意味
前章でエドワードはベラへプロポーズをしました。そしてそのとき彼の父が彼の母へ贈ったおさがりの指輪をベラの左手の薬指にはめていました。
本章でベラはその指輪をエドワードへ返したと書いています。しかしながら、外した後も左手が重たく指輪がそこにはまっているように感じると語っていました。彼女は彼女の両親が離婚をしており、彼女は”結婚”に否定的な気持ちを印象を持っています。その感情が原因で左手が重く感じているのだろうかと疑問に思いました。
指輪は返したと書かれていましたが、前章で彼は彼女にチャームを贈ったと書かれていました。彼はその贈り物について第19章で”彼の存在を示すものをつけてもらいたい”と話していました。そうであれば、結婚指輪もパートナーの存在を表す意味があるのだろうかと思いました。左手の薬指という位置にも何か意味があるのか疑問が生じました。
あいまいな表現が相手の心に与える印象
”「あたしが思うにはー」あいまいな言葉を使って、顔をしかめる。”
ベラは、アリスが意図的にあいまいな表現を使って話していたと表現していました。この場面ではアリスはエドワードに対してジェイコブのことを”犬”という言葉を使って伝えています。エドワードとジェイコブは敵対しているから敢えてあいまいな表現を使うことで苛立つ気持ちを生じさせないようにしているのだと思いました。
そしてその後、ベラへ”ジャケットを着るように”伝えました。これは例えエドワードと2人で結婚式をあげるとしても普段着でなく正装で行きなさいと言いたいのだと思いました。アリスはベラの左手をつかみ”はめるところを見た”と話していました。仮にベラがエドワードと2人で式へ行く場合、普段着で行く可能性があると想像したのだろうと思いました。
結婚式がパートナーやその家族に与える影響
”ベラには絶対いわないだろうけど、伝統にのっとってやったほうがエドワードだってよろこぶはずよ。それにエズミだって。これがエズミにとってどんなに大事なことが考えてみてよ!”
エズミはどんな人か?
⇒第1作第17章、人間だったころ、彼女自身の赤ちゃんを生まれてすぐに亡くしたと話していました。そして胸がつぶれる思いで断崖から身を投げたと話していました。私には出産の経験は無いけれど、仮に出産後すぐに赤ちゃんを亡くした場合、自分のせいだろうかと感じる可能性はあるかもしれないと思いました。しかしエズミのように自分自身の身を投げ出すのは良くないと思います。
彼女にとってエドワードは血の繋がりはないが最初の息子です。そのため、エドワードを彼女自身の息子のように見てる可能性は高いと思います。”あまりに長いこと、あの子だけひとりぼっちだったでしょ。孤独な姿を見ているのはつらかった”。だから、エドワードがベラと出会えて嬉しいと話していました。そのため、結婚式についてはエドワードとベラと一緒に喜びたいと思っている可能性は高いと思います。
エドワードが結婚式に持つイメージは?
アリスは”伝統にのっとってやったほうがエドワードだってよろこぶはずよ。”と話していますが、エドワードは”アリスの好きにさせることないんだよ”と話しています。彼は結婚したことを誰にもいわなくて良いとベラへ話しています、好きであることを誓って欲しいということなのだろうか、私はそれ以上の想像が出来ませんでした。
しかしベラは”どのみち、程度の問題であって、気乗りしないことに変わりはない”とに心の中で思っていると書いています。結婚の何がベラの心にそこまで大きなプレッシャーを与えるのかについても、ここまででははっきりと分かりませんでした。
対照的に描かれる2人
エドワードとジェイコブは部族として、そして恋のライバルとして対照的に描かれていると思います。
第1作第6章でジェイコブが初めて登場した場面で彼の容姿はエドワードと対比されるように描かれていました。
ジェイコブは髪の毛の色は黒、肌の色は赤茶色、子どもっぽさが残る顔出ちであり、エドワードは髪の毛の色は赤茶色、肌の色は青白、大人びた顔出ちで描かれていました。
私自身が小説を読むだけで書くまではいかないのですが、ジェイコブは車が好きで自分で組み立てることが出来るという濃い趣味があるのに対して、エドワードは特に打ち込んでいるものが無いように私は感じていました。
本章では、エドワードはベラと歩幅を合わせて歩いたり、血の欲求を抑えてベラの傷の手当をしたり、ベラにコートを渡せたのに対してジェイコブはベラを勢いよく抱え上げて運び、エドワードの挨拶を無視し、用意していたコートをベラへ渡すことが出来ませんでした。
ところが、章の最後でベラをジェイコブに預けていたエドワードが彼女と再会した場面で、エドワードは瞬時にベラの隣に駆けつけました。そしてその態度にぎょっとしたジェイコブの様子を無視していたことから、2人に共通して起こった無視という振る舞いは嫉妬なのかもしれないと思いました。
ジェイコブのセリフの特徴
”まさか。おれが昇格をいやがったんだ”
ジェイコブが群れの2番手でありサムがボスである理由を答える時に彼はそう言いました。私はこれは”そうだったらいいのに”という彼の願望を言葉にしているように感じました。
群れにはボスは1人しかいないと彼は話しています。サムが最初に狼人間になり、最年長だったからサムが統率するのが自然な流れだったんだとジェイコブはサムが群れのボスとなった理由を説明しています。
では、なぜジェイコブが狼人間になったとき、サムと立場の交代がなかったのかについて、圧倒的に力差があったのではないかと私は推測します。自分に群れのボスとなる力がないと話すより、自分がボスの立場を拒んだのであると話したいように感じました。
気持ちの大きさの描き方
エドワードがベラへ渡したクリスタルのハートをジェイコブが見たとき、彼は”「石か…なるほど」”と言いました。ベラは彼の”石”という単語を言葉通り”石”と捉えたようですが、ここでの”石”はエドワードのことだと思われます。ジェイコブはエドワードを軽蔑するために”石”と呼んでいます。他者を軽蔑するための表現方法としては良いと言い難いですが、それくらい大きな気持ちで嫌いであることを表現するための描写だと思いました。
ベラは言葉通りにジェイコブが発した石という単語を聞き、エドワードがベラへ贈った”卒業祝いのプレゼント”のクリスタルのハートを見ました。本章でアリスはそのクリスタルのことをダイヤと話していました。
前章で、そのクリスタルのハートをエドワードは”彼の母の形見”と話していました。仮にそのクリスタルが本当に宝石である場合、エドワードは王族の家系だったのではないだろうかと私は思いました。
エドワードの実の両親については、第2作第2章で書かれていました。母の名前は”エリザベス・メイセン”、父親は”エドワード・シニア”で両親共にスペイン風邪で亡くなっています。その母は死ぬ直前にカーライルへ”あなたが、できるかぎり手を尽くすのよ。絶対に。ほかの人ではできないこと。わたしのエドワードにしてやって”と訴えました。カーライルは彼自身が冷人族であることが知られたのではないだろうかと思ったとベラへ話していましたが、実際に知られてはいなくてカーライルの考えすぎだと私は思いました。
なぜなら、自分自身が命を落としたとしても息子を救いたいという行動が、キラユーテ族の”第3の妻”、”エズミ”、”エドワードの実の母”に共通した特徴のように感じたからです。自分の命を亡くしてまでという行動は良いと言い切れませんが、それくらい大きな気持ちで好きであったことを表現するための描写だと思いました。
第22章 FIRE AND ICE(実論と理論)
FIREがジェイコブ(実論派の考え方)、ICEがエドワード(理論派の考え方)として描かれていると思います。
凍えるベラにどう対応するか
エドワードと合流しテントの中で身を潜めるベラは悪天候で気温が低いことで凍えていました。
エドワード(理論派)は彼自身が体温が無いため、これ以上ベラを凍えさせないために彼女から出来るだけ離れて過ごしていました。しかし、そのままの状態では彼女が凍死する恐れがあるとジェイコブからも提案があったのかジェイコブが用意していたコートを受け取るという選択をしました。
ジェイコブ(実論派)は彼自身の平均体温が42.5度という設定でもあるため、彼はベラを抱き寄せて彼女の体温を上げるという選択をしたようです。服を脱いだ方がすぐに温まる。それは事実だと発言している描写もあり、より一層、彼は実際に存在している物に関心を向ける実論派の考え方をする人として描かれているように感じました。
エドワードが考えるベラとの未来について
第1の選択肢
”ベラのエドワードへの想いがそれほど強くなく、エドワードとのことを乗りこえて先に進んでいくこと”
実論派のジェイコブは、第1の選択肢が良いと話しています。私もそれが良いと思っていました。ジェイコブと付き合うべきという意味では無く、吸血鬼になることが”ベラの死”を意味するなら現実の世界で彼女自身が生きた方が良いと思ったからです。もしくは、吸血鬼への変身は死という意味では無いのだろうかと疑問が生じました。
エドワードはこれ以外に3つ選択肢を挙げています。だから、実論が一番現実的であったとしても、それが正論というわけでは無いし正論は1つでは無いのだろうと思いました。
第2の選択肢
”ベラが人間の命をまっとうするまでずっとそばにいること”
エドワードが人間としての人生を終えているということが前提であれば、私ばかり話をしても相手の時間を奪うことにならないだろうから、この選択肢で良いと思いました。私は話を聞いてもらって嬉しいと感じるため、毎日毎日その日のことを喋ってそうだと思いました。
ただこの作品の場合、主人公のベラは第2作で歳をとることを気にしていました。自分が歳をとってエドワードが17歳のままの様子を想像するのが怖いと書かれていたので、彼女が容姿の差を気にしていることが窺えました。
そして、エドワードはベラが死んだら自分も死ぬと話しています。実際のところ第2作で彼はそれを実行しようとイタリアの吸血鬼のところへ向かっていました。そのため、私は彼は彼自身が打ち込めることは無いように感じていたのですが、”死ぬ”という表現は、それだけベラのことを好きな気持ちが強いという”気持ちの強さ”の表現であると捉えました。
第3の選択肢
”エドワードがベラの世界から消えること”
私だったらそうならないように”今日も聞いてくれてありがとうございます。また次回もよろしくお願いします”と伝えますが、第2作でベラに反論の余地がありませんでした。
前作の大部分は、エドワードとベラが離れ離れになっている状態で話が進みました。2人ともあと1歩で死ぬところだったのであれば、2人ともそれだけ強い”好きという気持ち”があったことを作者は表現したかったのだとと思われます。この作品の作者は、章によってはタイトルで結論まで示されているように感じられる章があるところや人物の表情や風景など詳しく書かれているところが魅力的です。
しかし、前作で、なぜエドワードはベラから離れたのか。作品中ではジャスパーがベラの血を見た途端に飛びかかろうとしたことや、そもそも吸血鬼の世界のことを人間であるベラに詳しく知られてはいけないという掟があることが書かれていましたが、はっきりとした理由が私には分かりませんでした。
それは、私の特性のせいなのか。最近考えすぎてしまい、この作品を読み終えた後は発達障害(聴覚優位)として知られているルイスキャロルの『不思議の国のアリス』の文章の書かれ方に着目して読もうと思っています。
脱線しましたが、この作品の最終地点は第4の選択肢だと思われます。エドワードが思い描く第4の選択肢とベラが思い描く第4の選択肢には多少ずれがある可能性があるとも思いました。
第4の選択肢
“エドワードとベラが結婚して、ベラが吸血鬼になること”
エドワードは17歳、ベラは18歳です。”ベラは歳をとることをなによりいやがるし、誕生日は9月だから”とエドワードが話しています。19歳や20歳では問題があるのでしょうか。
ベラが吸血鬼になることを私は”ベラが死ぬこと”と捉えていました。しかし、この作品の中で”死ぬ”という表現は”それだけ強い気持ちがある”ことを表現していると思われます。ベラがエドワードを好きである気持ちがとても強いことを表しています。
年齢の若さは何を表しているのか疑問が残りました。
自分が持っていない物を持つ人
エドワードはジェイコブへ”部族関係で敵対”、”ベラと婚姻関係でありたいという感情を持つ”という2つの条件が無かったら、無いものを持つ者同士で気が合ったかもしれないと話しています。
それに対してジェイコブは、”おれの愛する人の命を吸いとろうとしていなければ”、、気が合ったかもしれないが、それはないと答えています。そうであれば、彼がエドワードのことを受け入れられない理由は上記の2.つ以外にもあると思われます。
上記のジェイコブの台詞に、おれの愛する人の命(the life girl I love)と書かれていること、ジェイコブがベラとの未来について、2人の子どもの存在まで想像していたということから彼もエドワードと同様にベラと結婚したいと思っていることが分かりました。
ヒロインの描かれ方
1つめの理由は第20章で描かれていたプロポーズをするためだったと思われます。
本章でエドワードは、”明日、ベラについていることにした2番目の理由はそれなんだ”と話していますが、ベラが仲間を救うために自ら死を選択しないようにするためだと思います。
仮にそうであれば、”吸血鬼になること”は”死ぬこと”として描かれていないと思われます。また、キラユーテ族の伝説で描かれていた”第3の妻”もベラも彼女たち自身に戦闘能力は無いけれど、少しでも戦いに手助けをしたいと行動する様子が描かれています。
そのため、ヒロインは例え、彼女自身に戦う能力が無くてもヒーローのために少しでも力になりたいと動いているように感じました。だから冒険系のゲームでは、ヒーローが戦士であれば、ヒロインは魔法使いとして戦闘に参加するように描かれているように感じました。
第23章 MONSTER(残酷な人)
“monster”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a person who is very cruel and evil
⇒残酷で邪悪な人
残酷なエドワード
前章で、エドワードはジェイコブへ”部族関係で敵対”、”ベラと婚姻関係でありたいという感情を持つ”という2つの条件が無かったら、無いものを持つ者同士で気が合ったかもしれないと話していました。
しかし、本章では”今日はストーブはいらない”とジェイコブのことを婉曲的な表現で呼んだり、”そいつの腕をもぎとってやろうか”とジェイコブへの怒りの強さを表すようなことを話していました。
エドワードはジェイコブを寝袋から追い出そうとファスナーを開けたのですが、床に転がったジェイコブは反射的にベラへ飛び乗りました。例え反射的な行動とはいえど、エドワードはものすごい勢いでジェイコブを付き飛ばしました。
エドワードはベラへ”こいつに押しつぶされるところだったんだぞ”とジェイコブを”monster”扱いしましたが、ベラは、”彼女自身は怪我をしていないこと”、”ジェイコブの行動に悪意は無かったこと”からエドワードを”monster”扱いしました。
確かに、エドワードのジェイコブを突き飛ばすという行動は程度が大きすぎて良いとは言い難いのですが、彼がベラを一途に思う気持ちが伝わっていないのは悲しく感じました。
残酷なジェイコブ
第15章で、エドワードはジェイコブにベラから彼にキスを欲しがったらキスをして良いと話していました。彼はそれを覚えていたのか本章で彼女へキスを求めました。私はその求め方が残酷に感じました。なぜなら、”本気でもどってきてほしいのか。それとも、本気で死んでもらいたい?”とキスをしてくれないと死ぬと話していたからです。
ベラは”死ぬ”という表現に返すことが出来なかったのか、ジェイコブのキスを引き離すことなく答えたと書かれていました。彼女はエドワードと結婚していますが、ジェイコブにも恋していると述べていました。類似する経験が無いからか彼女の気持ちは理解できませんでした。
気をまぎらわせるための行動
ジェイコブが新生吸血鬼との戦いに出かけた後、ベラがカレン家の人たちやキラユーテ族の人たちを心配していたときエドワードはベラへ”気をまぎらわせてあげようか”と言い彼女のほお骨をなぞったと書かれています。”これからキスをしようとしていること”が予想される行動だと思います。不安を感じているときにとる行動なのだろうかと疑問が生じました。
その提案を受けたベラは”エドワードの最高の夜ーベストテンを聞きたい”と返しました。彼女は”不明快なこと”があると物事が先に進まない性質を持つように感じました
ベストテン
ベラにとってエドワードとの最高の夜は、”彼が最初に彼女の家に泊まった日の夜”と”彼と別れた後に再会した日の夜”と書かれています。彼女にとっては、”彼との距離が縮まったように感じた日”と”再会してその後も一緒にいることが出来ると感じた日”だと思われます。
一方、エドワードにとっての最高の夜は、”ベラが結婚を承諾した日の夜”と書かれています。彼が話す結婚は、”彼もベラと同様に彼女とずっと一緒にいたいということなのか”、”ジェイコブやマイクにベラをとられたくない”ということなのか本章のみではわかりませんでした。
出会わない方が良い?!
ジェイコブがベラへやや強引にキスを求める前にベラがジェイコブヘ”ごめんなさい。ずっとわがままばかりで。あたしなんて、ジェイコブに出会わなければよかったの。そうしたら、こんな風に傷つけることもなかった。”と彼と”出会わなければよかった”とか”もう彼とは会わない”という発言をしていました。
上記の発言はエドワードが第1作と第2作の前半で彼がベラと別れる前に発した内容と似ていると思いました。恋人になることが出来ないのであれば、”それまでの時間が楽しかった”でなく”出会わなければよかった”と語られていて寂しく感じました。
姿を消すことは詫びにならない
ジェイコブもエドワードと同様にベラと結婚したいと思うほど彼女のことを好きであることが描かれています。ベラはエドワードと結婚することを約束しているため、ジェイコブの気持ちには応えることが出来ないから彼から遠く離れたところへ行くと伝えているのですが、ジェイコブは”遠くへ行くという行動”では詫びになっていないと話しています。
ジェイコブはお詫びの行動としてベラへ”キスを要求”します。その理由はこの後、新生吸血鬼との戦いに参戦するのだからもう戻ってくることが出来ない可能性があるからだと伝えています。彼はその戦いに負けるつもりは無いのでしょうが、最後のお願いとして要求されていることから”キスという行動”には強い力があることを描いているようでした。
エドワードの了承がある?!
本章でジェイコブは、新生吸血鬼との戦いに参戦する前にベラへキスを求めました。ベラはそれに応じました。キスの間、彼女は”ジェイコブにも恋している”と感じていたようです。
この時のジェイコブの提案にはエドワードの了承があったように感じました。ジェイコブはエドワードとベラが婚約したことを知ったとき、泣きながら森の奥へ姿を消しました。その様子を知ったエドワードが彼のことを追いかけたのですが、2人でベラのところへ戻ってきた際にエドワードは意図的にジェイコブとベラが2人で話す時間を作っていました。そのため、ジェイコブとベラのキスという行動にはエドワードの了承があったことが推測されます。
第24章 SNAP DECISION(不意打ち)
“snap”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
made or done quickly and without careful thought or preparation
⇒慎重な思考や準備なしに迅速に作成または実行
“decision”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
a choice or judgement that you make after thinking and talking about what is the best thing to do
⇒何をするのが最善かを考え、話し合った後に行う選択または判断
キスへの罪悪感
ベラは、エドワードと婚約しているのにジェイコブとキスをしたこと(突然の決断)について罪悪感を感じているようです。彼女は自分からジェイコブヘキスを頼んだりしなければキスをすることは無かったのだから自分のせいであると罪悪感を感じているようでした。
しかし、エドワードはジェイコブは仮にベラから頼まなかったとしてもキスをしただろうと話していました。”あいつがそこまで高潔だって本気で思ってるのか。ぼくに道をゆずる為だけに、戦いに身を投じるって?”とエドワードは話していましたが、ジェイコブが戦闘へ向かった本当の理由は何だろうと疑問が生じました。
例え、ベラから頼んでいるとしてもジェイコブがベラへキスをしたという事実(突然知らされた事実)を知った後にエドワードがベラを叱ることなく落ち着いていた様子からもジェイコブのキスを事前に了承していたのだろうと私は思いました。
エドワードがベラへ仕返しをしない理由
私は、エドワードが元々、ジェイコブとベラのキスを事前に了承していたからだろうと思いました。
ここではその理由が4つ書かれています。1つ目は、エドワードが吸血鬼であるのにも関わらず普通じゃないくらい道徳的だから、2つ目は、寒いから、3つ目は、ジェイコブの匂いがついていてエドワードにとってベラが不快な匂いがするから。
そして、4つ目は”第20章でベラがとろうとしていた行動をいつかはためしてみる約束だから”と書かれています。それは、”子どもを望む”という意味なのだろうかという疑問が私の中に残っています。
少なくとも私はここで描かれている人物たちの年齢でそのようなことを考えたことがありませんでした。この世界観の中ではベラが吸血鬼になった後は、人間の血に飢えて凶暴化するため、どうやって育てるのだろうかと現実性の無さを感じましたが、文学の世界においてそこを否定するとそもそもの設定を否定することになるのかなと思いました。
エドワードからライリーへの不意打ち
新生吸血鬼一族から身を潜めていたエドワードとベラはヴィクトリアに出くわします。彼女はブロンドの少年吸血鬼ライリーを連れていました。
エドワードは、その少年吸血鬼の名前を知っていました。この少年が今までの物語で登場したかどうかを私は覚えていません。恐らくエドワードが耳が良いため、出くわす前にヴィクトリアとライリーの会話を聞いたから彼の名前を知っていたのだと推測します。そして、ライリーへ向かってヴィクトリアは彼を愛していないと伝えました。
その不意打ちを受けてライリーは一瞬戸惑いますが、彼はエドワードと戦うことを決意しました。エドワードの見込み通りライリーは戦闘能力が未熟であるため、狼セスから攻撃を受けますが、ヴィクトリアはライリーに目もくれなかったと書かれていました。
この様子は、”ウソの愛”とエドワードが指摘する通りの場面となっていると思います。しかし、仮に私がヴィクトリアであるとしても戦闘中に仲間が倒れても視線は向けるがどう助けて良いか分からないと戸惑うと思います。また戦うように指示を出すことも無いだろうから戦闘の場面では人物の心情をイメージしづらいと思いました。
エドワードからヴィクトリアへの不意打ち
エドワードはヴィクトリアにも不意打ちをかけました。彼女が愛していたジェームズは彼女を愛していなかったと伝えています。エドワードはライリーに対しても同じ類の言葉をかけていたので、彼は戦闘前に相手の心を戸惑わせようとしていると思われます。
彼はジェームズがヴィクトリアをそばにおいていた理由は、彼女が”危機回避の不思議な直感”を持っていたからと伝えています。ヴィクトリアはジェームズというパートナーを失ったことでその復讐をするためにこれまで過ごしていましたが、ジェームズは彼女を同じくらい強く愛していなかったと推測しているようです。仮にジェームズが本当にヴィクトリアを愛していたのであれば、彼は第1作で彼女に対してどのような行動をとったのだろうかと疑問が生じました。
エドワードは、本章でヴィクトリアを倒しました。”ささやかな最後のステップひとつで”と書かれていたことからその戦いは圧勝だったのだと思われます。ただ、ベラのブラウス(匂い)を盗んだのは誰であったかは未だ明かされてません。
セスが逃げない理由
キラユーテ族の中で最年少の少年セスは、ジェイコブたちと新生吸血鬼一族と戦闘に参加するのではなくエドワードとベラと行動を共にしていました。そのため、エドワードと共にベラを守るためライリーと戦います。
途中ライリーの方が優勢である様子が描かれています。ベラはセスがゴホゴホと低いうめき声をもらしたとき、彼女は”なぜセスはボロボロになりながらも逃げずに戦い続けようとするのか”と思ったようです。
私は、その理由はエドワードとセスの間には”仲間意識”があるからだと思いました。セスが彼の尻尾でエドワードの背中をなでたことやエドワードがヴィクトリアへ”おまえがぼくらの手を組ませたんだ”と主張していることからそう思いました。
ここでは、エドワードの方がヴィクトリアより圧倒的に強いようなので、例えセスがライリーに打ち負かされそうであったとしてもエドワードが彼を助けることが出来ると思われます。
髪の毛の描写
”燃えさかるような髪はすでに身体とのつながりを失っていた”。これは”死”を書き表していると思います。
私は、”吸血鬼”は死んだ人間の魂を表していると思っていましたが、おそらく”吸血鬼”は身体が彫刻ですが、”未だ生きている”のだと思います。作中で描かれている”髪の毛”と”身体”の繋がりは、”生命”と意味していると思います。
第1作第13章でベラがエドワードについて”落ち着いたエドワードの呼吸に耳を傾けながら、ほかの部分に比べて”人間”っぽさがある赤銅色の髪に、太陽と風が揺らめくのを眺めた。”と描写していました。髪の毛に人間っぽさがあると書かれていることから”髪の毛”と”身体”の繋がりは、”未だ命があること”を書き表しているのだと思いました。
第25章 MIRROR(正体)
“mirror”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
something that shows what something else is like
⇒他の何かがどのようなものかを示す何か
吸血鬼の正体
前章では、エドワードとセス対ヴィクトリアとライリーの戦闘が描かれておりました。本章では、ヴィクトリアとセスの死体を片づける場面から始まります。その死体は英語では”headless *corpse”(主に人間の死んだ身体)と書かれています。作中で描かれている吸血鬼の身体は彫刻というより本当の人間の身体のように感じられます。だからこそ、戦闘に敗れた2人の身体は*corpse”(死んだ身体)と書かれているのだと思いました。
第1作第1章にカレン家の人たちの顔に共通する特徴として”目の下には暗い陰、紫がかったアザのようなクマ、そろいもそろって睡眠不足に悩まされているみたい”という描写がありました。これはその他の吸血鬼が登場する場面でも共通する特徴として書かれていると思います。私はこのクマは生前に寝る時間も無いほど働いた人の顔を意味するのだろうかと思っていました。
ベラの主観ではカレン家族は容姿の整った人が揃っているように描かれていますが、私は最初の”目の下のクマ”という描写が生前の苦痛を意味しているように感じており、その疑問は未だ明らかになっていません。
エドワードの罪悪感の正体
エドワードはベラへ”ぼくが…こわくないのか”と尋ねました。その理由は”痛みを感じるいきものの首を落とし、ばらばらにした”からと話しています。
確かにヴィクトリアもライリーも未だ生きていたのですから、その死を良いとは言い難いと思います。しかし、作中ではヴィクトリアは彼女に対して危害を与えたことがないベラへ敵意を向けていたためエドワードによって倒されました。
仮にエドワードが本当にこの戦闘結果に対して罪悪感を感じているのであれば、私は彼を博愛主義者であるように感じます。しかし、彼は戦闘前にヴィクトリアやライリーの心を戸惑わせるような発していましたし、通常ヒトではなく動物を狩っていることを考えると”狩ること自体”には罪悪感を感じていないだろうし、それ自体は悪いことではないように思われます。
エドワードが持つ”戦闘力”は、作中のような戦闘の場面や狩りにおいては最も優れた能力であるとしても、”その他の場面”においてはその能力が活かしづらいことを描いているように感じました。
セスの撤退
”戦力が不足していた者”を描いていると私は思いました。本章でエドワードは前章のセスとライリーの戦闘は途中ライリーが優位になっていた様子についてベラへ”セスはケガをしたふりをしただけ”と話していましたが、この言葉はエドワードからセスへの気遣い”だと私は思いました。
セス対ライリーの戦闘は、ライリーの方が優位だったことは確かなのだと思います。セスの戦力が不足していたため、ベラは彼女が少しでも力になりたいと彼女自身を傷つけようとしました。その彼女の姿を見てエドワードがライリーへ大きな一撃を与えたという助けもあってかセスはライリーを倒すことが出来ました。
本章でエドワードは、セスへ”まっすぐうちへ帰るように”伝えました。彼はセスへ”ぼくを信じろ”とのみ伝えていましたが、本音はセスへ”戦力が足りないということ”も伝えたかったのだと思います。ヴォルトゥーリ一族と出くわさないように彼を傷つけない言葉でセスを群れへ返した様子から仲間想いの優しさを描いているように感じました。
エドワードが隠したかったこと
”エドワードはあたしの最初の質問をはぐらかしたんだ”とベラが語っています。これは、ジェイコブが怪我をしたことをエドワードがはぐらかそうとしたことを意味していると私は思います。そして、その理由は、ジェイコブが怪我をしたことをベラが知ると彼女が傷つくことを彼は予想していたからだと思われます。
実際のところ、ジェイコブが怪我をしたことを知ったベラの視界が”すべては闇にのまれていった”と書かれていることからベラが気絶した様子が窺えます。その反応を予想して彼が
”近いうちにまた抗争があるとでも?”という問いをはぐらかしたのであれば、この場面でも彼の優しさとして描かれているように感じました。
新生少女ブリー
”あたしは魅入られたようにその姿を見つめた。これは鏡に映った未来の自分なのかしら”ベラは吸血鬼になって日が浅い少女ブリーの激しい怒りと渇きにゆがんだ顔を見てそう感じたようです。吸血鬼に変身した全ての人が激しい怒りと渇きに狂った行動をとるのであれば、ブリーの姿はベラの未来の姿なのかもしれません。
新生少女ブリーは、ベラの匂いを覚えさせられ黄眼のやつらを滅ぼすように指示を受けたと話していました。ブリーが戦っていたのはエドワードとベラ以外のカレン家の人とキラユーテ族の群れだったと思われますが、黄眼のやつはゴールドの瞳であるエドワードを指すのかという疑問が生じました。
カーライルはジェーンとブリーの仲介に入ったとき”ブリーは冷人族の掟(第2作第19章の掟:冷人族の存在は人間に知られてはいけないという掟)を知らなかったのだから、始末されるべきでは無い”と説得しようとしていました。
しかし、ブリーは”人間界で騒動を起こした経緯”を話した後、ジェーンが率いるフェリックスによって倒されてしまいました。脇役であり作中ではヴィクトリアとライリーが率いる群れの一員として動いたことは確かである人物ですが、最も救われない役であったかのように感じられました。
ジェーン
私は、エドワードとジェーンというヴォルトゥーリ一族の1人の少女の関係に疑問を持っています。
新生吸血鬼が人間界で騒動を起こしたことを理由にヴォルトゥーリ一族が訪ねて来たのであれば、彼らの行動は護衛官の通常の役割を果たしに来た様子を描いているだけです。しかし、エドワードは”ジェーンも一緒だから”エドワードとベラが他の仲間と離れて2人きりでいると知ったらジェーンはその気になるかもしれないと言いました。
”その気”とは、彼女もヴィクトリアと同様にベラを狙っているという意味なのか。彼女の狙いはここまでの話ではっきりと明かされていませんが、ベラが吸血鬼になる予定が決まっていることを知らされると納得いかない様子で掟を破ったブリーを始末するように仲間へ指示を出していました。
第2作第20章でジェーンが初めて登場した場面では、エドワードは降参したような振る舞いを見せていました。本章で彼は”ようこそ、ジェーン”とよそよそしく丁寧な様子だったと書いています。エドワードは彼が吸血鬼として生きている約1世紀のどこかでフェリックスたちと同様に彼女に仕えていた過去があるということなのかという疑問が残りました。
第26章 ETHICS(倫理)
“ethics”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
ethics [plural] moral principles that control or influence a person’s behaviour
⇒倫理[複数形]人の行動を制御または影響する道徳的原則
エドワードの道徳
”エドワードはとても…いいやつだな。おまえに負けずおとらずジェイコブを心配しているようだった。まるでじつの弟が事故にあったみたいに。あの目ときたら…”
チャーリーは、エドワードが彼にとって恋のライバルであるジェイコブを心配している様子を見て、”エドワードはいいやつだ”と話していました。チャーリーは未だ知らされていませんが、これはエドワードとベラが婚約しているため彼の心に余裕があることを意味していると思われます。
また、ジェイコブを”じつの弟”と書き表されていることから、エドワードが彼のことを”仲間である”と思っているように感じられます。また前章でジェイコブがリアをかばって大怪我をしたことから彼も”戦力が及ばなかったこと”を意味しているように感じられました。
ジェイコブの道徳
”チャーリー、今日ばかりはベラがおれよりあいつを好きでよかったと思っただろ?”
前章でジェイコブはリアをかばって大けがをしました。彼の怪我を治療したカーライルは怪我の要因を”バイク事故”とチャーリーへ伝えたようです。ジェイコブは前作でベラをバイクに乗せたことがありそれをチャーリーに知られていました。
そのため、今回のアリバイとしての事故について、仮にジェイコブがベラと一緒にバイクに乗っていた場合、ベラも転んで大怪我をした可能性があると言いたいのだと思いました。チャーリーはバイクを転んだ時の危険度が高い乗り物でありベラには乗って欲しくないと思っているため、その父を気遣う様子から彼の怪我の治りが早いこと、立ち直りが早い様子が感じられました。
ベラの道徳
”エドワードを一度失っていなければ、あたしは揺らいでいただろうか”
ベラがエドワードを失った場面は第2作第3章でエドワードが立ち去った場面を表します。仮に私がベラと同じ立場だったら、私自身が好きな人が私から離れた場合”英語の勉強をする”という選択にしかならないと思いました。
私は第1作第3章の”また次回、会いたい人に会うのが楽しみ”という状態のように感じました。
私がベラと同じ18歳のときは、高校の先生が好きで私自身も高校の先生になりたいと思っていました。教えることが出来る科目が英語だったため、仮に私自身が教壇に立つなら”なぜ英語を学ぶのか”を答えることが出来る方が良いと思いました。
20代は教育学部/国際交流学部のような人でしたが、30代は英文学部のような人になろうと思い約1年前から洋書を読んでいます。トワイライトシリーズを全て読んだ後にやりたいことは、可能であれば、作者ステファニーメイヤーさんにファンレターを書くことです。
また、翻訳者さんに会うことが目的ではないのですが、私自身が洋書を読む手助けをしてくれている翻訳者、小原亜美さんに会うことが出来るとしたらいくつか尋ねたいことがあると思いました。
”小原さんが翻訳された小説を読みました。①英語に関心を持ったきっかけは何ですか。②私も原文を読みましたが小原さんの〇〇の部分の翻訳が素晴らしいと思いました。③〇〇の部分は原文には書かれていませんでしたが、なぜそう翻訳したのでしょうか。などを尋ねるだろうと思いました。
ジェイコブの甘え
”あんなふうにキスを返したりして、いいわけなんかできんのかよ”
これはジェイコブの甘えだと私は思いました。彼が16歳の少年であることを考えると”幼さ”を描いているようでした。
この作品の場合、ベラは、第2作でエドワードが彼女の前から姿を消したときに自らジェイコブと2人で会っていました。2人でバイクに乗ったり、ベラがエドワードと2人で訪れた草原を探したりしていていました。
そのため、ジェイコブがベラが彼へ好意を持っているように感じたのだろうと思います。ただ、作中でエドワードとジェイコブは対比する人として描かれていることを考慮するとエドワードは”ベラが好意を持っている人”、ジェイコブは”ベラが好意を持っていない人”として書かれているように感じました。
ジェイコブの捨て台詞を見ると第2作の行動は望ましくないように感じました。私は主人公のベラは英文学(English)が得意でかつ好きである人だと思っていたのですが、そこへ打ち込んでいなかった様子を見ると彼女にとって得意科目ではあっても好きな科目では無かったのだろうと思いました。
チャーリーの道徳
”なにか思いきった行動をとるなら、その前に話してくれないか。あいつと駆け落ちとか、そんなことをする前に…”
チャーリーはベラがエドワードと結婚することを察したのだと思いました。”駆け落ち”は父親として娘が自分の家系から外れることへの寂しさを表す表現だと思います。
”騒ぎ立てはしない”は、チャーリーはベラが騒ぎ立てられることが苦手な性格であることを理解している/もしくは彼自身が盛り上がることが苦手な性格であるように感じました。チャーリーとレネは彼らが高校を卒業してすぐに結婚し、ベラが産まれてすぐに離婚しています。
そのため、チャーリーはベラは若い年齢で結婚すると親へ伝えると親から反対されると考えているだろうと彼の経験からベラの心情を想像したのだろうと思いました。
アリスの道徳
”あの空き地にいた…ブリーって子みたいになるの?”
ベラがアリスへ彼女が吸血鬼になった後のことを尋ねるとアリスは”血への欲望にゆがんだ状態”は”いずれ終わることよ”と言いました。
これは第20章でベラがエドワードへ同様の質問をしたときの回答と同じであると思いました。
“And I’m afraid I “ill be so preoccupied with the mayhem that I won’t be me anymore…
and that I won’t … I won’t want you the same way I do now.”
“こわいの。そこまで殺戮に夢中になるなら、それはもうあたしじゃない…あたしは…いまみたいにエドワードを求めなくなるんじゃないかって”
ベラから吸血鬼になった後のことがこわいと言われ、エドワードは”そういう時期は永遠に続かない”と言いました。本章で、ベラはアリスへ同様の質問をしアリスも同様の回答を返しました。
作品で人間から吸血鬼になることが何を意味するのか。私は未だ明確に分かっていません。
アリスはベラがどうなるか興味深いと伝えているため、吸血鬼への変身を実験のように捉えているように感じました。
第26章 NEEDS(なくてはならないもの)
罪悪感
作中のジェイコブはベラにとって”必要な存在”として描かれていると思われます。それと対比するエドワードはベラにとって”欲しい存在”として書かれていると思いました。第2作でジェイコブはエドワードが不在の間にベラを吸血鬼ローランから守ったり、彼女とバイクに乗るという行動は気分転換だったのだと思われます。
第25章でエドワードが、吸血鬼ヴィクトリアを倒したとき”痛みを感じる生き物”と話していました。吸血鬼になるということは”中枢神経の働きが弱くなる”という意味では無いだろうかと思いました。”目の下のクマ”という描写は、寝る時間も無いほど働いたという意味だと思うので、”奴隷のように扱われた人”を描いているように感じました。
前章で考察したようにアリスはベラの変身を実験のように捉えているように見えますが、どの視点で見るか様々な人の考え方を描いていると思います。
ジェイコブを失うとエドワードが必要になる?!
”社会性の無さ”を描いている描写のように感じました。ベラは高校を卒業して大学へ進学する前という状態であるため、大学で同じ学問を学ぶ仲間がいないのだと思います。仮に彼女に兄弟や趣味で繋がる友達がいると幼馴染のような男友達との関わりが薄れた寂しさを満たすという理由で必ずしも男性が必要という状態にならないと思いました。
エドワードのベラとジェイコブのベラと書かれているのは、会う人によって”話す内容”や”態度”が変化することを表していると思います。第1作でエドワードとベラは”ベラが関心がある話題”を共有していました。(相手の関心に合わせた話をする人)第2作でジェイコブとベラは”ジェイコブの趣味の話題”を共有していました。(自分が関心ある話をする人)
第2作ではベラが自らバイクに乗りたいとジェイコブに頼んでいました。ベラとジェイコブは”趣味の友達”のように感じました。
初めて2人で行った場所
結婚式を控えているエドワードとベラは”初めて2人で訪れた場所(草原)”へ行きました。その時の草原は”やすらかでしあわせな場所”だったと書かれています。小説の世界では、風景の描写は登場人物の心情を描いていると言われています。そのため、このときの2人の心の状態が安定している様子が窺えます。
章の最後にエドワードは”少なくとも寄り道をする必要はなさそう”と言い、ベラの左手の薬指に指輪をはめました。その後ベラが”ーきっとこの先永遠にーとどまり続ける場所に”と語っている様子から彼女の気持ちの強さを感じました。
花嫁のドレス
ベラが結婚式で着るドレスは1918年のデザインと書かれています。そしてそのドレスを結婚式当日までエドワードは見てはいけないルールであるとアリスが話しています。外国の物語であるため恐らく聖書を元にしていると思われます。
また、式のルールとしてベラの父チャーリーは彼の娘であるベラと腕を組んでバージンロードを歩くチャンスを与えられているようです。これは、前章のチャーリーの道徳で考察した通り彼の娘であるベラが彼の家系から外れることが理由だと思われます。
前章でチャーリーはベラへエドワードと結婚するなら事前に話して欲しいと伝えました。彼の気持ちはベラへ伝わったようです。本章でベラは”あまり早すぎると思われたとしても、だましてとりあげるようなことはしたくないの、娘と腕を組んでバージンロードを歩くチャンスを”とエドワードへ話しています。
この発言は彼女の成長を描いていると私は思いました。なぜなら、第1作第19章でベラの命を狙ったジェームズから逃げる時にベラはチャーリーへ家を出る理由を伝えることなく”いいから行かせてよ”と彼女の母レネがチャーリーと離婚する時に伝えた捨て台詞を発して家を出るという行動をしたからです。
この八つ当たりのような発言は彼女の甘えなのでしょうが、父であるチャーリーはそのときの言動を許したと思われます。
理性
第20章でベラは”エドワードが欲しい”と言いました。そのとき彼はベラの行動を止めました。その理由は彼女の理性”virture”を守るためだと話していました。
“virture”とは
Oxford Learner’s dictionariesによると
behaviour or attitudes that show high moral standards
⇒高い道徳的基準を示す行動または態度
本章ではエドワードからベラへ”ベラが欲しい”と伝える場面が描かれています。
ベラはエドワードが取ろうとした行動を止めました。その理由は”責任をもって。すべて順序どおりに”と伝えています。順序どおりの理由は聖書に書かれているのだろうと思いました。
EPILOGUE – CHOICE (選択)
エピローグではジェイコブの選択について書かれています。
ジェイコブはベラの選択について、”結婚式より葬式の方がまし”と話しています。これは、それだけ大きな悲しさを表した心情が描かれていると思います。
しかし、その後”ベラが全てを投げだすのが問題なんだ”と話しています。仮にそうであればベラが冷人族のエドワードでなくクラスメイトのマイクを選んでいたら納得したのだろうかという疑問が残ります。
また、エドワードからジェイコブ宛てに書かれた手紙が書かれていました。
ベラと結婚することが決まったエドワードはジェイコブへ”立場が逆だったら、ぼくは自分でどうするか選びたかったはずだ。約束するよ、ジェイコブ。ベラのことはぼくが守る。”
”ベラのことはぼくが守る。”
この描写を見ると戦闘の場面では、男性の方が強く描かれがちだなと感じます。
作品はファンタジーであるため、本来であればベラは第1作第3章の防ぎようがない交通事故の負傷者となっています。しかし、人間離れした固い彫刻のような身体を持つエドワードによって命を救われるところから物語が始まりました。
この”人間離れした固い彫刻のような身体を持つ人物”という設定を否定するとこの作品を楽しめません。ジェイコブも狼人間へ変身するのですから、ベラも魔法使いになるなどの武器が無いと戦闘へ参加出来ないと思いました。第4作ではベラも”固い彫刻のような身体を持つ人物”となることが予想されているため、彼女もヴォルトゥーリ一族との戦いへ参加することが予想されます。
物語の真意
作者が作品を通して読者へ伝えたかったことは、”冷人族の正体”だと思います。
吸血鬼になるということは”中枢神経の働きが弱くなる”という意味だと思いました。第1作で書かれていた彼らの容姿の特徴、”目の下のクマ”という描写は、寝る時間も無いほど働いたという意味だと思うので、”奴隷のように扱われた人”を描いているように感じました。
第1作でひと昔前の文学作家”Bronte,Shakespeare,Chaucer,Faulkner”が紹介されていました。そのため私は吸血鬼として描かれている人たちは”死者の魂”が描かれていると思っていました。
しかし本作第18章でジャスパーVSアリスの対決についての描写を見ていたときの彼の動きがまるで兵隊のような戦い方で描かれていたため、自分視点で物事を考えがちになることを意味していると思ってました。
これはキラユーテ族のジェイコブにも共通します。ベラがエドワードと結婚をするという選択について、”結婚式より葬式の方がまし”と発言していました。この発言の方が”冷たくて幼く”感じました。
エドワードがベラに怪我を負わせるような人物では無いことは第1作第7章に書かれていました。
〇”even if”
翻訳版の小説では、この箇所を「たとえ彼が・・・」と訳されていた箇所です。
省略箇所を文章中の単語を元に推測すると、私は省略された箇所には、物語を読み進める上で重要なポイントが隠されていると思いました。
“Even if…”この後ろは
Even if he had drained my body completely of blood but I couldn’t think it.
たとえ彼が私の体から完全に血を吸い取ったとしても。(たとえ彼が私を殺すような人物であるとしても)そう思う事はできないけれど。という文章が入ると推測します。
省略箇所の時制でベラがそう思っていないことが推測されます。
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