- 出典
- 目的
- 主な登場人物の特徴
- 第1章 FIRST SIGHT (第1印象)概要
- 対立する表現が面白い
- 英語の表現で面白いと思ったところ
- 私は英単語の意味をこう捉えた
- 第2章 OPEN BOOK (理解) 概要
- 面白いと思ったところ
- 私は英単語の意味をこう捉えた
- 気になったところ
- 第3章:PHENOMENON(疑惑) 概要
- この章で登場する人物の特徴
- エドワードが伝えたかったことについて
- 第4章:INVITATIONS(不測の事態の幕開け)概要
- ベラが思う皮肉に対する上手な答え方
- 好きな人をどのようにデートへ誘ったか
- 第5章:BLOOD TYPE(家族の特徴)概要
- エドワードの疑問を残すような発言について
- ベラの母親について
- 第6章:SCARY STORIES(冷人族の伝説)概要
- We(私たち)と発言した意図
- 冷人族の伝説
- ジェイコブ・ブラック(濃い趣味”がある人)
- 第7章:NIGHTMARE(難題)概要
- ”even if”:省略箇所を文章中の単語を元に推測
- ベラは”English(英文学)”が好きでかつ得意
- 第8章:POAT ANGELES(ひとときの快楽)概要
- 人々によって、”人を引きつけるように作られた場所”にあったもの
- この章で登場した人物が関心を示したもの
- 第9章:THEORY(仮説の検証)概要
- 仮説
- ベラの結論と私の考察
- (seventeen)17歳という年齢が意味するもの
- 第10章:INTERROGATION(未開拓の闇)概要
- ジェシカが持つエドワードの印象
- ベラが持つ良い一面
- チャーリーはどのような人物であるか
- 狩りの様子を見せない理由
- 第11章:COMPLICATION(近づきたい想い)概要
- 名前の呼びかたについて
- 人に見られたくないもの
- ”twilight”の意味
- 第12章BALANCING(つりあい)概要
- 黒い目は表情が読めない
- ジェイコブは実論派(実際に見たものを信じる)
- マイクがベラへ思うこと
- 第13章CONFESSIONS(非を認める) 概要
- エドワードがベラへ思うこと
- フルネームで読んだ意図
- キスの場面を見て私が主役の2人について感じたこと
- 第14章MIND OVER MATTER(部族の掟を越えた気持ち)概要
- エドワードと彼の家族について
- エドワードが自身の容姿をどうとらえているか
- エドワードがマイクへ思うこと
- 第15章THE CULLENS(悩みを失くした人たち)概要
- エズミはどのような人であるか
- レネはどのような人であるか
- ロザリーがベラに思うこと(humanとは)
- アリスがみたもの(ベラの第一印象)
- 第16章CARLISLE(慈悲の精神)概要
- カーライルの父はどのような人であるか
- カーライルはどのような人生を歩んできたか
- エドワードはどのような人生を歩んできたか
- 第17章THE GAME(審判がいる試合)概要
- 天気はベラの心を表現している
- 自分の敵は友人にとっても敵である
- チャーリーは大柄な男性にマイナスなイメージを持つ
- エズミは競い合いに関心がない
- 第18章THE HUNT(戦争の始まり)概要
- フランス人
- カーライルがベラと同行する人として選んだ人物
- 15分という時間が意味するもの
- 第19章GOODBYES(逃走)
- あなたが好きな物を嫌いという発言は、あなたを嫌いということ?!
- ベラと行動を共にすることになった人物
- 第20章IMPATIENCE(保留)
- ”impatience”(保留)にぞれぞれの人物が抱いた感情
- 仮説①”vampire”は天然痘のウイルスである
- 誰もいない場所への留守番電話
- 第21章PHONE CALL(一方的な発言)
- ジャスパーが持つ力
- ジェームズの特徴
- エドワードへ宛てた手紙が意味するもの
- 第22章HIDE-AND-SEEK(水面下の行動)
- アリスが見たもの
- ベラの逃走
- 仮説②”vampire”は自己実現のためだけに生きる人である
- ジェームズの狙い
- 第23章THE ANGEL(命の恩人)
- ”vampire”へ変身出来るチャンス
- この物語には歴史的な背景がある
- 第24章AN IMPASSE(行き詰まる)
- 仮説③”vampire”は死者の魂である
- レネの恋愛観
- エドワードが思う人間の素晴らしい一面
- EPILOGUE: AN OCCASION (おわりに)
- 物語の真意
出典
twilight(トワイライト)
Stephenie Meyer(ステファニーメイヤーさく)
参考資料
小原亜美さんによる翻訳版の『トワイライト』
「Oxford Learner’s Dictionaries」
目的
作者が”物語を通して読者へ伝えたいこと”を知りたいと思っています。
原文は英語で書いてあります。
英語のレベルは英検2級(高校卒業程度)
日本語版の小説、オーディオCDも併用して読んでいます。
このブログでは、各章ごとの概要と英単語の意味を私がどうとらえたかなどを書いています。
主な登場人物の特徴
イザベラ・スワン:物語の主人公(物語の語り手)
肌の色はアイボリー
日差したっぷりの地域に住んでいたにも関わらず、日焼けしていない、自分の肌に色が無い事を本人は気にしている
エドワード・カレン:ベラのクラスメイト
腕や足が長くて細い。
それほど大柄ではない。
髪の毛の色は透き通った赤茶色。
レネ:ベラの母。髪の長さはショート。無計画で筋の通らない行動をする性格。
チャーリー・スワン:ベラの父。必要以上の言葉を発しない。静かに待つ性格。
エリック:ベラのクラスメイト。
背が高くて、肌トラブルがある少年。髪の毛の色は黒でベタベタした髪質。
ジェシカ:ベラのクラスメイト。
ベラより数センチほど背が低い少女。髪の毛の色は黒。髪の毛が荒々しくカールしているため、背が高く見える
マイク:ベラのクラスメイト。
可愛らしく、幼い顔立ちの少年。
髪の毛の色は透き通ったハチミツ色でジェルで固めている
エメット・カレン:エドワードの兄
重量挙げの選手のようにがっちりした体つきでで大柄。髪型は黒いカール
ジャスパー・ヘイル:カレン家の里子。
背が高くて細身であるが、たくましい体つき。
髪の色はハチミツののように透き通った金色。
ロザリー・ヘイル:カレン家の里子(ジャスパーの双子の兄弟)
外見は背が高く彫刻のように整っていて、美しい。
髪の毛の色は金色で、背中くらいまでの長さ
アリス・カレン:エドワードの姉
背の高さは低くて、とてもスリム
髪の毛の色は深い黒色
髪の毛の長さは短いが、様々な方向へ無造作に広がっている
カレン家の人たちの共通点
チョークのように肌の色が白い
髪の毛の色より黒い目
目の下にクマがある
堀が深い顔立ち
人間と思えないほど美しい容姿
その外見は、編集を施したファッション誌ですら、見た事が無いほどである
第1章 FIRST SIGHT (第1印象)概要
高校生の女の子”ベラ”がフェニックスからフォークスへ引っ越しをする場面から物語が始まります。
ベラの両親はベラが幼いころに離婚しており、ベラは母親と一緒に暮らしていました。その母の再婚を機に、彼女は父親と生活することを選択します。
この章では、フェニックスとフォークスの天候の違い、都会と田舎の学校の外観違い、ベラの両親の性格の違いなどが描かれています。
対立する表現が面白い
フェニックスとフォークスの天候について
ベラが元々暮らしていたフェニックスという都市は、1年間で雨が3,4回しか降らないくらい晴れ晴れとした地域であり大都市。一方、転校先のフォークスという町はいつも雲に覆われていて全米のどんな場所よりたくさん雨が降る小さな町
フェニックスとフォークスの学校について
フェニックスは大都市であったから1学年だけで700人の生徒がいて、建物は金属フェンスで囲まれており金属探知機も備え付けられていた。それに対しフォークスの学校は全校生徒合わせて350人ほどの小さな学校であり、住宅地の集まりのような建物。
ベラの両親について
ベラの母がベラを空港へ送る場面で、ベラの母がベラへ「転校する必要はないのよ」と語りかけています。ベラはこの母の事はを”the last of a thousand times”「これで1000回目」と言います。このことから母は口数が多い人物であると思われます。一方父については、”One of the best things about Charlie is he doesn’t hover.”「父は必要以上に話さないところが良いところの1つである」と話しています。母と父は正反対な性格を持った人物として描かれています。
英語の表現で面白いと思ったところ
”晴れ”の日の空について、どんな空であるかを単語を組み合わせて書いている
“the sky a perfect, cloudless blue.”
中高時代の英語の授業で天気について、英語で表現する時は”It is sunny. (晴れです)”、”It is cloudy.(曇りです)”など定まった表現を覚えるように学びました。
twilightを初めて読んだとき、”sky a perfect, cloudless blue.(完全に雲が無い青い空)”という文章を見て、空の様子を表現するのは様々な単語を組み合わせて表現する事が出来る事が分かりました。
私は英単語の意味をこう捉えた
“verbose”の訳し方
“Neither of us was what anyone would call verbose.”について
翻訳版の小説では、この部分を”ふたりともおしゃべりってタイプじゃないし”と訳してあります。
Oxford Learner’s Dictionariesによると
“verbose”は”using or containing more words than are needed”(必要以上に言葉を使い続ける)という意味です。
私は、”必要以上に言葉を続ける”とは「用事が無ければ会話をしない」と捉えました。
“用事”とは、”人に何か頼みごとをする事”です。
ベラも彼女の父も自分の事は自分で行い、他者にお願いする事が無いのではないかと思いました。
この2人に共通する特徴として
“Charlie wasn’t comfortable with expressing his emotions out load. I inherited that from him.
(チャーリーは感情を言葉にするのが苦手なタイプ。それはあたしにも受け継がれている。)と記述があります。
つまり、どちらも”情報の伝達のため”に会話をするのであり、”感情を伝えるため”に会話をしない。だから、”必要以上に言葉を使い続ける”という意味の”verbose”という単語を使っていると思いました。
My mother is part of albino.”はベラなりのユーモア
”A few months of this and I ‘d forget how to use sarcasm.”
翻訳版の小説では、この部分を”数か月これが続いたら、皮肉のいい方を忘れてしまいそう。”と訳してあります。
私だったら、「ユーモアである事を理解してもらえないと皮肉に対する答え方を忘れてしまいそう」と訳します。
転校生であるベラにクラスメイトのエリックが話しかけている場面について
エリックは、ベラの肌の色を見て日差しが強い地域で暮らしていたのに日焼けしていないんだねと言います。エリックの発言には全く悪意は無いと思われます。しかし、自分の肌に全く色が無い事を欠点として捉えているベラは、このエリックの言葉を皮肉(saecasm)と捉えます。
Oxford Learner’s Dictionariesによると
“saecasm”とは
a way of using words that are the opposite of what you mean in order to be unpleasant to somebody or to make fun of them
⇒話し手の意図に反して、その言葉の意味を不快なもの、もしくはからかいとして捉えられる事。
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/sarcasm?q=sarcasm
エリックには悪気は無かったのですが、ベラがその言葉を不快に感じて
“My mother is part of albino.”(私の母がアルビノなの)とユーモアで返したつもりでした。
“humor”とは
he quality in something that makes it funny; the ability to laugh at things that are funny
⇒物事を面白いものへ変換する能力の事
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/humor_1?q=humor
ベラは、エリックに「面白いね!ユーモアのセンスがあるね!」と言って欲しかったのであると思いました。
しかしながら、エリックはベラの言葉をユーモアと気づく事が出来ずに何か不快な事を言ってしまったのであろうかと申し訳ない態度を示します。ベラはユーモアであると気づいてもらえなかったことに、まるで自分が滑ったように感じたのかため息をつくのでした。
恐らくベラは、皮肉を言われた時にユーモアで返すと良いと思っています。確かに受け手があからさまに落ち込んだ態度を取ると発言をした側も会話を続けられません。だから”面白いと思える発言”を返す事は良いと思います。
しかし、私がエリックだったら”アルビノ(先天的にメラニン色素をつくれない体質)”を笑って良い事柄として捉える事は出来ず、彼と同様に申し訳ないという反応をするだろうと思いました。そしてベラの立場だったとしても「肌の色が真っ白であることを私自身はあまり良いことであると思っていないんだ。ただそれをどうにかして変えたいとも思っていないから、肌の色について良いとか悪いとか話さないで欲しいというだろうと思いました。
第2章 OPEN BOOK (理解) 概要
この章は、ベラがフォークスでの学校生活に慣れ始めて、昼休みに一緒に過ごす人たちの名前を覚えたところから授業の事など学校生活が描かれています。父親チャーリーとの生活について、田舎で暮らす人々の特徴についてや主役であるエドワードがベラと会話をする事でベラの心に変化が起こる場面があることか語られています。
面白いと思ったところ
田舎で暮らす人の特徴について
田舎で暮らす人たちは他の土地から来た人々を受け入れにくい
ベラがカレン家の子どもたちについて、クラスメイトとあまり馴染んでいないと話した時の事
普段、あまり感情を表に出さないベラの父親チャーリーが”People in this town.”(まったくこの町の人たちときたら…)と怒りの感情を出しています。初めて父親がカレン家の人々に出会ったときは町の人たちと同様に里子を連れたカレン家に対して何か問題行動を起こすのでは無いかと疑ったけれど、一緒に過ごしているとみんな親切で礼儀正しい。それなのに町の人々は”他の土地から来た人”という理由だけで彼らを受け入れないと発言しています。
恐らく、チャーリーも大都市であるフェニックスから田舎町であるフォークスへ来た時に町の人たちから”よそ物扱い”されたのではないかと思いました。
田舎で暮らす人たちは、名前を聞いただけで”どこに住んでいる誰”であるかが分かる
ベラが新しい学校のクラスメイトについて話した時の事
ベラがクラスメイトのマイクが親切にしてくれると話すとチャーリーはマイクの家族の事も知っているし父親がスポーツ用品店を経営している事まで知っていました。
物語の主役エドワードについて
エドワードはベラに対して警戒心が少なくなった時、瞳の色が”gold”になる
この章ではエドワードがベラに対して好意的です。生物の授業で初めてベラが彼の隣に座った時は、椅子をベラと反対の方向に向けて出来るだけ離れて座っていました。しかしこの章で彼がベラに話しかける時は椅子をベラの方向に向けて礼儀正しく話しかけていると語られています。その時の瞳の色は金色です。ベラは初対面の時の彼の瞳の色は黒だったと語っています。私はこの”黒”は”不安や恐怖”を表す色であると思いました。
エリックはエドワードを引き立てる人物として描かれている
エリックとエドワードの外見の特徴とベラとの会話が噛み合うかを対照的に描かれていると思われます。エリックの外見上の特徴は、”with skin problems and hair black as an oil slick”
(肌トラブルがあってベタベタとした黒髪)でした。一方で、エドワードの特徴は”he looked like he’d just finished shooting a commercial for hair gel.(整髪量のCMを取り終えたばかりのようだった)と記載されています。恐らく”爽やかさ”を対比させています。
そして、ベラとの会話の時にエリックは”母がアルビノなの”と言われて口籠りました。一方エドワードは”It’s…complicated.(複雑なの)”に対して”I think I can keep up(複雑な話にはついて行けると思うけど)と会話を押しています。もしエリックがこの会話をしていたら、フォークスへ来た理由は複雑であると言われると、アルビノと聞いた時同様に失礼な事を言ってしまったのかと口ごもってしまうだろうと思いました。
もしベラが複雑な話であろうと会話を続けて欲しいのであれば、エリックは”母親がアルビノなの”と言われたときに「ユーモアのセンスがあるね!」の後に「アルビノは君が持っている個性だよ。気にしているの?」と聞いたほうがベラが白い肌を短所であると思っている理由まで会話が続いただろうと思いました。ただ、自虐のようなユーモアとして”アルビノ”を使うという事はベラ自身は本当に”肌の色”を短所であると思っていないと考えられます。
”I’d be willing to bet that you’re suffering more than you let anyone see.”「賭けてもいい。きみは他人に見せないところで、もっとつらい思いをしているはずだ、ちがうか?」この発言には根拠がない
物語の主人公エドワードは、ベラの視点から見た時に、欠けているところが無いイメージの人物として描かれています。具体的には、容姿が良く、所得が高い家庭に暮らしていて、生物の授業に於いても細胞の前期、中期、後期の違いが判る(授業理解度が高い)ことが述べられています。
そのような人物が仮にいたとして、その日初めて会話をする”ベラ”が”つらい思いをしてきたかどうか”分かるのか疑問が残ります。
確かに”ベラ”は前章から容姿、母の再婚や多少過保護なこと、苦手な教科について、何でも話せるような友人がいないことなどを挙げていました。
しかし、これらは、”一般的に誰もが経験する悩み”だと思います。
この言葉は彼の記憶から引っ張り出されて言葉、”きみは他人に見せないところで、もっとつらい思いをしてきた”のは、エドワードではないかと私は予想します。
私は英単語の意味をこう捉えた
“open book”人を理解するという事
ベラの母がベラへ言った”OPEN BOOK”について
Oxford Learner’s Dictionariesによると
“open book”とは
if you describe somebody or their life as an open book, you mean that you can easily understand them and know everything about them
(誰かに対してopen bookと使うときは、その人の事を理解している)という意味で使われます。
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/book_1?q=book
ベラと母のメールのやり取りを見ると
母は、ベラからの返信が遅いと
「5時30分までに返信がなかったら、父に電話します」と返信を催促しています。
“5時30分という時刻”から”小学生の子どもが安全に学校から帰ってくるかを心配する親の姿”が想像されます。ベラと母が暮らしていたフェニックスは大都市で、学校の建物は金属フェンスで囲まれており金属探知機も備え付けられていたと記述がありました。これは不審者から子どもを守る必要性がある事を意味すると思いました。
一方フォークスは、ベラの父がクラスメイトの家族の事も知っているくらい町の人たちは顔なじみであり見知らむ人が現れると気づくことが出来るため、金属フェンスなど不要な様子が伺えました。
つまり母は、大都市で暮らしていたという事もあり、より強く娘の身の安全を心配していると思われます。
しかし、ベラは高校生です。思春期を迎えた子どもにとって返信を何度も催促する行為は煩わしさを感じるでしょう。その証拠にベラは母からのメールが3通届いていたメールボックスを見てため息をついています。
メールの文中に”母のブラウスの所在”、”第3者である父も呼んでまで返信を早く受け取りたい様子”を見て
非公式に使われる
(informal) used when you are giving your opinion
(意見を出しやすい⇒指示しやすい)という意味合いも含まれるのではないかと思いました。
なぜなら、”自分のブラウスの所在”は自分で管理するものであり、本当に身の安全を確認したいだけであれば、父に電話で確認すると良いだけだからです。
“spin”の訳し方
生物の授業でベラがエドワードの隣に初めて座った時と
2回目に座った時の彼のベラに対する態度が異なりベラが混乱した場面について
“My mind was spinning with confusion.”と表現しています。
翻訳版の小説では、”この部分を”頭が混乱してくらくらする。”と訳してあります。
Oxford Learner’s Dictionariesによると
“spin”はto turn round and round quickly(円を描くように素早く回転する)という意味です。
私だったら、「(私はこの前会った人とは違う人と話しているのかしらという記憶違い)混乱が頭の中を巡る。」と訳をします。
”turn round and round”円を描くように巡っています。初めて授業で隣に座った時エドワードは、ベラから出来るだけ遠ざかるように座っていたのに対して、次隣へ来たときは親しげに話しかけてきました。ベラは彼の態度の変化の理由が分からず混乱していると思いました。
気になったところ
ベラ自身が会話をしたことが無いのに”bad perm”と書いている人物について
親切なクラスメイトとして描かれているマイクと授業へ向かった時の事。マイクは授業が始まると自分の席へ向かいます。この時マイクの隣に座っていた女の子の容姿は”a girl with brace and a bad perm(歯科矯正器をつけたくるくるパーマの女の子)”と述べられています。
“brace”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
“a metal device that people, especially children, wear inside the mouth to help their teeth grow straight”
⇒特に子どもが歯がまっすぐ育つように口の中に嵌めている金属器具
“perm”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
”a way of changing the style of your hair by using chemicals to create curls that last for several months”
⇒化学的な物を使って数か月間、髪の毛を巻いている状態を継続させている髪型の事
歯並びが良くなるように歯科矯正器をつけたり、なりたい髪型へ近づける為に髪のを巻くことは悪いことではありません。
しかし、英文を見ると”bad” permと書いてあり“brace”と“perm”は”and(等位接続詞:同じ役割のものを結ぶ接続詞)で結ばれています。
この物語は外国の物語であるため、巻いた髪型(curls:元々の髪型が巻髪)が登場しますが、ベラは人工的に変化させたものを好んでいない様子が窺えます。
第3章:PHENOMENON(疑惑) 概要
phenomenonとは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a fact or an event in nature or society, especially one that is not fully understood
⇒自然現象や社会現象でまだ完全に明らかにされていない事と私は捉えました。
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/phenomenon?q=phenomenon
この章では、ベラがアイスバーンを起こした車に撥ねられそうになっているところをエドワードが救出します。彼は人とは思えないほどのスピードで移動し、想像出来ない力で車体を持ち上げます。記憶力の良いベラは、この不自然な出来事の真相をエドワードに問います。
しかしベラは事故の負傷者でもあるため、記憶違いをしていると相手にされず、ベラの中で彼は”何かを隠している人”という「疑惑」が残ります。
この章で登場する人物の特徴
ベラの父(チャーリー)はどういう人物であるか
父について、外見を表す記述はありません。警察署長、必要以上に会話をしない事、ベラがフォークスで暮らすことを決めた時に転校の手続きを済ませたり、通学用の車を準備していました。
そして、この章ではベラにとって初めての雪の日。滑らないように運転をしているとタイヤに父が早起きして自分の知らないところでチェーンを取り付けていたことに気づきます。父は”必要な時に何も言わず助ける”人物として描かれています。
そして、そんな父でも事故の後は心配そうにベラの事を何度も見ていたと描写されていました。”心配です”という感情を言っていいのか戸惑っている様子が感じられました。
エドワードの父(カーライル)はどういう人物であるか
外科医。
若くて、透き通った金色の髪の毛、ベラが今まで見た事がある映画俳優の誰よりもハンサム。しかし、疲れているような様子で、目の下にクマがある。
ベラが、”アイスバーンにより横滑りしている車をよけることが出来たのはエドワードがたまたま近くにいたから”と話すとベラが無傷であった理由に納得する。エドワードがどのような人物であるかを知っている人物です。
タイラー・クローリー
ベラのクラスメイト。政治学の授業を受講している。
アイスバーンした車に乗っていた人物。事故によりベラより100倍以上具合が悪そうな様子
事故を起こした人物であれば、然るべき態度ではあるが、それだけの傷を負っても、轢きそうだったベラの怪我を心配した人物。ぶつかる直前、ベラの隣にエドワードはいなかったと発言した事からベラは自分の記憶は間違いないと確信します。
主役の2人について
ベラは行動をするために理由が必要な人物でエドワードは理由が必要無い人物として描かれていると思いました。
ベラがエドワードへ
“Why did you even bother? “なぜ助けたか(なぜ時間と労力をそこに使ったか)尋ねたとき
エドワードが
“I don’t know.(わからない)と答えた場面は驚きでした。エドワードは自分の行動に理由が必要ない人物として描かれていると思われます。それと対照的にベラは自分が行動した事に理由が必要です。そのため、タイラーのように自分の記憶違いかなとやり過ごすことなく、”特別な何か”があったとエドワードにその真相を問い詰めています。
ベラは”エドワードの為に嘘までついた”と発言していますが、嘘は誰でもつきます。
生物の授業の授業と同様に
ベラ「なぜ助けたのか?」
エドワード「目の前で人が轢かれそうになったから思わず走りました。」
ベラ「それではあなたが死んでしまいます。(フェアではありません)」
エドワード「僕は間違ってますか?」と続ける事も出来そうですが、”わからない”でこの出来事に終わりを告げるところが面白いと思いました。
上記のやり取りは、2人の生物の授業をもとに私が作り出したものですが、人とのやり取りにおいて”その人自身”が間違えているという発言はどちらも使うべきではありません。なぜなら、その進め方だと改善の余地がありません。この物語の場合、エドワードは”特殊な何か”を使う事が出来た為、ベラもエドワードも無傷でした。しかし現実の世界では、”人の命は再起不可能なものである”ためエドワードの咄嗟に飛び出すという行動は良いとは言い難いです。
もし、この出来事に改善の余地があるのであれば(ベラに発言の権利があるのであれば)事故を起こしたタイラーが”タイヤにチェーンをつけていたかどうか”です。もしくは、学校側が”通学時の生徒の身の安全を考慮し休校の処置を取るべきだった事”が議論に値します。しかし、それは物語を通して作者が最も伝えたい事では無いと思います。
エドワードが伝えたかったことについて
ベラの身の安全と彼の家族への影響を心配したのではないかと推測します。
事故が起きた直後、エドワードはベラに
”ベラ、ぼくはきみと一緒に立っていた。ぶつからないように引っぱっただけだ”と話しています。
その時の彼の表情について
“He unleashed the full, devastating power of his eyes on me, as if trying to communicate something crucial.”
⇒彼は不安と悲しさを感じさせるような目で私を見ながら強く言い放ちました。まるで何か大切な事を伝えようとするようでした。
“unleash”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
to suddenly let a strong force, emotion, etc. be felt or have an effect
⇒突然強い力や感情を抱く事
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/unleash?q=unleash
この単語が使われている事から、事故は誰も予期しない突然の出来事であった事が分かります。
“devastate”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
devastate somebody to make somebody feel very shocked and sad
⇒(人に対して使うときは)誰かに不安と悲しさを感じさせる事
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/devastate?q=devastate
エドワードはベラに不安と悲しさを感じさせるような目で見つめながら”君と一緒に立っていたんだ。”と伝えました。
”大切な人を目の前で失う不安や悲しさ”をベラへ伝えようとしている様子を窺えます。
“crucial”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
extremely important, because it will affect other things
⇒他の物にも影響を与えるため、極端に大切な事
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/crucial?q=crucial
”他の物にも影響を与える”、何に影響があるのかこの章では述べられていません。
しかし、私はエドワードの兄弟についての記述
“And then there was his family, looking on from the distance, with expressions that ranged from disapproval to fury but held no hint of concern for their brother’s safety.”
“disapproval”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a feeling that you do not like an idea, an action or somebody’s behaviour because you think it is bad, not suitable or going to have a bad effect on somebody else
⇒あなたが悪い、ふさわしくない、他の誰かに悪い影響を与えると思っている為、好んでいない考え、行動、誰かのふるまい
“fury”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
extreme anger that often includes violent behaviour
⇒暴力的なふるまいを伴うような極端な怒り
“hint”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
something that you say or do in an indirect way in order to show somebody what you are thinking
⇒あなたが考えていることを誰かに示す為の発言や行動
彼の兄弟は彼の今回の行動を”悪い”事であると考えており彼らの表情からは”怒り”すら感じられると描写されています。
私はここに”エドワードが伝えたかった大切な事”が隠されていると思いました。
第4章:INVITATIONS(不測の事態の幕開け)概要
invitationとは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
something that encourages somebody to do something or encourages something to happen, usually something bad
⇒誰かが何かをすることを促すもの、たいていの場合悪いものである
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/invitation?q=invitation
この章では、エドワードがシアトルへ行く予定のベラへ自分もその外出に付き添うと提案します。その会話の中では皮肉に対する良い答え方が記述されています。一方で、エドワードは”友だちにならない方がよい”と良く口に出しているため、このシアトルへ行くという予定は”不測の事態の幕開けとなるのではないかと予想します。
ベラが思う皮肉に対する上手な答え方
エドワードがシアトルへ行くことをベラへ提案する場面で、
“He seemed to have recovered his good humor.”という記述があります。翻訳版では”ユーモア精神をとり戻した”と訳されています。
私はこの”good humor”の少し前の2人の会話から、ベラが考える”良いユーモア”はエドワードの
“it’s not my fault if you are exceptionally unobservant.” (きみがずばぬけて注意散漫なのは僕の責任じゃないよ”の箇所であると推測します。
ベラは突然姿を現したエドワードへ「どうやって突然姿を現しているのか」問います。エドワードは、この”特殊な能力の正体”を聞かれたく無いため、彼にとってはこの質問は”皮肉”でした。ここで彼は”自分が急に姿を現す事が出来るのでは無く、ベラの注意力がずば抜けて散漫である”と返します。この返し方をベラは”良いユーモア”と考えていると私は思いました。しかし、これだけ会話に余裕があるエドワードでも”交通事故でベラを助けるべきでは無かったと思っているはずである”と問われたときは”何も分かっていない”と感情的になっています。”何か不快に感じる事”を言われたときに笑って返せるだけの余裕を持つのは難しいことです。この物語の中では前章で疑問に思っていたことが後の章で明らかになる箇所があり面白いと思いました。
好きな人をどのようにデートへ誘ったか
ベラの住む地域は、女子から好きな人をダンスへ誘うイベントがあります。どんなやり取りをしていたがで、そのキャラクターの特徴が現れていると思いました。
マイク(ルールを守る人)
普段から授業の合間にベラへ話しかけている人物。ダンスパーティは女子から誘うイベントであるため、自分からベラへは声を掛けませんでした。
しかし、他の女の子(ジェシカ)からダンスへ誘われるとベラへ自分と行く気持ちはあるかどうか尋ねます。そこで、ベラがダンスの日は他の用事があると答えると”ダンスの日の日程に合わせることが出来ないのか”ベラへ問います。彼にとってはこの”ダンスの日”が”好きな人と過ごす日”一般的なルールを守る人だと思いました。
エリック(相手の返事がネガティブであると引く人)
エリックは、ダンスパーティは女子から誘うイベントという”ルール”は気にせず自分からベラを誘います。しかし、ベラと初めて会話をしたとき”母がアルビノなの”と返され自分は相手を不快にさせる何かを言ったのかと会話が終わった時と同様に”ダンスの日は他の予定があるの”と言われると”じゃあまた今度”とそれ以上続きませんでした。彼は相手の返事がネガティブであると引く人だと思いました。
タイラー(機会があったら話しかける人)
交通事故の発端となった人です。この事故をきっかけに”事故のお詫びをしたいから”と話しかけるようになりました。ダンスパーティへの誘いも”エドワードの車がベラの車の前に止まっていてベラが止まっていたから”声を掛けました。恐らくベラはこの人物にマイナスな印象は持っていなかったのですが、”マイクだったから断っただけで、自分だったら引き受けてもらえるのではないか”と声を掛けた理由を話すとベラから失望されるのでした。
エドワード(無かった物を持ってきた人)
交通事故の後の事、ベラから尋ねられた”助けた理由が無かった”ため、”デートへ誘う理由”を持ってきました。彼は他のクラスメイトがベラをダンスへ誘ったときに”ベラがシアトルへ行く事”を聞いていたため、自分もシアトルへ行く予定があると誘います。そこでベラが自分で行くことが出来るから必要が無いと答えても”限りある資源の無駄づかいはベラだけでなくみんなの問題である”と引きませんでした。ベラと初めて会話した時に”根拠が無い発言”があったためこの会話では”無かった物”を持ってきたように感じました。
ジェシカ(自分から一直線に向かう人)
ベラと普段からお昼休みを一緒に過ごしている人。名前はごく普通の名前であると本文中に記載があるため彼女は一般的な人として描かれていると思いました。ジェシカはマイクの事が好きです。そのマイクはいつもベラと一緒にいるため、ダンスへ誘う前にベラへ”マイクを誘ってよいかどうか”尋ねます。ベラはダンスへ行く予定はないため、ジェシカはマイクを誘います。マイクから”考えさせて欲しい”と返事があり一旦は落ち込みますが、誘いを受ける返事があると気分が一気に盛り上がります。自分自身はマイクと行くことが出来ないと落ち込んでしまうのですが、ダンスへ一緒に行く他の女子が誰と組むのかはあまり気にしない様子でした。自己中心的なようで、恐らく一般的な事であり一図な人物だと思いました。
物語の中の架空の人物であるため特徴を分かり易く描いていると思いましたが、現実の世界では状況によって使い分けたり、いくつかの特徴を兼ね備えて生活していると思いました。
共通しているのは”誰もがこのデートの誘いを言いづらそうに話している”事でした。自分の好きな人から誘いに対して否定の返事をもらいたくないという気持ちは日本でもアメリカでも変わらないと思った一場面でした。
第5章:BLOOD TYPE(家族の特徴)概要
bloodとは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(formal) family origins
⇒家族の起源
typeとは
(informal) a person of a particular character, with particular features, etc.
⇒特定の性格や容姿をもつ人
日本にも”血縁”という言葉があるように”blood”には”家系”という意味があります。
この章では、”血液検査”で体調が悪くなったベラをエドワードが家まで送る場面があります。その車内の会話で”お互いの家族について”語られています。
エドワードの疑問を残すような発言について
この物語の主役であるエドワードは、序章でその日初めて会話をするベラへ”きみは他人に見せないところで、もっとつらい思いをしているはずだ”と発言し、交通事故の日の病院内では事故を起こしたタイラーが彼に謝っている様子を見て”血の流れないところに恨みはないさ”と言いました。そして本章で貧血で倒れたベラを見て死んでいると思ったようで”ぼくはもっと顔色のいい遺体だって見たことがある。”と述べています。いったい彼はいつ”血”や”遺体”を見たのでしょうか。彼の父親であるカーライルは外科医であるため、手術の現場を目にしたことがあるだろうかと疑問が残りました。今回貧血で倒れたベラを車で家まで送るときに自分自身の両親は”ずっと前に死んだ。”と答えています。もしかしたら、彼は自分自身の両親を目の前で亡くし、その遺体はまるでまだ生きているかのように顔色が良かったのではないだろうかと予想します。
ベラの母親について
ベラは彼女の母親について、”best friend(親友)”と述べています。
その親友の特徴は、prettier(美しさ無しの魅力があり)、outgoing and braver(ベラより社交的で勇敢)、irresponsible(自分の行動がどのような影響を及ぼすか十分に考えない)、slightly eccentric(ちょっと変わりもの)、unpredictable cook(料理の腕はかなり気まぐれ)。母について話していると望みの無い悲しさを感じると語っています。どんなに後ろ向きな印象を持つ母であってもシングルマザーの家庭で育ったベラにとって、幼少期は”必要な存在”であったと考えられます。
また、彼女は”誰かが大人にならなくちゃね”と話しています。
“adult”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a fully grown person who is legally responsible for their actions
⇒行動に対して法律上の責任をとることが出来る成熟した人の事
ベラが考える”adult”には上記の条件に加えて
“responsible”
having the job or duty of doing something or taking care of somebody/something, so that you may be blamed if something goes wrong
⇒何か悪いことが起きた時、責められる可能性があるため仕事や義務を気にかけること
この条件も含まれると思いました。
例えば、彼女の母の場合、ブラウスへクリーニングへ持って行ったのであればそこでお会計を済ませれば、品物を取りに行くのが誰であっても”法律上の責任”は果たしています。もし仮に取りに行くことが遅くなったとしてもお店から”引き取り依頼”の電話が来るくらいで責められるほどの事態にはなりません。ただ、自分で自身の服をクリーニングへ持って行ったのであれば、引き取り事まで頭に入れておくべきであると”rresponsible”という単語から伝えたいのであろうと思いました。
第6章:SCARY STORIES(冷人族の伝説)概要
scaryとは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
frightening
⇒怖がらせる
前章のエドワードとベラの車内の会話で、エドワードはベラに”Do you think that I could be scary?”(ぼくはどう?こわいってことになるかな?)と自分自身がベラを怖がらせる存在であるかを尋ねています。”あなた自身”を怖いと言われると誰でも傷つきます。この章は人を怖がらせる存在と言われた”cold one(冷人族)”の伝説が語られます。
We(私たち)と発言した意図
ローレンが発言したと予想されるWe(私たち):省略箇所を推測しています。
この章ではローレンという名前の女の子が登場します。4章に書かれた記述によるとベラたちと一緒にお昼ご飯を食べるテーブルにはいるが、他の人に対してあまり親しげではなくベラの事をいつも無視している人物です。外見の特徴は”シルクのようにさらさらとした”、”銀色で”、”透き通った金髪”。銀色と金色が使われていますが、恐らく色素が薄い事であると思われます。
教室移動の際、彼女はベラがすぐ後ろを歩いていることに気づかず
”…don’t know why Bella”
“doesn’t just sit with the Cullens from now on.”と発言しています。
翻訳版の小説では
”…ベラなんか…”
”これからはカレンたちと一緒に座ればいいのよ”と翻訳されています。
”これからはカレンたちと一緒に座ればいいのよ”と書きたい場合は
I think that she should sit with Cullens from now on.”と記述することも出来るはずですが、原文は日本語訳から私が考える英文とは異なります。
私はこの発言の主語が省略されていることに着目しました。
“I don’t know why Bella sits with Cullens.”
(私はなぜベラがカレンたちと一緒に座っているのか分からない。)
“I think that she doesn’t just sit with the Cullens from now on.”
(私はベラがただカレンたちと一緒に座っている訳ではないと思う。)
上記のように”ローレン自身の気持ち”を述べたというより
“I don’t know why Bella sits with Cullens.”
(私はなぜベラがカレンたちと一緒に座っているのか分からない。)
“Do you also think that she doesn’t sit with the Cullens from now on.)
(あなたもベラがただカレンたちと一緒に座っている訳ではないと思わない?)
⇒ベラはマイクでなくカレンと一緒に過ごしたいのよ、あなたもそう思わない?とマイクへ同意を求めたのではないだろうかと思いました。
ローレンはマイクと仲良くなりたいのでしょうが、マイクは彼女の発言を受けて”ぼくの友だちだぞ。ぼくたちと一緒に座るんだ”と返しています。
上記の省略された箇所の補足は私が作り出した会話です。エドワードが前章でベラへ”ぼくたち”と似たような発言をしていたため、近い状況だと思い省略された単語を補いました。予想でしかないのですが、その会話を聞きベラはそれ以上聞きたくないと彼女の前方を歩いていたローレンから距離をおきました。
エドワードが発言したWe(ぼくたち)
前章でベラは貧血のため保健室へ行きました。その時マイクが付き添っていたのですが、途中からエドワードが付き添う事となりました。その後マイクはベラの体調が回復したことを知ると週末ビーチで会おうと伝えます。ベラはエドワードをそのビーチへ誘いますが、彼はそこへ行くことは出来ないため
“Let’s you and I not push poor Mike any further this week.
We don’t want him to snap.”
”(今週はもう、ぼくたちふたりでマイクを追いつめるのはやめておこう。
キレられるのはごめんだからね。)”と返しました。
この”(ぼくたち)We”はどのような状況だったら使って良いのでしょうか。この時ベラは(きみ)と言われるより(ぼくたち)と言われた方がずっと良いと語っています。2人が会話をしているこの場にマイクはいません。しかし、マイクがベラと仲良くなりたいと思っている気持ちを笑って良いのだろうかと疑問が残ります。
この時のエドワードの表情は
“His eyes danced; he was enjoying the idea more than he should.
(彼は必要以上に”マイクを遠くへやろうと言った発言”を楽しんでした。)
翻訳版では”マイクが知ったら気の毒なくらい愉快そうだ。”と訳されていました。
翻訳者小原亜美さんは、万が一この会話をマイクが聞くと”悲しさ”を感じるだろうと思いそう訳したと思われます。
原文には、エドワードの発言の後に
“Mike-schmike,”とベラの相槌が書かれています。
“schmike”はドイツ語の”schmiken:化粧”であると私は推測します。
エドワードの”キレられるのはごめんだからね。”に対して
”マイク””化ける”で「マイクは怒るわよ」と返したのではないかと思いました。
「マイクは怒るわよ」と言いながらもベラは
“I liked it more than I should.
この発言”ぼくたち”という発言を必要以上に嬉しいと感じたと語っています。しかし、マイクの気持ちは面白がられて良いのかと考えさせられる場面でした。
ベラが発言したus(私たち):発言の意図は文章中に記述があります。
ベラは、マイクから誘いを受けてラプッシュのビーチへ行きます。エドワードが偶然姿を現さないかと考えていた彼女の前で”カレンたちはここにはこない。”と発言した人物(サム)がいました。その発言がまるで規則を言ったかのようだった為、ベラはジェイコブへサムの発言の意図を尋ねます。
“Who was that other boy Lauren was talking to? He seemed a little old to be hanging out with us.”
“ローレンが話しかけてたもうひとりの子はだれ?あたしたちと一緒に遊ぶにはちょっと大人って感じだったけど”
この時、なぜベラが”あたしたち”と言ったのか
I purposefully lumped myself in with the youngsters, trying to make it clear that preferred Jacob.
“lump”とは
to put or consider different things together in the same group, even when they are actually quite different
⇒異なるものを同じグループの中へ入れる事。たとえそれらが全く異なるものであっても。
発言者ベラは、受け手ジェイコブと距離を近づける為に第3者サムを意図的に同じグループに入れたという記述があります。そして”us(あたしたち)”と同じ類の人物であるという単語を使うことで、第3者を意図的に遠くへ置いたという見方も出来ます。
1.ローレン、2.エドワード、3.ベラ、3者全てに共通していることは、発言者Aが受け手Bへ”We(私たち)という単語を使うとき、「AはBと距離を近づけようとしているがCには特に関心が無いこと」だと思われます。”誰か”と仲良くなりたいときに”関わりの無い第3者”を巻き込んで良いのか疑問が残ります。
ベラは、ジェイコブが彼女が知りたい情報「カレン家について:”カレン家の人々は冷人族である事”と”その冷人族の伝説”」を話してくれた為、ジェイコブの事を友達になれそうと記述しています。私はジェイコブとベラの両者が「冷人族の伝説の真偽」を一緒に研究しているのであれば、良い友達となり得ると思います。しかし、彼女が追う冷人族はジェイコブの部族と敵であると書かれています。”エドワードはエドワード”、”ジョイコブはジェイコブ”と全く別の事柄であるという事なのか、この章に書かれている事からは”友達という単語を使った理由”が分かりませんでした。
冷人族の伝説
“legend”とは
a story from ancient times about people and events, that may or may not be true; this type of story
⇒古くから人々や行事について語られている話。それは真実の可能性もあり、そうでない可能性もある
ジェイコブはベラへ「カレン家について:”カレン家の人々は冷人族である事”と”その冷人族の伝説”」を話しました。そして冷人族は”Blood drinker(血を飲む人)”であると伝えます。彼はその後
“Pretty crazy stuff,though, isn’t it? No wonder my dad doesn’t want us to talk about it to anyone.”
“(かなりイカれた話だよね。父さんがだれにもいうなっていうのも無理ないよ)”と続けました。
古くからの伝説の真偽を、ジェイコブ自身の目では確かめていないと思われます。
ジェイコブ・ブラック(濃い趣味”がある人)
15歳、髪型はさらさらとした艶のある黒色で首元で結んでいる
肌の色は赤茶色、目の色は黒で迫り出した頬骨の上で奥深くおさまっている
可愛らしい顔出し
ジェイコブは、部族という観点で見た時に主役のエドワードと敵対する関係であるため
髪の毛の色は黒、肌の色は赤茶色、子どもっぽさが残る顔出ち
それに対してエドワードは髪の毛の色は赤茶色、肌の色は青白、大人びた顔出ちで描かれていると思われます。
彼には、”車を組み立てる”という濃い趣味があります。そして一般的な人は知らないであろう”希少度の高い部品を入手する方法”も知っていると語っていました。
また、彼の父ビリーとベラの父チャーリーは釣り仲間です。
彼には双子の姉(レイチェルとレベッカ)がおり、ベラは幼いころ両家の父親同士が釣りへ出かける時に双子の姉と一緒に遊んでいたと述べられています。ベラにとって、ジェイコブは父や姉など家族を知っており警戒心が少ない人物であると思われます。
第7章:NIGHTMARE(難題)概要
“nightmare”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
an experience that is very frightening and unpleasant, or very difficult to deal with
⇒何か行動するために恐怖や不快感、もしくは難しさを感じる体験
“nightmare”には悪夢という意味だけでなく、難易度が高い事柄に向かう体験という意味もあります。前章でベラは”冷人族の伝説”と”冷人族はジェイコブの部族と敵対関係であること”を聞きます。それをきっかけに狼の姿をしたジェイコブが吸血鬼の姿をしたエドワードへ跳びかかる夢を見ます。”想い焦がれる人”が危険さらされたとき、それが現実であったらどう行動するか”明確な答えはない難題です。
”even if”:省略箇所を文章中の単語を元に推測
翻訳版の小説では、この箇所を「たとえ彼が・・・」と訳されています。
私は省略された箇所には、物語を読み進める上で重要なポイントが隠されていると思います。
“Even if…”この後ろは
Even if he had drained my body completely of blood but I couldn’t think it.
たとえ彼が私の体から完全に血を吸い取ったとしても。(たとえ彼が私を殺すような人物であるとしても)そう思う事はできないけれど。という文章が入ると推測します。なぜなら”エドワードが吸血鬼であるとベラにとって何が不都合であるのか”を考えると吸血鬼は人の血を吸い取る。そして血を吸い取られた人は死に至ると信じられている為、人にとって危険な存在であると伝えられているのだと思ったからです。
ベラは、エドワードが牙を持ち危険を侵す可能性のある人物であるとしても彼の近くにいたいと語っています。その理由は”Because”の後ろ
“Because when I thought of him ,of his voice, his hypnotic eyes, the magnetic force of his personality.”
⇒彼の声、うっとりとするような目、彼が持つ引きつけられるような力
これらは”その人が危険な人物でない”証拠となり得るのでしょうか。
確かにエドワードは反射神経でベラの命を救いました。第3章の救出により”命の恩人”となりました。より具体的に”冷人族は人に危害を加えるような部族であるかどうか”を今後の話の中で語られると予想します。
ベラは”English(英文学)”が好きでかつ得意
ベラは、ひと昔前の文学の世界に関心があります。
マイクから英語の授業の宿題について、essay(レポート)のタイトルを尋ねられたとき、レポートのタイトルを
“Whether Shakespeare’s treatment of the female characters is misogynistic.”
“シェイクスピアの女性の登場人物に対する扱いは、女性嫌悪症のあらわれか否かについて”と答えました。
彼女は”シェイクスピアの思想”に関心があると思われます。前章で登場したジェイコブが関心を持っていた車のように”実在するもの”でなく、シェイクスピア(近世の作家)の思想 ”目に見える形として実在しないもの”に関心があります。これを調べるためには、シェイクスピアが残した文献の中から”彼がどのような考え方をする人物であるか”を証明するための文章”を見つけ出し、一環した文章にして形にする必要があります。一般的には大学で”近世の文学”を専攻すると、近世の作家が書いた作品に関心をもつ学生と知り合い、彼女が関心を持つ文献を理解する友達が出来ると思われます。
“friend”
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a person who has the same interests and opinions as yourself, and who will help and support you
⇒同じ関心と意見を持ち、助けたり支持する人
高校は各学問の入口です。(各学問を理解する為の基礎知識を学ぶ場所)
レポートのタイトルを聞いたマイクのように
”He stared at me like I ‘d just spoken in pig Latin.”
⇒マイクは、まるで私が答えようが無いラテン語でも話したかのような顔で私を見た。
マイクは恐らくシェイクスピアが書いた文献に関心が低いと思われます。文献を理解していない為”何について話しているか”伝わらなかった可能性があります。しかしベラにも苦手科目があるのと同様でこれは一般的な事です。
第2章の英語の授業風景の記述の描写では
“We had a pop quiz on Wuthering Heights. It was straightforward, very easy.”
”≪嵐が丘≫の抜き打ちテストがあった。ひっかけ問題もなかったし、かなり楽勝だった。”と書かれていました。
“pop quiz”とは
a short test that is given to students without any warning
⇒問いかけが無い小テスト
日本の国語の授業で”漢字の読み方”のテストがあるのと同様に、”抜き打ちテスト”は、”英単語の意味”を問うような記憶したかどうかを確かめるテストだったのではないかと考えられます。授業で扱う文章は”何を問われているか”まで取り上げない可能性があると思いました。
第8章:POAT ANGELES(ひとときの快楽)概要
“Port Angeles”はどのような都市か
Port Angeles was a beautiful little tourist trap, much more polished and quaint than Forks.
⇒美しくて小さな観光地、フォークスより輝いて見えるよう整えられていて、普段とは違った雰囲気を出す意識的に作られた土地である
“polish”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a substance used when rubbing a surface to make it smooth and shiny
⇒表面が輝いて見えるように整えられたもの
“quaint”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
attractive in an unusual or old-fashioned way
⇒普段と異なったものや古風な雰囲気を出し魅力的なもの
また”little”は不可算名詞(数えられない名詞)につきます。そのため、”ひとときの”と時間を表す訳を入れました。観光地はその土地を知らない人たちが訪れます。
“Port Angeles”という観光地は人々によって、”人を引きつけるように作られた場所”のようです。この章では、”人”に”ひとときの幸せ”を与えてくれる物が描かれています。
人々によって、”人を引きつけるように作られた場所”にあったもの
big department store(大型デパート)
ジェシカとアンジェラは、ダンスパーティーへ着ていくセミフォーマルな衣装を買うためにポートアンジェルスの大型デパートへ行きました。この都市はベラが幼少期を過ごしたフェニックスほどの大都市では無いらしく衣装を選ぶための店はそこまで大きくない”The dress selection wasn’t large”と書かれていました。
ジェシカもアンジェラも”イベントの為の衣装選び”をとても楽しんでいる様子が描かれています。”普段の生活からは得られない楽しみ”は誰もが求めます。彼女たちはお互い目的も一致しており、その時間は有意義であったと思われます。
ベラは彼女の母親の衣装選びの買い物と比較して”買い物時間がより短く”、”スムーズに購入まで至った”と書いています。”何かを選択する”ときは、選択肢を絞った方が選びやすくなり、その時間も有意義な物となった様子が窺えました。
book store(本屋)
本屋のウィンドウにあったものは”crystal”, “dream-catchers”, “books about spiritual healing”だったと書かれています。
“crystal”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a small piece of a mineral that some people believe has the power to bring health or happiness
⇒1部の人が健康や幸福をもたらす力があると信じている鉱物
“dream-catcher”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a ring containing a decorated net, originally made by Native Americans, and thought to give its owner good dreams
⇒もともとネイティブアメリカンによって作られた装飾網で覆われたリング。そして、それは所有者に良い夢を与えると考えられていた
“healing”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
the process of becoming or making somebody/something healthy again; the process of getting better after an emotional shock
⇒感情的な怒りや悲しみを受けた後に気持ちを持ち直す過程
“books about spiritual healing”は、”負の感情から立ち直るための方法”のような分野の本である事が推測されます。
例えば、”crystal”に関心を持つ人であれば”運気が上がる石”を買って気持ちを持ち直す事になると思われます。どんな人でも何かを信じたいと思って生きています。”何を信じるか”を問われていると思いました。
a group of four men(4人組の男性)
ベラはポートアンジェルスで本屋を探します。その途中、観光客で賑わう場所から離れた倉庫群へ迷い込みます。そこで4人組の男性と出くわします。彼らはベラを行き止まりのある道へ追い込みました。ベラが男性たちへ”Stay away from me.”(私から離れて)と言い放ちますが、男性たちの反応は”Don’t be like that, sugar,”(そんな発言しないでくれ、彼女。)
“sugar”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a way of addressing somebody that you like or love
⇒好意を寄せる相手への呼びかけ
男性たちが使った”sugar”はベラへの好意、彼らの目的は”性的暴行”の可能性が高いと考えられます。エドワードの助けによりこの事件は未遂で終わります。
ベラは被害者であるため非難される立場ではないのですが、原因があるとすれば”暗くなる時間帯に土地勘が無く人通りも少ない場所を1人で歩いていた事”です。どんな人でも4人対1人での力勝負では勝ち目が無いように思われます。
ベラにとっては車に乗り込んだとき(エドワードに会ったとき)4人組の男性への恐怖や怒りの感情は終了します。しかし、エドワードにとってはまだ終わってないようで張り詰めた表情のまま運転します。私はエドワードが車内でベラへ話した言葉に着目しました。
“But it wouldn’t be helpful for me to turn around and hunt down those…”
“だが、なにもプラスにはならない。ぼくが引き返して、連中を追いつめて…”
“helpful”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
able to improve a particular situation
⇒特定の状況に対して改善が可能な事
ここでは “helpful for me” と書かれているため、”particular situation(特定の状況)”はエドワード自身を指すと思われます。彼は戻って男性4人を押さえつけたところで、”少なくとも彼自身の苛立ちの感情を晴らすことはできない”と伝えたいのだと思いました。
この発言は似た状況に遭遇したとき、実際にやり返したことがあるようなセリフでした。彼は彼自身の経験とそのときの自身の感情を信じているように感じました。
個人が信じている物の善し悪しは個人の主観に委ねられ、その正誤を第3者が判断するには証拠が必要となります。また彼自身を理解するには彼がそのときどう感じたのか、今後語られるまで分かりません。
この章で登場した人物が関心を示したもの
ジェシカ(交際話とダンスパーティ用の衣装)
ジェシカが関心を持っているのは”交際話”です。第1章でベラがエドワードについて尋ねた時も”彼はデートはしない”と答えていました。この章で彼女たちは”イベントの為の衣装選び”をしていましたが、彼女はベラやアンジェラが好意を寄せる人物にも関心を示していました。ジェシカという人物は”一般的な人物”を指すと思われるため、”交際話”に関心を持つのは一般的な事だと思われます。さらにジェシカとアンジェラがとても楽しげに衣装選びをしていたのと同様に”共通の話題”で楽しみたいと思うことも一般的な事だと思いました。
アンジェラ(ダンスパーティー用の衣装)
アンジェラはジェシカと対比する人物であると思われます。自己主張が強い(自身の話を多くする)ジェシカと対照的に自己主張が少ない(自身の話をあまりしない)人物として描かれています。彼女は自分から自身の話をあまりしない為、ベラは彼女を”shy”と語っています。
容姿の特徴は背が高く、髪の毛の色は明るい茶色です。ベラより背が高いと明確な記述はないのですが、ベラの視点で背が高いと書いているという事はベラより背が高いと思われます。一方ジェシカはベラより数センチ背が低いと書かれてました。
ダンスパーティーの相手はエリックです。彼女はエリックに関心が無いようだと書かれてましたが、第6章のビーチで過ごした日の帰りの車内では、彼女は窓ごしに激しくなる嵐ばかり眺めていたと記述がありました。彼女はエリックだけでなく異性に関心がない可能性があります。ジェシカは17歳より早い時期に異性に関心を持っているけれど、アンジェラは17歳の時点で異性に関心がないと対比されていると思われます。
ベラ(エドワードとレストランのウエイター)
ベラはエドワードに強い関心を示しています。彼女が物語の語り手であるため、発言されていない言葉も赤裸々に書かれており彼のことを終始考えている様子が描かれています。彼女は”彼の顔”と”彼が自分とは仲良くならない方が良いと言った理由”に興味を持っていると思いました。
また彼女はレストランのウエイターへ強い負の感情を持ちました。
ポートアンジェルスという観光地で彼女はエドワードとイタリアンレストランで食事をします。観光地にあるレストランであり、彼がチップを渡しウエイターへ”Private(個室)”を依頼したため店員がより丁寧に接客をすることは自然な行動に感じられます。
しかし、彼女は店員が必要以上な笑みを浮かべ彼の方ばかり気にかけていると店員の親切な接客を低く評価していました。
第1章でジェシカも似た考え方を持っていました。ジェシカはベラへカレン夫妻は20代から30代前半という若さで里子を育てていると語った時、”奥さんはきっと子どもが産めないのよ”と奥さんを減点するような発言をしました。
私はジェシカが欲しいものは、”経済力のある旦那”と”彼女自身が他の人から尊敬の的になること”だと思いました(立派であると言われたい)。なぜなら、カーライル先生はすでに結婚しており、奥さんとジェシカは”カーライル先生を取り合う”ライバルではありません。彼女が奥さんに関心を持つ理由は、”外科医と結婚しており経済的に豊か”であり、”ベラがこの話に示した尊敬という評価”を彼女自身も得たいからではないかと思いました。
仮にそうであればベラがウエイターの女性を低く評価した理由は、ウエイターが持っている物がきっかけであると思われます。彼女たちが店へ入ったときのウエイターは
“She was several inches taller than I was, and unnaturally blond.”
⇒ベラより数センチ背が高く、不自然な茶髪(染めた茶髪)”
ベラは自身が”もう少し身長が高いこと”を望んでいて、”茶髪”に憧れていると思われます。
また彼女は普段着であり、エドワードが彼女と距離を保っていたことからウエイターは自分たちを見て満足そうだったと語っています。彼女は店員が自分たちをカップルではないと確信したと思ったのだろうと推測します。通常であればジェシカの例と同様にウエイターは”店へ支払われる金銭”と”顧客へのサービス”を目的に接客をするため、彼女が店員をライバル視する必要はありません。
“Private(個室)”で彼女たちに対応したウエイターの容姿は
“She flipped a strand of short black hair behind one ear and smiled with unnecessary warmth.”
黒いショートヘアを片耳に掛け不必要な笑みを浮かべていた。
第2章にベラが帰宅後、髪の毛をポニーテールにしたと記述があったことから、恐らく彼女は外出時は髪を結んでおらず、理由は”顔を隠すため”であると思いました。
そして、そのウエイターも彼女たちを見てがっかりとした態度をとらなかったと書かれていました。上記の推測が正しい場合、彼女もジェシカと同様に周囲から”イケメンな彼氏がいることを羨ましがられたい”と思っているのではないかと思いました。
私は第2章でベラが人工的に作られたものを良くないものと捉えていると推測しましたが、彼女自身が欲しいが手にしていない物を持っている人を低く評価している可能性もあると思いました。“brace”(歯科矯正器)、“perm”(巻髪)に悪い評価を付けたのは、彼女が”歯並びの良い歯”と”巻髪”へ憧れているからと捉えることも出来ます。
上記の例で、ジェシカはカーライル先生の奥さん、ベラはウエイターの女性とクラスメイトの女子を低評価しています。一般的に女性は女性に厳しいと言われていますが、女性が欲しいものは女性が持っているからだと思いました。例えばベラはエドワードの顔を好んでいますが、その顔は男性の顔であり彼女自身が欲しい(その顔になりたい)とは思わないはずだからです。
エドワード(4人組の男性とベラの白い肌)
彼はアルビノであるベラの”真っ白な肌”に惹かれていると思います。本章で、彼は彼女へ”Your number was up the first time I met you.(君の立ち位置は僕に初めて会った時に決まったんだ)”と言いました。第一印象で判断したという事は彼女の容姿に惹かれたと思われます。そして”That color blue looks lovely with your skin,(そのブルーのブラウスは君の肌の色と合っていて素敵だね”と言いました。彼は自分と同様に彼女が真っ白な肌を持っていることに惹かれていると感じました。
彼は彼女へ近づきたいと思い最初に愛称を探りました。第2章の生物の授業で”イザベラ”でなく”ベラ”と彼女の愛称で呼ひました。彼が彼女の愛称を知る理由は、彼が彼女とクラスメイトが話しているときの会話を聞いていたからであると推測されます。第4章でダンスパーティへの誘いの話では、彼はマイク、エリック、タイラーとベラの会話を聞いていたため、彼女へシアトル行きの用事を提案出来たからです。
その生物の授業で彼と彼女の手が触れたとき、彼女は彼の手を”氷のように冷たい指先。授業の前に雪だまりのなかにでも入れてきたみたい。”と描写しています。さらに本章では、彼が着用していたジャケットを彼女へ渡したとき”ひんやりしてる。風通しがいい廊下にかかっていた上着を朝一番に着たときみたいに。”と書かれていました。彼女はジャケットを脱いだ彼の体つきを”筋肉質な胸板をきわだたせている”と表現しています。私はそれだけ逞しい体格でありながら、今まで着用していたジャケットから全く体温を感じられなかったのは不自然であると思いました。
第5章の血液検査の日、彼はベラへ”人は血のにおいをかぎわけられないはずだ”と言いました。これは、”彼が人ではない”そして”血のにおいをかぎわけられること”を意味すると思いました。仮に彼が”人ではない”場合、その体には”血が巡っていない”可能性があります。この仮定が正しい場合、彼はベラの血を得たいのか、”血”は何を意味するのかは分かりませんでした。
第9章:THEORY(仮説の検証)概要
“theory”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a formal set of ideas that is intended to explain why something happens or exists
⇒なぜその出来事が起きているか、もしくは存在しているか説明するための形式的な考え
ベラは、ジェイコブから聞いた冷人族の伝説(冷人族は人にとって危険な人物となり得るかどうか)を検証します。シェイクスピアのように死後の人間の考えを知る場合は、文献調査ですがエドワードは実在する人物であるため彼女は彼に質問をすることによって仮説の検証をします。
仮説
エドワードは他人の心を読むことができるのか
私はエドワードは、本屋のウィンドウ越しにベラへ微笑みかけながら手招きをしていた占い師の女性の声を聞いたのではないかと推測します。彼は心を読んだことがある人間の心を読むことが出来ると話していますが、その発言は嘘であると思います。なぜなら、人の心の中はその本人でさえ完全に分かっていないことがあるからです。
本章で、彼はせいぜい5km内であるが知っている声であれば聞こえてくると話しています。さらに交通事故の日、ベラに見られた人間では不可能と思えるほどの速さで移動する俊敏性があります。彼はその速さでベラの後を追ったと思われます。ベラとジェシカが別れた後ジェシカから”ベラは本屋へ行く”と聞き、ベラが本屋を去った後に占い師から”彼女が向かった方角”を聞き、4人組の男性からは”性的暴行を犯す”ような発言を聞いたのではないかと思われます。
自分自身の経験と感情を信じること
エドワードは”事故なんて一度も起こしたことないよ。違反チケットをもらったことだってない”と言いながら時速160kmの速さで高速道路を運転していました。この行動の良し悪しを決めるのは個人の主観です。しかし実際に時速160kmで走行すると万が一前方に障害物があった場合、直前で止まることが出来ません。さらにこの物語で描かれた交通事故のように事故を起こした本人のみでなく被害を受ける人が出る可能性も十分考えられます。だから現実の世界では交通ルールが定められています。交通ルールを元に判断すると彼の運転は違法です。
ただ彼は事故を起こさないと信じています。そのため”ぼくの運転に関するコメントはもういいよ”と言いました。彼は”彼自身が信じているものに口出しされたくない人である”これが彼への理解へ繋がると思いました。
エドワードは”第3者によって定められたルールに従わない人物”として描かれていると思われます。それと対照的にベラは”第3者によって定められたルールに従う人物”です。家族間では家庭のルールに従い、学校では校則、運転時は交通ルールに従います。ルールに従うと他者との衝突が起きた時、ルールによって守られます。しかし、ルールを定めた人物に悪意がある場合、時間や労力がその意図に費やされます。
一方、”定められたルールに従わない”場合は、その本人のルールを理解する人のみが従います。この話の場合、エドワードの運転スキルを信頼する人のみ法廷速度を越えた速度で運転する事を認めます。
”交通ルール”に反論を述べたいのであれば、”法定速度で走行した時の事故のリスク”と”自身が走行したいと考える速度での事故のリスク”を比較検討し、第3者が納得する意見を”ルールを定めた人へ改善案”として挙げる必要があります。
エドワードは吸血鬼(vampire)である
ベラはジェイコブから聞いたキラユーテ族の間で語り継がれている伝説をエドワードへ話します。エドワードは自身の”diet”について、”人間の血でなく動物の血を飲むこと”を認めます。その理由は”monster”になりたくないからと語りました。
また、一般的に知られている”吸血鬼は日中外へ出かけられないこと”、”陽の光によって焼け死ぬこと”、”棺桶の中で寝ること”は全て”myth””であると答えます。”blood drinker”である彼の弱点は”I can’t sleep.(眠ることが出来ないこと)”と言いました。
私は”blood drinker(血を飲む人)”というのは”異なる食生活を持つ人”を指すと思いました。”ある人”が”エドワードの部族blood drinker(血を飲む人)”を見て”monster”と呼んだと推測します。
“monster”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a person who is very cruel and evil
⇒誰かが身体的、精神的に苦しむ様子を望み楽しむ人
”エドワードの部族blood drinker(血を飲む人)”を”monster”と呼んだ人は、エドワードの部族がそう呼ばれた時の気持ちを考えていないと思われます。私は”monsterと呼んだであろうある人”はジェイコブの伝説話の中で語られた”white one(白い連中)”であると予想します。
上記で使われていた英単語の意味を下記の意味で捉えました。
“vampire”
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(in stories) a dead person who leaves their grave (= where they are buried) at night to bite living people and drink their blood
⇒(物語の中で)夜中に生きている人々に噛みつき血を飲むために埋められた場所を離れる死者
”diet”
the food and drink that you eat and drink regularly
⇒あなたが食べる食べ物と飲み物や定期的に飲むもの
”myth”
something that many people believe but that does not exist or is false
⇒多くの人が信じているが存在しないもしくは誤っていること
“sleep”
to rest with your eyes closed and your mind and body not active
⇒目を閉じて心と身体の活動を止めて休むこと
ベラの結論と私の考察
①エドワードは(vampire)である
⇒血を飲む人であり、同じ時代を生きる人ではない
②彼の事であるからその強さは分からないが、彼は私の血を欲している
⇒彼は私の事が好きである
③私は限りなく、変えようが無いくらい彼を好きである
ベラはエドワードに惹かれているため”たとえ彼が人ではない何かであっても受け入れる”と語っています。
私はこの結論を見て、ベラはエドワードに無いものを見てないと思いました。
彼との会話で似た状況になった時、ジェシカが彼の発言を受け入れて無かった描写がありました。
第1章で”自分につりあうだけの美人なんて、ここの女子にはいないんでしょ、きっと”と発言していました。彼女が本当に望んでいたものを断言する事は出来ませんが、彼が彼女へ返した答えを受けて”彼に無いものを減点する発言したこと”は予想されます。彼が持っていない物は”論の説明”だと思われます。彼はベラに対しても”You don’t care if I’m a monster? If I’m not human?”(君は仮に僕が化け物であったとしても気にしないというのか?仮に僕が人間でないとしても?)と言いました。彼はジェシカからの交際の誘いに対して”部族が違う”と答えたのではないかと考えられます。
この発言の背景は、”古くから当然のように語り継がれていること(論)”を、後世の人々が理解していないことだと思います。エドワードは自分が属している部族が”なぜ他の部族の人間と近しい関係になってはいけないのか”を理解していないと思われます。
また、私はジェシカはカーライル先生の奥さんを減点した発言の理由を彼女は”経済力のある旦那”と”彼女自身が他の人から尊敬の的になること”を望んでいたと推測しました。
しかし、”血の繋がった子どもではないこと”(奥さんが持っていないものを減点する)を発言には”女性は子どもを産んで一人前”という一般的な人の考えが背景があるように感じました。
(seventeen)17歳という年齢が意味するもの
この物語はアメリカの方によって書かれています。アメリカでは18歳が成人とされる年齢です。17歳という年齢は”大人の手前”を意味すると思いました。
ベラはエドワードへ何歳であるか尋ねました。第5章の血液検査の日の車内では、ベラが彼女の母親について”母の短所も受け入れて親友である”と話した時に彼から彼女へ同じ質問をする場面がありました。彼女はたとえ自身が望んでいなくても他者の望みを優先して行うことが出来ます。
本章でベラからエドワードへ年齢を尋ねる前の場面では、彼が”たとえ僕が化け物であっても(異なる部族であっても)論争にならないというのか?”に対して、彼女が”私はまた間違えましたか?”と返し、彼が”正誤を問う問題ではないんだ”と話しています。彼は異なる部族の人々との関わりたい気持ちより部族に伝わる論(掟)を優先して行動していると思われます。
上記は両者ともに”人の理解”、”論の理解”ではありません。17歳という年齢は自分以外の人や物事を理解する事が出来る年齢として描かれていると思いました。
第10章:INTERROGATION(未開拓の闇)概要
“interrogation”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(specialist) the process of obtaining information from a computer or other machine
⇒(専門的に)パソコンや機械から(機械的に)情報を入手する過程
法律は作られた当初に人々の間で何か問題があったから定められたものです。そしてそれは”人によって定められたもの”です。書かれている事柄をそのまま読むだけでは、それを定めた人の理解を越える範囲では効力を持ちません。本章では”人の理解を越える範囲”で起こっている事について語られています。
ジェシカが持つエドワードの印象
人は”全く関心を向けたことが無い人”に対して何か感情を抱くことは無いと私は思います。本章では第1章でジェシカがエドワードの人柄を否定するような発言をした理由が書かれてました。
“He’s so …intimidating. I wouldn’t know what to say to him.”
⇒彼と話していると私は自信を失ってしまって。私は彼に何て言って良いか分からなくなるの。
”intimidating”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
frightening in a way that makes a person feel less confident
⇒人に自信を無くさせる方法で怖がらせること
彼女が上記のように話した理由を探るためにエドワードと会話をしたときの描写に着目しました。
この会話をした朝の出来事
““Good morning, Jessica,” Edward said politely. It wasn’t really his fault that his voice was so irresistible. Or what his eyes were capable of.”
⇒”おはよう、ジェシカ”と彼は丁寧に言った。彼に非は無いだけれどその時の声や目つきは抵抗する事が出来ないほど強いものだった。(あなたたち付き合っているの?とからかったり出来ないほど威圧的だった。)
“irresistible”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
so strong that it cannot be stopped or resisted
⇒抑えたり抵抗出来ないほどの強さ
翻訳版の小説では、魅力的な声と目つきと訳されています。確かにベラの目線からは好意を寄せる人の声や目は”魅力的”なものとなります。しかし、同じ声や表情であっても”ジェシカには威圧的”に感じている可能性があると思いました。
ポートアンジェルスのレストランへ入る前の会話
“Edward’s voice was low, but full of authority. He looked up at Jessica and spoke slightly louder. “Do you mind if I drive Bella home tonight? That way you won’t have to wait while she eats.”
⇒エドワードの声は低いがその声には指図するような力強さがあった。彼はジェシカを見るとやや声量を上げて”僕が今晩ベラを家まで送ってもいいかな?そうすれば君たちは彼女が食べている間待つ必要がないのだから。”
ここでの”声の特徴”は、”low(低い)”、”authority(指図する力)、”slightly louder(かすかに大きい)”です。単に低い声だったのではなく”やや大きな声で命令口調である様子”が窺えました。
エドワードは”やや離れている人の声も聞こえること”を考慮すると彼は第1章のジェシカが彼を否定する発言を聞いており、好意的になれないため敵意を向けるような口調となったように感じました。
ベラが持つ良い一面
本章でエドワードはベラへ”you didn’t hear what every human male in this school was thinking on your first day.”と言いました。
⇒君は初日にこの学校へ通う全ての男子生徒が君について話していたことを聞いていなかったんだ。
私は、”初日に男子生徒がベラへ抱いた印象”また会話もしていない人物に対して描く印象は”第一印象”もしくは”噂話”の可能性があると思いました。”第一印象”であれば”真っ白な肌”が挙げられます。しかし、フォークスは一年を通して曇っている日が多い地域であり”肌が白い人”は珍しい特徴でないように感じられます。
また、第1章でベラは自身が持つ肌の色の特徴について、”あたしの顔には、色ってものがない。”と語っています。”色が無い”は単に肌の色を表しているというより”誇れるものが無い”と表現しているのだと思われます。なぜなら、ベラの休日の行動(本屋へ行き様々な文献を読むこと)や、得意とする課題図書を元にした論述は答えが確実に定まっている科目では無いため、小論文を提出したところで満点という評価を得られないからです。しかし、このような心境となるのは”自分を知ろうとする自我の芽生え”であり一般的なことであると思われます。
”噂話”の場合、”警察署長の娘”という特徴が挙げられます。第1章に”パトカーくらい、スピーディーな交通をさまたげるものはない。”と書かれています。さらにフォークスは田舎町として描かれているため、警察署は町に1つしかない可能性があります。ベラは自身の父の職業を否定的に語っていますが、”権威を持つ人の娘”という見方も出来ます。
“human”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
showing the weaknesses and desires that are typical of people, which means that other people should not criticize the person too much
⇒典型的な人々の弱みや願望を示すこと
それは他者によって批判されるべきではないことを意味します
“human man”と書くことで”弱みや願望をもつ人々”と表現しているように感じました。”人から口出しされたくない弱みや願望”を持つから自身のバックに”権威”を求めることを意味すると思いました。
第3章でベラは転校する前後で自分の容姿は何も変わっていないと語っています。彼女の母親の職業は語られていませんが、第1章に”数少ない低所得者層が暮らす界隈に住んでいた”という描写がありました。彼女は所得が低い家庭であったことを否定していませんが、彼女自身が何も変わっていないのに急に周囲の生徒から声を掛けられるようになった理由は”家柄”が関係している可能性があります。
エドワードは、”自身が血を飲む部族(化け物と呼ばれた部族)”であることを自身の短所であると感じているようでした。仮にそうであれば”ベラの父が警察署長であること”は彼女の長所と捉えているのではないかと推測します。
第7章で語られた”エドワードはひと昔前の文学の世界の方が合いそう”というベラの空想が当たっている場合、その時代の警察署長は強い権力を持つ人物であったと予想されます。
私自身は”父の職業が警察署長”である事は、そこまで権威あることではないと思います。実際にチャーリーはベラへ”交通ルールを守るべきである”と言い聞かせて育てたという描写はありましたが、その理由を説明している描写は見られませんでした。”仕事一図な人物”として描かれているチャーリー自身は、ルールを厳格に守る人物”であると思われます。職業上、その行動自体は大切な事ですが”ルール自体を疑わない人物”であるという見方も出来るからです。
チャーリーはどのような人物であるか
ベラはエドワードと出かけることをチャーリーに話すのは気が進まない様子で
”With Charlie, less is always more.”
⇒チャーリーにとっては、少ないと感じるくらいの会話でも多すぎるの。言いました。
確かにチャーリーは、ベラはドレスを買う用事は無いのにジェシカやアンジェラと出かけることを伝えた時”おまえはダンスには行かないんじゃなかったのか。”と反応したり、ポートアンジェルスの買い物から帰ってきて早々にジェシカへ電話をすると言ったベラへ”いままで一緒にいたのに?”と”用事がなければ会話をする必要が無い”と考えている人物として描かれています。
そんな父は第3章の交通事故の日、朝早くから何も言わずベラの通学用のタイヤにチェーンを付けていてくれた優しさがあります。さらに元々彼はベラがダンスパーティーへ参加すると思っていました。(ベラにもきっと好きな人がいるだろうと思います。)
しかし、ベラが父へエドワードと出かけることを話したくないと述べています。その理由があるとすれば、父の性格というよりポートアンジェルスの外出からの帰宅後、電話でジェシカが察したこと”ああ、お父さんがそばにいるんだ。(お父さんに好きな男の子のこと話したくないよね)”という発言が最も納得出来ます。同年齢かつ同性だから察することが出来る思春期の女子の心情が感じられました。
狩りの様子を見せない理由
エドワードがベラに狩りをしているところを見せたくない理由は”自身のことをベラから化け物であると言われることを恐れているから”だと思います。これまでの話で彼は”自身が人では無いこと(誰かから化け物であると言われたであろうこと)”を気にしているように感じました。私はその過去があるこそ他の部族の人間と関わりを持つことが許されていないと推測します。
彼は”公平であるかどうか”をよく口にします。クマ狩りについて語っているとき”法律が適用されるのは武器を使った狩りだけ”とベラへ自身の行動は狩りが許される時期ではないが法律違反でないと主張しました。
彼は銃やナイフなどを用いること無く自身の牙を使って狩りをすると思われます。上記の理由は言い訳と認識しているのか自分の狩りは道具を使っていないが違法である事は認めていました。そのため”生態系に影響を与えないようにしている”とも語りました。
上記の主張を聞くと生態系に影響を与えないようにしているのであれば問題無い行動のように感じます。ただ第3者が聞いて納得するだけの証拠は語られていません。自身の主張(願望)を他者へ受け入れてもらいたいとき、”僕はいつも正しい”と主観を述べるだけでは同意を得られません。どういった方法であれば第3者が認める形となるのかを作中で描かれるのではないかと予想します。
第11章:COMPLICATION(近づきたい想い)概要
ベラは強くエドワードの顔に触れたいと感じます。その感情が生じるのは隣り合って座る生物の授業の時でした。ビデオ鑑賞のために教室の電気が消えた時と彼女の睡眠時にその感情が強く起こるようです。その感情と同様のことがエドワードにも起きているのか彼は初めて自分からベラの顔に触れます。これまでは”僕とは仲良くならない方が良い”と”ばかり話していた彼が彼女へまるで尋問のような質問を繰り返す場面が描かれています。
名前の呼びかたについて
物語の語り手ベラは転校性です。クラスメイトとは幼いころから友人関係というわけではありません。しかし知り合って自己紹介をしたときから相手が女子であろうと男子であろうと”First name”(名前)で呼んでいます。彼女が関心を示した相手を“Last name”(姓)で呼ぶ場面は見られませんでした。
しかし、エドワードはマイクを”Newton”(姓)で呼んでおり、マイクもエドワードのこを”Cullen”(姓)で呼んでいます。第3章の交通事故の後の病院ではタイラーも”Cullen? I didn’t see him…(カレン?彼は君の隣にいなかったけどな)と姓で呼んでいました。男子は男子の事を姓で呼ぶのでしょうか。
タイラーは彼自身が見たことを正直に語ります。彼は第4章でベラをダンスパーティーへ誘ったとき”シアトルへ行く用事がある”と誘いを断った彼女へ”Yean,Mike said that,”(ああ、マイクもそう言ってた)と彼がマイクから聞いたことを正直に話しました。彼女からダンスパーティーへの誘いを断られたマイクは恋愛においてのライバルでは無いと表現されているようでした。ここでは敬称(Mr./Ms.)無しに相手を姓で呼ぶことは恋愛においてのライバルを意味するようです。
高校生の学校生活が舞台となっているためクラスメイトとは上下関係がありません。立場上(職業上)敬意を表すときは敬称(Mr./Ms.)+姓(Last name)で表現されています。
またベラが転校初日にクラスメイトから声を掛けられる場面では、フルネームで呼ばれていたことから、特別な感情は無く初対面という理由で相手と距離を置くときはフルネームが使われると思われます。
人に見られたくないもの
ベラは自身の”バランス感覚”に自信が無いようで平坦な道でもよく転ぶと語っています。そのため、道で躓いたり体育の授業で上手く動くことが出来ない様子を他人に見られたく無いと語っています。私は恐らく彼女はその姿に対して否定的な言葉を受けたことがあるのだろうと思いました。
一方、エドワードは自身が狩りをしているところをベラへ見られたくないと話しています。その理由は”ぼくたちが狩りをするときは”、”本能に身をゆだねる。理性のコントロールはほとんどきかない。とりわけ嗅覚は敏感になる。そんなふうに自制心を失っているときにきみがそばにいたら……”と語っています。
これは、マイクがエドワードについて語った”きみを見るときのあいつの目つき……まるで、食いものにしようとしているみたいだ”という発言が当てはまるということでしょうか。エドワードは狩りをするときベラが近くにいたら彼女の血を飲むということなのかという疑問が残りました。
ベラが見られたくない体育については”必要だから(必修科目だから)”受けているだけで高校生活が終わるとその苦手への悩みはなくなると思いました。
しかし、エドワードが見られたくない狩りは、彼自身が動物の血を飲みたいという”欲求”がなくなるまでは悩みがなくならないだろうと思いました。”動物を狩ったことがない人”、”動物の血を飲んだことがない人”にとって”動物を狩ってその血を飲むこと”は恐ろしく感じられます。第10章で彼は自身が狩りをしている姿について”ライオンみたいな感じかな。みんなはそういうけど。”と同じ部族の人間がその姿をどう評価しているかを話します。日本ではライオンは”百獣の王”と表現されます。これは部族の中でも特に狩りが上手いことを意味すると思われます。自身が得意としていることを他者から見ると”怖い”という評価へ繋がる場合、”同じものを得意とする(同じ習慣を持つ者)との関わりへ孤立するのではないかと思いました。
”twilight”の意味
エドワードは黄昏時を”僕たち(狩りをする部族)にとって最も安全な時間だ”と語りました。”The easiest time”(獲物を追う緊張からの解放)、But also the saddest(その楽しみから離れる悲しさ)という意味だと思いました。”Darkness is so predictable”(暗闇は周囲の動きが聞こえやすくなるから、敵の動きが予想出来て退屈だ)と訳すことが出来ると思います。
第10章で彼は好みの動物を”Mountain Lion(クーガー:アメリカンライオン)と語りました。さらに彼の仲間は彼のことを”ライオンみたいな感じ”と例えていると話していました。彼は”相手が怒り狂った状態の激しい狩り”を好むと思われます。そのため狩りを終えて張り合いがなくなる夜の時間帯を退屈であると表現したように感じました。
また第2章でベラが彼女自身を”Cowardly Lion”(臆病なライオン)と例えていたことから”Lion”は2人の相反する特徴、共通した特徴を表現していると思われます。
“Mountain Lion”(エドワード)は、ベラが平坦な道でも躓くような人物として描かれているのに対して、険しい山道でも容易に移動することが出来る人として例えていると思いました。さらにクーガーはアメリカに生息する動物です。第7章でベラが文学作品を読んでいるとき主人公の名前がエドワードもしくは似た名前であると語っていました。エドワードという名前はアメリカ出身で栄光を成し遂げる人物を意味すると推測します。主役の2人を同じ”Lion”として表現した理由は両者共に1度好奇心を持ったものを追い続ける性格であることを表すと思いました。
第12章BALANCING(つりあい)概要
ここではキラユーテ族の長であるジェイコブの父ビリーが登場します。ベラは彼らの黒い目からは表情が読めないと語っています。目を見てその時の相手の感情を推測しやすい人もいれば、分かりづらい人もいます。その場合、自身の先入観で判断するのではなく相手の発言と行動を見る必要があると思います。
黒い目は表情が読めない
ジェイコブと彼の父ビリーは色素が濃い人物です。ベラは彼らの黒い目からは表情が読めないと語っています。彼女が幼少期を共に過ごした母はアルビノ(色素欠之症)です。つまり目を見ると怒りや喜びの感情を読みやすいことを意味すると思われます。
日本で暮らす私にとっては、目の色が黒いことは当たり前であるため目の中を覗き込んで相手の感情を理解しようとしたことはありません。しかし、目の色が黒い人と普段関わることが無い人にとっては表情を読むことが出来ない人は何を考えているか分からないため恐怖感を感じるだろうと思いました。
ベラは第9章で”とりわけ男の人ってーおなかが空いていると機嫌が悪くなるのよ”と彼女の仮説を語りました。私は”作者は黒い目で何を表現しようとしたかについて”恐怖もしくは不安”を表現していると考えます。エドワードの目の色が黒かったのは、第1章の初対面の時と第3章の交通事故の後、第7章のベラの悪夢の中だけです。第1章でエドワードが恐怖心を感じた理由は未だ明かされていません。第3章の事故の後に目の色が黒くなったのは”彼の家族が事故現場で示した怒りの表情”が関係すると思われます。”彼が持つ特別な力”を他の部族の人間に見られた事への恐怖心の表れだと推測します。第7章の悪夢の中で目の色が黒かったのは、敵対する部族であるジェイコブが襲い掛かろうとしていたこと恋愛のライバルであるマイクがベラがエドワードがいる方向へ行くことを制止しようとしていたことからエドワードに仲間がいないことへの恐怖心を表現したと思いました。
物語の中の人物の目の色が変わるのは作者の意図があると思います。しかし、実際に日本人読者である私の目の色は黒ですが、その先天的な特徴は不安や恐怖心の現れではありません。カレン家を嫌うビリーの目の色は黒、そしてベラは冷人族の伝説を信じるビリーへ不安や恐怖に近いものを感じていました。しかし、ここでのビリーの目の色は彼の感情を表している訳では無いと思いました。
ジェイコブは実論派(実際に見たものを信じる)
第7章でベラはジェイコブから聞いた冷人族の伝説を元に悪夢を見ました。彼女は彼もまたカレン家の人に悪い印象を持っているのではないかと考えます。ところが、彼はエドワードが乗っていた車を見て、ただ”イカした車だったよね”と言っただけでした。その声には憧れがにじんでいたそうです。
そしてベラが家まで車で送ってくれた人はエドワードである事が分かると自身の父を”Superstitious old man”(自然科学では証明出来ない事を信じる爺さんだ)と笑いました。この時までジェイコブは彼の父が話す冷人族の伝説を信じておらず、カレン家の人々にも特に悪い印象を持っていなかったと思われます。
”superstitious”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
the belief that particular events happen in a way that cannot be explained by reason or science
⇒証拠や自然科学で説明することが出来ない特殊な出来事を信じること
ジェイコブは車という”実物があるもの”を好み、古くから信じられているが現存する証拠が無い”伝説”を信用しない”実論派”の人物として描かれていると思われます。
しかし、ベラから”ビリーはチャーリーにカレン家のことについて何か話すかどうか”を尋ねられて彼の動きが一瞬止まった様子が描写されていました。今後の物語を読まないとここでジェイコブが何を考えたかわかりません。ただベラがキラユーテ族の人々はカレン家の人々と敵対する関係であるという先入観を持っていたからこそ、ここでジェイコブに疑念が生じたと思われます。
マイクがベラへ思うこと
マイクはベラに休み時間に終始話しかけたり彼女が苦手とする体育の授業でも自身が代わりに動くなどの行動でいつも気にかけていました。彼は彼女とダンスパーティーで踊りたかったはずです。しかし、彼女がダンスへは行かないと強く断ると誘った理由はただの”offering”だったと話しました。
“offering”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
something that is produced for other people to use, watch, enjoy, etc.
⇒他者が使う、観る、楽しむために作られたもの
ビーチで飲み物や食べ物を進んで渡した理由はただ食べてもらうため、普段話しかけたり体育の授業で助ける理由はただ観てもらったり楽しんでもらうための行動だったかのように語りました。翻訳版の小説では”親切でいっただけなのに”と訳されています。私は人が他者へ話しかける時は相手に何かをやってもらいたいという行動を促す気持ちや自身の喜びや悲しみなどの感情を伝えたいという気持ちがあると思います。マイクにはベラに何かをさせようという悪意でなく好意があったはずなのでそれを”親切”と翻訳されているのを見て上手く表現されていると思いました。
ここでの会話はマイクの失恋以外にもう1つ別の話題がありました。ベラはマイクへダンスの日は”数学の試験勉強をすること”、”エドワードは勉強を手伝わないこと”を伝えました。私はここでの科目が数学であったことは”エドワードは理論を理解しようとしない人”であることを意味すると思いました。一般的に国語や数学は理論を理解する力を身につける科目であると言われています。
第10章でエドワードは”注意して読めばわかるけど、法律が適用されるのは銃を使った狩りだけなんだよ”と言いました。そしてさらに”気がたっているグリスリーより楽しいものなんてないもんね”と自身がどのように狩りを楽しんでいるかを話しました。ベラはこの時の会話からエドワードが法律(理論)を理解しようとしていないと感じたのだろうと思いました。ここでの法律は”生態系の保護”と”両者戦う体勢(冬眠の時期はクマが防御可能な体勢ではない)であること”を意味するのだろうと思いました。
第13章CONFESSIONS(非を認める) 概要
第1章でエドワードがベラへ取った行動の理由が語られています。
“confession”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
[countable, uncountable] a statement admitting something that you are ashamed or embarrassed about; the act of making such a statement
⇒自身の行動について恥ずかしさや戸惑いを認めること
エドワードは初対面の時のベラに対して自身が取った態度に恥ずかしさを感じているようです。第3章の交通事故の時彼が彼女を助けた理由を説明しています。また、これまでは彼が謝る場面はたびたび見られたのに対して、この章では彼女が自身の行動を謝る場面が描かれています。
エドワードがベラへ思うこと
“Come on, little coward, climb on my back.(ほら、弱虫なお嬢さん。背中にのって)”と翻訳されていますが、”little”は不可算名詞(数えられない名詞)の前に置きます。”お嬢さん”のように数えられる名詞の前でなく、その人の”心”のような抽象的な名詞の前に置かれます。”a little”でなく”little”と書かれているため、話し手エドワードはベラの心に臆病な気持ちがほどんど無いと思っていることが推測されます。彼は自身を”危険な人物であり仲良くならない方が良い”と発言する場面が多々見られます。そんな彼の発言を受けても怖がることなく一緒に過ごす彼女に”恐怖心を知らない者”と呼びかけているように感じられました。
しかし、実際ベラは第2章で自身のこと”I made the Cowardly Lion look like the terminator.”と表現しています。”Cowardly Lion”は翻訳版では臆病うさぎと訳されています。
“cowardly”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
not brave; not having the courage to do things that other people do not think are especially difficult
⇒勇敢ではない、他の人が特に難しさを感じていないことをする勇気を持っていないこと
“terminate”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
[intransitive, transitive] to end; to make something end
⇒終わらせること
第2章では、ベラが初対面であるはずの自分を嫌うような態度を取ったエドワードへ”私はあなたへ何か気に入らないことをしましたか。”と聞くことが出来ないと語っています。通常自身を嫌う態度を取る人へ気を使う必要は無く、大抵の人は”何が気に入らないのか”を尋ねることが出来ると彼女は感じているため”coward”という単語を使ったと思われます。また”terminator”名詞として使われているため翻訳版に書かれているように”無敵のターミネーター”と捉えるのが自然です。ただ“terminate”という動詞には”終わらせる”という意味があります。ここでは”何が気に入らないのか聞くこと”を指すと思いました。
フルネームで読んだ意図
普段愛称で呼ぶ相手の名前を正式に呼ぶ場面では発言に”意図”があると考えられます。ここはエドワードからベラへ告白の場面です。この突然の告白でベラの心は”spin(困惑)”します。なぜならその直前には彼女の血(彼女の命)を狙っていたかのような発言をしていたからです。
交通事故の日、もし助けなかったらベラの血が道路に散り彼は彼女の血の香りへの欲を抑えられなくなる。だからその状態を避けるために助けたという彼の家族へ自身の行動をどう説明したかを語りました。そしてこれは後から理由であると語っています。
そのため出会った初日に彼女の血の匂いで彼の行動の制御が効かなくなったとは考えづらいと思いました。
彼は事故の直前”なにがあってもあの子だけは死なせない。”そう思って行動したと語られています。第3章で事故直前エドワードの顔には”shock(恐怖)”が浮かんでいたという描写がありました。この”彼女を救いたい”という感情が起きたのは第2章の生物の授業の会話が鍵であると思います。第2章の会話でベラは彼女の母の再婚を機に父と暮らし始めたことを話します。寒い地域が苦手なのになぜフォークスで暮らすのか。母と暮らしたいのであれば、なぜ母と暮らさないのか。彼自身は日差しが当たらないフォークスが好きで暮らしており、”カレン家の人々”が好きで一緒に暮らしています。彼自身との行動の違いに何かしらの”関心”を持ったため”助ける”という行動へ至ったように感じられました。
キスの場面を見て私が主役の2人について感じたこと
ベラは理論派(理想的な考え方を信じる)
ベラには”キスそのものよりすてきな甘い瞬間”を楽しむというキスへの理想像があったと書かれていました。英語では”ideal moment of anticipation, sometimes better than the kiss itself.”と書かれています。
”ideal moment of anticipation”は、今行おうとしている行動について自身の頭の中で想像しているものという意味です。彼女は”ideal”(理論派)です。
“ideal”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
[only before noun] existing only in your imagination or as an idea; not likely to be real
⇒(名詞の前に置いて)現実とは異なる自身の頭の中にのみある想像や考え
”idea”は現実的ではないため”机上の空論”と表現されることもあります。ただ、理想像が無ければ何を元に行動するのか問われると思います。
しかし、実際にキスをしたとき彼女は”時間を楽しむ”というよりは”My lips parted as I breathed in his heady scent.”(確かに存在している彼の香りを吸いこもうとした)と書かれていました。
その結果、”I felt him turn to unresponsive stone beneath my lips.”(彼が私の期待に答えられない石を私の唇から動かすのを感じた)と語られています。エドワードの唇は”石”だったと明記されています。
私はベラがカレン家の人々の容姿を”inhumanly beautiful”(人と思えないほど美しい)と表現しているその身体は”statue:彫刻(人と同じ、もしくは少し大きく形作られた石)ではないかという疑問を持ちました。
エドワードは正義派(自身の正義感を信じる)
エドワードは”自身を受け入れてもらえるかどうか”ではなく”自分を試そうとした”と書かれていました。そしてこの時まで、彼もベラも”ベラが理性を失った状態”を予想していなかったと書かれています。
ベラが理性を失った姿を見た後の会話について
ベラ:”Oops,”
Oxford Learner’s Dictionariesによると
used when you have done something embarrassing, said something rude by accident, told a secret, etc.
⇒突然の出来事によって無礼な発言をしたことへの戸惑い(キスによって無礼な行動を取ったことへの恥ずかしさを表現しただけだと思われます。)
エドワード:”That’s an understatement.”
“understatement”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a statement that makes something seem less important, impressive, serious, etc. than it really is
⇒その出来事があまり深刻では無い状態(ベラが彼女の行動に恥ずかしさを表しているけれど、そこまで恥ずかしいことでは無いと答えたと思われます。)
この後の訳は翻訳版の小説で上手く訳されていると思いました。
“I’m stronger than I thought. It’s nice to know.”(ぼくは自分が思っていたより強いんだ。それがわかってよかったよ。)
この発言からベラが彼の様子を描写している通り、彼は自身を試そうとしていたことが窺えます。
“You are only human, after all.(結局、きみはただの人間だからな)”
さらに上記の発言をしました。このキスシーンの少し前に彼が移動する速さで森を駆け抜け顔色が真っ白になった彼女を見て“You’re as white as ghost – no, you’re as white as me!(幽霊みたいに真っ白じゃないか。いや、ぼくみたいに真っ白だ)”と語りました。彼は自身が”ghost”であると表現しているようでした。
“ghost”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
the spirit of a dead person that a living person believes they can see or hear
⇒生きている人が見えたり聞こえたりすると信じている死者の魂
彼の身体は石(彫刻)であり、そこに魂が宿っているように感じられました。
“You’re intoxicated by my very presence.(ぼくの存在に酔いしれてるくせに)”
自身が人間ではないことを告げるような発言をしたあとに上記の発言をしました。
“intoxicate”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(of alcohol or drugs) to cause somebody to lose control of their behaviour or their physical and mental abilities
⇒(アルコールや薬を原因として)身体的、精神的なふるまいを制御する力を失うこと
“presence”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(literary) a person or spirit that you cannot see but that you feel is near
⇒(文学の世界の中で)近くにいるように感じるが見えない人や魂
翻訳版では”ぼくの存在”と訳されていますが、”僕の魂に酔いしれている”と私は捉えました。
第14章MIND OVER MATTER(部族の掟を越えた気持ち)概要
前章でエドワードは他の人間には見せていない自身の姿をベラへ開示していました。本章では彼と彼の家族が”vampire”となった成り立ちを説明しています。これまでの物語で彼が”matter”という単語が使った箇所は全て”family(家系)”もしくは”tribe(部族)”という単語が当てはまると私は思います。ここでは部族の掟を越えた気持ちが語られています
エドワードと彼の家族について
エドワード
1901年にシカゴで生まれた
1918年の夏、彼が17歳の時にスペイン風邪で死にかけていえるところをカーライルによって救われた
カーライルの最初の家族である
エズミ(エドワードの母)
エドワードがカーライルの家族となった後、すぐにエドワードの家族となった
崖から転落して死体安置所に搬送されたが、心臓はまだ動いていたためカーライルによって救われた
ロザリー(ジャスパーと双子、カレン家の里子)
エズミの後に家族に加わった
カーライルは元々エドワードと恋人関係になることを望んでいたようだった
しかし、エドワードにとっては”姉”という存在にしかならなかった
2年後、彼らがアパラチア地方で暮らしていたころ、クマに殺されかけているエメットを見つけて、彼女は彼を”vampire”にした。ロザリーとエメットは夫婦としてエドワードたちと別々に暮らすこともある
エメット(エドワードの兄)
クマに殺されそうになっていたところをロザリーに救われた。
人の血の匂いに耐えられなかった事が過去に2回ある
ジャスパー(ロザリーと双子、カレン家の里子)
ジャスパーとアリスは”conscience”を習得していた
”conscience”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
he part of your mind that tells you whether your actions are right or wrong
⇒自身の行動の善悪を判断する力
翻訳版では”人間を狩ることに罪悪感を覚える”と表現されています。原作には”conscience”とのみ書かれています。人間だった時に自身の行動の善悪を判断する力を身につけていた場合は、自ら人を狩ろうとしないのではないかと思いました。
“Jasper belonged to another…family, a very different kind of family.”
⇒ジャスパーは”family:家系”が異なると語られています。先に紹介されたエドワード、エズミ、ロザリー、エメットは身元が不明な家系(たとえ”vampire”に変わったことで元々いた場所から姿を消しても誰も気に留めない)であったことに対して、身元がはっきりしており衣食住に困らない家系だったのではないかと推測します。エドワードは両親を亡くし身元不明な状態で病院にいました。その自身の家系と対比していると思われます。
しかしながら、身元がはっきりとしている家系育ちだと思われるジャスパーは、精神的に参って1人きりで放浪としていたと書かれています。そんな彼をアリスが見つけ”vampire”にしました。
アリス(エドワードの姉)
ジャスパーと同様に”conscience(自身の行動の善悪を判断する力”を元々身に着けていた
優れた聴力を持つエドワードのように、優れた視力”see(視力)”を持つ
エドワードは4,5キロ離れている場所にいる人の会話が聞こえることを考慮するとアリスは4,5キロ離れている場所にいる人の行動を見ることが出来ると推測します。
彼女は人間だったときの記憶は全く残っておらず、誰が彼女をvampire”に変えたかも分からない
もしカレン家の人々と出会ってなかったら”savage”になっていただろうとエドワードは推測します
”savage”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
aggressive and violent; causing great harm
⇒怒り狂って攻撃的、多大な害をもたらすこと
ジャスパーとアリスは誰からも教わることなく、自身の行動の善悪を判断する能力を身につけていたと書かれていたにも関わらす、もしカレン家の人々と出会っていなかったら、”攻撃的な存在”になっていただろうと書かれていたことは疑問が残りました。
また()内は第1章でジェシカがベラへカレン家について説明したときの説明(一般的な人々が認識する姿)です。
エドワードが自身の容姿をどうとらえているか
彼は自身の容姿に否定的な印象を抱いていると私は思いました。彼の身体は陽の光を浴びると数千ものダイヤモンドが埋め込まれているような肌が光を放っていたと第13章で描写されていました。この光を放つ身体を良い特徴と捉えるか悪い特徴であると捉えるかはその人次第です。カレン家の人々は悪い特徴と捉えたようです。
本章でカレン家の人々がオリンピック半島を選んだ理由の1つは、世界でも一番陽があたらない場所の1つだからと語られています。陽があたる場所を出歩いたとき”何らかの出来事”があったため陽があたらない土地を選んだと考えられます。恐らくその姿を見た人々の目がくらんだと推測します。
第8章でエドワードがベラとイタリアンレストランで食事をしたとき、彼が”I dazzle people?(ぼくがみんなをくらくらさせるって?)”と発言した場面がありました。
“dazzle”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
①[transitive, intransitive] dazzle (somebody) if a strong light dazzles you, it is so bright that you cannot see for a short time
⇒強い光を受けて短時間見えなくなること
②[transitive] dazzle somebody to impress somebody a lot with your beauty, skill, etc.
⇒人の美しさや能力に感銘を受けること
“dazzle”には上記2つの意味があります。ベラがこの単語に持つイメージは②ですがエドワードは①の強い光を受けて目がくらんでいる状態をイメージしていると思われます。そのため第8章で彼女は容姿が良い彼を独り占めしたい気持ちを伝えようと”自分が相手にどのような影響を与えるのか、あなた、わかってないの?”と尋ねました。しかし、そのときに彼はその質問に対して”めまいはしない?気分が悪いとか、寒いとか…?”と答えていました。第8章の会話は2人が”dazzle”という単語をどのような意味で捉えたかの違いによって生じています。彼の反応から陽があたる場所で彼を見た人が、めまいや体調不良を訴えた過去があると語られているように感じました。
エドワードがマイクへ思うこと
エドワードはチャーリーがベラへダンスの相手としてマイクを提案したときに強い嫉妬”jealousy”を感じたと語っています。
“jealous”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
①feeling angry or unhappy because somebody you like or love is showing interest in somebody else
⇒あなたが好きな人が他の誰かに関心を示したことで怒りや不快感を感じること
②jealous (of somebody/something) feeling angry or unhappy because you wish you had something that somebody else has
⇒あなたが欲しいと願うものを他の誰かが持っているときに怒りや不快感を感じること
③jealous (of something) wanting to keep or protect something that you have because it makes you feel proud
⇒あなたが誇りに感じているものを持ち続けたいと思う気持ち
“jealous”という単語には上記の3つの意味があります。エドワードが感じた嫉妬心は②だと思われます。なぜならベラはエドワード以外の誰かへ関心を示していないため①ではありません。マイクにはベラの父チャーリーが好意的な評価をする血のつながった家族がいて、自身にはマイクと同様に血が繋がった(自身を産んだ)家族がいないためそのことを比較したと思われます。
ただカレン家の人々はみんな血が繋がっていない人の集まりではありますが、彼は自身を受け入れた家族を誇りに思っています。つまり③、その家族を持ち続けたいと思う気持ちがあると思われます。しかし、その家族は”vampire”であり自身もその部族であるため、そこにいる限りベラと近い関係になることは出来ません。そのため、彼は誇りに思っている自分たちの部族を低く評価したと思われます。嫉妬とは自身が誇りに思っているものを自分自身がネガティブに評価したときに生じる感情だと思いました。
第15章THE CULLENS(悩みを失くした人たち)概要
前章のエドワードの語りからカレン家の人々は”vampire”であることがわかりました。そして彼の父カーライルは転生の直前に強く抱いた特性を次の人生に引き継いだのだろうと仮説を立てています。つまりカレン家の人々は死者だと思われます。そして私は”特性”というよりは”感情”だと思います。”vampire”となった人たちは転生直前に強く抱いた願望(悩み)を次の人生に引き継いだ(手にした)と捉えます。欲しいと願っていたものを手に入れたのであれば悩みはなくなるはずです。この章では死者の世界への入口が語られると予想します。
エズミはどのような人であるか
外見の特徴は”小柄で細身だけど、みんなに比べると、そんなにやせてなくて丸みがある”と書かれており、”母親”という人物として描かれた雰囲気が感じられました。
前章のエドワードの語りからエズミは崖から落ちたが奇跡的に心臓が動いていたところをカーライルが”vampire”にしました。エドワードが語ったカーライルの仮説が正しいのであれば、エズミは”love passionately(情熱的な愛情)”を”vampire”としての人生に引き継いでいます。私は”人間のころに持っていた一番強い特性”は”転生直前の強い願望”だったと推測します。つまりエズミは崖から落ちて生死を彷徨っていた時に”もっと愛したかった(一緒にいたかった)”と思ったのではないかと思いました。
また第13章では、エズミがエドワードへフォークスに残るためなら”手段は選ぶな”と伝えたと述べられていました。手段を選ばなかった結果、崖から転落すること結果となったり、”vampire”として生きる人生を選択したりと彼女自身がどんな風に人生の選択肢を選んできたかを伝えているように感じました。
レネはどのような人であるか
エドワードの母エズミとは対照的に”mon(母親)”らしくない一面を持つ人物として描かれているように感じられました。
彼女の家にあったピアノは中古品であり、レネはピアノを上手く弾くわけでは無かったと書かれています。しかし、演奏をしているときは”absorb(引きつけられるように熱狂的)で母親とは異なる人物像が浮かぶような謎めいた一面を見るようだったと語られていました。
”ピアノ”という芸術性をイメージする物を好んでいるところから、日々の活動の結果得られる後天的な能力というより先天的な能力を表していると考えられます。ベラは第1章で自身の母親について、”おひとよしで、気まぐれで、むこうみずなママ”と母の人柄を説明していましたが、彼女はここで述べた人柄を先天的な特徴と捉えているように感じました。
一方でベラは”あたしの顔には、色ってものがない”と書いているように夢中になれるような趣味がなかったのだと思われます。私はここでの”熱狂的な趣味”について引きつけられるほど夢中になれる趣味を持つ人は少ないだろうと思いました。例えエドワードのように上手くピアノを弾きこなす能力を持ち聴く人の心を掴むことが出来たとしても、演奏をする本人自身はピアノへ引きつけられるほど演奏に夢中になっている様子は感じられなかったからです。
ロザリーがベラに思うこと(humanとは)
エドワードはロザリーがベラに嫉妬していると話しました。その理由は”You’re human.(きみは人間だから)”と翻訳されています。私は”human”は名詞として使われているのではなく形容詞として使われていると思います。なぜなら”human”は可算名詞(数えられる名詞)であるため、名詞として使われている場合は冠詞(a/the)が付くからです。
形容詞の“human”の意味は
Oxford Learner’s Dictionariesによると
showing the weaknesses and desires that are typical of people, which means that other people should not criticize the person too much
⇒弱さや願望を見せること、それらは他の人々にあまり批判されるべきではない
”You’re human.”
⇒”君には弱さや願望があるから”と訳すことが出来ます。
ロザリーは”vampire”であるため、転生直前に強く抱いた願望を手にしていると推測します。エドワードは前章でロザリーの特性を”tenacity(不屈の精神)言い換えると”pigheadedness(強情)”と語っています。
“tenacity”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
the quality of not giving up something easily; the quality of being determined
⇒何かを決して諦めない質、決定の質
“pigheadedness”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
the fact of being unwilling to change your opinion about something, in a way that other people think is annoying and unreasonable
⇒他の人が苛立ちや不条理を感じる方法で、何かについてあなたの意見を変えようとしないこと
⇒つまり、ロザリーは転生直前に”もっと自身の意志”を貫きたかったと願い、意志を貫くことが出来るだけの能力を手にしたのだと思われます。その証拠に前章でロザリーはクマに襲われて死かけていたエメットを連れて160キロ以上移動したと書かれていました。そして彼らは若い夫婦としてエドワードたちと離れて暮らすこともあると語られています。
私の推測が正しいとすれば、ロザリーは強く望んだ能力を手に入れています。しかしエドワードはロザリーはベラに”jealous(嫉妬心)”抱いている語りました。一般的に嫉妬とは”あなたが欲しいと願うものを他の誰かが持っているときに怒りや不快感を感じること”という意味で認識されています。
強情であるロザリーはベラの”従順さ”を欲しいと思っている可能性があります。
アリスがみたもの(ベラの第一印象)
アリスは未来が”見える”特殊な力があります。彼女は近いうちに訪問者がやってくること、その訪問者はカレン家の人々に興味を持っていること、そしてカレン家の人々とは異なる狩りの習性を持つという未来を見たと語られています。
ここ数日でアリスが見たかのように語られていますが、上記の訪問者の予知は第1章の前に起きていると思いました。そしてその訪問者は”ベラ”だったのだと思います。第2章でエドワードが初めてベラに質問をしたとき、なぜフォークスに来たのかと町に来た理由を尋ねる質問をしてました。理由を尋ねる前にベラは寒いのが苦手と話していたため、会話の流れとして自然と捉えることも出来ます。ただ大抵の場合は初対面であればエリックのようにフォークスとは対照的なフェニックスをどんな感じだろうかと疑問に思ったり、マイクのように晴れの地域に暮らしていたことがあるから晴れの日が恋しい気持ちが分かると話したりするだけで、なぜ苦手なことを選択したのかという相手が答えづらい質問はしないのではないかと思いました。
未来は変化をするためアリスの予知は必ず的中しないことも書かれていました。ただアルビノであるベラは見た目なカレン家の人々と似た外見を持つため、エドワードはベラを見て同じ”vampire”であると思われた可能性があります。また異なる狩りの習性を持つというのは”動物を狩るだけでなく”人間も狩る”という意味だと思われます。人間を狩る”vampire”が同じ町で暮らすとキラユーテ族との協定違反になるためそれを恐れたのではないかと思いました。
第16章CARLISLE(慈悲の精神)概要
第14章でエドワードはカーライルは”compassion(慈悲の精神)”を持つと話していました。
”compassion”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
compassion (for somebody) a strong feeling of sympathy for people or animals who are suffering and a desire to help them
⇒人々や動物が状況を良くしようと願ったり苦しんだりする姿へ強い同情心を抱くこと
カーライルは転生直前、”vampire(感染症に苦しみ地下水路で過ごす人)”へ強い同情心を感じたことが推測されます。人々の悩みを取り除くことで人を幸せにしたいと考えた人の話が語られています。
カーライルの父はどのような人であるか
前章でカーライルの父は”intolerant”(自身が信仰しているものと異なる振る舞いをする人を受け入れようとしない人)と記述がありました。父は“Anglican pastor(英国国教会の司祭)”であったこともあり、”Roman Catholic(ローマカトリック)”や”other religion(異教徒)”を強く弾圧したと説明されていました。
父は”witch(魔女)”、”werewolves(狼男)”、”vampire(吸血鬼)”が現存すると信じており、多くの無実の人々を火あぶりにしました。この父は、”intolerant”(自身が信仰しているものと異なる振る舞いをする人を受け入れようとしない人)だったことを考慮すると信仰するものが異なる”ローマカトリック”や”異教徒”に”魔女”、”狼男”、”吸血鬼”などの理由を付けて火あぶりにした可能性があると思いました。
“The bodies would be burned – anything infected by the monster must be destroyed.”
化け物に感染したものは消し去らなければならないという父の考えが書かれていますが、これは”異教徒を信仰するようになった人”もしくは”強い感染力を持つ感染症を患った人”は消し去らなければならないという意味だと思いました。
カーライルが生まれた時代は1640年代です。その当時は”強い感染力を持つ感染症を患った人”を治療するだけの医療が発達していなかったのではないかと思います。そして、もし仮にその病に苦しむ人々に外見上の特徴があれば、その特徴を元に火あぶりの対象としたのではないかと思いました。
カーライルはどのような人生を歩んできたか
Anglican pastor(英国国教会の司祭)の息子として、悪魔狩りを指揮しました。ロンドン市内の地下水路に隠れていた吸血鬼を追跡したとき、彼も感染したことが書かれていました。私は”vampire”は強い感染力、強い生命力を持つ病原体だと捉えます。彼は自身が人々を苦しめる感染症を患っていることをひどく拒絶しました。そのため高い場所から身を投げたり、海で溺れようとしましたが、身を滅ぼすことは出来ませんでした。これはカーライルが感染した病原体は、固体として存在していないため重さが無いことや水洗いでは撃退出来ないことを意味すると思います。
彼は体内に潜むウイルスが飢餓状態に苦しむとき、野生シカに襲い掛かりヒトでは無く動物の血を飲むことで”悪鬼”となることなくこの世に存在することが出来ると実感しました。その後フランスで音楽、科学、医学を学び医者として人間の命を救うことで自分の罪を清めようとしました。ここでの音楽、科学、医学は全て正解が決まっている学問を指すと思われます。
彼はイタリアで自身と同じ病を患う人と出会いました。彼らはロンドンの地下水路に隠れて暮らしていた人たちとは異なり教養を身につけていました。しかしその仲間から”ヒトの血を飲まない”という考えを受け入れてもらうことが出来ず、シカゴへ向かいました。その時、彼はスペイン風邪に苦しむエドワードに出会います。エドワードは両親を失くしており快復の望みが無かったため、カーライルは意図的に彼に病原体を感染させることを決意しました。そしてその時、エドワードがその後どのような行動をとっても自分が面倒を見ると決意したようにも感じられました。なぜなら、転生後エドワードが反抗期を迎え一度は家を離れたと書かれていましたが戻ってきたとき、自分にはもったいないくらい暖かく迎えてくれたと書かれていたからです。
エドワードはどのような人生を歩んできたか
エドワードは転生後10年ほど経った時にヒトを傷つけないカーライルの生き方に納得出来ず、悪いことをしている人間の生命であれば奪って良いと自身の考えにしたがって生活したと語っています。しかし、いくらかの時間が流れたあと自分の瞳の中に化け物が見えるようになりカーライルの理念に従い生きるようになったと書かれています。
第8章で彼がベラに襲い掛かろうとした4人組の男性を追いかけていかなかった理由はここにあるように感じました。彼はたくさんの命を奪った罪から逃れようとカーライルの元でヒトを傷つけない生き方をするようになったと説明しています。例え相手に非があるとしてもそこで自分が攻撃をしたことで感じた罪悪感はとても1人では背負いきれないくらい深く残る感情だったことを意味しているようでした。
また、本章の最後にエドワードが発した言葉、野球は”アメリカのスポーツだからね”と発言していますが、作者ステファニーメイヤーさんはアメリカ人ということもあり自国を愛していると思われます。そのため主人公エドワードの元になった人物はアメリカ生まれの人だと考えられます。”オリンピック半島”という地域、第14章でエドワードが使った方言から”アメリカ北部”の人である可能性も高いと思われます。
第14章でベラがシャワーで離れている間、彼に部屋で待ってて欲しいと伝えた時、彼は”Yes,ma’am.”と答えました。
”ma’am”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(North American English) used as a polite way of addressing a woman
⇒(北アメリカの英語)好意を寄せる女性に礼儀正しさを示すために使われる
今後の作品の中で元になった人物が明らかとなるような描写があることを期待します。
第17章THE GAME(審判がいる試合)概要
本章ではカレン家の人々が嵐の中、人間離れしたスピードと威力で試合をします。彼らが試合中に衝突するとまるで雷が落ちたかのような音がしたことが書かれていました。それだけの力を持つ人たちが集まっても公平な見方をする審判の元で行われる試合は危険なものではありません。ここでは”審判がいる試合”が描かれています。
天気はベラの心を表現している
私がこの作品を好む理由の1つは天気を細かく表現しているところです。本章では
“DRIZZLE(小雨)”が降り始めます。作品の舞台となっているフォークスで雨が降ることは全く珍しくありません。しかし一般的には雨が降るということは登場人物の心に”悲しさ”があると思います。エドワードがベラを乗せて運転する車がベラの家の通りに入ると小雨が降り始めました。彼女は自身の家を現実の世界と語っています。”デートが終わり1人の時間を過ごすことへの悲しさ”を表現しているように感じられました。
天気の描写は本章以外にもあり、私はフォークスで晴れた日はベラの心にどのような変化があったのかに着目しました。初めて晴れの描写があったのは第3章の交通事故の日の朝でした。第2章の生物の時間の会話でベラがエドワードに惹かれて学校へ行く前、彼のことを空想する様子が描かれていました。つまりベラが無意識にエドワードのことを好きだと感じた時のことでした。
そして第7章には”晴天のまばゆく黄色い光がさしていた。フォークスに来て二回目だ”という描写がありました。本書のタイトルである”twilight”(黄昏時)にベラが意識的にエドワードのことを好きだと決断した日の翌朝のことでした。彼女の心が晴れていることを表現しているようでした。さらに二回目であると書くことで晴れの日であることは確かであること、意識的に晴れの日を描いていることが感じられました。
自分の敵は友人にとっても敵である
第6章でキラユーテ族のビリーは、冷人族と敵対する関係にあることが語られていました。彼はベラが冷人族の1人であるエドワードと一緒に過ごしていることをあまりよいことだと思えないと語っています。そしてその理由は”ベラの父であるチャーリーは彼の親友であるからと述べました。つまり自分の敵は友人にとっても敵であるべきという彼の気持ちを表現していると思われます。
私はビリーがこの気持ちを伝えた時の表現方法がアメリカらしく感じました。
“Maybe it’s none of my business, but I don’t think that is such a good idea.(わしには関係ないかもしれんが、あまりいいことだとは思えんのだよ)”
規則を押し付けるように”カレン家の人と関わってはいけない”というのでは無く、”わしには関係ないかもしれんが”と表現しています。自分と他者は別々の存在として分けているところがアメリカらしく感じました。
”business”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(especially North American English)(also British English, formal custom)
the fact of a person or people buying goods or services at a shop or business
⇒(特に北アメリカの英語で)(またイギリス英語、公式な意味)
人自体、品物を購入する人もしくは店舗におけるサービスやビジネス
つまり商業目的に商品やサービスを購入することを意味すると思われます。私にとっての”business”ではないとは、”私にはメリットが無い事柄である”という意味だと捉えました。
“Maybe it’s none of my business, but I don’t think that is such a good idea.
⇒つまりビリーはわしにはメリットが無いことである。つまりあなたにもメリットは無いと表現しているように感じられました。
この物語は北アメリカが舞台となっていると私は推測しているため、単語の意味を選択するときに”North American”と書かれている箇所から引用しました。
チャーリーは大柄な男性にマイナスなイメージを持つ
ベラがエドワードとデートをすることを伝えるとチャーリーは”おまえはエドワードカレンとつきあうつもりなのか!?”と大声で怒鳴ったと書かれていました。名前の呼び方は”Edward Cullen”と正式名称で呼んでいたことから、彼はカレン家の子どもたちを”大人”として見ていることが伝わりました。なぜなら彼がベラへ好印象なクラスメイトとして口に出していた男子マイクのことを話すときは”nice kids”とあくまでも”子どもである”と彼が捉えている様子が伝わってきたからです。
しかし、その後の会話で彼がカレン家のエメットを好んでいない様子が推測されました。”Which one is Edwin?(エドウィンってやつはどいつだ?)”最初にエドワードの名前を発言したときは間違えることなく呼んだのにその後名前を間違えるということは彼はエドウィンだと思った人物を好んでいないことが考えられます。なぜなら、エドウィンはベラにとって”He’s too old for you,(おまえには年上すぎるだろう!)”と話しました。ベラが自分たちはどちらも高校2年生であることとエドワードは一番年下で赤みがかった髪の男性であることを伝えると”なら、マシかもしれん。あのでかいのはどうも気になる。”と答えていました。
カレン家の人物で大柄な印象を持つ人物はエメットです。チャーリーは”大柄な男性”に良い印象を持っていないように感じました。そして、その理由は彼自身も大柄な男性だからではないかと私は思いました。第1章でベラがフェニックスからフォークスへ来たとき飛行機から降りて転びそうになっていたベラを彼が”片腕で抱きとめてくれた”という描写がありました。高校生のベラを片腕で支えたというのはチャーリーが大柄な人物であることを表すことを意味すると思われます。チャーリーは自分が誇っている”大柄であるという特徴”を越えくらい大柄なエメットを好んでいないと推測されます。
ただ、ベラがボーイフレンドと伝えた人物がエメットでないことが分かった後も”そのエドウィンとっていうのはなんだ、ボーイフレンドなのか”と続けたことから”どんな人物”であろうと娘のボーイフレンドを快く受け入れられない心情が感じられました。
エズミは競い合いに関心がない
父として描かれているカーライルは野球の試合に夢中になる様子が描かれているのに対して、母として描かれているエズミは競い合いに関心が無く審判の役割を果たしていました。その理由は”母性”が強いためカレン家の子どもたちを実の子どものように思っているからと語りました。
また彼女は転生前に自身の最初のたった1人の乳児を生まれてすぐに亡くしたと話しました。そのことで彼女は胸がつぶれそうになり断崖から身を投げたと話しています。”自分自身の子どもの死”は”自分自身の死”であると語っているように感じました。
第15章で彼女はエドワードが人を好きにならない理由は転生する年齢が早すぎたのではないかと疑問を抱いていました。彼女自身は強く愛した人がいたと思われます。ただ彼女が自身の子どもを亡くして自殺を試みたということは、彼女が愛した男性すでに亡くなっている可能性が高いと思いました。
第18章THE HUNT(戦争の始まり)概要
第8章でエドワードは自身の狩りについて春先はクマが冬眠から覚めたばかりで気が立っているから面白いと語りました。スポーツの試合と違って狩りは自身が防御体勢になっていなくても相手から攻撃される可能性があります。それがもし人対人の場合はどう対応するのか、本章ではフランス訛りの訪問者が現れます。ここまでの物語でカーライル一族はロンドン出身の一族、訪問者はフランス出身の一族であることを推測します。この物語は英仏の領土争いが背景にあると予想します。
フランス人
ローラン
肌の色は淡褐色、髪の毛の色つややかな黒髪
均整のとれた肉体は鍛えあげられているけれど、エメットのそばに立つと比較にならない。
フランス風のアクセントがあった
中央に立っていたことから一族のリーダーだと推測される
ヴィクトリア
髪の毛の色はあざやかな赤で葉っぱや小枝がいっぱいついていた
体形は猫のようだった
ジェームズ
ローランより細身で髪の毛の色は明るいブラウン
3人の訪問者は猫のように身をかがめており攻撃体勢を取れる姿勢でカーライルたちへ近づいてきました。目の色は深い赤紫色で不安をかきたてるような色をしていたと書かれています。着古してぼろぼろになった防水素材のボタンダウンシャツにジーンズを履いており、全員裸足であると書かれていることから遊牧民であることを意味していると思われます。彼らの目的地は北であると話していました。ローランが先頭に立っていたことから彼が群れのリーダーであることが予想されます。
カーライルがベラと同行する人として選んだ人物
訪問者は3人でリーダーを中心に残りの2人が脇を固めていました。そのため、カーライルが先頭に立ち、エメットとジャスパーが脇を固め慎重に前進したと対等な状況を作ったことを描かれていました。カーライルはベラが人間であることを悟られないように自分の一族を紹介しました。そして訪問者を自身の家へ招待するときに二手に分かれることでベラと訪問者を遠ざけようとしました。
カーライルがベラと同行する人として選んだのはエドワードの他にエメットとアリスです。アリスはベラへ好意的な態度を示していたので納得できます。ジャスパーとエメットではエメットの方がふさわしいと考えられたようです。この2人の違いは第13章で語られていました。エドワードはジャスパーは一族に加わったのが遅いため人間の香りや味の違いなんて細かく見極める余裕は無く血への欲望を完全に制御することが難しい人物であり、一方エメットは特別な相手に惹かれたことが過去に2回あり禁酒歴が長いと説明していました。
仮にカーライルがエドワードと同じ見方をしているのであれば、血への欲望を強く感じたことがありそれを制御したことがある人物の方が、一度も強い欲を抱いたことが無い人物より安全であると考えられているようでした。
15分という時間が意味するもの
本章で登場した訪問者(追跡者)にフランス語の訛りがあったということは、英仏間の争いが背景にあると私は思います。本文中に何の争いを指すのか明記はなく、15分という時間のみで推測するには証拠不十分ではあるのですが、イギリスの包囲作戦により15分ほどで幕を閉じたと言われている1759年エイブラハム平原の戦いが背景にあるのではないかと思いました。
“15分”という時間は、訪問者と対面している時に予期せぬ風が吹いたことでベラが人間であることが悟られ逃走する場面でした。エドワードは初めてベラに出会った時と同様に車で出来る限り遠くへ逃げようとしました。物語の前半でこの行動は彼が論を理解していないから(ここではフランス人と共存できない理由を理解していないから)と推測していました。ただ仮にこの物語が異国間の争いを表しているのであれば、言葉が異なりますし共通言語で話そうとしたところで出身地を予想できるような訛りが出ることで自分と異なるものを受け入れたくない気持ちが働き話し合おうとする状況を作り得なかったのではないかと思われました。
エドワードが逃走する理由は、ジェームズが”tracker”だからと語っています。
私は学生時代に”track”という名詞を”足跡”と覚えたため、その単語の意味を深く考えたことはありませんでした。この単語の語尾に”er”を付けると人を表す単語に変化します。足跡を擬人化すると追跡者となります。何かの印を元に後を追うということは、追う人は何か考えがあるからその印を追っていると思われます。”賢い人”と捉えることが出来ます。
”tracker”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
an investment fund that aims to follow in value a stock
⇒在庫の価値を追うことを目的とした資金投資
さらに”tracker”は追跡するものがお金を指す場合、在庫の価値を追うことを目的とした資金投資という意味があります。もし追うものが人を指す場合、その人の価値を見極めるために追跡する人という見方が出来ると思いました。エドワードが”賢い人”を恐れたということは、彼自身の過去に賢い人に恐怖を感じた体験があることを意味しているようでした。
第19章GOODBYES(逃走)
ベラはフォークスを去りフェリックスで身を隠すことを決意しました。ジェームズの目的は明確に分からないけれど、命を狙われていることを実感したためでした。自身の近くにいる人は同様に危険な状況になり得ると彼女はチャーリーの元から離れます。その時チャーリーへ発した言葉は彼女の母レネが離婚をして家を去るときの言葉でした。
あなたが好きな物を嫌いという発言は、あなたを嫌いということ?!
前章でエドワードがフランス人と共存出来ないことを説明出来なかったことと同様にベラも自分がすぐにフォークスを去りたい理由をチャーリーへ説明することが出来ませんでした。
ベラが発した言葉はチャーリーと離婚したレネが家を去った時の言葉でした。
”いいから行かせてよ、チャーリー”
⇒普段はパパと呼ぶように言われているのに名前で呼んだということは”父”でなく”1人の男性”であることを意味すると思われます。
”もう無理なのよ、わかるでしょ⁉フォークスなんかだいっきらいなんだって!”
⇒第2章でチャーリーがカレン家のことを肯定する発言をしたとき、エズミについて”奥さんが田舎町に住みたがってくれて”と自身の配偶者レネと比較するような発言していました。彼は釣りが好きということもあり田舎町であるフォークスを好んでいると思われます。その町を否定することは彼にとって彼自身も嫌いであると言われたくらい傷つく発言であったことを意味しているようでした。
さらにベラは”好きだから自分からエドワードを振った”と発言していました。そのことからレネも同様の理由があったのだろうかという疑問が浮上しました。チャーリーのことが好きで彼には彼が好きな場所で変わらず暮らして欲しいと思うから自分が去るという行動へ繋がった可能性があります。ベラは幼少期にレネと暮らしていた為、母が寂しさを感じている様子を見ながら育ったのではないかと思いました。”いいから行かせて”と言っておきながら本当は追ってきて欲しかったと言っているように感じました。ところが、チャーリーは言われた言葉通りに行かせてしまった為、レネとしてはチャーリーは私よりフォークスを選んだと感じたのではないかと推測します。
レネについては第1章で”おひとよしで、気まぐれでむこうみずなママ”と書かれていた為、わがままな母親を描いていると思っていました。ただ仮にこの作品が異国間の問題を背景として書かれている場合、レネもチャーリーやフォークスで暮らす人々とは異なる人種であることが考えられます。第5章でベラが発した”Mike-scmike”はドイツ語”schminke(化粧する)”だと思われます。そのためレネとベラは”ドイツ人の血を引く”ことを意味すると予想します。
ベラと行動を共にすることになった人物
最終的にベラと行動を共にすることに決まったのはアリスとジャスパーでした。なぜなら、エドワードとエメットはジェームズに敵意を向けたことで彼の戦闘相手としてみなされたからです。自身をライオンであると語るエドワード、鋼のような肉体を持つエメットはジェームズへ正面から挑む狩猟班でした。ベラが驚いたことにカーライルも狩猟班に振り分けられていました。慈悲の精神をイメージされるカーライルは人の悩みを解決したいと願う医者として働いているため戦闘班であることは私も驚きました。カーライルは転生前、彼の父から悪魔狩りの指揮を任されて”vampire”と呼ばれる人を追っていました。彼はジェームズを倒そうという気持ちよりむしろ彼が生前に追っていた邪悪な存在の正体を暴こうとしているように感じられました。
またベラに変装するように彼女の車に乗って囮役として逃げるのはエズミとロザリーでした。実際はエドワードの方が年上であるのですが、エズミは彼の母として過ごしてきたため、彼が望むことに協力したいと思っていることが前章の会話から窺えました。そのため、エズミが囮役となっていることは納得できるのですが、ロザリーは”救われない役”となっているように感じました。これは、”長男の優位性”を描いているようでした。”フランス人に敵意を向けたこと”、”異なる部族であるベラを守ろうとしている行為”は自分たちを危険な状況へ追い込もうとしていることを意味します。自ら危険な状況へ向かうなんて正常な判断をしていると思えません。しかし、エズミはエドワードのことを”新しい息子たちのなかでは長男にあたるの。”と前章で話していたことから”エドワードが孤独であったことをつらく思う”というよりは”長男の意見の方が尊重される傾向があった”時代背景を描いているようでした。
第20章IMPATIENCE(保留)
エドワードと別行動を取ることになりベラが彼からの連絡を待つ時間が描かれています。本章は保留であるため何か出来事は起こりません。そのただ待つ時間にベラは強い怒りを感じます。ところが永遠の命を持つジャスパーやアリスはとてつもなく気が長くなったように焦っていない様子だったと書かれていました。彼らはそれ以外の感情を持っていると思われます。
”impatience”(保留)にぞれぞれの人物が抱いた感情
”impatience”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
下記の3つの意味があります。
①the feeling of being annoyed by somebody/something, especially because you have to wait for a long time
⇒特に長い時間待たなければならないため何かや誰かに苛立ちを感じる気持ちのこと
②the desire to do something soon or for something to happen soon
⇒もうじき何かをすることやもうじき何かが起こることへの願望
③(formal) the fact of being unable or unwilling to accept something unpleasant
⇒不快な何かを受け入れたくない、もしくは出来ない事実
ベラ①の苛立ち
ベラは終始落ち着きなく部屋をうろうろします。なぜなら彼女は自身が争いごとの発端となっていると思っているからです。彼女は訪問者ローランの”ジェームズは危険そのもの”という発言が気がかりとなっているようでした。カレン家の人々とジェームズは吸血鬼です。エメットが2回血の匂いに耐えられなくなり人の命を殺めたこがあるようにジェームズはベラの血を狙っています。自分が犠牲になる状況下でも他の人の安全を考えることが出来る特徴は、”守りたいもの”が変化した時は囮班になることが出来ることを表しているように感じました。
ジャスパー②何かが起こることへの願望
ベラとは異なりエドワードからの連絡が来ないことに苛立ちを示すことは無く不自然なくらいじっとしていたと書かれていました。第14章で彼は怒った集団を落ち着かせたり、逆にぼんやりした群衆を興奮させたりする能力があるとエドワードが語っていました。そのため、エドワードからの連絡が無くベラがアリスを責め立てたときベラを落ち着かせたいと思ったのか怪しいくらいおだやかな口調で自分たちの家族は鉄壁だから心配する必要は無いと説得しました。これは他人の言動に影響されること無く落ち着いた言動を取ることが出来ることを意味しているようですがアリスが敵の動きの変化を見たと言った時の反応から彼がこの保留状況を逆に楽しんでいるのではないかという疑問が浮上しました。
彼は敵の動きに恐怖を示すどころかただひたすら”敵の動き”と”敵がいる場所にあるもの”のみアリスから聞き出そうとしました。これは敵が彼自身の追求したいものだった場合、カーライルが”狩猟班”にいることと同様に”狩猟班”に加わることを意味しているようでした。
アリス③何かを受け入れたくない事実
吸血鬼に変身する理論をベラへ話してはいけないとエドワードから禁止されていることに納得していない様子だったと書かれていました。彼女は保留の時間にエドワードの指示を受け入れたくないという感情を示していました。
しかし、これは彼女がエドワードを敵視しているわけではありません。自分にもジャスパーがいるようにエドワードにもパートナーがいることで彼に危険な存在にならないでいて欲しいと思っているようでした。
彼女は自分の意志でベラに好意を持っていると思われます。そのためベラへ転生の理論を話しました。アリスにはジャスパーがいますが、第14章でジャスパーが彼女を求めていたとエドワードが語ったようにジャスパーはアリスが自ら追い求めた人物では無いと思われます。アリスにとってベラは自分の意志で仲良くなりたいと思った友人を意味していると思います。
私はロザリーがエメットを転生させたことと同様にアリスがジャスパーを転生させたと思っていましたが、本章でアリスは誰かを転生させたことが無いことが分かりました。第14章でも人間以外の存在にはとりわけ鋭いと書かれていたことから彼女がジャスパーと出会ったとき彼は転生後であったことが分かりました。
仮説①”vampire”は天然痘のウイルスである
アリスは”vampire”の変身について理論を話しました。自分たちには”毒”があり、その毒には相手を殺す力は無く身体の自由を奪うだけ、かまれた人間はあまりの激痛に逃げられなくなり自ら死を願うと説明しました。
私はこの毒というのは人類が地球上から撲滅できた最初の、そして現在のところ唯一の感染症である天然痘を指すのではないかと思いました。全身に発疹が現れ致死性が強いことから医療が十分に発達していなかった時代(カーライルが生きていた1640年代)の人々にとってこの伝染病に感染するということは化け物として火あぶりにされることを意味するくらい恐怖の病だったのではないかと思いました。
第15章でカーライルは”vampire”を追いかけて自身が感染したときに2、3日後に自分が変身したことに気づいたと書かれていました。彼は自身の身体に現れた発疹を見たのではないかと推測します。
第16章でカーライルは””vampire”に感染したときに自身を激しく拒絶し身を滅ぼそうとしたと書かれていました。アリスは彼のケースは例外であると語っています。大抵はこのウイルスが感染した人間は惹きつけられてしまって自分から逃げようとしないと続けました。この感染症の症状は発疹以外に唇や舌は乾燥し,喉が渇く.食欲がないことが挙げられています。ヒトがのどの渇きに飢えている様子をウイルスの視点では惹きつけられていると語っているようでした。
誰もいない場所への留守番電話
アリスがジェームズの姿を見たと言って描いた絵はベラが子どもの時に通っていたダンススタジオの部屋でした。つまり彼がフェニックスにいることが見えたと言います。作品中ではアリスに予知能力があると説明されていますが、私はこの能力は一般の人では見えないような距離にあるものが見えることを意味すると予想しています。
ジェームズがいる場所は恐らくフェニックスであることが分かるとベラは母へ電話をしたいと言います。なぜならアリゾナで暮らしている彼女の母は近いうちにフェニックスへ帰ってくるとチャーリーから聞いていたからです。
彼女は”フェニックスの自宅以外に決まった電話番号はないから、定期的に留守電をチェックするはずよ”と彼女の母が定期的にフェニックスに来ているのだろうかと疑問が残るような発言をしました。そして留守番電話を残した後に彼女の心の中で”ママがこのメッセージを聞かないうちにフェニックスへ帰ってくるようなことがありませんように”と願いました。彼女の母は定期的にフェニックスへ帰って来るというよりアリゾナから留守電を聞くことが出来るということでしょうか。
彼女はこの時点で、フェニックスの自宅に電話をすることでフェニックスにいるであろうジェームズと通話出来ることを望んでいるように感じられました。彼がフェニックスにいるのであれば自身の近くにいるアリスとジャスパーが危ない、だから彼と直接話して自分の友人を傷つけないで欲しいと伝えたいから誰もいない自宅へ電話したのではないだろうかと疑問が残りました。
第21章PHONE CALL(一方的な発言)
“phone”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a piece of equipment for talking to people who are not in the same place as you
⇒あなたと同じ場所にいない人と話すための機器
言うまでも無く電話は同じ場所にいない人と会話をするときに使う道具です。前章でベラがフェニックスの自宅へ電話をかけたことをきっかけに本章では彼女の母から電話がかかってきます。しかし彼女の母は最初の第一声で”ベラ”と娘の名前を呼んだだけでその後何も言葉を発しませんでした。同じ場所にいない人と会話をするときに相手が本当にその人であるかどうかを確信するには双方のやり取りが必要であると物語っているようでした。
ジャスパーが持つ力
エドワードはやや遠く離れた場所の音(声)が聞こえて(優れた聴力を持つ)、アリスはやや遠く離れた場所にあるものを見ることが出来る(優れた視力を持つ)と私は予想しています。つまり五感が一般的な人より発達しています。
上記の予想が正しい場合、ジャスパーは触覚が発達しているのではないかと思いました。触覚とは触れることで物体の形などを認識する能力の事ですが、仮にこの能力が優れている場合、相手の気持ちを落ち着かせることが出来る場所に触れたり、逆に相手の気持ちを興奮させることが出来る場所に触れたりすることが出来るのではないかと思いました。
本章ではベラはジェームズの狙いは自分の愛する人であり、母、エドワード、アリスが傷つくことを恐れて取り乱しました。この時、ジャスパーが何かをしてベラは重たい眠気に襲われたと語っていました。
ベラが感じた眠気だけではジャスパーが持つ特殊能力が何であるか断定出来ませんでした。なぜなら彼は未だ登場した場面も発言も少ないからです。ただ前章でアリスがジェームズの姿を見たと話したとき”ジェームズがどこにいるのか”、”その部屋には他に何があるのか”だけに興味を示していたのは少し恐ろしく感じました。確かにジャスパーもアリスも”vampire”であり身の心配をする必要はありません。しかし、それでも感情が動かない様子から物に触れることで形などを認識する能力は優れているけれど、人の感情を認識する能力は低いことを表しているように感じました。
ジェームズの特徴
声の特徴は、高めで人当たりがいい印象だけど、特徴がない。高級車のCMのナレーションみたいと書かれています。第18章では顔立ちにもこれといった特徴はないと描写されていました。”賢い人”として描かれていると思われるジェームズは”特徴がないことが特徴”のようです。
第18章では視線はじっと定まっていて、なんとなく一番スキがないと書かれていましたが、これは意識的に行動していることを意味すると思われます。さらに彼は”高めで人当たりが良い声”を意識的に出すことが出来ることが窺えます。
そして、電話のやり取りの中で”『はい』か『いいえ』で答えろ”という指示が3回もありました。彼は誘導的に他人に自身が望む行動を取らせることが出来ると思われます。彼の望みはベラが1人で彼の前に現れることでした。そしてその先には第19章でローランが”おたくの坊ちゃんがその子娘を守ろうとした時点で、スイッチが入っちまったらしいな”と話した通り、エドワードとの対決があるように感じられました。
エドワードへ宛てた手紙が意味するもの
ベラが母宛と書いた手紙はエドワード宛てでした。彼女が一番守りたい存在であることを意味すると思われます。ベラを1人にしたアリスやジャスパーを責めないで欲しいとも書かれています。
一見すると愛する人や友人を守りたいと思って綴られた手紙は尊い気持ちのように感じます。しかし彼女が母と話したと思っている電話で母からの相槌が無い(一方的な会話であった)ことと同様に手紙も一方的な発言になります。ジェームズに対して強い敵意を示していたエドワードがベラの遺書を読んだところで、すんなりと諦めることが出来るだろうかと思いました。
作品中では、第6章で”cold one(冷人族)”について教えてくれたジェイコをベラが友達になれそうと感じていた場面がありました。彼女は前章で彼女のことを友達とみなしてくれたアリスから”vampire”に変身する理論を聞き出しました。彼女は”自分が知りたいと思っている情報を教えてくれる人”を友達と思っていることが推測されます。
トワイライトシリーズ最終章までには”どのような人物を友達と呼べるのか”と”人を愛するとはどのような感情であるか”をより詳しく描かれることを期待します。
第22章HIDE-AND-SEEK(水面下の行動)
ベラは電話の主ジェームズに1人で会う決意をします。その理由は彼女にとって大切な存在である人物を守るためでした。しかしその行為は彼女の命を救ってくれたエドワードや彼女に変身の理論を教えてくれたアリス、アリスと同行してベラの身を守りたいと行動したジャスパーの気持ちを裏切る行動でもありました。
ただ”vampire”である人たちの偉大な力を目にした後だからこそ、仮に電話の内容をカレン家の人たちに話してしまったら、そのことは確実にジェームズの耳に入ると彼女は予想したのだろうと思いました。そしてその結果、彼女の母の命を殺めることになるのであれば、カレン家の人々にジェームズの指示を話すことは自分自身で自身の母の命を殺めることに繋がると物語っているようでした。
第3者から見ると不審と思われるような逃走の様子が描かれています。
アリスが見たもの
アリスはデスクにつっぷして両手でへりを握りしめていたと書かれていました。彼女は”さっきとおなじ部屋だった”とベラが書いた手紙について答えませんでしたが、私はアリスは優れた視力でベラがエドワードへ宛てた手紙の内容が見えたことを推測します。前章でベラが書いた手紙は遺書とも捉えることが出来るような内容でした。そのため彼女は恐怖を感じたのだろうと思いました。
アリスがひどく動揺した様子を見てジャスパーはどうしたのか問いつめます。第20章でベラが彼について”ジャスパーはあたしの感情のおおまかな流れはつかめても、その背後にある事情まではわからないんだ。”と分析していました。
感情の背後にある事情を推測出来る人はかなり少ないように感じますが、例えば、人間の母親の中には自身の子どもが泣いているときや笑っているときに、なぜその感情が起きているのか推測出来る人がいると思います。ベラもまた人の感情の背後のある事情を理解出来るのであれば、それは彼女が持つ優れた能力の1つのように感じられました。
ベラの逃走
ベラはエドワードたち3人と落ち合うために空港へ向かいます。エドワードが到着するターミナルは大都市であるフェニックスの空港の中でも最大のターミナルでした。そのためフェニックスを良く知るベラは逃走計画をより鮮明に描きました。
彼女の計画は出入口が2箇所ある女性用トイレを使う事でした。入った入口とは異なる出口から逃走すればアリスとジャスパーに見つからないと考えた上での行動でした。そのため、彼女は朝食をとるためという言い訳に付き添う同行者をアリスではなく男性であるジャスパーにお願いしました。
彼女はトイレへ入ると他人の注目を浴びたけれど無視してひたすら走ったと語っています。その後も恐らく高級ホテルであろうハイアット行きのシャトルバスに恐らく普段着で乗り込みました。バス下車後は恐らくタクシーで行くにはだいぶ高くつく距離へタクシーで向かうと乗り込みました。
第1章で”あたしは大都市からやってきた転校生の女の子。注目のまと、見せものだ。”と心のが描写されていたように彼女は周囲の視点を強く気にする性格です。そんな彼女が人目を気にせずひたすら走ったというのは、それだけ必死だったということが窺える場面でした。
仮説②”vampire”は自己実現のためだけに生きる人である
第20章でアリスは”vampire”のことを”predator”と説明しました。
”predator”下記の2つの意味があります。
Oxford Learner’s Dictionariesによると
①an animal that kills and eats other animals
⇒他の動物を捕殺する動物のこと
翻訳版で訳されていた通り、捕食動物のことです
②(disapproving) a person or an organization that uses weaker people for their own advantage
⇒(非公式に)自分たちの発展のために弱い人を使う人や組織のこと
本章でジェームズは”人間のなかには、自分の命を捨ててでもだれかを守ろうとする者もいるらしい”と言いました。これは裏を返すと”vampire”の中には自分の命を捨ててでも誰かを守ろうとする人はいないと言っています。アリスが”vampire”について説明したときに使った”predator”は②の自分たちの発展のために弱い人を使う人と訳することができるのではないかと思いました。
そうは言っても読者である私自身、自分の命を捨ててでもだれかを守ろうとしたことはありません。一方で災害時など全くの他人であっても自分の命を捨てて他の命を助ける人もいます。
そして”vampire”の中にもヴィクトリアのようにジェームズのためにベラのフェニックスの家の住所を探ったり、ローランのように初対面で危険度が分からない相手を前にしたときに一歩前に出ることが出来る者もいると思います。自分優先か他者優先かは”vampire”であるか”人間であるか”にあまり関係しないように感じました。
ジェームズの狙い
彼の狙いはエドワードとの対決でした。エドワードが愛する人の命を奪うビデオを撮影するだなんてジェームズは人間だったときにの恋愛が成就しなかったことを表しているようでした。
はっきりとわかっていることは”vampire”は”元々は人間であったということです。彼はアリスが人間から”vampire”へ変身したときに”変身の苦痛にすら気づいていないみたいだった”と話していました。つまり彼自身は人間から”vampire”となるとき強い痛みを感じたと言っています。これは”死”を意味すると私は思います。第20章でアリスはベラに自分たちには”venom(毒)”があると話しました。
”venom”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
①the poisonous liquid that some snakes, spiders, etc. produce when they bite or sting you
⇒蛇や蜘蛛が噛んだり、刺したりしたときに生成される毒が入った液体
翻訳版で訳されている通り”毒”という意味です。
②(formal) a strong, bitter feeling; feelings of hate and a desire to hurt somebody
⇒(公式的に)誰かを嫌ったり傷つけたいと願う強く苦しい感情
人が”毒”を持つと表現する場合、②の誰かを嫌ったり傷つけたいと願う強く苦しい感情という意味もあります。つまり”vampire”は生前に”誰かを嫌ったり傷つけたいと願う感情”を持っていてた人の内面を表すのではないかと思いました。アリスの場合自分を独房へ閉じ込めた人をひどく嫌ったでしょうし、ジェームズはきっと絶対的に自分の意見を通すような人としか出会わなかったということではないかと思われました。
第23章THE ANGEL(命の恩人)
ベラはジェームズに噛まれたことにより生死を彷徨います。その時、これまでの物語と同様にエドワードはぎりぎりのところで駆けつけます。”vampire”になるためには死にかけている必要があります。彼女にとっては”vampire”に変身しやすい状態でです。しかし彼女は死ぬ直前”生きたい”と訴えたようでした。
”vampire”へ変身出来るチャンス
前章でジェームズから必死に逃げようとした時ベラは重傷を負います。意識が遠のき海面を彷徨う夢を見ました。彼女は自分が死んだと感じたと語っています。そもそも”vampire”であるジェームズに1人で対面するなんて最初から勝敗が見えています。
彼女はジェームズの攻撃によりただ身体の怪我を受けたのではなく、”噛まれて”いました。これはアリスが第20章で語った毒を受けた状態だと思われます。アリスが語った理論によると毒を受けた獲物(負傷者)はあまりの激痛にみずからの死を願うと説明していました。しかし、ベラは”燃えている!火を消して!”と叫びました。これは死ぬ直前に”生きたい”と願ったように感じられました。
火(毒)を消してと叫んだ感情は、カーライルが変身したときと近い感情のように感じました。第14章でロザリーがエメットを変身させた時、エドワードは”エメットのなにかがロザリーにそれだけの強さを与えたんだよ”と語りました。ベラやカーライルとは反対にエメットは”vampire”になることを受け入れたのではないかと感じるような場面でした。
この物語には歴史的な背景がある
ベラはジェームズに噛まれたことで毒を受けました。エドワードはその毒を吸います。そしてベラの血にはモルヒネが含まれていたと話しました。この物語の背景には北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦である南北戦争があると思いました。モルヒネは極めて強力な鎮痛作用を持つとされ、戦場では兵士が傷を受けても戦い続けられるように使用したと言われています。
登場人物もカーライルやジェームズは約300年生き続けていますし、エドワードは約100年生き続けています。300年生命を維持することが出来る人間はいないため”vampire”として描かれている人たちは死者(歴史的な偉人)であると私は思います。
それだけ長い年月を生きた人たちが助けたいと思ったベラの命は恋愛としての理由以外に伝えたいことがあるように感じられました。
第24章AN IMPASSE(行き詰まる)
“impasse”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a difficult situation in which no progress can be made because the people involved cannot agree what to do
⇒その事柄に関係する人が同意できない為に進捗しない状況
ベラはジェームズから毒を受け死にかけました。そしていつもエドワードに助けられているため自分も”vampire”になりたかったと伝えます。しかし、彼は彼女が受けた身体的な負傷は治療可能であるため、自分がその命に終止符を打つわけには行けないと答えました。そして彼の家族アリスもベラを”vampire”にすることは無いだろうと言いました。エドワードが考える人間の良い面が語られています。
仮説③”vampire”は死者の魂である
エドワードは自分がベラを”vampire”にできない理由は、自分自身で彼女の命に終止符を打つわけにはいかないからだと伝えました。第20章でアリスが語った通り”vampire”は”vampire”の持つ毒によって心臓が止まった人を指します。心臓が止まっているのに生き続けているというのは、魂のみが生き続けていると私は思います。大抵の人間の場合は、心臓の停止と同時に成仏するところが、作品中で”vampire”として描かれている人たちは成仏することなく”思い残し”があったため長い年月生き続けている人ではないかと思いました。
彼は彼女がジェームズから受けた傷の毒以外は入院すると良くなると伝えました。それに対して彼がスペイン風邪で死にかけた時は他に選択肢が無かったし両親も亡くしており自分が姿を消したところで悲しむ人はいない(失うものは無かった)と語りました。しかしそう言いながらも魂(思い残し)が彼の心臓停止後も生き続けているのは生前にやり残したことがあったと語っているようでした。
ベラが”vampire”になりたい理由は”つきあっている男女はそれなりに平等であるべき”と思っているからでした。しかしいつも彼女の命を救っている側のエドワードは”きみはぼくを救ってくれたんだよ”と語りました。ベラが物理的な力で彼を助けたことはないため、”自分が身代わりになっててでも彼を傷つけたくないと思った気持ち”、もしくは彼は生前両親を亡くしており彼のことを愛してくれる人がいない状況だったのに”彼女が終始思い焦がれるほど彼を愛している気持ち”が彼を救ったと考えられます。仮にそうであれば、彼が生前にやり残したことは”愛されたかった”だと思いました。
レネの恋愛観
レネは再婚相手である野球選手のフィルについて今回フロリダで契約が取れたためこれから天候が良く映画に出てくるような建物で生活をすることが出来るとベラへ熱く語りました。彼女はフィルの人柄については語っていません。もしフィルがオハイオにあるチームと契約し積雪がある地域に暮らすことになった場合、彼女はチャーリーの時と同様に離婚という選択肢を選ぶのだろうかと疑問が残りました。
第7章でフィルはベラへクリスマスプレゼントとしてCDをプレゼントしたと書かれています。第15章でベラがレネはピアノが好きでピアノを弾くときの彼女は強く引きつけられるように演奏していたと語っていたため、フィルとレネの共通の趣味は音楽だと思われます。
では彼女はチャーリーのどのようなところに惹かれたのでしょうか。私は”警察官という職業”、もしくは第3章の交通事故の日、ベラの通学用の車のタイヤに何も言わずにチェーンを付ける”必要なことを無言でやってくれる優しさ”だと思いました。ただチャーリーがレネへ無言で必要な物を与えていたため、離婚をきっかけに彼女は第1章で述べられていたガソリンや冷蔵庫内の食材などの必要な物を準備してくれる人がいなくなり娘であるベラに準備するように要求していた可能性があると思いました。
エドワードが思う人間の素晴らしい一面
ベラが母へエドワードのことを好きであると素直に言えず”一時的に熱くなっているだけ”と言いました。英語では”crush”と表現されています。
”crush on somebody”
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(especially North American English, informal) to have very strong feelings for somebody
⇒(特に北部のアメリカで使われる、公式では無い)誰に対してとても強い感情を抱くこと
“crush”は一般的には、押しつぶして怪我を負わせるという意味で使われています。
恋愛の場面で使われるときは、”一時的にとても熱くなっている状態”に使われるようです。公式の意味を元に考えると一時的に熱くなった結果、マイナスな結果を招くときに使われるのではないかと思いました。
そしてエドワードは人間が一時的に何かに没頭して、また他の物事へ関心が移る様子を人間の良い面であると考えていると話しました。なぜなら、物事は変化するからです。この発言は”vampire”として描かれている人たちは、例え約100年生きていても容姿のみでなく内面も変化しないと語っているようでした。
しかし、人間であっても何かに一図に取り組む人もいれば、飽きやすい人もいます。他の物事へ関心が移るのは”vampire”であるか”人間であるか”にあまり関係しないと思いました。
EPILOGUE: AN OCCASION (おわりに)
エピローグでは、卒業プロムの様子が描かれています。
ジェームズとの戦いで大けがをしたベラは、片足にギブスをつけた状態で卒業プロムへ向かいます。エドワードとしては彼と出会わなかった場合、彼女が歩んでいたであろう人生を送って欲しいと思っているから連れてきたと語りました。
確かに彼女は第4章でマイク、エリック、タイラーからダンスパーティーの誘いを受けていました。彼女がエドワードと出会っていなかった場合、3者の誰かとパーティーへ向かっていた可能性があります。ただ3者の中で最も良い印象で描かれていたマイクはジェシカが好きな人である為、エドワードの存在の有無に関わらず、マイクの誘いは断っていた可能性があります。さらに彼女はダンス自体が苦手であるから他者からの誘いの有無に関わらず参加しない可能性も十分考えられます。
彼は第10章で”ダンスはリードがすべて”と述べていましたが、彼がリードできる(彼が参加したい)イベントだったと捉える方が自然だと思いました。実際のところリードが上手くベラがダンスを楽しむ様子が描かれていました。
ちょうどその時、エドワードと部族の観点で対立するジェイコブが登場します。ジェイコブは容姿もエドワードと対比するように描かれていましたが、ダンスにおいても全くリード出来ていない様子でした。トワイライトシリーズでは主要な人物のようですが、本作品(第1シリーズ)で重要な役割を果たしたのは第6章でベラに冷人族について語った場面のみでした。ベラはエドワードについて知るためにジェイコブに伝説の話を聞きたいとお願いしました。彼女はジェイコブを利用したようだったのに彼が彼女に惹かれているのは少し疑問が残りました。恋愛の観点で彼女のことが好きなのであれば、マイクのようにエドワードへ敵意を示すのが自然に思われますが、父ビリーの伝言を伝えてすぐに去ります。”ただ会いに来ただけ”という用事だったように描写されていました。第2シリーズ以降、どのような役割を果たすのか(どのような人物であるか分かっていくのが)楽しみです。
物語の真意
作者が作品を通して読者へ伝えたかったことは、”死ぬときに強く抱く感情は何であるか”だと思いました。
作品中で使われている”vampire”という単語を私は”死者の魂”であると捉えました。第20章でアリスが自分たち”vampire”は”venom(毒)”を持つと説明していました。
”venom”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
(formal) a strong, bitter feeling; feelings of hate and a desire to hurt somebody
⇒(公式的に)誰かを傷つけたいと願ったり誰かを嫌う強く苦い気持ちという意味があります。
つまり、作品中で登場した”vampire”たちは、死ぬ直前に強いマイナスな印象を持つ感情を抱いたのでは無いかと思います。第14章でエドワードがカレン家の人々の特性を説明していましたが、慈悲の精神を持つカーライルは”強い同情心”、情熱的な愛情を持つエズミは”自身が授かった生後すぐに亡くなった子どもへの愛情”、”強靭は肉体を持つエメットはクマに襲われていたところをロザリーに助けられたことを恥ずかしく思い”強い身体を欲しいと願う気持ち”、強情なロザリーは”自分の意志を貫きたいと願う気持ち”を持ったのだと思われます。
主役のエドワードは、幼いときに両親を亡くし天涯孤独だったのですから”愛されたいと願う気持ち”を持ったのではないかと予想します。また基本的に他者の意見を通して、愛する人が傷つく姿を見たくないと自ら自殺行為のような行動を取ったベラは重傷を負い生死を彷徨う中”火(毒)を消して”と訴えたことから”生きたい”と願ったように感じました。恋愛小説として知られる物語ですが、”vampire”として描かれる人たちはカーライルのように17世紀ごろから生きている人物もいることからもしかしたら歴史的な偉人をモデルとして描かれているのではないかという疑問も持ちました。
恋愛小説として読むなら第14章の”夢を見ることができるなら、ぼくだってきみの夢を見る。そのことを恥ずかしいなんて思わないよ”(人を好きな気持ちは恥ずかしいことではない)というエドワードの言葉が素敵だなと思いました。
また、第1章の英語の授業の説明で”Bronte, Shakespeare, Chauser, Faulker.”と課題図書一覧の説明がされていましたが、ここで述べられた人たちが英語圏の基本(国語)で教わる教材なのだろうと思いました。トワイライトシリーズを最終章まで考察した後に読んでみようと思いました。(純粋に海外文学作品に関心を持った1冊となりました。
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