『new moon』by Stephenie Meyer考察

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  1. 出典
  2. 目的
  3. 主な登場人物
  4. 第1章 PARATY(対等な立場で同じ目的、同じ考えを持つ人たち)
  5. 年をとることは不幸なこと?!
  6. 対等な権利を持つこと
  7. ”vampire”であるカレン家の人々の目的は一致する
  8. 第2章 STITCHES(傷の処置)
  9. 信じることは強さになる
  10. 緑色は成長の途中を意味する
  11. マイク・ニュートンへの嫉妬
  12. エドワードからのプレゼント
  13. 第3章 THE END(過去の抹消)
  14. 愛する人がいるのであれば、その人の家族も傷つけるべきではない
  15. vampireであるカレン家の人びとは確かに存在している
  16. 敵がいなくなることは幸せの訪れである
  17. 第4章 WAKING UP(生きる力)
  18. 一方的な別れを経験すると、恋愛出来なくなる
  19. 一般的な女性は恋愛話が好きである
  20. 失恋の後は相手のことを考えた方が良い
  21. 第5章 CHEATER(偽る)
  22. 気持ちの切り替えには普段はやらないことをする
  23. それ以上の利益は必要ない人
  24. 第6章 FRIENDS(友だち)
  25. 男性は同じことに関心を持つ人が友人である
  26. 女性は自分の考えを支持する人が友だちである
  27. 第7章 REPETITION(過去と同じ出来事)
  28. マイクは変わらずベラのことが好き?!
  29. ジェイコブは変わらずベラのことが好き?!
  30. ベラは変わらずエドワードのことが好き?!
  31. 宗教や部族の言い伝えは人の心を動かす?!
  32. 第8章 ADRENALINE(気力を生み出すもの)
  33. 恐怖心は活気を生み出す
  34. 幻聴を起こす方法
  35. 第9章 THIRD WHEEL(第3者)
  36. マイクは容姿がエドワードに近い?!
  37. ジェイコブは言動がエドワードに近い?!
  38. 第10章 THE MEADOW(告白の地)
  39. 草原にいた人
  40. 5匹の狼
  41. 第11章 CULT(偏見)
  42. サムの目的
  43. 味方の敵は自分の敵ではない
  44. 第12章 INTRUDER(自分のための隠しごと)
  45. ジェイコブの隠しごとは彼自身を守ることが目的
  46. ベラの隠しごとはカレン家の人々を守ることが目的
  47. 第13章 KILLER(パートナーを失った恨み)
  48. 狼の狙い
  49. 傷つくのを見るのが怖いは告白の言葉?!
  50. 最初を立ち上げた人は偉大な人
  51. 第14章 FAMILY(人間を守ると決めた人たち)
  52. 協定違反となる条件
  53. vampireが人間を噛むときは理由があるはず?!
  54. 第15章 PRESSURE(進展)
  55. ジェイコブが狼人間に変わったきっかけ(心理的な問題)
  56. ジェイコブが狼人間に変わったきっかけ(遺伝子的な問題)
  57. ベラはジェイコブの彼女になった?!
  58. ジェイコブがデートの行き先として選んだ場所
  59. 第16章 PARIS(向き合う)
  60. 無理をするなら見えるところでして欲しい?!
  61. ジェイコブがベラを好きな理由は彼の欠点を受け入れたから
  62. 冷人族は水中での戦いに強い?!
  63. 第17章 VISITOR(様子を見る人)
  64. 人間だったころのアリス
  65. チャーリーから見たベラの抜け殻状態
  66. 第18章 THE FUNERAL(助けを求める)
  67. エドワードの目的はベラの生存確認
  68. ジェイコブの目的はベラへ告白
  69. 第19章 RACE(同じ価値観を持つ人々)
  70. ヴォルトゥーリ一族とは?!
  71. アリスが仲間を呼ばなかった理由
  72. 第20章 VOLTERRA(王族の街)
  73. エドワードとの再会
  74. ロミオの言葉の引用
  75. エドワードがアリスに思うこと
  76. アリスが持つ力
  77. ジェーンが持つ力
  78. 集団で行動をする人の特徴
  79. 第21章 VERDICT(決断)
  80. アロが持つ力
  81. ジェーンとアレックは”vampire”としての才能を認められた人たち?!
  82. 3000年生きている”vampire”
  83. アロが語る”immune”(免疫)とは
  84. 人間を狩る”vampire”
  85. アロの目的
  86. 第22章 FLIGHT (振り出し)
  87. 親子関係
  88. 兄弟関係
  89. ラ・トゥア・カンタンテ
  90. 第23章 THE TRUTH (愛しています)
  91. ロミオと同じあやまち
  92. エドワードが惹かれているのはベラの容姿ではない
  93. 強情さ
  94. 強く信じること
  95. 第24章 VOTE (進みたい道)
  96. ベラの自己中心性
  97. エドワードの自己中心性
  98. EPILOGUE – TREATY (協定)
  99. 物語の真意

出典

new moon(ニュームーン)

Stephenie Meyer(ステファニーメイヤーさく)

参考資料

小原亜美さんによる翻訳版の『トワイライトⅡ』

Oxford Learner’s Dictionaries

https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/

目的

物語の真意に迫る

原文は英語で書いてあります。

日本語版の小説を元に物語の概要を把握し、詳細な意味を理解するために原文で使われている英単語の意味を「Oxford Learner’s Dictionaries」で調べて作者がなぜその英単語を使ったのか、各場面で作者が伝えたいことは何であるか私なりの考えを記載しています。

主な登場人物

イザベラ・スワン:物語の主人公(物語の語り手)

“vampire”になりたいと願う高校生。愛するエドワードと永遠に同じ時間を過ごしたいと願っている。 

エドワード・カレン:”vampire”

人間であるベラに惹かれた”vampire”。変身したときの痛みをベラに体験させたくない。

彼女が持つ両親や学校の友人を羨ましく思っているのか彼は彼女を”vampire”に変身させたく無いと思っている

エメット・カレン:”vampire”

ロザリーによって”vampire”に変身した。彼は人間であるベラに好意的である

ジャスパー・ヘイル:”vampire”

第1シリーズでは、対話している相手の気持ちを苛立たせたり落ち着かせる能力を持つと語られていた

ロザリー・ヘイル:”vampire”

意志が強くて美人。エメットを”vampire”に変身させたときは約160キロ彼を抱えて移動したと語らせていた。

アリス・カレン:”vampire”

 ベラに好意的。人間だった頃は独房に閉じ込められていたことにより人間だった頃の記憶が無い

カレン家の人たちの共通点

チョークのように肌の色が白い

目の下にクマがある

人間と思えないほど美しい容姿

第1章 PARATY(対等な立場で同じ目的、同じ考えを持つ人たち)

第2シリーズ(ニュームーン)を読むためには第1シリーズ(トワイライト)の内容理解が必要です。

『twilight』by Stephenie Meyer考察
出典twilight(トワイライト)Stephenie Meyer(ステファニーメイヤーさく)参考資料小原亜美さんによる翻訳版の『トワイライト』「Oxford Learner's Dictionaries」目的...

9月13日は物語の語り手ベラの誕生日。愛するエドワードは永遠に17歳であるのに自分は毎年、年老いていくことに彼女は強く絶望感を感じています。大抵の人にとってはその日まで生きていることを祝う喜ばしい日であるはずです。ベラの両親も”vampire”であるカレン家の人たちも彼女の誕生日を祝おうと張り切る様子が描かれています。

“party”にはお祝いの会以外に政党という意味もあります

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a political organization that you can vote for in elections and whose members have the same aims and ideas

⇒選挙で投票出来るメンバーが同じ目的と同じ考えを持つ政治組織という意味もあります。

party noun - Definition, pictures, pronunciation and usage notes | Oxford Advanced Learner's Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com
Definition of party noun in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and more.

ベラの18歳の誕生日⇒大人になること

選挙で投票できる⇒発言権は対等に与えられていること

同じ目的同じ考え⇒”vampire”であるカレン家の人々の目的は一致すること

上記3つの事柄が語られています。

年をとることは不幸なこと?!

9月13日はベラの誕生日。愛するエドワードは永遠に17歳であるのに自分は毎年、年老いていくことに彼女は強く絶望感を感じています。彼女は夢で鏡に映る年老いた自分を見ました。一方でエドワードは永遠に若々しい17歳である為、容姿の差に失望感を感じたようでした。

ベラが年をとることを気にしているとアリスが”十八歳なんてまだ若いじゃない”、”女の人が誕生日を気に病むようになるのって普通、二十九歳からじゃないの?”と言いました。前作トワイライト第22章でジェームズはアリスが生きていた時代は1920年代であると語っていました。その時代の女性は29歳くらいに年齢を気にしていたことが分かります。この年齢は子どもを授かることが出来る年齢を指すと思います。女性は若いことに価値があると物語られているように感じました。

子ども時代、大抵の人は誕生日の祝いを喜びます。ベラの場合、子ども時代も何かプレゼントをもらうことに抵抗があったようです。理由はお返しが出来ないからです。人と人との繋がりにはどちらかが与え続けたり、どちらかが受け取り続けたりすると関係が崩れると考えているようです。彼女の両親は離婚しており、彼女の母は幼稚園の先生の給料でベラを育てたと語られています。この職業に価値が無いわけではありません。しかし所得が低い家庭で育ったことを意味しているように感じられました。

対等な権利を持つこと

本章は主人公ベラの誕生日です。彼女はアリスとエドワードが誕生日を祝おうと張り切っているのにその会に行かない理由を考えます。行かない理由の1つは英語の課題である『ロミオとジュリエット』を見ていないからと言いました。反論するアリスにエドワードは”ベラがビデオを観たいなら、それでいいさ。ベラの誕生日なんだから。”とベラの意志を尊重しました。カレン家の誕生日会に行くという結果自体は変わらないのですが、その後も帰宅時にベラが運転したいと意思表示するとその気持ちを尊重する場面が見られました。

ベラの家で『ロミオとジュリエット』を見ているときエドワードは、ロミオが好きになれないと言います。理由は愛する相手をロザラインからジュリエットへすぐに変えてまうからと語りました。そして結婚式の直後にジュリエットのいとこを殺害し自分の幸せを完璧に壊してしまったからと言いました。前作第24章で彼はベラが一時的に熱くなっていることについて、そこが人間のすばらしいところだと話していましたが、本章では一途な方が良いと考えているようでした。

さらに彼は自殺をするロミオを羨ましいと語ります。”vampire”である彼は簡単に死ぬことが出来ないため、死ぬ権利が無いと考えているようです。前作でベラが1人でジェームズに立ち向かったことを知った時、万が一彼女が死んでいたら、その後生きていくことが出来ないと話していました。そこまで強く人を愛することが出来るのは尊い感情のようですが、自ら命を立つ行為を肯定することは出来ません。例え1人でも生きていくためには何が必要か考えさせられる場面でした。

”vampire”であるカレン家の人々の目的は一致する

エメット、ロザリー、ジャスパーはベラへ誕生日プレゼントしてカーステレオを贈りました。ベラに好意を寄せるエメットは彼女の車に取り付けます。それからエドワードとアリスからのプレゼントを開けようとしたとき、包装紙で指を切ってしまいベラの指から血が流れました。

彼女が怪我をしたその瞬間にジャスパーがベラの血を狙いました。前作第13章でエドワードはジャスパーがカレン家の人々に加わって人を狩らない暮らしを始めたのが一番遅く血への欲望を完全に制御するのが難しいと語っていました。本章ではその時の言葉通りに突然の出来事により抑えていた欲を制御しきれずベラへ飛び掛かる様子が描かれていました。

一方エメットは特別な相手に惹かれたことが2回あり、血への欲望を制御したことがあると説明されていました。そして今回の突然の流血でベラを飛び掛かることなく、彼女を傷つけようとしたジャスパーをしっかり押さえこんだと書かれていました。

前作を読んだときに感じていたことですが、一度も強い欲を感じたことが無い人の方が、強い欲を感じてそれを制御したことがある人より危険であると物語っているようでした。少なくともエメットとエドワードはベラを守ろうと行動したのですが、彼女の目には6人の”vampire”は突然ののどの渇きに襲われ、じっと彼女を見ていたと描写しています。彼らの目的は人間であるベラの血なのであるかと驚かされた場面でした。

第2章 STITCHES(傷の処置)

前章でジャスパーがベラへ飛び掛かろうとしたのを防ごうとエドワードがベラを突き飛ばしました。それによってガラスの破片が彼女の腕に突き刺さりました。医者であるカーライルは傷の処置をします。前作第16章でカーライルは”vampire”に変身したときに自身の身を激しく拒絶し自殺を試みましたが、その後フランスで医学を学び天職を見つけたと書かれていました。人間離れした能力を持ち、人間の血を飲む体質となりましたが、同時に身に着けた鋭い嗅覚や無限の時間をどう使うか判断してきたと彼自身の人生の修復の話が語られています。

信じることは強さになる

ベラの突然の出血でカレン家の”vampire”はみんな血への欲を抑えきれず取り乱しました。転生してから約400年”人を狩らない”と禁欲生活を続けているカーライルのみ冷静な姿で描かれていました。彼が冷静でいられる理由は”神”、”天国”、”地獄”、”死後の世界”を信じているからと語りました。しかし、自分たちには”死後の世界”は存在しないと信じているとのことでした。

特定の宗教を信仰していない私の視点からは天国、地獄、死後の世界はまるで神話の世界のように聞こえました。さらに私は前作で”vampire”とは死者の魂(歴史上の偉人)と推測していたため、彼ら自身が魂であると思っていました。しかし本章では”vampire”であるカーライルは自分たちにそもそも魂は無いと考えています。

私は魂には救われる魂と救われない魂の2種類が描かれているのだと思いました。”vampire”である彼らが持つ魂は生前に成し遂げたかった負の感情、一方で救われる魂とは生前に何かを成し遂げた正の感情を意味するのではないかと思いました。仮にそうであるならば、生きている人間が持つ血は物事をプラスの方向へ導くことが出来る力を意味すると思いました。

緑色は成長の途中を意味する

エドワードを”vampire”へ変身させたカーライルは”息子を見ていると希望がつのる。自分たちにも死後の世界はあるという信念はますます強まるんだ。”と語りました。前回の投稿で”vampire”であるカーライルは自分たちにそもそも魂は無いと考えていると私は捉えていましたが、カーライルは自分に死後の世界があると信じています。

死後の世界、つまり救われる魂(物事をプラスの方向へ導くことが出来る力)があると信じています。しかし、エドワードは自分には物事をプラスの方向へ変える力は無いと信じています。

そしてカーライルはエドワードの母親の話をすると同時にエドワードの先天的な特徴を語りました。エドワードも彼の母(エリザベス)も赤胴色の髪、グリーンの瞳であったと語りました。私は”グリーン”という色は未熟さを表すと思います。なぜならカーライルはエドワードについて、これで終わりになるはずがないと語りましたが、この発言はこれから彼が何かを成し遂げることを意味すると思います。

前作第14章では、エドワードが ベラの寝言についてベラへ語る場面がありました。ベラはフォークスでの生活について”なにもかもグリーン”と語っていました。ここでのグリーンは”ベラを頼る母親”、”料理を全くしない父”、”フォークスの生活でエドワードを恋しいと思う自分”などの”未熟さ”を表していると考えられました。

マイク・ニュートンへの嫉妬

エドワードはマイクへの嫉妬心を語りました。自身が持つ人間離れした能力を自分自身で低く評価しています。普通の人間同士で誕生日を祝うのであれば、プレゼントの箱で指を切ったとしても絆創膏を貼るのみで処置は済みます。

しかし、”vampire”が集まる場所だったため少量の出血で興奮させてしまい、傷口を縫うほどの怪我を負いました。その結果、彼は彼自身と彼の家族を責めます。この自身を責める気持ちが嫉妬であると思います。

一方でベラへ片想いしていたマイクはエドワードに憧れていると思われます。前章でベラがマイクの容姿に変化があったことを語っていました。顔の丸みがとれるという年齢を重ねると自然に現れる変化に加えて、まるでエドワードを真似するような髪型をしていると語られていました。

ある人物を真似する気持ちは”憧れ”、自分自身を低く評価する気持ちは”嫉妬”であることを表す場面であると思いました。

エドワードからのプレゼント

エドワードからベラへの誕生日プレゼントは彼が作曲したピアノの伴奏をCDに録音したものでした。これは彼の耳が良いという特性を活かしたプレゼントだと思います。(私はエドワードは絶対音感の持ち主だと思いました。)

ベラはこのプレゼントを喜びます。”彼が作曲したこと”が鍵であるのか、”ピアノの音色”が鍵であるのかは明記はありませんが、ベラは母親レネと同様にピアノの音に強く感銘を受ける人物のようです。

もしピアノに全く関心が無いとしても”エドワード自身がベラの為に作曲した曲”であることを考えるとどんな人でも嬉しいだろうと思いました。

2人はその後激しいキスをします。この場面は2人が両想いである気持ちが強いことを意味するのかと思ったのですが、彼女はこのキスには彼の苦悩がにじんでいたと語っています。彼が例え年をとらないとしても一緒に過ごすことは出来るはずです。前作から彼が語る”自分は危険な存在”と発言したときの感情を表すのだろうかと思いました。

第3章 THE END(過去の抹消)

第1章でジャスパーがベラへ飛び掛かろうとしたことをきっかけに彼はアリスとフォークスを離れる決意をします。そのときエドワードも血への欲望を抑えることが出来ず外へ出ました。彼は前章でマイクのように普通の人間であれば、そばにいることが出来たのに自分は出来なかったと自己嫌悪に陥っていました。そして最初から出会わなかったことにするために自分が写っている写真と自分が伴奏した曲が録音されているCDをベラの家から持ち去りフォークスを去りました。本章では突然の別れが描かれています。

愛する人がいるのであれば、その人の家族も傷つけるべきではない

前作第13章でエドワードはベラへ自身が彼女を傷つけるようなことがあったら、彼は自分自身を許すことが出来ないと宣言していました。この言葉には彼自身もしくは彼の家族が彼女を傷つけた場合、自分自身を責めるという意味があったようです。

前作第22章でジェームズがベラを”片脚骨折、肋骨骨折、頭蓋骨にひびが入るほどの怪我を負わせたとき、確かにエドワードはジェームズを許すことは出来なかったと思われます。カレン家の人々も同様の感情を持っていため、ジェームズはエメットとジャスパーによって始末されたと書かれていました。
しかし、本作第1章で起きた出来事はエドワードにとって仲間であるジャスパーが人間の血への欲望を抑えることが出来ず、ベラへ飛び掛かろうとしました。そして彼も含めてカーライル以外の家族も同様にその場を去ることでしか自分たちの欲を抑えることが出来ませんでした。

自分が愛する人を傷つけた相手が自分にとっても敵であれば、全面的に戦うことが出来ますが、今回の出来事ではベラを傷つけた相手が自分にとって約80年近く一緒に生活してきた家族であるため始末することなんて出来なかったと感じているようでした。彼は第1章の『ロミオとジュリエット』を鑑賞していた場面でロミオがジュリエットと結婚した直後に彼女の従妹を殺害したことが好きになれないと語っていました。彼は自分が愛する人の家族も傷つけるべきでは無いと思っているようです。恐らくジャスパーというよりはカーライルのことを愛しており、彼の家族であるジャスパーを傷つけることはできないと感じているのではないかと思いました。

vampireであるカレン家の人びとは確かに存在している

前作第13章でベラはエドワードへ”あなたが現実の存在だと信じられたらいいのに”と語っていました。彼女は前作第3章の交通事故の日に彼に助けられたときから彼のことを”人ではない何かではないか”と疑問を感じていました。

本作で彼女は誕生日プレゼントとして父チャーリーからカメラをもらいます。そのカメラでエドワードを撮影するとき”人ではない彼は写真に写らないのではないだろうか”と感じているようでした。

彼女の不安をよそにエドワードは写真にしっかりと写っていました。彼は前作第24章章でそもそも自分はいるはずのない存在であると語っていましたが、写真に写るということは確かに存在していることを意味すると思います。なぜなら仮にghost(幽霊)と同様の存在であれば、そもそも写真に写らないと思われるからです。エドワードはベラの部屋からわざわざ”自分が写っている写真”と”自分が彼女へ贈ったCD”を持ち出しましたが、この行動は彼女に自分の存在を忘れて欲しいと思う気持ちと自分自身は彼女のことをいつまでも覚えていたいと思う気持ちもあるのではないかと思いました。

敵がいなくなることは幸せの訪れである

エドワードから突然の別れを告げられ、ベラは森の中を彷徨っていました。前作第6章で登場したサムという男性が森の中を彷徨うベラを見つけ父チャーリーの元へ連れて帰りました。彼はベラを見つけた時、エドワードから怪我をさせられたのかと尋ねたと書かれています。

サムはジェイコブと同じキラユーテ族の人間です。ジェイコブは父ビリーが話すカレン家についての”冷人族の伝説”を単なる伝説と捉えていましたが、ここでのサムの発言から彼は冷人族は他の種族の人間にとって危険な存在であると考えていることが窺えました。

そしてキラユーテ族の中には、カレン家の人々がフォークスを去ったことを祝う人たちがいたと書かれていました。前作でも冷人族とキラユーテ族は敵対関係にあることは説明されていましたが、この場面では敵が自分たちの視界から遠ざかることは幸せの訪れであると物語っているようでした。幸せとは外部的な要因に影響されるものなのかと疑問が残る描写となっていました。

第4章 WAKING UP(生きる力)

エドワードが一方的に去ったあと、ベラは4ヶ月間、”lifeless”(抜け殻のようになった状態)で過ごしています。彼女は前作第24章でこの恋は”crush”(悪い結果が予想される)一時的な恋crushであると語っていましたが、まさに言葉通りとなっているような場面が描かれています。

”lifeless”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

(formal) dead or appearing to be dead

⇒(公式)死んだ状態、もしくは死んだように見える

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一方的な別れを経験すると、恋愛出来なくなる

エドワードが一方的に去ったことで抜け殻状態となっているベラを見て父チャーリーは自分も似たような経験をしたことがあるから失恋で落ち込む姿を見ていられないと訴えていました。

チャーリーは彼の伴侶であるレネと離婚したときに自分がまるでベラのような姿だったと語っていました。前作第19章でチャーリーとレネが離婚したとき、レネがどのように出て行ったのかベラが演じる場面がありました。

ベラが演じたレネの言葉は、別れる理由をチャーリーと話し合うのではなく”いいから行かせて”と一方的に出ていく言葉を発していました。チャーリーとベラの失恋の共通点は一方的に別れを告げられたことだと思います。

本章でベラは恋愛系の映画も観たくないし、ラブソングも聴きたくないと語っています。一方的な別れを経験するとその後、恋愛出来なくなることを描いているように感じました。

一般的な女性は恋愛話が好きである

一般的な女性として描かれていると思われるジェシカは恋愛話が好きです。第1章で彼女はクラスメイトのマイクとつきあっていたけれど、今は別れて微妙な関係と書かれていました。彼女もベラと同様に失恋を経験し、現在は誰ともつきあっていません。

ただ恋愛話は好きであるため、クラスメイトのエリックやコナーと出かけたことについてベラが話を合わせると自ら進んで話に花を咲かせた様子が描かれていました。

彼女は車内で聴く音楽を自らラブソングに合わせたと書かれていたことから、別れていようと恋愛系の映画やラブソングを好む様子が窺えました。これは一般的な女性はロマンスやラブソングを好むことを意味するのではないかと思いました。

ベラから声を掛けてポートアンジェルスまで映画を観に行ったのに全く映画を観ることなく、その後の夜道で自ら進んで変質者へ話掛ける様子を見てジェシカはかなり不愉快な思いをします。そのため、フォークスへ戻る車内ではベラとの会話を避けるために車内の音楽のボリュームを上げたと書かれていました。機嫌が悪くなると相手の話に全く耳を傾けない様子はベラの母レネが家を出て行ったときと類似するところがあるように感じられました。ただジェシカの機嫌が悪くなったのは彼女の心配をよそにベラが自ら自分の身を危険にさらしたことが原因であったことは確かです。

ジェシカはベラが4人組の男性がいる方向へ向かうとき自殺願望でもあるのか尋ねました。ベラがそのつもりは無いと答えるとジェシカは目を見張り、口をぽかんと開けていたとベラは描写しています。ベラはジェシカが本気でその質問をした訳ではないと気づきました。ジェシカはなぜ、大げさな”自殺”という言葉を使ったのでしょうか。強引にでもベラを引き止めたかったからではないかと私は思いました。

この場面では軽はずみな衝動で見知らぬ男性4人に話しかけに向かったベラに非があります。ただ、それで良いなら彼女の自由です。しかしもし彼女の行動を止めたいならどう説得をすると良いのか疑問が残りました。

失恋の後は相手のことを考えた方が良い

ベラはエドワードとの別れの後、”彼のこと”を考えまいと自分を戒めていたと語っています。つらい経験をした後に訪れる感情は”苦悩”か”虚無”であると彼女は考えており、彼女は虚しさを選びました。

チャーリーもレネと別れた後、”虚無感”を抱いたことは確かだと思われますが、彼は向き合って解決したと語っていました。彼は離婚後、レネとベラがいるフェニックスへ向かったのだと思われます。

しかし、ベラの場合はエドワードがどこへ行ってしまったのか見当もつきませんし、向き合うことが不可能です。ただポートアンジェルスで暗い夜道4人組の男性と出くわしたときに自分の中に活気を覚えたのであれば、彼と過ごした場所を巡ることが立ち直る方法のように感じられました。

もしくはエドワードの居場所を知る人を尋ねるべきです。仮に彼の居場所を知る人がいるとすれば、前作第6章で”冷人族”と”キラユーテ族”の伝説をベラへ話したジェイコブではないかと思いました。この後の話で彼女がジェイコブを訪ねることを予想します。

第5章 CHEATER(偽る)

”cheater”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

to trick somebody or make them believe something that is not true

⇒誰かを欺いたり真実でないことを信じさせること

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Definition of cheat verb in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and more.

本章での使われ方は、”チャーリーとの約束”、”エドワードとの約束”を破ること

不要になったバイクをベラへ譲ってくれたマークス、車だけでなくバイクの整備も出来るジェイコブへ嘘をつきます。成績はオールAで学校から帰ると家事をするベラは、今の状況を打破するために無茶をしたいと思っているようです。

気持ちの切り替えには普段はやらないことをする

エドワードの失恋の後、虚しさを感じるベラはゾンビも亡霊も変質者も出てこない。何も出てこない”無”の世界の夢を見ると語っています。エドワードを含め彼の家族は確かに存在していたのに最初からいなかったことにして欲しいと別れ際に言われたことが原因のようです。

”実際に存在するのにいなかったことにする”さらにベラには”無茶をしないように”言いつけて彼はベラの前から姿を消しました。彼女はその言いつけを律儀に守っている自分にうんざりし無茶をすることを決めます。

顔見知りばかりで安全なフォークスで彼女はバイクに乗ろうと考えたようです。その行動は父チャーリーより幼いときから禁止されている行動でした。警察官であるチャーリーはバイクでカーブを曲がり切れず大怪我もしくは死亡する若者を見てきたのだと思われます。父や元カレの言いつけを破ることが何を意味するのか本章の内容のみでは分かりませんでしたが、気持ちの切り替えには普段やらないことをする必要があるのではないかと思いました。

それ以上の利益は必要ない人

ベラが無茶をしたいと考えながらマークス家の横を通ったとき”整備が必要な状態のバイク”が売り出されていました。”売ります”と中古商品として外へ出されていました。そのためベラは家の中へ入って”買います”と伝えます。しかし玄関へ出たその家の子どもは”ろくにうごかないし庭掃除のごみと一緒に回収してもらう予定だったから無料で譲る”と言いました。

その子どもは乗り物としては整備が必要であるが、整備をするために必要な部品がある方が良いため、1台で十分と話すベラへ2台持っていくことを提案しました。この発言をした人物が子どもであることが本章では重要だと思われます。なぜならベラは父と繋がりがある大人を信用していない描写があるからです。

ベラは”中古のバイク”を入手すると前作で車いじりが好きな人物として登場したジェイコブを訪ねます。彼は16歳になったばかりで本章では”子ども”として描かれていると思われます。ベラは前作と同様に恋人として関心があるふりをして彼に中古のバイクの整備を依頼します。

彼は喜んで整備の依頼を引き受けます。そもそも車やバイクをいじることが好きであることが理由の1つであると思われますが、もし彼がベラへ恋人として関心があるのであれば、本章でのベラの行動は彼をだますことになるのではないかと思いました。

ベラについては内心を赤裸々に書かれているため、本章では”自分から見て子どもに当たる人物を騙している”場面となりました。結果悪いことが起こることが予想されます。

第6章 FRIENDS(友だち)

”friend”とは
Oxford Learner’s Dictionariesによると
a person who has the same interests and opinions as yourself, and who will help and support you
⇒あなたと同じ関心、意見を持ちあなたの考えを指示する人

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本章では、ジェイコブの学校の友だち、ベラの学校の友だちが描かれています。それぞれの人物が何を目的として一緒にいるのかが着目点だと思われます。

男性は同じことに関心を持つ人が友人である

ジェイコブの友人、クイルとエンブリーはジェイコブがバイクを修理する話をすると専門的な質問を浴びせたと書かれています。その質問はベラからすると聞きなれない言葉ばかりと語られていました。

この同じ趣味を持つ人と一緒にいることは、ベラの父チャーリーも同様です。前作より登場していたジェイコブの父ビリーに加えて本章ではハリーという男性が描かれています。3人の共通の趣味は釣りとスポーツ観戦です。

ベラのクラスメイトについては昼休みのそれぞれの人物が話す話題について書かれていました。マイクとコナーはスポーツの話でした。これはそのスポーツに関心が無いと全く話について行くことが出来ないと書かれています。あくまで本章のみの考察ですが、男性は同じ事柄に関心を持つ人が友人となると思われました。

女性は自分の考えを支持する人が友だちである

一方女性は、自分の考えを支持する人が友人となるのではないかと思いました。アンジェラは自分が温泉地のような保養地の近くでクマを見たという信じがたい話をしたとき、ベラがその話に同意したことに感謝する場面が描かれていました。

アンジェラは前作第8章で登場した人物です。第8章では、ジェシカとアンジェラがダンスパーティーに着ていく衣装選びのためにベラに声を掛けて3人でポートアンジェルスへ出かけていました。ベラは自分はダンスパーティーへ参加しないが、ジェシカとアンジェラが衣装を選ぶとそれぞれの衣装について肯定的な感想を述べていました。

衣装選びの後、ベラが1人で本屋へ行こうとするとジェシカとアンジェラは2人で楽しそうに話していたという描写があったため、”おしゃれ”という共通の話題があることで一緒に過ごしていると思っていました。

ところが、本章の最後の場面ではベラが失恋から立ち直った様子を見たローレンが”あら、おめでと。ベラが復活したわけね。”と言った後、アンジェラは呆れた目つきでローレンとジェシカを見たと書かれていました。ジェシカとアンジェラは元々友だちでは無かったのだろうかという疑問が生じました。

前作第8章を読んだとき私はどちらかというとアンジェラとベラの友人関係は続かないことを予想していました。ダンスパーティの衣装選びに行ったとき、ベラがボーイフレンドらしき人はいないと話しておきながら、まるで元々ポートアンジェルスで待ち合わせをしていたかのようにエドワードと一緒に現れた場面が描かれていたからです。ベラがエドワードと2人で過ごしたそうな様子を見てアンジェラはジェシカの手を掴んでその場を離れた様子を描かれていたことから彼女はベラに対して怒りを感じていると思っていました。

しかし、本章でアンジェラはベラが失恋で落ち込んでいる状態を心配する発言やベラが抜け殻の状態であったため自分は寂しかったと発言する場面がありました。前作でアンジェラはベラと同様に自分から自身の話をあまりしない人物と描かれていました。会話を先導するジェシカの方が友人となり得そうですが、アンジェラとしてはジェシカよりベラを友人として見ているのだろうかという疑問も生じました。

第7章 REPETITION(過去と同じ出来事)

”repetition”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a thing that has been done or said before

⇒以前行ったことや発言したこと

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Definition of repetition noun in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and mo...

人の関心は移り変わるはずですが、本章では以前と同じような出来事が繰り返されます。

マイクは変わらずベラのことが好き?!

前章でベラは昼休みのクラスメイトの会話についていこうとアンジェラがクマを見たという話にマイクを巻き込んで入りました。エドワードと別れた後、彼女はクラスメイトとほぼ会話をしていなかったことが書かれていました。

そんな彼女が会話を振ったことはマイクの心に変化をもたらしたようです。マイクはベラへ2人で映画を観に行こうと誘いました。その誘いがデートを意味するのであれば、行くことが出来ないと答えるベラに彼は”ただの友だちとして”と提案を推しました。

マイクは前作第4章でベラをダンスパーティーに誘う場面が描かれていました。その場面を私はデートへの誘いと捉えていました。前作でマイクは他の用事があるからと誘いを断ったベラに対して”ダンスパーティというイベント”を優先できないのかと問いだしていました。しかし、今回は学校行事として開催されるダンスでなく映画でかつ日程もベラに合わせていました。

この場面は前作と同じ場面が繰り返し描かれているようでした。デートへの誘い方は変化していましたが、ベラから”デートはしない”とはっきり言われたこと、”マイクが最初に提案した日程は断られたこと”で元気をなくす姿は前作と全く同じことが繰り返されているように感じました。

ジェイコブは変わらずベラのことが好き?!

ジェイコブはベラへ”ぼくがバイクの修理はできないっていったら、ベラはどうしてた?”と尋ねました。前作第6章でベラはカレン家の人々について詳しく知るためにジェイコブへ恋愛面で興味があるふりをして部族の伝説を聞き出しました。そこで彼女は彼のことを使った”used”という記載がありました。本章の彼のセルフはまるで自分は利用されているだけと内心感じているのかと思うような発言でした。

前作第6章でベラは彼女の父チャーリーが彼の父ビリーに会いに行くときは自分も一緒に行くと言っていました。そのため前作第12章でビリーがチャーリーに会いに行くとき一緒についてきたジェイコブはベラへ学校の友人と一緒に前回と同様にビーチへ来る予定があるかどうか尋ねる場面がありました。本章で彼が発した”バイクの修理が出来なかったら、、、”というセリフはベラが”彼自身”へ関心があるかどうかを尋ねており前作と変わらない彼の気持ちを描いていると思いました。

ベラは変わらずエドワードのことが好き?!

ベラの気持ちも前作から変わらずエドワードへ向いていると思います。本章の最後でジェイコブがカレン家の人々について言いかけたことで彼女はエドワードの存在を再認識しました。彼女はエドワードから別れ際に言いつけられた約束を破ると決心していますが、無茶をして危険な場面に遭遇するとエドワードがぎりぎりで助けに来ることを望んでいるのではないかと思われました。

彼女はマイクやジェイコブとは異なり、エドワードのことが好きであるが、マイクと過ごしている時間も楽しいしジェイコブと過ごしている時間も心から笑っていると語っていました。それでも彼女にとって1番好きな存在はエドワードのようでマイクから映画の誘いを受けたとき”デートはしない”と断ったり、ジェイコブに対しても自分が2歳も”年上”であると彼と自分を切り離す発言をしていました。

ただ彼女はマイクが”友達として”映画へ行こうと誘うと引き受けていましたし、第5章でバイクが完成したらふたりでお祝いしようと話すジェイコブにまるで彼女から恋愛感情を抱いていたように”デートってわけね!”と返していました。男女が2人で出かけることは悪いことではないと思いますが、本作品の中ではそれぞれの人物の気持ちにすれ違いが起きることが予想されます。

宗教や部族の言い伝えは人の心を動かす?!

ジェイコブは前作第6章で彼の曾祖父が部族の長老の1人であったこと、曾祖父が冷人族と知り合いだったため、キラユーテ族と近づかないと取り決めを結んだことを説明していました。

曾祖父の名前はエフライム。彼はキラユーテ族の最後の族長であり、彼の息子に当たるビリーも部族の間では特別扱いされていると語られています。ここでの特別扱いは敬われるという意味で使われていると思われます。

一方サムがジェイコムを見る時の態度は軽蔑の意味で使われていると思います。その理由はサムは冷人族を軽蔑しているからです。第3章でエドワードと別れ、森で彷徨うベラを救出したとき彼は”ケガをさせられたのか”と尋ねていました。ビリーもまた冷人族を嫌っていますが、彼はジェイコブは冷人族に友好的であると考えているということでしょうか。

サムに従う人たちの共通点は学校に姿を見せなくなって数週後に戻ってくるとまるでカルト教団に入信したみたいにサムに従っていると語られていました。

“cult”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a small group of people who have extreme religious beliefs and who are not part of any established religion

⇒極端な宗教的信念を持ち、確立された宗教を信仰していない少数の人々

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Definition of cult noun in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and more.

本章での”cult”は”極端に冷人族”を嫌うという意味で使われていると思います。

嫌いな物が一致しており、かつその気持ちがとても強い場合、それは宗教と同じくらい人の気持ちを動かすことが出来ると描いているように感じました。

第8章 ADRENALINE(気力を生み出すもの)

”adrenaline”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a substance produced in the body when you are excited, afraid or angry. It makes the heart beat faster and increases your energy and ability to move quickly

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Definition of adrenaline noun in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and mo...

⇒あなたが興奮したり恐怖や怒りを感じた時に体内で作られる物質。それは鼓動を速くしたり、エネルギーを作りだりたり、素早く動く能力となる

辞書が説明する意味だけを見ると興奮、恐怖、怒りを感じたときの感情はまるで同一の感情を示すようです。本章でベラはバイクに乗るとき恐怖心を抱きます。彼女がバイクに乗るきっかけは無茶をしたいからでした。動機として悪いもののように感じますが、彼女自身が乗りたいと思ったことは確かです。自発的な活動で得る恐怖心は活気を与えることを描いています。

恐怖心は活気を生み出す

ベラは初めてバイクに乗ります。そのとき感じた感情は恐怖と不安で胃がよじれる感覚であると書かれています。恐怖心は悪い感情である印象ですが、彼女はバイクに乗った後に額を七針縫うほどの傷を負ったにも関わらずもう1度乗りたいと思いました。

彼女はバイクで走っているときスタート地点に胃を落っことしてきたみたいな感覚だったと語っています。乗る前に彼女は恐怖と不安で胃がよじれる感覚を抱いていました。その胃を落っことすというのは恐怖と不安も一緒に置いてきたことを意味すると思いました。

そもそも彼女がバイクに乗ろうと思ったきっかけは、エドワードから一方的に言いつけられた言いつけを破るために無茶をしたいという理由でした。この動機からは悪い印象を受けますが、誰かから指示されたことでなく自ら乗りたいと思って始めたことでした。そのため額を七針縫うほどの傷を受けたにも関わらずもう1度乗りたいという気力が生じたように感じられました。

幻聴を起こす方法

ベラがバイクを発進させようとしたとき、エドワードの声が聞こえてきました。今回はポートアンジェルスへ行った時のように過去の思い出を振り返っていません。彼女は”アドレナリン、危険、無鉄砲な行為”を組み合わせると彼の声を聞くことが出来ると考えました。

しかしその結果、額を七針縫うほどの怪我を負い、父チャーリーが彼女の怪我を気にかけました。しばらく怪我をする訳にはいかないため彼女は前作第13章でエドワードと行った草原へ行くことを決めました。ポートアンジェルスで幻聴が起きた時と同様にエドワードとの思い出がある場所へ行くと再び彼の声を聞くことが出来ると考えたようです。

彼女はジェイコブにハイキングをしていた時に見つけた草原に行きたいと伝えます。彼女自身この提案は奇妙であることを自覚していますが、ジェイコブは快く受け入れたと書かれていました。ジェイコブはバイクの修理の件についても彼女が提案することであればどんなことでも受け入れていましたが、これは純粋な恋心を意味するのでしょうか。

本章の最後にジェイコブは彼女に”きみは美味しそう”と言いました。本作品は主役であるエドワードがvampire(血を飲む人)であるため、ベラへ対して”血の匂いが良い”と伝える場面が描かれていました。そしてその彼は1世紀前の人間であるため私は過去の人間が生前にやり残したことを成し遂げるため現代まで生き続けていると前作の話を元に考察していました。

ジェイコブとエドワードは部族という観点で対立しています。その2人がベラの血に関心があるということは”恋愛”というより”家系問題”が作品の背景にあるように感じられました。

第9章 THIRD WHEEL(第3者)

Oxford Learner’s Dictionariesによると

北アメリカの英語で”asleep at the wheel”は

not paying enough attention to what you need to do

⇒何かをするために十分な注意を払らわない

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Definition of wheel noun in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and more.

つまり第3者、特に注意を払う必要がない人と私は捉えました。ベラはマイクとジェイコブの3人で映画へ行きます。彼女はマイクとジェイコブのどちらと話しているときも笑っていられると語っていましたが、どちらも恋愛対象ではない第3者のようです。作者はどっちつかずの主人公ベラの気持ちを赤裸々に語っています。

マイクは容姿がエドワードに近い?!

マイクの瞳の色はブルーです。これは白人ということを意味すると思われます。エドワードの肌の色は青白です。第1章にマイクがエドワードの髪型を真似した様子を表す描写がありました。ベラはエドワードのルックスは真似してなれるものじゃないと語っていますが、マイクとエドワードは容姿が近いのではないかと思いました。

マイクは本作品の中で”vampire”であるエドワード、”キラユーテ族”であるジェイコブと異なり”普通の人間”です。彼は一般的な男性として描かれていると思われます。

彼はベラが複数人で映画を観に行こうと誘ったときに”アンジェラとベン”もしくは”エリックとケイティ”も誘ってはどうかとダブルデートを提案しました。このダブルデートという提案は一般的なことだと思われます。

彼は前作第2章でエリックとベラを取り合っているときはエリックに負けないように彼女にぴったり付き添っていたという描写がありました。本章でも映画を見ている最中にジェイコブに負けないようにベラの手をに握ろうとしていたと書かれていました。ところがマイクは元々体調が悪かったようで映画の途中で席を立ってしまいました。

ジェイコブは言動がエドワードに近い?!

ジェイコブは前作第6章で、髪の毛の色は黒、肌の色は赤茶色とエドワードと正反対な容姿で描かれていました。

ただ彼が本章で発した言葉はまるでエドワードがベラへ伝えた言葉をそのままコピーしたようなセリフでした。映画を観終えた後、体調が悪くトイレへ駆け込んだマイクを待つ間、”ぼくがそうしたいんだ。ベラが一緒にいたいって思ってるかぎりね”とベラがエドワードを好きであることは分かっているけれど自分はそばにいたいと話しました。このセリフは前作第24章のエドワードのセリフと同じでした。さらに帰宅途中の車内で話したセリフ”ぼくは絶対にきみを傷つけたりしない”も前作第13章でエドワードがベラへ告白したときの言葉を使っているようでした。

彼は濃い趣味を持つ人物であり、マイクと異なり恋のライバルであるエドワードのことを悪く言ったりしない人だと私は良い印象を持っていました。しかし本章ではエドワードのことを”あいつ”と言っているためどんなひとでも恋のライバルは軽蔑視するようです。

そして流血シーンを笑って楽しむ様子は恐ろしく感じました。他の分野で英語学習を例に例えると私は学生時代、ネイティブの先生が学習者用のリスニングCDの速度がゆっくりであるため、こんなにゆっくりと話すことはありえないと笑ったことがあると聞いたことがあります。このエピソードは賛否両論あると思います。英語学習者にとっては笑われてしまうと今自分自身が学習していることはネイティブ相手には使うことが出来ないのかと失望する可能性があります。

本作品の例ではジェイコブはバイクを乗りこなしたり、崖から飛び降りるクリフダイビングをやったことがあると語っていますし人が怪我をして血を流す場面を実際に見た事があると思われます。そのため、こんなに血は飛び散らないと現実的観点から感想を述べたのですから、さすが実論派と評価することも出来ます。ただマイクのことを”ひよわなやつ”と軽蔑したセリフは彼の印象を悪くしました。

第10章 THE MEADOW(告白の地)

Oxford Learner’s Dictionariesによると

”meadow”は

a field covered in grass, used especially for hay

⇒特に干し草に使われる草で覆われた野原

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Definition of meadow noun in Oxford Advanced Learner's Dictionary. Meaning, pronunciation, picture, example sentences, grammar, usage notes, synonyms and more.

ジェイコブが体調不良となりベラは1人でエドワードと行った草原探しに出かけます。そしてその場所を見つけます。彼女がその場所に期待していたものは、”エドワードの声”です。しかしその場所に探していたものは何もありませんでした。

草原にいた人

ベラは第4章でエドワードの声という幻聴を聞いた時から、その幻聴を起こす方法を探っています。初めてその幻聴が起きたのはポートアンジェルスへ出かけたときの夜道で4人組の男性と出くわした時でした。

2回目はエドワードとの約束を破ろうとバイクに乗ろうとしたとき、そして3回目となる本章では吸血鬼ローランと出くわした時でした。彼女が命の危険を感じるとエドワードの声という幻聴が聞こえるようです。

彼女にとってローランに出会ったということは、”vampire”は存在することを意味しました。有頂天になるベラにローランはちょうど喉が乾いているから特に悪意はないが、血を吸いたいと迫ってきました。

ベラはローランの気を逸らそうと女吸血鬼のヴィクトリアの現在について尋ねました。するとヴィクトリアベラに対してはパートナー(ジェームズ)を殺された仕返しをしようと企てていることを伝えます。ローランはヴィクトリアの計画の詳細をベラへ伝えなかったのですが、その内容は一瞬で命を落とした方がマシであると感じるほどの計画であると伝えていました。

ベラにとってエドワードから告白を受けたこの場所の特徴は、”だれかがわざと正確なマルを描いて木々をなぎ倒したかのように左右対称な空地”と書かれています。これは意図的に作られた場所を意味すると思います。今後の物語でこの場所で再び何かが起きることを予想します。

5匹の狼

ローランがベラに襲い掛かろうとしたとき、5匹の狼が現れました。1匹目の狼の特徴は”黒くてとてつもなく大きく馬くらいの背丈”、2匹目と3匹目の特徴は”大きさは1匹目ほどの大きさはなく色が深いグレーと褐色”、残りの2匹については最後に姿を現した狼の毛の色が”錆茶色”とのみ書かれていました。

”vampire”であるローランにとって、狼はモンスター級の大きさではあるけれど退治出来るはずとベラは思いました。”vampire”であるローランの肌は大理石のように冷たく彼の体に血は流れていないため、動物である狼がその匂いを好むとは思えないからです。しかしローランは明らかに恐怖を感じており狼の群れが近づくと森へ姿を消したと書かれていました。

この5匹の中にジェイコブがいるのかどうかは書かれていません。ただ前作第6章で彼は自分が属する部族、キラユーテ族は狼を化身としていると語っていました。この5匹の中に彼がいる可能性は十分考えられると思います。

ジェイコブは第8章で”クマは人間なんて食べないよ。美味しくないから”と語っていました。それは本章で描かれた狼たちは”人間は食べないがvampireは食べるという意味だろうかという疑問が生じました。

第11章 CULT(偏見)

Oxford Learner’s Dictionariesによると

”cult”とは

a small group of people who have extreme religious beliefs and who are not part of any established religion

⇒極端な宗教的信念を持ち、確立された宗教を信仰していない少数の人々

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ジェイコブはサムが率いる”吸血鬼差別主義者”の仲間へ入ったようです。ベラとマイクと映画を観た後、体調不良となった彼に何があったのかは本章では明らかになっていません。

サムの目的

”吸血鬼を偏見視する人たちを集めること”だと私は思いました。サムは第3章で森を彷徨っていたベラを発見したとき、エドワードとベラの会話のやり取りを見ていないのに”怪我をさせられたのか”と尋ねていました。サムが冷人族に悪い印象を抱いていることは確かだと思われます。

彼は前作第6章でカレン家の人々が彼らの居留地へ来なかった理由を語った場面でも”カレンたちは、ここにはこない”と予定が合わないから来なかったのではなく、まるで彼らの居留地へ来ることが禁止されていることを伝えるように話していました。

この居留地へ立ち入ってはいけない決まりについてはジェイコブが語った部族の伝説の話の中で冷人族とキラユーテ族の争いを防ぐために冷人族はキラユーテ族の土地に立ち入らないように定められていると説明されていました。ただジェイコブは前作では、この決まりは単なる伝説と捉えておりカレン家の人たちを偏見視する様子は見られませんでした。

サムが冷人族に悪い印象を抱いており、自分と同じ考えを持つ仲間を集めている様子は観察されるのですが、彼が仲間を集める理由とどのような方法で自分と異なる考えを持っていたはずのエンブリーやジェイコブを仲間にいれたのかは分かりませんでした。サムに従う仲間の外見上の特徴は”背が高く、赤褐色の肌をしていて、黒髪を刈り込んでいる”と書かれていました。

みんなが外見上に類似する特徴を持つということにおいては冷人族も同じだと思います。彼らの外見上の特徴は”チョークのように肌の色が白い、目の下にクマがある、人間と思えないほど美しい容姿”です。冷人族も何者かによって作られた人たちであることは確かだと思われます。

冷人族のエドワードもキラユーテ族のジェイコブも何者かの支配下にいるからなのか”ぼくはきみにふさわしくない”という言葉が全く同じセリフとなっていました。

味方の敵は自分の敵ではない

ベラの父チャーリーが彼の友人ビリーとの電話で”ビリー、あんたは友人だ。だが、うちの家族が傷ついているんでね”とビリーの発言より娘ベラの発言を信じたことが窺える発言をしたことは驚きました。本作ではエドワードとの失恋後に抜け殻状態で過ごすベラの方が誰から見てもおかしいと感じるような人になっています。

そのため実際、第4章でチャーリーは、そんな抜け殻状態の娘を見ていられないと彼女を母レネのところへ行かせると訴えた場面が描かれていました。さらに第6章でもベラが学校でのお昼休みにクラスメイトの会話に加わろうとマイクの隣の席へ座ったけれど、誰も見向きもしなかったと書かれていました。彼女は自分自身でクラスメイトから距離を置かれていることを感じていました。

ベラが疑われやすい状況であるのに、チャーリーは電話の最後に”居留地の状況には目を輝かせておく”と居留地で好青年として知られているサムを疑う警察署長らしい発言をしていました。彼はサムに対して好意的な印象を持っていましたが、ベラの発言を信じて居留地の若者が何かおかしな行動をとっているのではないかと自身が信用していたものを疑う発言をしました。彼の考えを変えるきっかけとなったものがあるとすれば、大切な娘が酷く落ち込む姿を見たことであると思いました。

第12章 INTRUDER(自分のための隠しごと)

Oxford Learner’s Dictionariesによると

”intruder”とは

a person who is somewhere where they are not wanted

⇒望まれていない人

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ジェイコブは夜中に窓からベラの部屋へ侵入します。彼は前章で彼女へ冷たい態度をとったことをお詫びするために現れました。この窓は彼女が愛するエドワードがよく出入り口として使っていた場所です。そのため本章のタイトルは”望まれていない人”と付けられているように感じました。

ジェイコブの隠しごとは彼自身を守ることが目的

ジェイコブは自分が”狼人間”であることを隠していると思われます。彼は前作でベラへそのことをすでに話しているのですが、本章で自分から再度話すことが出来ないと語っています。その理由は”忠誠心”の為とのことでした。恐らくサムに対しての忠誠心です。

”忠誠心”を英語では”loyalty”と書かれています。

Oxford Learner’s Dictionariesによると

”loyalty”とは

[uncountable] the quality of being constant in your support of somebody/something

⇒誰かを絶え間なく支えようとする質(心)

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辞書の意味を元に考えると”loyalty”は、”能動的”に”絶え間なく”支えようとする心を指すと思われます。

しかし、”忠誠心のために自分の勝手にはできないこともある。”という彼の発言を見ると彼はサムに対して”忠誠心”を持っているというより、サムから万が一規則を破ったら”罰則”があると言われているように感じました。彼はその罰則を恐れたため本章で自身が狼人間であることを語らなかったと思われます。

さらに、ベラがその秘密を言い当てることが出来たら彼自身が楽になれると発言した場面から”前章の自身の発言を謝罪しにきた”というより”助けを求めにきた”と捉えることが出来ると思いました。

ベラの隠しごとはカレン家の人々を守ることが目的

ベラはカレン家の人々が”vampire”(血を飲む人たち)であることを自身の両親や学校の友人に隠しています。それは彼らが人間の血を飲まないようにしているが、動物の血を飲むということを一般的な人に話すと人々から恐れられてフォークスで暮らせなくなるからだと思われます。

彼女は第1章でカレン家の人たちが血への欲求を抑え切れなかった様子を目にしました。そのとき、数百年にわたって人の血にとらわれないように修練を重ね医師として人の命を救ってきたカーライルのみ冷静さを保っていました。強い欲を抑えて過ごしている人たちが血を飲む人であるという秘密を明かすことで彼らが町で暮らすことが出来なくなることを恐れているように感じました。

ただ彼女はエドワードのことが好きであるため、彼と一緒にフォークスで暮らすため(つまり自分のため)に隠しごとを誰にも話さないという見方も出来ます。仮に彼女が苦手とするクラスメイト、ローレンが血を飲む人であった場合、秘密を明かすことで苦手な人を町から追い出すことが出来るのであれば、その人が人間でないことを明かすのかどうかは分かりませんでした。

第13章 KILLER(パートナーを失った恨み)

フォークスの町はずれに姿を現し、人殺しをしていた犯人はヴィクトリアであることが分かります。彼女はパートナーを奪われた恨みを晴らそうとベラへ近づこうとしているようです。

狼の狙い

前章でベラはジェイコブが狼人間であることを知りました。彼女はその狼が町で噂されている人殺しの犯人だと推測します。彼女はキラユーテ族も冷人族と同様に人間の血を欲しており自分たちの欲を抑えきれず殺人を犯したと思ったのです。

ジェイコブの答えは”NO”でした。彼は自分たちの部族を”守護官”と呼んでいます。そして自分たちは冷人族から人間を守ることが務めであると語っています。

そして現在、ジェイコブたちが仕留めようとしている相手はヴィクトリアでした。彼は女吸血鬼であるヴィクトリアのパートナーはローランであり、そのパートナーを殺害した自分たちへ牙を向けていると思っていました。しかし彼女は逃げては戻ってくるを繰り返していると行動の目的が分からないと語っていました。。

第10章でローランはヴィクトリアがベラへの復讐を企てていることを語りました。本章で語られている”逃げては戻ってくる”という発言は。ヴィクトリアの狙いはベラである為その他の人々には用事が無いと語られているようでした。

傷つくのを見るのが怖いは告白の言葉?!

ジェイコブは”きみを失うと思ったらひどく動揺してきて。ぼくの正体を受け入れてくれないんじゃないかと思ったらさ”と言いました。

この発言に対して前作第13章でエドワードは”青ざめて、冷たくなったきみを想像することがある。真っ赤にほほを染める姿も、ぼくのまやかしを見抜いたときの瞳のひらめきも、もう二度と見られない。そんなの耐えられない”と言いました。

両者に共通する感情は”好きな人が傷つく姿を見るのが怖い”だと思います。そしてその告白の場面でエドワードは”出会った瞬間に自分たちの正体をばらしてしまったほうがよかったかもしれない。いまこうして人目もなければ、とめるものもないまま、きみを傷つけることになるより…”と語っていました。ジェイコブも同様に自分自身が狼人間であることがばれると受け入れてもらえないのではないかと心配しているようです。

ジェイコブもエドワードも物語のキーパーソンとなる人物ですが、他者と違う特徴をコンプレックに感じていることを窺える場面でした。

最初を立ち上げた人は偉大な人

ジェイコブは現在狼の掟とか習性を修行中であると語りました。狼の群れは5匹いたことから彼には友人エンブリーとは別に4人仲間がいます。一方群れのボスであるサムは1人で掟や習性を切り抜けてきたと語られてます。

そして彼は狼へ初めて変身したとき一生でいちばんすさまじい、恐ろしい体験だったと述べていました。この発言もまた前作第14章のエドワードが”vampire”へ変身したときの発言と重なるところがあります。エドワードを”vampire”へ変身させたのはカーライルですが、ジェイコブを狼人間へ変身させたのはサムなのだろうかという疑問も生じました。

この2人に共通する感情は群れのボスに敬意を払っていることだと思います。エドワードは前作第16章で変身後はほとんどの時間をカーライルと過ごしていると語っていました。本作第11章でジェイコブの友人クイルはジェイコブはサムのそばを絶対に離れないと彼の日頃の様子を説明していました。彼らは類似する特徴が多いように感じます。

ただエドワードの場合は、1度反抗期を経験しており自らカーライルとエズミの元へ戻ったと書かれていました。ところがジェイコブの場合は群れのボスであるからないがしろにするわけにはいかないと書かれています。自らついていきたいと思う存在(憧れ)とないがしろには出来ない存在(義務)の違いを描く場面のように感じました。

第14章 FAMILY(人間を守ると決めた人たち)

ベラはジェイコブに連れられて彼の仲間へ会いにいきます。そこでキラユーテ族のリーダーサムの婚約者に会います。彼女の名前はエミリーで顔の右側には、生え際から顎まで続く赤い三本の傷跡があると書かれていました。ベラの父チャーリーはエミリーは1年以上前にクマに襲われたことがあると語っていました。1年以上前、ラプッシュにいた狼はサムだけだったはずです。三本の傷、これはサムが付けた傷ということでしょうか。

エミリーはサムが”vampire”であるヴィクトリアを始末することを企てている時に不安な様子でした。彼女は過去に”vampire”対サムの対決の場にいた可能性があります。仮にそうであれば、サムが”vampire”から人間を守る理由は、彼女を守れず傷を負わせたことがきっかけではないかと予想します。

協定違反となる条件

ベラがジェイコブに連れられて彼の仲間がいるところへ行くと、その仲間たちはいっせいに怒りをあらわにしました。

この様子は前作第3章でエドワードが交通事故を防いだ場面でも同様の状況が描かれていました。その場面ではアイスバーンで横滑りする車体にベラがはねられそうになった時、彼が瞬間移動で彼女を救出し、車体を軽々と持ち上げる様子も見られていました。そのため彼の仲間が自分たちが人間でないことが知られたと怒りを表す理由が推測できました。

しかし本章のジェイコブの場合、彼の仲間たちは彼らが狼に変身する様子を見られたわけではないのにベラを見た途端怒りを表していたと語られています。彼らはジェイコブがベラへ自分たちの正体を話したと勘違いをして激怒したということでしょうか。

 前作のエドワードの場合、第13章でロザリーとエメットとジャスパーはエドワードがベラの血の匂いへの欲を抑えることが出来ず、いつか噛みつくだろうと予想していたため喧嘩をしたと語られていました。

仮にエドワードがベラを噛んでいたら、ロザリー、エメット、ジャスパーにとって何が不利益となり得たのかが本章で書かれていると思いました。エンブリーがローランを始末したことを語っている場面でvampireが人間を噛んだら協定違反として攻撃することが許されていると語っていました。カレン家のロザリー、エメット、ジャスパーはエドワードがベラを噛むことで自分たち家族がキラユーテ族から攻撃されることを恐れていたのではないかという疑問が生じました。

vampireが人間を噛むときは理由があるはず?!

ジェイコブが彼の仲間へヴィクトリアの狙いはベラであることを伝えた時、ジェレッドとエンブリー、そしてエミリーは口をぽかんと開けてベラを見ていたと書かれていました。彼らにはvampireであるヴィクトリアがなぜ普通の女の子であるベラを狙っているのか理解できない様子でした。

たとえパートナーへの復讐といえど、”ただの女の子”を狙う理由がわからないと書かれるということは、”vampire”が人を噛むときは理由があるということでしょうか。本作第12章で恐らくヴィクトリアに噛まれたと思われる人間は男性であり、事件現場にわずかな血痕を残したのみで他に形跡を残していなかったと書かれていました。被害を受けた男性は”vampire”へ変身したということでしょうか。仮にそうであればヴィクトリアの狙いは”新しいパートナーを作るため”のように感じられます。

前作第14章でエドワードはカーライルが彼を”vampire”へ変身させた理由は”さみしさのため”だろうと推測していました。他にもロザリーもエメットを”vampire”へ変身させましたが、彼女の行動の根拠は”パートナーが欲しかったため”だと思われます。

ベラはエドワード、ジェイコブ、マイクから見ると魅力的な人物として描かれていますが、少なくともジェレッドとエンブリー、エミリーはベラへ全く魅力を感じていないことが窺える場面でした。

第15章 PRESSURE(進展)

“pressure”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

the effect that something has on the way a situation develops, especially when this causes problems

⇒特に何か問題を引き起こすとき状況が発展する過程で何かに影響すること

pressure noun - Definition, pictures, pronunciation and usage notes | Oxford Advanced Learner's Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com
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ジェイコブが狼人間になるということは、今後冷人族との争いが予想されます。そしてベラも問題を引き起こします。

ジェイコブが狼人間に変わったきっかけ(心理的な問題)

恋のライバル、エドワードより魅力が勝らなかったことへの苛立ちがきっかけだと思われます。ジェイコブは、狼人間へ変化するきっかけについて”ときどき、本気でおこったりすると、それがきっかけで時期が早まることもある”と言いました。私はこの言葉が本音だと思います。

ジェイコブは第9章でマイクとベラと3人で映画を観た日の夜から様子がおかしくなったと語りました。彼は”ベラが彼のことが好き”であることを確かめた後、彼女の反応から彼女は彼よりエドワードが好きであることを悟りました。エドワードはもうフォークスにいないのに、彼女の気持ちはエドワードの方を向いたままであることに強い怒りを感じたのではないかと思いました。

ジェイコブはベラが彼が狼人間であることに怖がらず今まで通り接していることに対して”きみがわかってくれてるから”いまはつらくないと話しています。彼は狼人間であることをコンプレックスに感じていますが、エドワードも”vampire”です。ベラが感じる2人の決定的な違いはわかりませんでした。

ジェイコブが狼人間に変わったきっかけ(遺伝子的な問題)

ジェイコブの父方の曾祖父”エフライム・ブラック”と母方の曾祖父”クイル・アテアラ”は部族最後の”群れ”のメンバーであり、両親とも”群れ”の血を引くジェイコブは狼人間になることを避けようがなかったと語っています。

冷人族であるカレン家の人々は前世は普通の人間で、何者かによって”vampire”へ変身しているため、狼人間も同様に何者かによって変身させられた人たちであることを予想していました。キラユーテ族の”群れ”に当たる人々は先天的に狼に変身することが決まっている人たちであることがわかる場面でした。

ベラはジェイコブの彼女になった?!

ベラはサムの婚約者エミリーと過ごす時間を”気楽”と語っています。その理由として”いまはふたりとも狼のカノジョみたいなもの”と感じているようです。しかしエミリーは親しみを感じる人間なのですが、サムとの濃い愛情表現の様子を見ると見ているのがつらいと感じています。親しみを感じる相手であっても幸せそうな様子を見るのはつらいものでしょうか。

ベラは彼女の命を狙うヴィクトリアから身を守るためということもありジェイコブと一緒に過ごす時間が長くなっています。決してキラユーテ族の味方になり冷人族と敵対関係となる気持ちを持ってはいないのですが、カレン家のアリスやジャスパーが持つ能力についてジェイコブに説明する場面が見られました。ジェイコブはカレン家の人たちが持つ特殊能力にとても関心を持っています。部族として敵対していることが理由なのか、まだまだ疑問の余地があると思いました。

ジェイコブがデートの行き先として選んだ場所

ジェイコブがデートの行き先に選んだ場所はクリフダイビングでした。この提案にベラは正直なところぞくっとしたと語っています。本音をいうと彼女は行きたくないはずです。

彼女が本当は気乗りしていないけれど”同行すること”を決意した場面は、前作第16章でエドワードが彼女を野球に誘った場面でも描かれていました。この気乗りしていないのに同行した結果、彼女は”死”に直面することになります。前作では彼女の母が人質になっているからと一人でジェイムズに立ち向かいました。本章では”気晴らしのため”という理由でクリフダイビング経験者であるジェイコブ無しに一人でクリフダイビングに挑みました。

しかし海へ飛び込んだ結果、凍りつくような海に泳ぐ力を失いました。死にかけてエドワードの声という幻聴を聞くと彼女は幸せを感じたと語っています。”さようなら、愛している”これが彼女が最後に感じた気持ちであり前作から変わらない気持ちであるようでした。

第16章 PARIS(向き合う)

“plaster of Paris”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a white powder that is mixed with water and becomes very hard when it dries, used especially for making copies of statues or holding broken bones in place

⇒水と混ざり合って乾くと非常に固くなる白い粉。特に彫像のコピーを作ったり、骨折した骨を固定したりするために使用される

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この作品で”彫刻”といえば、カレン家の人びとを指すと思われます。

ベラは本章で”弟”のようとイメージしていたジェイコブと真剣に向き合おうと思います。しかし、そう思った矢先、カーライルの車を見かけると彼女の顔色がこれ以上ないほど輝きます。ジェイコブは冷人族を敵視しているということもあるのですが、彼女のその変化への大きなショックを受けたのか彼女の前から立ち去ります。

無理をするなら見えるところでして欲しい?!

ベラは前章で一人でクリフダイビングに挑みました。海で溺れる彼女を救ったのはジェイコブでした。自分が提案したことが発端になり命を落としかける彼女を危機一髪で救う様子は前作第22章と同じでした。

私の中で本作はジェイコブのエドワードとの類似する性質探しになっています。ベラがジェイコブを真剣に向き合おうとしたとき聞こえた幻聴”しあわせになるんだ”も前作エピローグで卒業プロムのパーティーでエドワードとベラがダンスを楽しむ様子を見ていたジェイコブを見ているようでした。

しかし、ジェイコブは”vampire”に会いに行くと言い張るベラの主張を聞くと”1人で行くように”と伝えて立ち去ります。”vampire”が本当に危険な存在であれば、彼女を守るために同行すべきではないでしょうか。彼がここで立ち去った理由は”vampire”が敵であるからでなく”vampire”との再開を喜ぶ彼女の姿を見たくなかったからではないだろうかという疑問が生じました。仮にそうであれば、好きな人が幸せでいる様子は嬉しいことであるはずなのに思い通りにいかない人の感情を描いているように感じました。

ジェイコブがベラを好きな理由は彼の欠点を受け入れたから

ジェイコブは、たとえベラが彼のことを1番に愛していなかったとしても自分が狼人間であることを彼女が受け入れたことを嬉しいと伝えています。彼は自分が狼人間であることを誰も受け入れないだろうと思っているようです。部族以外の人間にはそのことを話していないと思われます。

ジェイコブが狼人間であることは決して彼の落ち度ではないのですが、”落ち度を受け入れてもらった”=”自分のことが好きなのでは?”と捉えた人物が前作で描かれていました。前作第3章で登場したタイラーです。彼は交通事故の加害者であり負傷者となった人物です。雪の日に彼の車がアイスバーンで横滑りしベラを撥ねようとしました。このとき、エドワードが瞬時に移動しベラが撥ねられるのを防ぎました。ベラは無傷だっただめ、事故のことを謝罪するタイラーを責めませんでした。恐らくタイラーは彼女は自分のことを好きだと思ったのかダンスパーティーへ誘いましたし、卒業プロムに行く約束をしたとクラスメイトに話していたようでした。

ベラは勝手に卒業パーティへ一緒に行くことにしたタイラーへ怒りを感じていました。一方ジェイコブのことは好きであると書かれています。そのためこの2人に類似するところはないのですが、”欠点を受け入れてくれたことは、その人のことを好きというわけではない”。そう伝えている場面のように感じました。

冷人族は水中での戦いに強い?!

ベラの命を狙うヴィクトリアを追っていたジェイコブは、ヴィクトリアが水中に逃げたから引き返したとベラへ伝えました。その時、彼は水中では”vampire”の方が有利と語っていました。

水の中で有利に戦うことが出来る理由は、エドワードが前作第16章で話した”vampireは呼吸をしなくて良いから”が理由になると思われます。さらに仮に”vampire”の体が”plaster(石膏)”であるならば、彼らは水に濡れている状態の方が強度が増すことが考えられます。

そして前作第19章でエドワードが彼らを確実に消滅させる方法は、”ただ1つバラバラに引き裂いて燃やしてしまうこと”と話していました。”vampire”に弱点があるとすれば、”火”であると推測されます。

前作でカレン家の人がジェームズを倒した場面も本作でジェイコブたちがローランを倒した場面も戦う様子が文字で記述がありません。ただエドワードが説明したように”バラバラに引き裂いて燃やす”方法で倒したのであれば、火がある場所で戦ったことが予想されます。カレン家の人々にとって同じ冷人族と戦うときは自分たちも死と隣合わせであるこをを意味すると思われます。逆にキラユーテ族は”火がある場所での戦い”に強いのではないだろうかという疑問も生じました。

第17章 VISITOR(様子を見る人)

“visit”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

visit something to make an official visit to somebody, for example to perform checks or give advice

⇒例えば何かを確認したり何か助言をするために正式に人を訪ねること

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アリスはベラがクリフダイビングをする姿を見て、間にあわないとわかっていても、なにもしないわけにはいかなくて駆けつけたと語っています。アリスはベラの生死を確認するためにベラの家を訪ねています。

人間だったころのアリス

アリスはベラと離れている間、自分自身が人間だったころの記録を探していました。彼女の本名はメアリー・アリス・ブランドン。彼女が暮らしていた時代の新聞や彼女が入院していた精神病院の記録を調べてわかったことは”彼女が入院した日付”と”彼女の墓石の死亡年月日”が同じことだったと語っています。

前作第22章でジェームズがアリスは人間だったころ長いこと真っ暗な独房に閉じ込められていたと話していました。彼の発言が真実であれば、”アリスが入院した日付”と”アリスの墓石の死亡年月日”が同じ日付であるということは誤った情報であると思われます。さらに仮にジェームズの言葉が正しい場合、アリスには確かに予知能力があり、彼女が100年早く生まれていたら火あぶりの刑にされていたところだったとも書かれていました。

アリスが人間だった1920年代は”精神科へ行く人”=”火あぶりの刑を課せられた人”のイメージはだったのでしょうか。

アリスは自分にはシンシアという妹がいて、その妹には娘がいることも話しました。姉妹ということであれば彼女の両親が男の子を優先的に育てたという理由ではなさそうです。そして、地元の新聞に自分の家族があまり載っていなかったことから地元の社交界に溶け込んでいなかっただろうという彼女の推測を話していました。

アリスは人間だったころの記憶がほとんどない人物として描かれていますが、物心つく前に入院したということなのか。彼女の両親は彼女のどんな未来予想を聞いたから精神科へ連れて行くという選択をしたのかは本章での説明ではわかりませんでした。

チャーリーから見たベラの抜け殻状態

第4章で抜け殻状態のベラへチャーリーが激怒する様子が描かれていましたが、本章ではチャーリーから見たベラの様子が語られています。

チャーリーはベラがエドワードと別れた後、最初の1週間は”なにも食べないし、なにも飲まない。動きもしない。”と語っています。ただ彼はベラがおびえると思って病院へ受診はさせなかったと話しています。そして第4章で彼がベラへ激怒した日のことも書かれています。その時の彼の提案はベラを母親のいるところへ連れて行くということでした。しかし、そのときベラが大きく反抗したと書かれていました。その理由はベラにとって口達者な母親といるよりただ様子を見ているだけのチャーリーの方が良いということを指すのだろうと私は思いました。

もともと無口なチャーリーは落ち込むベラの様子をただ見ていました。そしてゴミ箱で割れたCD、本を読まないこと、テレビを観ないことからエドワードを思い出すようなものを全て避けていることに気づいたと話していました。気づいたところでチャーリーはそれ以上何も行動は起こさなかったこととなりますが、第11章でベラとジェイコブの関係が上手くいっていないとき”ベラがジェイコブに気があるふりをした”という親友ビリーの言葉より”サムからの指示でジェイコブは自分と関わることができない”というベラの言葉を信じる様子が描かれていました。ずっとベラの様子を見てきたからこそ、彼女の言葉を信じることが出来たのであれば、抜け殻状態のとき様子を見るという選択をしたことは良い選択だったように感じました。

第18章 THE FUNERAL(助けを求める)

“it’s your funeral”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

(informal) used to tell somebody that they, and nobody else, will have to deal with the unpleasant results of their own actions

⇒あなたの行動で不快な結果を処理することになることを誰かに伝えるときに使われる

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本章ではエドワードから電話がかかってきます。その時電話に出たのはジェイコブでした。彼らの会話の結果、章の最後には不幸な未来が予想されています。そして、アリスがエドワードがイタリアへ行こうとしていると伝えに来たということは”こんなことあなたに頼んでいいだろうか”と躊躇する様子で描かれてはいましたが、アリスの用件は”ベラにイタリアへ同行してもらい、エドワードの自殺を止めたい”だと思われます。

エドワードの目的はベラの生存確認

エドワードはベラの家に電話をしました。目的はベラの生死を確かめるためだったと思われます。しかし、彼は電話に出た男性の声(ジェイコブ)に向かって”ベラはいるか”ではなく”チャーリーはいるか”を尋ねたと書かれています。

彼は電話に出た男性の声(チャーリー)に向かって”ベラはいるか”を尋ねることが怖かったということでしょうか。ベラと話したいと伝えて”一方的に別れを告げ、フォークスを去ったことを責められると思った”ということでしょうか。

彼は第1章でベラと一緒に”ロミオとジュリエット”を観ているときに”ベラなしで生きていくつもりはない”と話していたと書かれていました。”ベラはいるのか”を尋ねて、”ベラは死んだ”と返事を聞くのが怖かったということでしょうか。

いずれにしても”目的を言わなかったこと”でベラはクリフダイビングで亡くなったと勘違いし自分も命を絶とうとイタリアへ向かったと書かれていました。彼の行動と選択の結果、この後、アリスとベラに不幸な結果が訪れることが予想されます。

ジェイコブの目的はベラへ告白

“手のひらをあたしのほほに押しあて、熱い両手でしっかりあたしの顔をつつみこんだ。”

この描写を読んだとき、ジェイコブはベラへキスをしようとしていたのだと思いました。彼はベラへ告白をするため(彼のことを1番に好きでいて欲しいと伝えるため)に来たと思われます。

本章の冒頭部分でジェイコブが怯えた様子で描かれていたのは第16章で”ベラが自分ではなくvampireを選んだから”だと思われます。彼はベラへ自分を1番に好きでいて欲しいと伝えたところでベラがエドワードのことを好きである気持ちを変えられないことを恐れたのではないかと思いました。

本章での彼の目的は”告白”だと私は推測しますが、どんな人でも本当の目的は最後の方で話す傾向があるように感じました。彼はベラの家に入ると最初”ヴィクトリアからベラを守りたい。カレン家の人がいるところでは吸血鬼狩りができない。”と話していました。彼は”エドワードとベラを近づけたくない”と直球で伝えなかったのだと思いました。

だからジャレッドとエンブリーが同行していた理由があるとすれば、ジェイコブは彼の仲間にも同様にヴィクトリアからベラを守りたい。カレン家の人(アリス)とベラを引き離しにいく”と話して来た可能性が高いと思いました。

ただ本章の最後で彼が狼人間に変身したことが窺える様子が描かれていました。第16章で彼はベラが自分を1番に愛してない事実を受け入れられず彼女の前から姿を消しましたが、この先は例えベラが彼のことを1番に愛していなかったとしても彼は彼女のことを追うことを予想します。

第19章 RACE(同じ価値観を持つ人々)

“race”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

[countable] a group of people who share the same language, history, culture, etc.

⇒[可算]同じ言語、歴史、文化などを共有する人々のグループ

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アリスはイタリアに住むヴォルトゥーリ一族は3000年近く生きていると話しました。彼らは同じ言語、歴史、文化などを共有する人々のグループだと思われます。

ヴォルトゥーリ一族とは?!

アリスはイタリアに住むヴォルトゥーリ一族は”3000年生きていると話しました。そしてエドワードは彼らを伝統と権威のある一族であり死を望まないかぎり敵にまわす相手ではないと語っていました。彼らが前作第6章でジェイコブが話していた”白い連中”ということでしょうか。

イタリアのvampireについては、”ストレゴーニ・ベネフィーチ”という名前で善良なvampireとして前作第7章でもインターネット上に記録された情報として書かれていました。ただ前作第16章でヴォルトゥーリ一族はカーライルに”菜食主義”をやめるように迫ったと書かれています。彼らはカレン家の人々とは異なり、”人を狩る習性があるvampire”であるようです。

彼らの名前は、アロ、カイウス、マーカス。その他女性が2人で5人で暮らしていると書かれています。そして現在では9人の護衛官がいるようです。護衛官の役割は”vampireの存在明るみにでないようにするという掟を守ること”、”その掟を守らなかったものを殲滅すること”です。

はみだし者の殲滅について英語では”annihilating mavericks”と書かれています。

“annihilate”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

to destroy somebody/something/yourself completely

⇒誰かや何かあなた自身を完全に滅ぼすこと

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“maverick”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a person who does not behave or think like everyone else, but who has independent, unusual opinions

⇒他の人のように振る舞ったり考えたりすることはないが、独立した、変わった意見を持っている人

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はみだし者の殲滅とは、”異なる意見を持っていて独立した人を完全に排除するという意味だと思われます。

アリスが仲間を呼ばなかった理由

”例え4人で戦ってもヴォルトゥーリの人々には勝てない”そう言って仲間が納得すると思えなかったから呼ばなかったのだと思います。

なぜならジャスパー、エメット、ロザリーは自分たちが強いことを誇っているからだと思います。強さを誇る人たちに”この戦いに勝ち目は無い”と伝えても納得しないだろうと考えたのだと思います。

さらに、アリスは仲間が怒り狂って戦闘を始めることの方が厄介であると考えているように感じました。アリスはベラに”エドワードを救うのに間に合わなかったとしても、あたしはなんとしてでもあなたをチャーリーのもとへもどす”と話していることから彼女は可能な限り戦いを避けようとしているのだと思います。

通常、強敵のもとへ向かうのであれば自分より強い人に同行してもらいます。しかし、そもそも戦う意志が無いときは仲間を呼ばないことを選択するのだと思いました。この様子は前作第22章でベラがジェームズがいるところへ1人で向かった場面と似ています。そのときベラもジェームズと戦おうとは思ってなかったはずです。仲間に生き残ってもらうために自分を犠牲にする選択をするところは、アリスとベラの共通点だと思いました。

第20章 VOLTERRA(王族の街)

ベラとアリスはエドワードが王族の気に障るような行動を取る前に止めようと時計塔へ向かいます。

エドワードとの再会

”エドワードの肌が発散する甘い香りに肺の奥深くまで満たされた。ぽっかりあいた胸の傷なんて、まるで存在しなかったみたいに。すみずみまで完璧でー傷がいえたというより、まるで最初から傷ひとつなかったようだ。”

ベラはエドワードと再会したとき7ヶ月間、離れていた時に受けた傷がまるで最初からなかったかのように修復されたと語っています。確かにイケメンと会って幸せな気持ちは理解できるのですが、”エドワードのほかになにひとつ求めない”と1番に想う気持ちは肯定的に捉えると”愛情”ですが否定的に捉えると”依存”だと思いました。

ベラはエドワードの容姿や声のみでなく香りにも惹かれています。第18章でジェイコブはこの香りを甘ったるくて吐きそうと例えていました。逆にアリスからするとジェイコブの香りも酷い匂いだと語られていました。ジェイコブは狼人間として描かれていることから獣臭を意味するのか。仮にそうであれば、カレン家の人々が発散する香りは彫刻の香りということなのか。それとも否定的なイメージを持つ人に対して自然に生じる嫌悪感の為に主観的に感じるものなのか。香りについてはまだまだ疑問が残りました。

ロミオの言葉の引用

“死神は甘い蜜のようなきみの吐息を吸いとろうとも、美しさまでは奪えない”

これは、エドワードがベラに再会したときに発した言葉です。ベラがこの言葉はキューピュレット家の霊廟でロミオがいう台詞だと説明しています。ロミオの告白の言葉ということでしょうか。

トワイライトシリーズ最終作まで読んだ後は、『ロミオとジュリエット』を読みたいと思っています。シェイクスピアが生きた時代(現代のようにスマートフォンなんて無かった時代)の人が思い描いた恋愛小説を考察予定です。

本作第1章でベラはロミオについて、”架空の人物のなかであたしのお気に入りのひとりだ”とロミオに対する好感的な気持ちを語っています。しかしながら、彼女は前作第7章で英語のレポートのテーマを”シェイクスピアの女性の登場人物に対する扱いは、女性嫌悪症のあらわれか否かについて”と語っていました。

そのため、シェイクスピアの作品は”シェイクスピアって女性を嫌いなのかな?”と感じるような作品なのだろうかと感じていました。私が読んだらベラと同様にロミオへ好印象を抱くだろうか。彼女と同様に女性の登場人物に対する扱いは、女性嫌悪症のあらわれかと感じるだろうか。トワイライトシリーズ読了後の楽しみにしたいと思います。

エドワードがアリスに思うこと

エドワードはアリスに会ったとき”慇懃無礼”な口ぶりだったとベラは語っています。このアリスに対して若干無礼な態度を取っている様子は前作でも描かれていました。前作第12症でアリスが初めてベラに話しかけた日のことです。エドワードはむっつりとした顔でよそよそしい態度を取ったように描かれていました。

アリスは前作第20章で”エドワードはほとんど一世紀のあいだひとりぼっちだった。そしてあなたを見つけたの。エドワードにとってそれがどれほど大きな意味があることかあなたにはわからないのね”とベラへ話していました。彼女の発言から彼女はエドワードの幸せを望んでいることが窺えます。

彼は前作第12章で草原へ向かうときアリスは自分の味方であるとも話していたのですが、それならなぜよそよそしい態度を取るのか分かりませんでした。

アリスが持つ力

”野蛮な真似はやめにしない?レディの前よ”

アリスが姿を現しこう話すとデメトリとフェリックスはいっせいに姿勢を正したと書かれています。これはアリスの容姿の美しさに見惚れたということでしょうか。アリスは”レディ”と表現していますが、ベラとエドワードの2人でいた時と態度が変わったということはアリスに何らかの魅力、もしくは権力を感じたのだと思われます。

彼女は容姿の魅力を街へ入るときも使っていました。”観光バス以外、市内の通行は禁止”警備員からはそう言われましたが、魅力的な笑顔と札束を使ったと書かれていました。この時の警備員がアリスの容姿の魅力に惹かれたから彼女たちの通行を許可したのか、それとも札束を得たことで通行を許可したのかは明記されていません。ただ容姿のよさや財力を持つ人は一般的な人が禁止されている事柄でも許可される場合があることを描いているように感じました。

ジェーンが持つ力

それは、”かよわそうな姿”だと思いました。容姿の特徴は”あわいブラウンのショートヘア”、”身体つきは細身で中性的”、”かわいらしい顔だち”と書かれています。フェリックスとデメトリは彼女を見るとすぐさま緊張をほどき、攻撃態勢をゆるめて後退したと書かれています。この行動は彼らにとって単に彼女が仲間というだけでなく、自分たちに危害を加えるような力は持たないことを意味しているように感じました。

エドワードもジェーンと呼ばれる少女の姿を見ると緊張状態をゆるめ、こちらは降参状態だったと書かれていました。実はこのジェーンという名前は前作第8章のポートアンジェルスのイタリアンレストランでの会話でも登場していました。ベラがエドワードの人間離れした力に疑問を抱き、エドワードのことをジョーと仮定し彼の正体を探ろうとしていた時の会話で使われていました。彼はベラをジェーンと例えたのです。”ジェーン”は彼の初恋の人だった可能性もあると思いました。

集団で行動をする人の特徴

それは、”リーダーを先頭に立たせないことだと思いました。ヴォルトゥーリ一族のリーダーは、”アロ”という人物だと思われます。本章でエドワードと対面している2人は”デメトリ”と”フェリックス”です。この2人は第19章で語られていた護衛官だと思われます。

ヴォルトゥーリ一族は、”アロ、カイウス、マーカス、その他女性が2人”だとアリスが説明していました。そのためジェーンは2人の女性のうちの1人だと思われます。この一族の外見上の特徴は外套を着ていること、そしてその外套は地面につくほど長いと書かれていました。理由は彼らもまたエドワードたちと同様に陽に当たると他の人の目が眩むほど肌が光るからだと思われます。

エドワードが歯を食いしばるとフェリックスがにたりと笑ったと書かれていますが、前作のジェームズが登場した場面と類似する特徴を感じました。エドワードが必死にベラを守ろうとするほどデメトリとフェリックスは”守ろうとするもの”へ関心を強めています。”大切なものを奪いたい”ということでしょうか?本章のみでは王族として描かれている人たちの行動には強引さを感じました。

第21章 VERDICT(決断)

“verdict”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

a decision that you make or an opinion that you give about something, after you have tested it or considered it carefully

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⇒あなたがそれを試したり、注意深く検討した後、決めたことや何かについて与える意見

アロはベラとエドワードが両想いである様子を見て、エドワードの願い(エドワードに死の判決を下すこと)を叶えなくて良かったと思っているようです。

アロが持つ力

アロは相手に直接触れることで触れた相手について多くを聞き取ることが出来ると書かれています。多くを聞き取るというのは、触れた相手の頭に浮かんたありとあらゆること(=過去のこと)を知ることが出来るようです。エドワードも他人の心を読むことが出来ます。彼の場合は相手に触れる必要は無いのですが、その瞬間に相手の脳裏をよぎることのみ知ることが出来るようです。

私はエドワードの他人の心を読む力について”耳が良いだけ”と思っていました。関心を持った相手に注意を向けて、その相手が発した言葉をよく聞いていると思っていました。しかし本章でのアロとエドワードの会話を聞くと彼らに特別な力があることは確かなようでした。

ジェーンとアレックは”vampire”としての才能を認められた人たち?!

前章で書かれていたジェーンの特徴は、”あわいブラウンのショートヘア”、”ほとんど黒色の濃い外套”、”つぶらな瞳と豊かな唇”、”恐ろしいくすんだ深紅の瞳”

本章で登場したアレックの特徴は、”明るいグレーのスーツ”、”髪の色はもっと濃くて唇はそれほど豊かではない”、”ジェーンと双子といっても通用しそう”

ジェーンが帰宅すると、たがいの両ほほにキスをする様子が描かれていました。私はジェーンを見たときエドワードが降参した様子を見て、彼とジェーンは知り合いだったのだろうかとか思うところがあったのですがジェーンとアレックがパートナーのようです。エドワードとベラもジェーンとアレックと同様に才能があるvampire”になるのかどうか今後の展開が期待されます。

3000年生きている”vampire”

アロ

顔のつくりは完璧、肌は透けるように白く、ーまるでタマネギの皮にみたいにーもろそうで。顔を縁どる長い黒髪と強烈なコントラストを見せている。特別な能力として直接触れた相手が過去に見たものを見ることが出来る

マーカス

アロによく似ていて髪の毛の色は黒。特別な能力として人と人との絆の強さが分かる

カイウス

アロによく似ていて髪の毛の色は顔と同じ色の雪のような豊かな銀髪

3人に共通していることは皮膚が紙のように薄いと書かれています。この皮膚の特徴は老いを意味するのか。エドワードが自分たちを完全に消し去るにはバラバラにして燃やすしかないと説明する場面や彼は約1世紀生きているのに全く年を取っていないことから”vampire”は不死身な存在として描かれている印象ですが、3000年も生きると強靭さや若々しさも減少するのかと思うような描かれ方でした。

アロが語る”immune”(免疫)とは

アロはジェーンに向かって”ベラはおまえにも”免疫”があるのかな”とジェーンに行動を促しました。

英語では

“I was wondering, my dear one, if Bella is immune to you.”

”immune”とは

Oxford Learner’s Dictionariesによると

1.cannot catch or be affected by a particular disease or illness

⇒特定の病気や病原菌を捕まえたり、影響を受けたりすることができない

2.not affected by something, especially something that you might expect to be harmful

⇒特にあなたが有害であると予想するかもしれない何かの影響を受けない

3.protected from something and therefore able to avoid it

⇒何かから保護されているため、それを回避することができる

immune adjective - Definition, pictures, pronunciation and usage notes | Oxford Advanced Learner's Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com
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⇒1-3全てに共通するのは、”守られる”という意味だと思います。ジェーンは彼女の見た目からは想像が出来ないような強い力を持つと思われますが、エドワードは彼女からベラを守ることが出来るかどうかを問ったのだろうと思いました。

人間を狩る”vampire”

“廊下の先にある壮麗な扉をくぐらりきらないうちに、背後では絶叫が響きわたり始めた。”
⇒観光客としてアロの宮殿を訪ねてきた人たちは、王族vampireに血を吸われたという結果を描く描写だと思いました。

ここで連れてこられた人の特徴は”アメリカ人”や”浅黒い肌で首にロザリオをかけ十字架を握りしめた女性”この女性が話す言葉は英語では無いようでベラは聞きなれない言葉だと書いています。
作者ステファニーメイヤーさんは、アメリカ人ですが、ここでvampireの喉の渇きを満たすために犠牲になった人たちの中にアメリカ人が描かれているのは何か意味があるのでしょうか。

ここの宮殿で生活をするvampireたちは、ここで受付係として生活をする美しい女性のことも”いずれ役に立たなくなれば、われわれの滋養となる運命”と語っていました。ファンタジー作品の悪役が話すセリフとして鉄板でした。

ここで受付役として描かれた女性が容姿が良いのは、宮殿を訪ねてきた人たちの警戒心を解くためだと思われます。宮殿の外から40-50人の人間を連れてきたハイディというvampireも容姿の良い人物として描かれています。”容姿の良さ”は相手の警戒心を緩めると伝えているように感じました。

アロの目的

アロはエドワードに言いました。
“きみの才能はわれわれにとって願ってもない助けになるのだが”
エドワードが持つ才能とは、①”直接相手に触れなくてもその瞬間に相手の脳裏をよぎったことが聞こえること”と②”ベラという強烈な血の匂いを持つ人の近くに居続けることが出来ること”のどちらかだと思われます。

②の人の血の匂いに耐える耐性については、カーライルという先人がいるため、①の直接相手に触れなくてもその瞬間に相手の脳裏をよぎったことが聞こえることに関心を持っていると思います。アロとエドワードの才能に違いがあるとすれば、エドワードは”直接相手に触れる必要が無い”ことがポイントだと思います。

しかし、仮にエドワードが仲間になるのであれば、アロが何を実現したいと思っているかは分かりませんでした。

第22章 FLIGHT (振り出し)

“It’s over.(終わったんだ)”
エドワードのこの発言は第3章で始まった失恋に終止符を打ったように感じました。
彼とベラの関係が元に戻る、振り出しに戻る章(本作の第1章の関係に戻る章)だと思います。

親子関係

エドワードの両親(カーライル、エズミ)とベラの父(チャーリー)の子どもへの接し方には違いがありました。

エドワードが自殺を決意した理由は、ベラが自殺をしたことを知ったからでした。だから、カーライルとエズミはベラに対して”あなたが自殺行為を犯したからエドワードが命を絶とうとしたんだ”と責めることも出来ると思います。しかし、彼らはエドワードの自殺を止めようとイタリアへ向かったベラへ感謝の気持ちを述べていました。

一方、チャーリーは黙って家を出て行ったベラを連れて帰ったエドワードへ”よくものこのこ顔を見せられるな!”と怒りを表していました。彼は”エドワードがベラへ別れを告げた”⇒”ベラが抜け殻状態に陥るほど落ち込んだ”という流れを知っているからそんな発言をしたのだと思われます。
しかし自殺未遂に至った原因はベラであることを考えるとどちらが悪いと一概に言い切れないように感じました。

両家の親に共通していたのは、”黙って姿を消すような行動を取らないで欲しいという心情だった”こと思います。親が子どもの身の安全を考えることはごく普通の感情です。しかしエドワードは”ベラが死んでしまったからもう生きられない”とは彼の両親に言えなかったのでしょうし、ベラも出発前に”エドワードを助けるためにイタリアへ行く”とは父に言えなかっただろうと思いました。

事前に話したところで許可されなかったと思われます。決して彼らの自殺未遂行為を肯定するわけでは無いのですが、普段から悪い状況を話せない関係だったことが今回のエピソードの原因だったのだと思います。

兄弟関係

「もういい」
エドワードは謝ろうとしているロザリーへ切り捨てるようにこう言ったと書かれています。

ロザリーは謝ろうとしているのに。なぜ?私は彼のこの反応が信じられませんでした。もしかしたらロザリーはベラのクリフダイビングについて、エドワードに伝える時に”人間を好きになるなんて最初から無理に決まっていたのよ”と言ったのではないだろうかと思いました。
一方アリスとジャスパーは再会すると他のカップルのように抱擁することなく見つめあっていたと書かれていました。

ジャスパーの反応は、チャーリーと正反対のように感じました。アリスはエドワードとベラを助けるために自らヴォルトゥーリー族へ会いに行き自分の身を危険に晒しました。だからジャスパーがチャーリーのような人物であれば、エドワードへ怒りをぶつけても良さそうですが、この2人は他の人物へ一切関心を向けることなく2人だけの世界という雰囲気を出していたと書かれていました。

主役の2人より、彼らの恋愛の方が気になる。そう思った場面になりました。

ラ・トゥア・カンタンテ

”人の心の中が読めるということがあるだとうか?!”

私は前作からエドワードが語る”人の心の中を読むことが出来る”という発言に疑問を持っていました。前章でアロの持つ能力と比較していたとき、一旦はその能力が真実だったのかと納得したのですが、まだ疑っています。

アロは、エドワードにとってベラは”ラ・トゥア・カンタンテ(歌姫)”と名付けていました。理由はベラの血がエドワードに歌いかけると書かれていました。しかし、私は前作からエドワードは他の人より”耳が良い”ということが特殊能力だと推測していたため、彼ははベラの”声”が好きという意味ではないだろうかと新たな疑問が浮かびました。

第23章 THE TRUTH (愛しています)

“ウソは信じられるのに、なぜ真実はだめなんだ?”
エドワードは第3章でベラへ別れを告げた言葉はウソだったと告白します。

ベラは”あなたがあたしを…愛しているなんて絶対…おかしいもの。”と答えました。
別れなんて告げなかったら良かったのに。。。好きなら好きだと言った方が良いと感じる章です。

ロミオと同じあやまち

”いつだって、ぼくらはそう運命に翻弄されるんだな。あやまちに次ぐあやまち。もう二度とロミオの悪口はいわないよ”

第1章でエドワードが話したロミオの悪口は”ロザラインに恋していたのに、すぐジュリエットに乗りかえて、結婚式の直後にジュリエットのいとこを殺してしまい自分のしあわせを完璧に壊してしまったこと”と語っていました。

エドワードが話す過ちとは、”幸せな状態を自ら壊すこと”だと思います。そしてこの場面で”ぼく”でなく”ぼくら”とベラを含める言い方をした理由は、彼発信でベラへ別れを告げたのですが、彼女もその言葉を受け入れたことにより2人で幸せな状態を壊したから”だと思いました。

この作品の中で、主役の2人は愛し合っているから”お互いにずっと好きな状態が続いていた”で結果オーライなのかなと思いました。しかし、エドワードは”ぼくらのあやまち”と言っているけれど別れを告げられる場面で追うことが出来る人は少ないだろうと思います。

エドワードが惹かれているのはベラの容姿ではない

”あたしがすごく歳をとってまわりからお母さんだと思われたら?おばあさんだと思われたらどうするの?”

エドワードがベラを”vampire”にするつもりが無いと伝えた時のベラの反応です。それに対してエドワードは
”そんなこと、ぼくにはなんの意味もない”と言いました。

まず話が第1章に戻っているように感じました。ベラが自分だけ歳を取った姿を想像して恐怖を感じています。しかし、エドワードはベラが歳をとっても気持ちは変わらないと話しています。ベラは終始エドワードの容姿を賞賛していますが、彼が惹かれるベラの魅力は容姿ではない可能性があると思いました。

彼はいずれベラが歳を取って死が訪れたら、後を追うと言っています。肯定的に捉えると一図、否定的に捉えると依存です。思いの強さは伝わるのですが、彼が感じるベラの魅力は”血”なのか?まだ理解できないと思いました。

強情さ

”あたしのかぎりある命について。仲間にするかしかいかー多数決にかけてもらうのよ”

ベラはエドワードが彼女を人間のままにしておくと考えていることに賛同できず彼の家族に決定をゆだねると主張しています。

これまでの物語でカレン家の人々がすでに死んでいることはわかっています。その死者が生きている人間に何か想いがあるとすれば、”生きてほしい”と思うだろうと私は思います。だから次章で多数決を取ったとしても結論は”人間のままにする”だと思います。

人間のままにする”がきれいな答えではあるのですが、その状態ではビクトリアやヴォルトゥーリの人々から狙われます。ヒロインが主人公であるため、毎回エドワードが助けるという展開も十分考えられるのですが、ベラ自身が戦闘の場面でも戦うことが出来るようにどこかで”vampire”へ変身することも予想されます。

エドワードは、”ベラの魂を破壊できないから”彼女を”vampire”へすることは出来ないと主張しています。しかし彼は前作第14章で生前は天涯孤独だったと語っていました。カーライルが彼を”vampire”へ変えたことで家族も出来たし、ベラに出会うことも出来たのだと思います。彼は、自分自身が魂を破壊され歳を取らない身としてずっと生き続けていることを悔み続けているということなのでしょうか。

80年生きていると同じ年齢だった人がどんどん歳を取り、生涯を終える場面も見ていると思いますが、彼自身はその生き方をしたいと思っているということなのか。彼の発言や行動の根拠は不明瞭なままでした。

強く信じること

エドワードとベラもお互いを強く愛し合っていたからこそ、離れ離れとなった時間がつらすぎて第3章から第20章まで本作の大部分の時間を使って強い悲しみとして描かれていました。

彼はベラと離れている間、ヴィクトリアを追跡していたと話しています。

”あいつはジェームズを信頼しきっていた。ヴィクトリアはジェームズがしくじるとは一度たりとも考えていなかった。”と彼女の気持ちを代弁しています。そして今になってその2人の絆の深さに気づいたと話しています。

彼は本章でベラと生きていることに安堵感を抱いているようですが、仮に何者かが彼女の命を殺めたとしたら、自分もその殺人者の愛する人を狙うだろうと思ったということでしょうか。

第24章 VOTE (進みたい道)

主役の2人の自己中心性が描かれています。

ベラの自己中心性

“仲間にしないと決まれば…あたしはひとりでイタリアへもどります。連中をここへ来させるわけにはいかないもの。”とベラはカレン家の人々に主張しました。

彼女は、みんなが味方してくれるだろうという確信があったのだと思います。なぜなら彼女は前作でも一人でジェームズに会いに行き、そこでみんなに助けられています。

彼女が”vampire”になりたいと思う本当の理由は”エドワードと並んだ時、自分だけが老けて見られたくない”という未来の想像が理由だと思います。しかし、それを直球で伝えるのは恥ずかしいのだろうと思いました。

しかし”(きっと守ってくれるでしょうし)一人で敵に会いに行きます。”と主張するより”いつも守ってもらってばかりだから、自分も無敵になりたい”とか”vampire”になりたいことを伝えるためには、伝え方が他にもあるだろうと思いました。ただ自己中心性を持っていて、その意志を支持する人がいるからこそベラは主役となり得るのだと思いました。

エドワードの自己中心性

カレン家の家族に”ベラをvampireにするか否か”を問いだしたとき、ロザリー以外は全員一致で”賛成でした。しかし、エドワードが”強く拒否”したことでベラが高校を卒業するまでは変身はさせないという結果となりました。

彼は彼女を”vampire”にする前にまず”結婚したい”と主張します。ところがベラは自分の両親は離婚しているということもあり、すんなりと受け入れませんでした。彼女は結婚をしたことが別れの原因となったと考えているようでした。

2人の主張の違いから、エドワードは”今”を優先したいと思っていて、ベラは”ずっと先の未来”を優先したいと思っている様子が窺えました。”vampire”への変身の痛みは恐らく誰でも耐えられるような痛みでは無く、変身できず死に至ることもあるのだと思われます。彼はベラを失うリスクにかけるより”今の幸せ”を優先したいと思っているように感じられました。

EPILOGUE – TREATY (協定)

エピローグでは主役を引き立てる人物について書かれています。
ジェイコブ・ブラックです。
彼は第9章でベラはエドワードを好きであることを確信したにも関わらず、時間はたっぷりあるからあきらめないと話していました。

このエピローグでは、ベラから”あたしをエドワードから引き離すことはできない。なにがあってもそれは無理なの。”と彼女の気持ちはエドワードに向いていることを伝えられました。

すると、ジェイコブは彼女に別れを告げました。その行為は、彼女に追いかけてきて欲しいと思って起こした行動のようで、彼女が彼を追いかけようとすると期待していたかのような反応を取りました。さらに、ベラは彼とは友だちでいたいと心の中で誓う様子が描かれていたため、彼らは次作でも別れることは無いと思われます。

”味方の敵は自分の敵ではない”。しかし、ここでは、キラユーテ族と冷人族が結んでいる協定(エドワードもジェイコブもそれぞれの部族に属していること)を理由にお互いが敵対心を抱いていました。

確かに前作のエピローグで、ジェイコブは未だサムが率いる群れに所属していなかったからかエドワードに対して強い嫌悪感を示していませんでした。人は所属を理由に争うのか、次作では、ヴォルトゥーリやヴィクトリアと争う前に冷人族対キラユーテ族の争いが予想されます。

物語の真意


作者が作品を通して読者へ伝えたかったことは、”主役を支える人物の重要性”だと思います。

主役であるエドワードは第4章から第19章まで不在でした。

その間、ベラを支えていたのはジェイコブでした。彼は前作でベラにエドワードは冷人族(吸血鬼)であることを教えたり、本作では彼女のためにバイクを修理して乗り方を教えたりと彼女の要望を快く引き受けた人物でした。

第17章では、彼は父ビリーの身の回りの面倒を見てやっているとベラの父チャーリーが話す場面もあり、現物の世界であれば自己主張が強いエドワードより彼の方が関わり易そうな印象でした。しかし、本作『ニュームーン』では主役となるためには”主張の強さ”が必要だと物語られているようでした。

また、アリスも前作に引き続き主役を支えた人物でした。彼女は前作第13章でエドワードがベラを草原へ連れて行った際、どこかで見張っていたのだと思います。エドワードは”アリスは味方”であると話していました。本作ではベラがエドワードを救うべくイタリアへ行ったときに全力でサポートしていました。

彼女は前作で人間だった時の記憶がない人物として説明されていたため、生前にやり残したことが無いから親切なのだろうと思っていました。しかし、第17章の生前のアリスは”入院の日付と墓石の死亡年月日が同じ”という扱いを受けたという描写を読んだとき、”人間だった時の記憶が無いのではなく、無いことにしている”ように感じられました。

恐らくアリスは繊細な人物で、ジャスパーも繊細な人物だと思います。(彼は生前精神的に参っていたと書かれていました。)だから、第22章でアリスがイタリアから無事戻ってきたとき、2人は言葉を交わさなかったのだろうと推測します。

次回からは次作『エクリプス』を考察します。

youtubeの「VOGUE JAPAN」では、スウェーデン出身のシンガーソングライター、ザラ・ラーソンが彼女好きな作品としています。彼女は母国語のスウェーデン語で読まれているようです。彼女の小説を読むという趣味は「現実逃避」であると訳されています。「現実逃避」と表現すると悪い印象を持ちますが、「ファンタジー好き」だと捉えます。そしてファンタジ作家も現実逃避の空想を描いているのではなく、何かを伝えたくて作品として形にしたのだろうと思います。

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