おはなしばんざい

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『おはなしばんざい』

アーノルド・ローベル さく

三木卓 訳

英題『Mouse Soup』 

By ARNOLD LOBEL

あらすじ

1匹のネズミが木の下で本を読んでいると1匹のイタチに捕まります。「ネズミスープを作ってやる」と言ったイタチにネズミは「ネズミスープには4つの物語を入れないとちっとも美味しくならないよ」とアドバイス。どんな物語を入れるのでしょうか。

1.BEES AND THE MUD

ネズミくんの物語①「ハチと泥」

木の近くを歩いていたネズミの頭の上にハチの巣が落ちてきます。巣があるせいで、ネズミの頭の周りをハチが飛び回り、ネズミは困った表情。追い払いたくて

“you will have to fly away”

「どこかへ飛んでいってくれ」というけれど

ハチたちは

“We llke your ears,

we like your nose

we like your  whiskers.”

「私たちはあなたの耳が好き、鼻が好き、ヒゲが好き」と離れません。

ネズミはどうやってハチを追い払うことができるのでしょうか。

ハチの言葉を見ると同じ表現が繰り返し使われてます。

“We llke your ears,

we like your nose

we like your  whiskers.”

全体的に繰り返しが多く、読みやすい物語です。

「ハチと泥」自体がネズミが考えた物語ですが、力を使って無理やりハチを追い払うのではなく、ハチが自分から去っていくように行動します。ネズミの頭の良さがわかりますし、これを聞いてるイタチは自分も同じようにネズミの作戦に引っかかることを想像しないのかななんて思いました。

2.TWO LARGE STONES

ネズミくんの物語②「2つの大きな石」

丘の上に大きな石が2つありました。石は自分で動くことが出来ない為、もう片側の丘にはどんな景色が広がっているのとても気になってました。

ある時、そんな石のところへトリが飛んできます。

石はトリへ反対側の丘には何が見えるのかを尋ねます。

トリが「街やお城、それに山や谷もあって素敵よ」と答えた為、反対側の丘から見える景色を羨ましく思います。それから、石は100年もの間、自分たちには決して見ることが出来ないと悲しみ続けます。

100年経ったある日、1匹のネズミが近づいてきたので、石はトリの時と同じ質問をしました。

「反対側の丘には何が見えますか。」

ネズミは「地面と石が見えるよ。草や花もあって素敵だよ」と答えます。

それを聞いた木は「トリは嘘をついてたんだ。」と考えました。反対側の丘の景色は、自分たちが見えているものと同じであれば、それがわかって幸せだよと。

①トリが嘘をついたのか、ネズミが嘘をついたのか

②どちらも嘘をついてないが、100年間の間に反対側の丘の景色が変わっただけなのか

③結局は、街やお城が見える景色の方にいたとしても、反対側には自然豊かな景色が見えるとわかると自分には無いものとして羨ましく感じてしまうのか。

あまり詳しい情景まで書かれてない絵本である為、少なくとも①~③の事が想像出来ます。③自分には無いものを羨ましく思う事はヒトにも当てはまる部分があると思います。それを例えて話してるようで面白いと思いました。

3.THE CRICKETSS

ネズミくんの物語③「コオロギ」

ある晩、ネズミが寝ているとコオロギの鳴き声があまりにも大きいくて目を覚まします。

“I want to sleep. I do not want any more music”

「私は寝たいんだ。これ以上音楽を聞きたくないんだ。」とコオロギに言うけれど

“You want more music?”

「もっと音楽を聞きたいの?」と、どんどん仲間を連れて来ます。

我慢できなくなったネズミは

Go away!

「消え失せろ」(日本語版の絵本にはこう訳されてます。)と叫びます。

コオロギは、最初からそう言ってくれると良かったのにと立ち去ります。

誰かに何かをするようにお願いするとき、伝わらなくてもやもやすることがありますが、それは単に伝わってないだけかもしれないと伝えたい物語なのかなと思いました。実際の場面では、乱暴な言い方は出来ませんが、どうして欲しいのかを端的に伝える必要があるのかもしれません。

4.THE THORN BUSH

ネズミくんの物語④トゲのある木

ネズミの奥さんの愛用しているソファーにトゲのある木が生えてました。ところがその木は最近元気がなくなっていた為、ネズミの奥さんは家の前で泣いていました。おまわりさんは、その様子をみて水をあげると元気になるよと提案します。

おまわりさんのアドバイス通りに水をやると見事に花が咲き、ネズミの奥さんはおまわりさんにその花をプレゼントします。

そんなほのぼのとした物語です。

そして、ネズミはイタチに

「ハチの巣、泥、2つの大きな石、10匹のコオロギ、トゲのある木を採りに行って、ネズミスープに入れるととても美味しくなるよ」とアドバイス。

イタチは美味しいネズミスープを作る事が出来るのか。なんとなく結論の想像が出来ます。

4つの短編で構成されており、繰り返しの表現も多いので、英語初心者におすすめです。

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